英国アフタヌーンティーを楽しんでみましょう!

東香里
東 香里
英国アフタヌーンティー

突然ですが、「英国」と聞いて、何が思い浮かびますか??
ロイヤルファミリー?
こだわりの詰まったガーデン?
ハリーポッター?ピーターラビット??

食いしん坊の私は・・・「アフタヌーンティー!」

美味しいイメージはあるんだけれど、実際にアフタヌーンティーの楽しみ方って?と言う方に、英国アフタヌーンティーについてお話しします。

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英国と言えば「紅茶」と言うイメージですが、そもそも英国でお茶が好まれるようになった歴史には、日本が関係していると言われているのをご存知ですか?

15世紀後半の大航海時代に、西洋の宣教師たちが布教のため日本に訪れました。その時に知ったのが日本の「茶」

西洋の人にとって未知の飲み物だった茶を「東洋人の長寿の秘訣薬」として、持ち帰った宣教師たちが伝えたことで、中国茶や日本茶はとして興味を持たれるようになりました。


17世紀初めにポルトガルの商人によって輸入され、「コーヒーハウス」と呼ばれる男性専用の喫茶店で薬用茶として飲まれていた茶は、チャールズ2世の王妃、キャサリン・オブ・ブラガンザがお興し入れの際、茶と茶道具を持参したことで、貴族の女性たちに広がっていきました。

より西洋に近いインドでお茶の栽培が可能になり、誰もがお茶を楽しめるようになった1840年代。


英国で本格的なお茶会(アフタヌーンティー)の文化が、ヴィクトリア女王の部屋付き女官を努めたベッドフォード公爵家の別荘から誕生したと言われています。

この時代、産業革命によって家庭用のランプが普及し、人々の生活スタイルは夜型に変わり、夕食の時間もだんだんと遅くなります。

この頃、食事は1日2回!夕食までの時間が長くなり、空腹に耐えかねた第7代ベッドフォード公爵夫人のアンナ・マリアは、使用人に自室へお茶を運ぶように言いつけました。


当時、英国でお茶は薬として扱われていたので、空腹時に飲むのは体に毒と言われ、お茶と一緒にバターと砂糖をふりかけたパンが用意されたので、マリアはパンを食べて空腹をしのいでいたそうです。

初めは一人で過ごしていたティータイムですが、次第にゲストと一緒に応接室でティータイムを楽しむようになりました。

その時に招かれたゲストの人たちが、自分達の館でもお茶会を行うようになって、貴族の女性達の間でパーティー前や夕食前に、優雅なお茶の時間(アフタヌーンティー)が開かれ、社交の場として定着していったと言われています。


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ここからはアフタヌーンティーに欠かせないお茶の道具をご紹介していきます。

まずは陶磁器
東洋のめずらしい飲み物「茶」と一緒に中国や日本から宣教師が持って帰ってきた「茶器」でお茶を飲むことは富と権力の証。
上流階級のシンボルでした。

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そもそも陶磁器とは、焼き物の総称のこと。カップ&ソーサーなどの焼き物は使っている原料で、陶器、炻器、磁器、骨灰磁器に分かれます。

日本や中国の茶器が英国に伝わった当時、英国の焼き物は陶器のみで、磁器がありませんでした
英国の土には磁器作りの原料となる「カリオン」が採掘出来なかったので、磁器は中国や日本からの輸入品のみ。とても高級品だったんです。


美しく、白く、そして向こうが透けてしまいそうな薄さなのに、当時、西洋で作られていた陶器の器より耐久性がある磁器製の茶器に西洋の人々は魅了されていきました。

18世紀になると中国や日本の陶磁器を目指して名窯が次々生まれます。

良質の磁石が発見できなかったイギリスでは、ボウ窯で牛の骨灰を混ぜて焼き上げるボーンチャイナが生まれ、高温に強く独特の白い輝きを持つと人気が出ました。


また摂政時代のプリンス・ジョージ、後のジョージ4世は、陶磁器にとても興味があり、特に日本の伊万里焼の金襴手を愛していたので多くの窯が伊万里焼を真似た「イマリパターン」を製作しました。

伊万里焼の金襴手の器は装飾がとても美しく、ヨーロッパでは宮殿装飾として好まれました。


アンティークの陶磁器でも特に古いもので日本らしいデザインのものを見かけることが出来るのは、そんな理由から。なんだか日本人として誇らしいです!

そんな高価で中流階級以上の人にしか手に入らないものだった陶磁器を、ウェッジウッド窯は機械化することで、大量生産を可能にしました。

そのことで、労働階級の人も手にいれやすくなった陶磁器。多くの家庭に普及していきました。


陶磁器についてもっと詳しく知りたい方は、「最愛のアンティーク陶磁器を探してみましょう」を読んでみてください。


日々の生活に欠かせない紅茶やコーヒーですが、実はシルバーの器はほとんどが紅茶を飲むときに使用するもの。コーヒーに使用するものはあまり見かけません。

それは、コーヒーが一般市民の中で広まった文化だったのに対し、紅茶は王侯貴族などの特権階級の中で生まれた文化だったからなんです。


当時、アフタヌーンティーを催すことができたのは、上流階級の女性限定。
アフタヌーンティーを主催することは、貴婦人達の間のステータスで教養やセンスを披露する場と考えられていたので、富の象徴で、食卓をエレガントに演出してくれる銀器を、上流階級の女性たちは競うように取り入れました。

歴史とセンスのある陶磁器や銀器は、どれだけきちんと手入れされ、どれだけのお料理やお菓子にサービスできるかなど、もてなす側の技量がはかられていたそうです。


特に銀食器は、スプーンだけでも、ティースプーン、ベリースプーン、ブイヨンスプーンなどなど・・・用途によってたくさんの種類が用意されていました。

またシルバーは放っておくと黒く変色してしまうという特徴があります。いつも使っていれば防ぐことが出来ますが、貴族の館のようにたくさんの銀器を美しく保つためには銀を磨く必要がありました。


銀器を美しいままに保つため、管理し磨き上げることが出来たのは、男性の上級使用人のみ!
銀器の美しさは、そのお屋敷の水準を表しているとされていたので、誇りある役目だったそうです。

第二次世界大戦までは世界一の大帝国だったイギリス。莫大な富を得て、贅をつくした銀食器は貴族階級のみが使われることを許されていましたが、ミドルクラスが誕生し、蓄えたお金で貴族を真似た生活を始めたことで銀器を使うようになりました。


そこからまた新しい銀器のデザインの波が生まれて、今に至るまで豊富に銀器が残って魅了してくれます。

シルバーの雑貨について詳しくは、「お手ごろプライスで見つかる英国アンティークシルバー」でご紹介しています。


誰もがお茶を楽しめるようになった19世紀。
この頃は産業革命の後で、ヨーロッパではさまざまな社会の変革がありました。

それまで職人の手によって一つ一つ手作業で作られていたガラスは、とても高級品でしたが、融解したガラスを型で型押し(プレス)して整形するプレスドグラスが誕生し、いろんな形のガラス製品が作られました。


手吹きで作られていたガラスと比べても、キレイで整った形をしているプレスドグラス。
1864年には機械の改良も進み、大量生産も可能になりました。


もともとコップと大型のワイングラスくらいしかなかった一般庶民の家庭でも、アペリティフグラスやリキュールグラス、ジョッキなどがテーブルに並ぶようになりました。

高級でなかなか手に入れることの出来なかった憧れのガラスが、貴族だけでなく、一般庶民の家庭にも普及するようになったんです。


食器のような実用品だけでなく、ディスプレイのためのガラス雑貨なども製造されるようになり、ますますガラスが身近になっていきました。

ちなみに・・・プレスドグラスは型を使うので、初期の物ほど型の合わせ目から出たガラスによってできた筋(バリ)が目立ちます。この筋もアンティークガラスらしい魅力です。

そんなガラス雑貨の魅力をお花と一緒にご紹介した、「ガラス雑貨と一緒に花を楽しむ暮らし」も是非チェックしてみてください。
テーブルにお花を飾れば、ティータイムをより華やかに演出してくれます。


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それでは、実際に英国アフタヌーンティーを楽しんでみましょう!

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まずは、よく見かけるケーキスタンド
基本は3段です。

もともとは使用人が一皿ずつ運んでくるスタイルでしたが、時代とともに簡略化されて、テーブルの上でジャマにならない3段スタンドになりました。

ケーキスタンドが使われる場合、下の段から食べるのがマナーです。

乗せるものも決まっています。3段目がサンドイッチ、2段目がスコーン、そして一番上の段がお菓子です。


~サンドイッチの定番は「キュウリ」~

最初に食べるサンドイッチはなんでもOKですが、キュウリは必須です!

実は昔、イギリスではキュウリの収穫がムズカシく、とても貴重で高価なものだったんです。

また栄養価が低いキュウリをあえて食べるということは、働かなくても農夫を雇って生活できるという裕福の証だったそうで、キュウリをアフタヌーンティーに出すことは、最高のおもてなしとされていたそうです。


農夫はお肉のサンドイッチを食べていたというからビックリです。


素朴な味を楽しむスコーン

絶対に外せないものがスコーン!英国の小麦は日本の小麦粉よりタンパク質が多いので、より美味しく感じます。

スコーンに添えられるのはストロベリージャムと英国の乳製品であるクロテッドクリーム。

クロテッドクリームとは、2000年以上も前からイギリス南西部のデヴォン州で作られていた伝統的なクリームで、バターと生クリームの中間くらいの濃厚さ。アフタヌーンティーの定番です。


温めて出されるスコーンを上下に半分に割り、クロテッドクリーム、ジャムを乗せ食べると絶品です。


最後のお楽しみは甘いお菓子

上段には甘いお菓子が乗せられます。
一口大のフルーツタルトや、パウンドケーキ、最近では可愛くデコレーションされたカップケーキやエクレアやシュークリームなどのフランス菓子も人気です。

食べきれないほどのお菓子を用意することがおもてなしには重要!

ホストとしておもてなしする側は、たくさん準備しておきましょう。





イギリスで紅茶と言えばミルクティー!酪農の国なのでフレッシュなミルクをたっぷり入れたミルクティーが主流です。

このミルクティー。日本では紅茶が入っているカップにミルクを注ぎますが、英国では長い間、カップの中にミルクを先に入れるか?(MIF-Milk In First)それとも後から入れるか(MIA-Milk In After)で熱い議論が交わされていたそうです(笑)


上流階級では飲む前にお茶の色を愛で、香りや味を楽しんでからミルクを入れたり、一緒に使う高価な純銀のティースプーンを使う出番を増やすためにミルクを後に入れることが多かったようです。


反対に労働階級では、まだまだ性能が弱く、さらに高級だった陶器に、熱い紅茶を直接入れてヒビが入らないように先にミルクを入れてから紅茶を入れていました。

先にミルクが入っていると、高価なスプーンを使わなくても自然と紅茶と混ざるので効率?もよかったようです。

実はこの論争、なんと130年間も続いていたんです!


2003年に英国王立化学協会で発表された”How to make a Perfect Cup of Tea”(一杯の完璧な紅茶のいれ方)によって、やっと決着がつきました!
「冷たいミルクを先にカップに入れていた方が、牛乳に含まれるたんぱく質の熱による変化が少なく、紅茶とミルクがしっかり混ざってより美味しくいただける」

ミルクが先と結論が付けられた今でも、まだまだ意見を唱える人もいるようです(笑)


こんな風に、英国人にとっては朝はベッドティーに始まり、夕食後のアフターディナーティーまで、紅茶はなくてはならないものです。


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いかがでしたでしたか?
社交場から始まったアフタヌーンティー、こうして日常の中にも取り入れられ、コミュニケーションツールとして愛されています。

こんなに愛されている紅茶のルーツには日本が大きく関わっていたことも、なんだか嬉しいことです!

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東香里

東 香里

アンティークショップHandle Webマスター
リビングスタイリスト2級 文部科学省後援色彩検定2級

小さい頃から好きだった絵やデザインの勉強をしたいと短大でデザインを専攻。そこで学んだデザインに関わる多くのPC技術を活かせる仕事に就きたいとHandleへ。
インテリアに関しては初心者だったため、日々、新しい知識を取り入れながら、同じようにインテリアが初心者のお客様に寄り添う、読みやすさを意識した記事を制作している。

アンティーク家具Handle
(水野商品館 株式会社)
1903年創業

【店舗&倉庫】
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【南青山オフィス】
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