- トップページ
- アンティークコラム
- アンティークの選び方
- アンティークをアイテム別に選ぶ
- アンティーク食器の魅力と選び方ガイド
アンティーク食器の魅力と選び方ガイド
- 水野 友紀子
アンティーク家具を買い付けに行った際、コンテナの空いている部分に積み込んでくるアンティーク雑貨の中で、最近、一番ハマっているのがアンティークの食器です。
知れば知るほど、ドンドン魅了されてしまうアンティークのお皿やティーカップからビンテージ食器まで、選び方から使い方まで分かりやすくお話します。
Handle 水野 友紀子
~ 陶磁器の目次 ~
1.陶磁器とは 1-1 陶磁器の種類 2.いろんな陶磁器 2-1 和食器と洋食器 2-2 陶磁器の皿 2-3 陶磁器の器 2-4 ティータイム用の陶磁器 2-5 その他の陶磁器 3.陶磁器の使い方 4.陶磁器のお手入れ 5.陶磁器のブランド
POTTERY
「陶磁器」とは
陶磁器とは、土や細かく砕いた石を粘土状にして成形したものを焼いて作られた、焼き物の総称です。
伝統工芸品や、食器、花瓶のような、陶器と磁器を「陶磁器」と呼びますが、もっと歴史の深い土器や炻器なども陶磁器として分類されます。
日本でも縄文時代から作られてきた土器から始まり、水を通しにくく耐久性も上がった炻器、陶器、磁器が生まれ、食器や小物などとしても日常的に使われるようになりました。
陶磁器の種類
現在も食器や花瓶、雑貨など、日用品として当たり前に使われている陶磁器は、原料や作り方の違いで、大きく分けると以下の4つに分かれます。
・陶器(とうき)/アースンウェア
・炻器(せっき)/ストーンウェア
・磁器(じき)/ポーセリン
・骨灰磁器(こっかいじき)/ボーンチャイナ
それぞれの質感や特長について、詳しくご紹介します。
日本で好まれる
陶器(アースンウェア)
陶器(アースンウェア)とは、成形した粘土に釉薬を掛け、低温の窯(800~1000℃)で焼いた陶磁器のことです。
英国では北スタッフォードシャーの作陶家により初めてアースンウェアが作られました。
当時は英国内で採れる赤土を使った、赤みがかった焼き物が主流でしたが、東洋の白い磁器が人気になったことから、白色の陶器が重宝されるようになり、白くする方法が確立されていきました。
イギリスのアースンウェアでは、スージークーパーがとても有名。今も世界中のファンから支持されています。
石のように硬い
炻器(ストーンウェア)
炻器(ストーンウェア)とは、陶土を磁器のように高温の窯(1100~1300℃)で焼いた陶磁器のことです。
陶器と磁器の中間の性質を持ち、磁器のように吸水性がほとんどないのが特徴です。
釉薬を使わず、絵付けしていないものがほとんど。地肌の風合いを楽しんだり、浮彫やレリーフなどの装飾が施されているものが多いです。
ストーンウェアの代表と言えば、ウェッジウッドのジャスパーウェア!
ジョサイヤウェッジウッドが作り出したジャスパーウェアは世界中で愛され続ける美しいストーンウェアです。
硬くて丈夫
磁器(ポーセリン)
磁器(ポーセリン)とは、磁石(カオリン)や石英、長石などの粘土質のものを原料にし、成形してから非常に高温の窯(1300~1500℃)で焼いた、ガラス質の陶磁器のことです。
高温で焼かれているため吸水性がなく、キズやにおい、汚れが付きにくいのが特徴です。
なかなか良質な原材料が見つからないヨーロッパでは、東洋の真っ白で美しい磁器は憧れ。
同じような焼き物を目指して研究が続けられた結果、ドイツのマイセンが初めて磁器づくりを成功させました。
英国で発明
骨灰磁器(ボーンチャイナ)
骨灰磁器(ボーンチャイナ)とは、磁器の種類の一つで、名前の通り牛の骨灰を混ぜて作られた陶磁器のことです。
磁器よりも強度があり、高温にも強く、透けるような美しい白色の素地が特長です。
日本や中国のような磁器の原料になる良質な磁石を見つけることができなかった英国で、真っ白な磁器を目指して開発され1799年にイギリスのスポード社が製品化に成功しました。
骨灰が原料の30%以上のものをボーンチャイナ、さらに50%以上含むものはファインボーンチャイナと呼ばれます。
POTTERY
いろんな陶磁器
食事をするときに使うお皿やお茶を飲むときに使うカップに、花瓶や小さな小物など…いろんなアイテムが陶磁器で作られています。
その中でも、日常生活の中で特に触れる機会が多いのが食器。
一言で食器と言ってもいろいろなものがあるので、まずは、食器の種類についてのお話から、陶磁器で作られた代表的なアイテムをご紹介していきます。
和食器と洋食器の違い
食器には、大きく分けて、日本で昔から使われている「和食器」と、欧米で使われてきた「洋食器」の2種類があります。
食事の文化も異なる国で生まれた食器は、使い方や作りも全然違います。
まずは、和食器と洋食器の違いを見てみましょう。
和食器
和食器とは、日本の和食に合わせて作られた容器の総称のことで、茶碗、汁椀、中皿、小皿、小鉢、丼など、用途に合わせて様々な器があります。
ご飯を入れるお茶碗に、汁物を入れる汁椀、主菜や副菜を入れるお皿に小鉢など、盛りつける料理に合わせて、食器の深さや厚み、色などもバラバラで使われるのが特徴です。
さらに、陶器や磁器などの陶磁器だけでなく、木製の器や漆器など、いろんな素材の器を組み合わせて食卓に並べられます。
また、日本では食事のときに、器を手で持ち上げて食べる習慣があることから、手触りや口触りの良さ、持ち上げたときに横から見えるフォルムの美しさなどを意識して作られることが多いんです。
洋食器
フレンチやイタリアンなど、洋食で使われる洋食器は、料理を飾り付ける額縁のような存在。
洋食器は、料理を引き立てることを重要視するため、お皿やカップなども素材やデザインが同じもので揃えて、食材や料理に目がいきやすいテーブルコーディネートになっていることが多いんです。
そのため、白をベースに使われた器が多く、特にメイン料理にはシンプルなデザインの食器が用いられます。
さらに、食器を持ち上げることがマナー違反とされている欧米の洋食器では、平たいお皿が多かったり、器の中に模様が描かれていたりと、上から見ることを想定されたデザインになっているのも特徴のひとつ。
洋食器は、実用的に料理を入れるためだけでなく、見た目を楽しむための器なんです。
POTTERY
陶磁器のアイテム
洋食器として日本でも馴染みの深い陶磁器のアイテムは、大きなディナープレートや小さなケーキプレート、スープなどを入れる深めのボウルなど…お皿1つをとって見ても、たくさんの種類があります。
ここからは、そんな陶磁器雑貨の中から、日常使いされる食器やディスプレイ用の小物など、いろんな陶磁器をアイテム別にご紹介します。
陶磁器の皿
パンプレート
(12~17cm)
パンプレートは、パンや焼き菓子を乗せたり、取り分け用のお皿としても便利に使える小さめのお皿です。
食事の時だけでなく、ちょっとした軽食やおやつの時間など、いろんな場面で使いやすい陶磁器のパン皿は、プレゼント用に選ばれることも多いアイテム。
食卓に気軽に取り入れることが出来るため、盛りつける料理や季節に合わせてデザインを使い分けるのもオススメです。
ケーキプレート
(18cm)
ケーキプレートとは、名前の通り1ピースのケーキを乗せるのにちょうどいいサイズのお皿です。
お茶を飲むカップとデザインを合わせて使われることが多く、一般的なカップ&ソーサーと重ねたときに一番見栄えよく見えるのがこの18㎝のプレート。
カップ&ソーサーとセットになった、トリオとして紹介されることもあります。
デザートプレート
サラダプレート
(19~23cm)
1人分のデザートやサラダを盛りつけるためのデザートプレートやサラダプレート。
平皿タイプのデザートプレートは、スイーツだけでなく、取り分け用の小皿として使ったり、ご飯を盛りつけるライスプレートとしても使われます。
深さのある小さめのサラダボウルは、朝食用のヨーグルトやフルーツを盛りつけたり、コーンフレークやグラノーラなどを入れるシリアルボウルにもオススメ。
使い勝手の良さから、1人暮らしの方にも人気の陶磁器のお皿です。
ディナープレート
(23~30cm)
ディナープレートとは、肉料理や魚料理などのメインの料理を盛りつけるときに使われるお皿で、ミートプレートとも呼ばれます。
普段使い用のディナープレートなら使い勝手の良い小さめのお皿を、お客様をおもてなしするような場では大きめサイズのお皿を選ぶのがポイント。
用途に合わせて、使いやすいディナープレートを食卓に取り入れてみましょう。
B&Bプレート
B&Bプレートとは、Bread&Butter Plateの略で、ティータイムの時にバター付きのパンを乗せるために使われたサービング用のお皿です。
カップ&ソーサーとケーキ皿がそれぞれ6つずつに、このB&Bプレートを1枚のセットが、ヴィクトリアンのティーセットの基本。
もちろん、パンだけでなくスコーンやオードブルなどを乗せてもオシャレに使うことが出来ます。
フィッシュプレート
フィッシュプレートとは、少し深めでオーバル型の大きめサイズのプレートのことで、お魚を盛りつけるための使われるお皿です。
サイズの大きいフィッシュプレートは、テーブルの真ん中に置いてサーブ用に使うことが出来るので、お魚だけでなく、お肉や大皿料理にもピッタリです。
スーププレート
(19~23cm)
スープやシチュー、ポトフなどを盛りつけるための器として使われます。
スープ皿の中でも浅めのお皿は、フォーマルな食事の場にもピッタリ。
さらに、スーププレートよりも少し大きめの陶磁器の平皿を下に敷いてテーブルに並べると、見た目の上品さもグッとアップします。
パスタプレート
(22~27cm)
パスタのソースや具材がこぼれないように作られた、器に少し深さのあるパスタプレート。
フォークをくるくる回して麺を巻き付けるため、器とフォークが当たって音が出にくいよう、プレートの中がツルツルとした素材の陶磁器になっています。
また、スープ皿としても使えるような深めの器はパスタボウルとも呼ばれ、使い勝手の良さからも普段使い用の食器として人気です。
プレースプレート
(31cm~)
プレースプレートとは、座る席の位置を示すための器で、席に着くと下げられたり、プレースプレートの上にそのまま料理のお皿が乗せられることもあることから、アンダープレートや位置皿、飾り皿とも呼ばれます。
洋食器として使われる陶磁器のお皿の中でも、料理を飾るために食器を使うヨーロッパらしいプレートです。
プラター
(27cm~33cm)
プラターとは、家族で囲む食事のときや、ホームパーティーなどで大皿料理を盛りつけるために使われるお皿のこと。
ローストビーフのような取り分けが必要な料理はもちろん、お家での普段の食事の時間に、唐揚げや餃子、サラダや前菜などをまとめて盛りつけるお皿としても便利に使えます。
お菓子やおやつを乗せても存在感のある大きな陶磁器のお皿は、テーブルコーディネートの中心にもなって、お客さまのおもてなしの際にもピッタリです。
陶磁器のいろんな器
チュリーン
チュリーンとは、スープなどの煮込み料理や温野菜などを入れる、フタが付いた大きめのボウルのこと。
大きくて高さのあるチュリーンは、食卓でもセンターピースとしてテーブルコーディネートの中心になってくれる陶磁器の器です。
キャニスター
キャニスターは、キッチンで、お砂糖などの調味料や小麦粉、コーヒーなど、食材を保管しておくための使われる入れ物のこと。
キッチンのインテリアにこだわりたい方に人気で、おしゃれな見た目から、リビングや書斎などでフラワーベースやペン立てとして使われることも多いんです。
ティータイム用の陶磁器
陶磁器で作られた食器には、ティータイム用に作られたものもたくさんあります。
お茶の時間に使われる陶磁器製の食器の中から、注目のアイテムをピックアップしてご紹介します。
カップ&ソーサー
ティーカップ
ティーカップとは、紅茶を飲むときに使われるカップのこと。
紅茶は熱々のお湯を使って淹れるため、飲むときに温度が下がって飲みやすくなるように、飲み口が広くなっているのが特徴。
それに加えて、時間が経っても下からは熱が逃げにくくなるようにカップの下にソーサーを敷いたり、カップ自体の足元が高くなっているという特徴もあります。
コーヒーカップ
名前の通り、コーヒーを入れるためのコーヒーカップ。
紅茶よりも低い温度で抽出するコーヒー用のカップは、カップ自体に厚みがあって、コーヒーの表面からも熱が逃げないように飲み口が狭くなっているのが特徴です。
また、カップ&ソーサーにケーキやお茶菓子を乗せるためのケーキプレートも一緒に組み合わせたのがトリオ。
トリオは、陶磁器のデザインをセットで合わせて楽しむ英国らしいアイテムです。
デミタスカップ
デミタスとは、フランス語で半分のカップという意味で、普通のコーヒーカップの半分の容量になっていることからデミタスカップと呼ばれています。
デミタスカップは、小さなカップに味が濃縮された濃いコーヒーを淹れて飲むときに使われるのが一般的。
イタリアやフランスでも親しまれているコーヒーです。
その他のティータイム用の食器
ティーポット
ティータイム用の食器として定番のティーポットは、紅茶やコーヒーを淹れるために使われて、デザインもオシャレなことから、お客さまのおもてなしやホームパーティにも人気の食器。
プレートやカップよりも数が少ないことから、希少価値も高いアイテムです。
シュガーボウル
お茶の時間に、当時高級品だったお砂糖を入れておくために使われていたシュガーボウル。
上流階級の人々にとって、お茶会の席で、大きな砂糖の塊を砕いてシュガーボウルに盛りつけて出すことがひとつのステータスになっていました。
そのため、少し大きめのボウルがシュガーボウルとして使われていたんです。
ミルクピッチャー
ミルクピッチャーとは、コーヒーや紅茶に注ぐためのミルクを入れておく、注ぎ口と持ち手の付いた入れ物のことです。
紅茶にミルクを入れてミルクティーとして楽しむ英国では、ミルクピッチャーも大きめサイズが定番。
お茶を飲む際、温めたミルクを使う英国式のアフタヌーンティーでは、必要な量だけを分けて入れておけるミルクピッチャーは欠かせません。
ケーキスタンド
ケーキやスイーツを乗せるために使われるケーキスタンド。
陶磁器製のケーキスタンドは、お皿が2段や3段になったものが定番で、小さなテーブルの上でお茶と軽食を楽しむために使われたものです。
高さがある分、1つあるだけで華やかなテーブルコーディネートになります。
その他の陶磁器
使い勝手の良い陶磁器の素材が使われたアイテムは食器以外にもいろいろ。
ここからは、ディスプレイにもピッタリな陶磁器の小物をご紹介します。
花器
陶磁器で作られた小物の中でも、特に人気なのがフラワーベース。
ガーデニングを楽しんだり、お花を食卓に飾ったりと、お花のある生活を楽しむ英国で作られたフラワーベースは、花器のデザインも華やかで美しいんです。
アクセサリートレイ
コンパクトでオシャレなプレートは、料理を盛りつけるためだけでなく、指輪やネックレスなどを乗せておくディスプレイ用のアクセサリートレイとしても使われます。
お化粧道具と一緒に並べても華やかな雰囲気になるので、ドレッサーの天板の上や鏡の前など、自分だけのお気に入りの場所に置いて楽しまれる方も多いんです。
小物入れ
フタの付いた陶磁器の小物入れは、アクセサリーやカギ、お薬など、なんでも気軽に入れておくことが出来る小さな宝箱。
イギリスで作られたアンティークには、パフなどのお化粧道具が入れられていた器などもあり、女性的な華やかなデザインのものも多い陶磁器アイテムです。
オブジェ
陶磁器製のオブジェには、動物モチーフやミニチュアのお家に可愛いドレス姿の女性を模ったものなど、いろんなデザインが見つかります。
ひとつひとつが手作りで色付けもできるオブジェは、繊細な細工でリアリティのあるデザインに、コレクターも多い人気のアイテムです。
シンブル
シンブルとは、お裁縫の時に使われた西洋式の指ぬきのことです。
上流階級の女性のたしなみだったお裁縫に使われたアイテムは、人気の陶磁器メーカーが手掛けていたり、地名や景色が描かれたお土産用など、いろんなデザインのシンブルが作られています。
ドレッシングセット
ロウソクを立てるキャンドルスタンドにパフケース、アクセサリー置き場やリングスタンドなどがトレイに乗ってセットになったドレッシングセット。
陶磁器製のドレッシングセットは、お花が描かれた華やかなデザインのものも多く、ディスプレイとしても人気のアイテムです。
POTTERY
陶磁器の使い方
「アンティークのテーブルウェアには3つの使い方があるんだよ」って買い付けの時、教えてもらってからアンティークの陶磁器が好きになった私。
日常で使う食器
まず1つ目は「日常で使う食器」として使う使い方。毎日、お茶を飲んだり、食事やおやつの時間に使ったり・・・
アンティークだからと考えず、自分の気に入った柄を日常で楽しんで使う食器としての使い方です。
特別なときに使う食器
2つ目は「特別な時に使う食器」
私が小さい頃、お正月だけ登場する食器やお客さんがお家に来た時だけ母が出してくるおシャレなカップ&ソーサーがありました。
まさに、そんな風に特別な誰かをお迎えする時に使う特別な食器の使い方です。
本当は家族のお誕生日を特別な日にして欲しかったな・・・と言う気持ちは抑えておきます(笑)
飾るための食器
3つ目は「飾るための食器」
この3つめの使い方を聞いた時、私はすごく納得しました。だって、お店にあるガラスのキャビネットの中にアンティークの陶磁器を入れると、驚くほど美しく見えるんです。
陶磁器はもちろんキャビネットも!
中に陶磁器を入れたほうが、より美しく高級に見えるから、まさに飾るための食器なんだなって。周りの雰囲気まで変えてくれます。
食器として使わない食器
もう一つ、私には「食器として使わない食器」という使い方があります。
私はアンティークのプレートで大好きな柄を見つけると、アクセサリー置き場として使っています。
他にコースターとして上にグラスを置いて使うのもおススメ!
キラキラ輝くガラスと美しいアンティークの柄が絶妙にコラボしていつものジュースやゼリーが特別な味に変化します。
自分流の使い方で楽しんで使ってみてください。
普段のお手入れについて
アンティークの食器はコレクションや観賞用として集められる方も多いんですが「本当に使っても大丈夫??」という不安もあると思います。
美しい食器は見ているだけでも、心が満たされますが、実際に使えばさらにワクワクします。
少しだけポイントを押さえれば、普通の食器と変わりません。ぜひ美しいアンティーク食器のある暮らしを楽しんでみてください。
【使用方法】
まずは、食器として普通に使用する前にキレイに洗いましょう。
普通の食器用の中性洗剤で大丈夫です。その際に気をつけるポイントは、柔らかいスポンジを使って洗うことです。
目の粗く硬いスポンジ面を使用すると、摩擦によって食器を傷つけてしまうことがあるのでご注意ください。
また陶器の場合、シミやにおいがつくのが気になる方は、使い始める前に米のとぎ汁や小麦粉を溶いた水で煮沸し、目止めを行うことをおすすめします。
■食洗器の使用は問題はありませんが、他の食器と間隔は十分に開け、干渉しないように気をつけてください。
また食洗器は水流が強いため無数の傷がつく場合があります。
心配な方には手洗いをおススメします。
■長時間、コーヒーや紅茶など色のある飲み物を入れっぱなしにしないで下さい。
普通の食器と同様、茶渋、色残りなどの原因になります。
■電子レンジも使用できますが金彩が施してあるものにはご注意。
また、電子レンジで温める際、陶器が熱くなり割れの原因にもなりますので、心配な方は使わないようにしましょう。
電子レンジから取り出す際は、やけどなどに充分ご注意ください。
■ポットやミルクジャグは、洗剤を温かいお湯で薄め、中をすすぎ洗いしてください。
その後、きれいな水で洗い流してください。
キズや貫入について
陶磁器は製造時の素材や窯で焼くときの過程の中でも、意図せず黒点やヒビのような模様が生じることがあります。
また、アンティークの陶磁器は現代のものと違って年月を重ねた分、模様のカスレやキズが入っていることもあり、これも時代を重ねて大切に使い続けられてきたアンティークらしい魅力のひとつ。
そんなアンティークの陶磁器ならではの特徴をご紹介します。
チップ
チップとは、日本語でいうと「カケ」のことです。
非常に小さいものから大きなものまでありますが、使用上に問題はありません。
キズ
キズと一口に言うと広範囲を指しますが、基本的にアンティークの陶磁器のキズとは製作後についたものを指しています。
実際に使用されてきたため、プレートならナイフの使用による傷やスレがほとんどです。
金スレ
アンティークではカップやプレートなど食器の周りに金彩で縁取りされているものが多く、「金スレ」とはこの金彩がところどころ薄くなっていることを指しています。
使用する際や、食器を洗う際などに起こる摩擦によって、長い年月をかけて薄くなってきたもので、歴史の長いアンティークでは、未使用品以外ほとんどに多少の金スレがあります。
黒点
黒点とは、陶磁器を窯で焼く際に、窯内に漂う粒などが陶磁器に付着し、そのまま焼かれて固まったものです。
触っても感覚のない平面的なものと、手に感触のある立体的なものがありますが、どちらもダメージではなく、アンティークの陶磁器らしい味。
アンティークらしさとしてお楽しみください。
貫入
貫入とは、陶磁器の表面を覆う釉薬の部分にできる細かいひび模様のことです。
アンティークの陶磁器は、釉薬というガラスの層を付着させて仕上げていています。
釉薬と陶磁器(素地)は、膨張・収縮率が異なるので、激しい温度変化などで互いの素材に引っ張られ、ひび割れのような模様ができます。
貫入は、古くから陶磁器の魅力とも考えられており、意図的に貫入を入れる陶磁器もあります。
陶磁器自体に入っているひび割れではないため、使用上に問題ありません。
それぞれの味としてお使いください。
シミ
アンティークの食器におけるシミは、釉薬の上(表面)についている場合と、貫入の中にシミが入っている場合があります。
表面についているシミの場合は、大抵のものは洗えばキレイになりますが、貫入の中に入ったシミに関してはキレイに取り除くのは難しい場合があります。
もちろん使用上に問題はありません。
POTTERY
陶磁器のブランド
もともと、イギリスには東洋からお茶の文化が伝わり、それと同時に、日本や中国で作られた陶磁器製の茶器の評判も広まっていきました。
それまで輸入品でしか手に入らなかった白くて美しい高価な陶磁器の器を、自国でも作れるようにと、ヨーロッパの土地に合った素材の研究や開発を進めたことで、陶磁器産業が発展。
これによって、イギリスには現在でも名窯と呼ばれるたくさんの陶磁器メーカーが生まれました。
今でもコレクターアイテムとして人気の名窯の陶磁器には、ブランドの証としてお皿やカップの裏などにマークが描かれたものも多く、ポーセリンマークやバックスタンプなどと呼ばれています。
ポーセリンマーク
19世紀中頃以降のイギリスの陶磁器の中でもブランド品とされるものには、たいていこのポーセリンマークが入っています。
窯印を入れて製品を保証したもので、ブランド名やシリーズ名、製造された年代など、その陶磁器のルーツをたどることが出来るんです。
ただ、19世紀中頃以前の古いものやスポード社のもの、例外的にマークが入っていないものもあるので、あくまで目安の一つと考えるのがベター。
裏にマークがあったり、なかったり、どこのどんな食器だったのか気長に調べるのもアンティークの楽しみのひとつです。
ここからはイギリスの人気の陶磁器ブランドをピックアップしてご紹介します。
WEDGWOOD
ウェッジウッド
今も、たくさんの人から愛される英国王室御用達の陶磁器ブランド、Wedgwoodウェッジウッド。
260年以上の歴史があり、宝石のような美しさを持つウェッジウッドの代表作ジャスパーウェアをはじめ、多くの陶磁器を生み出してきた世界最大級の陶磁器メーカーです。
→ウェッジウッドについて詳しくはコチラ
SUSIE COOPER
スージー・クーパー
スージー・クーパーは英国で60年以上も活躍した陶器デザイナー。
温かく優しいデザインは、今もファンを魅了し続けています。
「フレグランス」シリーズ、エドワード8世が当時の恋人シンプソン夫人に贈ったことで有名となった「ドレスデンスプレイ」など、数多くの作品があります。
→スージー・クーパーについて詳しくはコチラ
TUSCAN
タスカン
タスカン(TUSCAN)窯は、1878年にスタッフォードシャーで設立された陶磁器メーカー。
1950年代のスージークーパーとの合併後、ウェッジウッドの傘下に入るまで、何世代にもわたって、創業者のPlant一家によって作り続けられてきた歴史ある窯です。
ROYAL ALBERT
ロイヤルアルバート
イギリスの歴史ある陶磁器メーカー、ロイヤルアルバート社。
今もファンを魅了し続けている、英国王室御用達の陶磁器メーカーです。
ROYAL CROWN DERBY
ロイヤルクラウンダービー
現在も製造を続けている窯として、イギリスで最も歴史の深い1750年創業の陶磁器メーカー。
ロイヤルクラウンダービーは、「クラウン」と「ロイヤル」という、英国王室御用達を意味する2つの称号を冠した唯一のメーカーとしても有名です。
作られた年によってバックスタンプの下に描かれるマークが決まっているため、バックスタンプを見れば詳細な年代が分かるようになっています。
ROYAL DOULTON
ロイヤルドルトン
1815年創業のロイヤルドルトンは、もともと素朴な日用品を製造していた陶磁器メーカー。
しかし、2代目に事業が移り、大量生産の技術を取り入れたり、高級路線に切り変えたりと、時代に合わせて臨機応変にブランドの方向性を変えていったことで飛躍的に成長していきました。
その結果、ヴィクトリア女王からロイヤルの称号を賜り、ロイヤルドルトンとして現在も人気を博する陶磁器ブランドです。
Royal Adderley
ロイヤルアダレイ
1876年にスタッフォードシャーで創業したアダレイ窯は、装飾性のあるデザインに定評のある老舗陶磁器メーカーです。
1955年から1964年の9年間のみロイヤルの称号を冠したため、この時期はロイヤルアダレイの文字がバックスタンプに描かれています。
PARAGON
パラゴン
PARAGON社の歴史は古く、1897年の開窯時は、スターチャイナという社名でした。
1926年のエリザベス女王が誕生した年から王室御用達になり、エリザベス女王の御用達ブランドとしても有名だったパラゴンの陶磁器。
当時作られた高級路線のシリーズにはバックスタンプにROYALの文字が記されていますが、メーカーマークへの記載は許可されていなかったことから、1934年にはROYALの文字がなくなっています。
Royal Vale
ロイヤルベール
上流階級のものだった高級な陶磁器を、中流階級の人達にも手が届くようにというコンセプトで作られた企業。
高品質で手に入れやすい価格帯のロイヤルベールは、それまでセット販売だった陶磁器の食器も、少しずつ揃えられるようにと単品販売を始めたメーカーです。
ROYAL WORCESTER
ロイヤルウースター
1751年創業のロイヤルウースターは、イングランド西ミッドランズ地域のウスター市に誕生したイギリス最古の名窯。
釉薬の上に施す質の良いエナメルカラーの絵付けや、銅板転写での大量生産も行ったりと、品質の良さと生産性も兼ね備えた技術力の高いメーカーです。
ROYAL STAFFORD
ロイヤルスタッフォード
英国でも陶磁器の生産地として有名なスタッフォードという地名にロイヤルの称号を被せることの許された唯一のメーカー。
現在も英国で稼働し続けていて、職人たちの手作業でひとつひとつ丁寧に作られています。
Shelley
シェリー
世界のアンティークコレクターが愛する高級窯のシェリー。
描かれたお花の模様がとっても可愛いワイルドフラワーシリーズ、「POSIE SPRAY」など有名なパターンが人気です。
Burgess&Leigh
バーレイ
1851年の創業当時から、MADE IN ENGLANDにこだわって昔ながらの手作業で陶磁器を現在も作り続けているバーレイ社。
熟練の職人の銅板転写の技術によって生み出されるバーレイの陶磁器は、同じ柄でも色の濃さや模様の位置が違っていたりと、手作業ならではの個体差も魅力の一つです。
→バーレイについて詳しくはコチラ
MINTON
ミントン
ミントンは、ビクトリア女王に「世界で最も美しいボーンチャイナ」と称されたほど、高い技術力と芸術的なデザイン性の高い陶磁器が揃っています。
2015年に陶磁器ブランドとしての幕は閉じましたが、現在はライセンスブランドとして、ミントンのデザインが描かれたファブリック製品などが作られているんです。
AYNSLEY
エインズレイ
エインズレイは、ビクトリア女王やダイアナ妃など、歴代の英国王室の女性たちに愛されてきた陶磁器ブランド。
王室での祝辞の際には必ず注文が入ったと言われるほど、注目度の高いメーカーです。
CROWN STAFFORDSHIRE
クラウンスタッフォードシャー
1889年に設立されたクラウンスタッフォードシャーは、その後1973年にウェッジウッドの傘下になりました。
そのため、ホールマークにクラウンのマークが描かれているのも、当時作られていたアンティークだけになります。
COALPORT
コールポート
コールポートは、イギリスの高級陶磁器メーカーで、ウェッジウッドの傘下に入るまで独自の技術や色づかいを駆使した様々なデザインの陶磁器を生み出してきました。
中でも、白色と藍色の染付文様で花や鳥の模様が描かれたデザインは、他の窯でもコピー品が作られるほど人気の高いデザインです。
Colclough
コルクラフ
コルクラフは、1890年にストーク・オン・トレントの元市長だったハーバード・ジョセフ・コルクラフによって設立された窯。
富裕層のものだった陶磁器製の食器を、単品で販売したりと、一般家庭でも手に入れやすいと多くの人に親しまれた陶磁器メーカーです。
SPODE
スポード
イギリス4大名窯の一つであるスポード(SPODE)社。
「BYRON」シリーズが有名です。1770年に創業し、英国陶磁器界に大変な功績を残した名窯 スポード社は英国王室御用達の称号を授かりました。
DUCHESS
ダッチェス
DUCHESSとは英語で侯爵夫人という意味を持つ陶磁器メーカー。
1888年にスタッフォードシャーで創業した名窯で、伝統的な美しいデザインが人気のブランドです。
HORNSEA
ホーンジー
あたたかな北欧テキスタイルをイメージさせる幾何学模様がオシャレなホーンジー。
1949年に設立され、「家庭で日常的に使えるテーブルウェア」というコンセプトでデザインされたホーンジーは、日常使いにもピッタリなビンテージの陶磁器です。
→ホーンジーについて詳しくはコチラ
Midwinter
ミッドウィンター
イギリスの陶磁器メーカー、ミッドウィンター社。
スタイルクラフト「チンツ」やモダンなRIVERSIDEシリーズなどがあります。
DENBY
デンビー
デンビーは、1809年の創業で現在も新たなアイテムを作り続けている歴史の長い陶磁器メーカー。
当時は、飲み物や薬剤などの日常品を入れておくためのボトルをストーンウェアで製造していたデンビーですが、時代の変化によって陶磁器製のボトルの需要が低くなり、1920年頃にはテーブルウェアの製造にも力を入れるようになりました。
Poole Pottery
プール・ポタリー
1873年にイギリスの南岸、ドーセットにある湾岸都市「Poole」で創業したPoole pottery。
ブリティッシュモダンのパイオニアと言われる陶磁器メーカーで、シンプルでおしゃれなデザインが特徴です。
Carlton Ware
カールトンウェア
1890年に創業したカールトンウェアは、装飾的なデザインが多いのが特徴。
独創的な雰囲気が感じられるデザインの陶磁器は、熱狂的なコレクターも多いアイテムです。
Willow Pattern
ウィローパターン
ウィローパターンとは、イギリス人が中国などの東洋の景色をイメージして描いた柳文様のデザインのこと。
白いお皿に青色で絵付けされていることから、ブルーウィローとも呼ばれ、様々な陶磁器メーカーによって同じようなデザインの青いお皿が作られました。
CROWNDEVON
クラウンデボン
飾っておくだけで絵になるクラウンデボン窯の焼き物。
クラシカルなセピアカラーのベースにハンドペイントで描かれたお花がロマンチックです。
S.F&Coが、Crown Devon以前に製造していたブランドはRoyal Devonというブランドです。
WADE
ウェイド
ウェイドは1810年創業の老舗陶磁器メーカーで、食器やインテリア雑貨など、いろんな陶器のアイテムを製作していますが、特に有名なのが小さな陶器のフィギュリン。
動物モチーフやマザーグースなどの物語シリーズなど、様々なアイテムが作られたことから、現在もコレクターズアイテムとして人気の陶磁器です。
実はイギリス以外にも一度は聞いたことがあるような有名な陶磁器ブランドがあるんです。ここからはイギリス以外の陶磁器ブランドをピックアップしてご紹介します。
Limoges
リモージュ
リモージュとは、フランスの都市のことで、焼き物や七宝焼きの産地として世界的に有名なリームザン地方に位置しています。
この土地で作られる磁器をリモージュ焼きと呼び、フランスらしい華やかな色づかいが特徴です。
NORITAKE
オールドノリタケ
アンティークのオールドノリタケです。
裏のマルキ印から英国向けに作られていたものか分かります。当時外貨を獲得するために日本は陶磁器製品を輸出していました。
現在はオールドノリタケと呼ばれ世界中にコレクターがいるアイテムになっています。
白い陶器の表面に「金盛り」「金点盛り」技法と繊細な筆遣いで花柄が描かれています。繊細な筆使いは、まるで絵画のよう。当時の手を抜かない職人技が感じられます。
ROYAL COPENHAGEN
ロイヤルコペンハーゲン
ロイヤルコペンハーゲンとは、1775年にデンマークの王立磁器製作所として設立された窯です。
白地に青の絵柄が特徴で、バックスタンプに描かれた波線は、デンマークを囲む3つの海峡を意味していて、現在もブランドの象徴として描かれています。
Bing&Grondahl
ビング&グレンダール
1853年に、ビング兄弟とアーティストのグレンダールとの共同で設立された陶磁器メーカー。
1895年に発表して以来毎年作られたイヤープレートは、世界で最も古いコレクションとされ、現在はロイヤルコペンハーゲンの傘下に入ったため、ビング&グレンダールの陶磁器が手に入るのはアンティークだけです。
いかがでしたか?
知れば知るほどドンドン魅力にとりつかれていく、アンティーク陶磁器と一緒に、アンティークのある暮らしはいかがでしょう?
-
水野 友紀子
空間スタイリスト。
アンティークショップHandleバイヤー。大学で小さい頃から好きだった化学実験が出来る薬学を専攻。薬剤師となり、製薬会社で研究職に就く。 結婚を機に、休日は嫁ぎ先の老舗家具屋の手伝いをすることに。
家具のことを学びながら、そこで得た知識と固定観念にとらわれない主婦目線での女性らしい提案が、お客様に喜んでもらえることが嬉しくなり、薬の研究を辞め、インテリアの研究に没頭することを決める。
アンティーク家具に出会い、それまで知らなかった世界に感動。 家具やインテリアに対して伝えたいことや、自らが買い付けてきたアンティークに対する想いを「買い付けうらばなし」や「まいにちハンドル」に綴り、日々配信中。
-
アンティーク家具Handle
(水野商品館 株式会社)1903年創業
【店舗&倉庫】
〒910-0019 福井市春山2-9-13
【南青山オフィス】
〒107-0062 東京都港区南青山5-4-41
古物商 福井県公安委員会許可
第521010008980号
関連商品はこちら
記事をシェアする