最愛のアンティーク陶磁器を探してみましょう

アンティークの陶磁器

実は、アンティークの陶磁器だけは手を出したくないな・・・とずっと思っていた私。意外と思われるかもしれませんが、アンティークの家具を専門に扱っている私にとって、テーブルウェアはものすごく奥が深い気がして、なんとなく踏み込んではいけない領域のように思っていたんです(笑)

ところが、アンティーク家具の買い付けを始めて8年ほど経ったある日、気に入って買い付けようと思ったガラスのキャビネットの中に何脚も並べてあったカップ&ソーサーを見て・・・踏み込んでは行けない境地に入ってしまった私は、その日からすっかりアンティークのテーブルウェアに魅了されっぱなしです(笑)

家具と違って、まだまだ知らないことがたくさん!だからこそ、調べれば調べるほどドンドン好きになってしまっているアンティークの陶磁器。ぜひ、一緒に勉強してこの魅力にハマってみませんか?

Handle 水野 友紀子


初めてのアンティーク陶磁器
そもそも陶磁器とは

陶磁器とは焼き物の総称のことです。
焼き物は使っている原料から陶器と磁器に分かれ、さらに以下の4種類に分けられます。
・Earthenware(アースンウェアー)
・Porcelain(ポーセリン)
・Bone China(ボーンチャイナ)
・Stoneware(ストーンウェアー)

それぞれの質感や特長について、詳しくご紹介します。


アースンウェア(陶器)

アースンウェアとは陶器のことです。
粘土を整形して釉薬を掛け、低温の窯(800~1000℃)で焼かれたものです。イギリスの焼き物ではスージークーパーがアースンウェアとして有名です。

英国では北スタッホードシャーの作陶家により初めてアースンウェアが作られました。当時は英国内で採れる赤土のみを使った赤みがかった焼き物でしたが、白色の陶器が重宝されはじめ、白くする方法が確立されました。


ストーンウェア(炻器)

ストーンウェアとは炻器(せっき)のことです。
ヨーロッパでストーンウェアと言うと、白い陶土を高温の窯(1100~1300℃)で硬く焼いたものです。ストーンウェアで一番有名な焼き物がウェッジウッドのジャスパーウェアです。

ストーンウェアは吸水性がなく、ほとんどが釉薬を掛けて焼かれますが、ジャスパーウェアだけは無釉。なので手触りも見た目も独特です。


ポーセリン(磁器)

ポーセリンとは磁器のことです。
磁器の原料は磁石(カオリン)や石英、長石などの粘土質物を原料にして、整形してから非常に高温の窯(1300~1500℃)で焼いたものでとても硬いです。

イギリスに輸入されていた東洋の磁器を目指しましたが、ヨーロッパではなかなか原料が見つからなかったので、ドイツのマイセンが初めて焼きものとして成功させたことが有名です。ロイヤルコペンハーゲンなどもポーセリンです。


ボーンチャイナ(骨灰磁器)

ボーンチャイナとは、磁器の種類の一つで骨灰磁器と呼ばれるものです。
最近では骨灰は使わず、ガラス質のものを入れて作られますが、アンティークのボーンチャイナは、白色の陶土の中に牛の骨灰を混ぜて焼き上げられています。

イギリスでは良質の磁石が発見できなかったので、代用品として発見されたもの。原料の50%を骨が占めているので、高温に強く白いのが特長です。


ルーツをたどってみよう

陶磁器のお皿やカップ&ソーサーの裏を見てみると、19世紀中頃以降のイギリスの陶磁器の中でもブランド品とされるものには、たいていマークが入っています。窯印を入れて製品を保証したもので、その陶磁器のルーツをたどることが出来ます。

ただ19世紀中頃以前の古いものやスポード社のもの、例外的にマークが入っていないものもあるので、あくまで目安の一つと考えるのがベター。裏にマークがあったり、なかったり、どこのどんな食器だったのか気長に調べるのもアンティークの楽しみです。


アンティーク陶磁器3つの楽しみ方

「アンティークのテーブルウェアには3つの使い方があるんだよ」って買い付けの時、教えてもらってからアンティークの陶磁器が好きになった私。

まず1つ目は「日常で使う食器」として使う使い方。毎日、お茶を飲んだり、食事やおやつの時間に使ったり・・・
アンティークだからと考えず、自分の気に入った柄を日常で楽しんで使う食器としての使い方です。

2つ目は「特別な時に使う食器」
私が小さい頃、お正月だけ登場する食器やお客さんがお家に来た時だけ母が出してくるおシャレなカップ&ソーサーがありました。

まさに、そんな風に特別な誰かをお迎えする時に使う特別な食器の使い方です。
本当は家族のお誕生日を特別な日にして欲しかったな・・・と言う気持ちは抑えておきます(笑)

3つ目は「飾るための食器」
この3つめの使い方を聞いた時、私はすごく納得しました。だって、お店にあるガラスのキャビネットの中にアンティークの陶磁器を入れると、驚くほど美しく見えるんです。

陶磁器はもちろんキャビネットも!中に陶磁器を入れたほうが、より美しく高級に見えるから、まさに飾るための食器なんだなって。周りの雰囲気まで変えてくれます。

もう一つ、私には「食器として使わない食器」という使い方があります。私はアンティークのプレートで大好きな柄を見つけると、アクセサリー置き場として使っています。

他にコースターとして上にグラスを置いて使うのもおススメ!キラキラ輝くガラスと美しいアンティークの柄が絶妙にコラボしていつものジュースやゼリーが特別な味に変化します。

自分流の使い方で楽しんで使ってみてください。


紅茶の淹れ方
ステップ1

せっかくなので、アンティークの陶磁器を使って、英国らしく美味しい紅茶を入れてみましょう!

まずは、やかんに汲みたての水を入れて、火にかけ沸騰させます。5円玉くらいの泡がボコボコ出ている状態が目安です。


ステップ2

紅茶をいれる前に、まずポットとカップにお湯を注ぎ、全体を温めておきましょう。そうすることで、茶葉も開きやすくなります。

水は水道水でOK!ミネラルウォーターなどの硬水は紅茶に適していません。水道の蛇口をいっぱいにして勢いよく出したばかりの水道水が中にたくさん空気を含んでいてベストです。


ステップ3

温めたポットに、ティースプーン1杯(2~3g)を1人分として、人数分の茶葉を入れます。

細かい茶葉は中盛、大きい茶葉は大盛にするのが目安です。(好みや飲み方によって調整してください)


ステップ4

沸騰したてのお湯を人数分注ぎ、すぐにフタをして蒸らして下さい。

この時、高い位置から沸騰したお湯を勢いよく注ぐのがコツです。(1杯分150~160mlが目安)


ステップ5

蒸らす時間は、細かい茶葉は2分半~3分、大きい茶葉は3~4分が目安です。(ミルクティーのときは、やや長めに)
その間ポットにティーコジーやティーマットを使うとさらに保温効果が上がります。おいしい紅茶をいれるには、温度を下げないことがポイント。
ポットの中を、スプーンで軽くひとまぜしましょう。


ステップ6

茶こしで茶ガラをこしながら、濃さが均一になるようにまわし注ぎしましょう。

"ベスト・ドロップ"と呼ばれる最後の一滴まで注いでください。


紅茶の入れ方完成

普段のお手入れについて

アンティークの食器はコレクションや観賞用として集められる方も多いんですが「本当に使っても大丈夫??」という不安もあると思います。美しい食器は見ているだけでも、心が満たされますが、実際に使えばさらにワクワクします。
少しだけポイントを押さえれば、普通の食器と変わりません。ぜひ美しいアンティーク食器のある暮らしを楽しんでみてください。

【使用方法】
まずは、食器として普通に使用する前にキレイに洗いましょう。
普通の食器用の中性洗剤で大丈夫です。その際に気をつけるポイントは、柔らかいスポンジを使って洗うことです。目の粗く硬いスポンジ面を使用すると、摩擦によって食器を傷つけてしまうことがあるのでご注意ください。


■食洗器の使用も問題はありません。
ただ、他の食器と間隔は十分に開け、干渉しないように気をつけてください。心配な方は手洗いをおススメします。

■長時間、コーヒーや紅茶など色のある飲み物を入れっぱなしにしないで下さい。普通の食器と同様、茶渋、色残りなどの原因になります。

■電子レンジも使用できますが金彩が施してあるものにはご注意。また、電子レンジで温める際、陶器が熱くなり割れの原因にもなりますので、心配な方は使わないようにしましょう。電子レンジから取り出す際は、やけどなどに充分ご注意ください。

■ポットやミルクジャグは、洗剤を温かいお湯で薄め、中をすすぎ洗いしてください。その後、きれいな水で洗い流してください。


アンティークの陶磁器ついて

チップ
チップとは、日本語でいうと「カケ」のことです。
非常に小さいものから大きなものまでありますが、使用上に問題はありません。

キズ
キズと一口に言うと広範囲を指しますが、基本的にアンティークの陶磁器のキズとは製作後についたものを指しています。
実際に使用されてきたため、プレートならナイフの使用による傷やスレがほとんどです。


金スレ
アンティークではカップやプレートなど食器の周りに金彩で縁取りされているものが多く、「金スレ」とはこの金彩がところどころ薄くなっていることを指しています。

使用する際や、食器を洗う際などに起こる摩擦によって、長い年月をかけて薄くなってきたもので、歴史の長いアンティークでは、未使用品以外ほとんどに多少の金スレがあります。

黒点
黒点とは、陶磁器を窯で焼く際に、窯内に漂う粒などが陶磁器に付着し、そのまま焼かれて固まったものです。

触っても感覚のない平面的なものと、手に感触のある立体的なものがありますが、どちらもダメージではなく、アンティークの陶磁器らしい味。アンティークらしさとしてお楽しみください。


貫入
貫入とは、陶磁器の表面を覆う釉薬の部分にできる細かいひび模様のことです。

アンティークの陶磁器は、釉薬というガラスの層を付着させて仕上げていています。釉薬と陶磁器(素地)は、膨張・収縮率が異なるので、激しい温度変化などで互いの素材に引っ張られ、ひび割れのような模様ができます。

貫入は、古くから陶磁器の魅力とも考えられており、意図的に貫入を入れる陶磁器もあります。陶磁器自体に入っているひび割れではないため、使用上に問題ありません。それぞれの味としてお使いください。

シミ
アンティークの食器におけるシミは、釉薬の上(表面)についている場合と、貫入の中にシミが入っている場合があります。

表面についているシミの場合は、大抵のものは洗えばキレイになりますが、貫入の中に入ったシミに関してはキレイに取り除くのは難しい場合があります。もちろん使用上に問題はありません。


メーカーについて
パラゴン

エリザベス女王の御用達ブランド、Paragon社です。
歴史は古く、1897年の開窯時は、スターチャイナという社名でした。1926年エリザベス女王の誕生した年から王室御用達になりました。
英国らしい品のあるデザインで食卓を華やかに彩ります。



オールドノリタケ

アンティークのオールドノリタケです。
裏のマルキ印から英国向けに作られていたものか分かります。当時外貨を獲得するために日本は陶磁器製品を輸出していました。
現在はオールドノリタケと呼ばれ世界中にコレクターがいるアイテムになっています。

白い陶器の表面に「金盛り」「金点盛り」技法と繊細な筆遣いで花柄が描かれています。繊細な筆使いは、まるで絵画のよう。当時の手を抜かない職人技が感じられます。



クラウンデヴォン

飾っておくだけで絵になるクラウンデヴォン窯の焼き物。
クラシカルなセピアカラーのベースにハンドペイントで描かれたお花がロマンチックです。

S.F&Coが、Crown Devon以前に製造していたブランドはRoyal Devonというブランドです。



シェリー

世界のアンティークコレクターが愛する高級窯のシェリー。

描かれたお花の模様がとっても可愛いワイルドフラワーシリーズ、「POSIE SPRAY」など有名なパターンが人気です。



スージークーパー

スージー・クーパーは英国で60年以上も活躍した陶器デザイナー。
温かく優しいデザインは、今もファンを魅了し続けています。

「フレグランス」シリーズ、エドワード8世が当時の恋人シンプソン夫人に贈ったことで有名となった「ドレスデンスプレイ」など、数多くの作品かあります。



ミッドウィンター

イギリスの陶磁器メーカー、ミッドウィンター社。

スタイルクラフト「チンツ」やモダンなRIVERSIDEシリーズなどがあります。



ロイヤルアルバート

イギリスの歴史ある陶磁器メーカー、ロイヤルアルバート社。

今もファンを魅了し続けている、英国王室御用達の陶磁器メーカーです。



コープランド・スポード

イギリス4大名窯の一つであるSPODE社。

「BYRON」シリーズが有名です。1770年に創業し、英国陶磁器界に大変な功績を残した名窯 スポード社は英国王室御用達の称号を授かりました。