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失敗しないアンティークチェアの選び方|種類・脚・木材・修復について解説

- 水野 友紀子
「アンティーク家具にチャレンジしてみたいけれど、なんだか不安・・・」と言う方におススメなのがアンティークチェア!
と言うのも、私の初めてのアンティークも、アンティークチェアだったからなんです(笑)
家具に比べると小ぶりで置き場に困らないし、それでいて修復レベルがよく分かる!キレイに修復してあるかどうかを見極めるのにもピッタリの
アンティークチェアの選び方についてお話します。
Handle 水野 友紀子
~ 目次 ~
1.アンティークチェアとは 2.アンティークチェアのある暮らし 3.アンティークチェアの選び方 3-1 使い方で選ぶ 3-2 色で選ぶ 3-3 座面で選ぶ 3-4 脚のデザインで選ぶ 3-5 木の種類で選ぶ 4.アンティークチェアの種類 5.アンティークチェアの修復 6.アンティークチェアの歴史 7.アンティークチェアの魅力
アンティークチェアとは
アンティークチェアとは、一般的には造られてから100年以上経った椅子のことを言います。
100年未満のものはビンテージチェアと区別しないとと言われることもありますが、私が買い付けに行っている英国やフランスでは「100年以上」と言う時間より、大量生産で造られていない椅子ということを重要視しています。
今では手に入らない高品質の木材を贅沢に使って、職人の手作業で精巧な装飾が施され、今も大切に使い続けられている椅子。それがアンティークチェアです。
アンティークチェアは、単なる「古い椅子」ではなく、長い時間を経て受け継がれてきた、現代の家具にはない独特の温もりや装飾を持つ特別な一脚です。
造られた時代や、使われてきた場所によって、使われている素材やデザインなど、いろいろ異なるアンティークチェア一脚一脚の中に、それぞれ「ものがたり」があります。
ここからはいろんな物語をもつアンティークチェアをご紹介します。
アンティークチェアのある暮らし
アンティークチェアを取り入れたお部屋を、コーディネートのポイントと一緒にご紹介します。
ROOM01 ダイニング
アンティークらしい風格たっぷりのツイスト脚のテーブルに、同じくツイスト脚のアンティークチェアを合わせたダイニングルーム。
ダイニングルームの主役はやっぱりダイニングテーブルと椅子!ツイスト脚でトータルコーディネートした英国アンティークらしい重厚感お部屋で、アンティークチェアと一緒に食事の時間を楽しみましょう。
ROOM02 リビング
豪華なセティとサロンチェアを組合わせて、英国上流階級気分が楽しめるサロン風のリビングをコーディネートしました。
サロンコーナーに使った3脚の椅子は、デザインが全部バラバラですが、貼り地の色をブルーで合わせたことで、統一感のあるリビングに。
さらに、同系色のペルシャ絨毯を敷くことでゾーニングができワンランク上の高級感あふれるリビングが完成しました!
ROOM03 和室
和室にアーコールのロッキングチェアと男前でカッコいいチェスターフィールドのソファを組合わせて、北欧スタイルのビンテージ家具でコーディネートしました。
座面が低く、ゆったりとできるロッキングチェアは、畳の部屋とも相性抜群!のんびりとリラックス時間が過ごせるおしゃれな和室の完成です。
ROOM04 玄関
初めてアンティークにチャレンジする方におススメなのが、1脚のアンティークチェアを玄関に置いてみること。
持ち運びが便利なベントウッドチェアやチャーチチェア、ウィンザーチェアなどを一脚、玄関に置くだけで一気におしゃれな空間に変身します。
ちょっとした腰掛や荷物置きとして使ったり、お花やグリーンを飾ったり、そのまま置いておくだけでも絵になります。
アンティークチェアの選び方
アンティークチェアを選ぶ際、5つのポイントに注目して選ぶと「使い方」「素材」「種類」「脚のデザイン」「ブランド」の5項目の中から選んでみましょう。
1. 使い方で選ぶ
ダイニングチェア
一般的に一番よく使う椅子が、食事をするテーブルと使うダイニングチェア。
ご飯を食べる時に椅子なので、汚れが気になる方は木の座面がおススメです。
アンティークのダイニングチェアの場合、座面だけを外してお好みの生地で簡単に張替えが出来るものも多いところがポイント!
好みの生地を選んで貼り替えながら、楽しんでお使い頂けます。
リビングチェア
サロンとは、お客様をもてなす応接間や客間のこと。現代の住宅には、客間のある家は少ないので、玄関やリビングの一角でお客様と商談したりお茶を楽しむ場所としてお使い頂くことをオススメしています。
オケージョナルテーブルと組み合わせてサロンコーナーを作ったり、自分だけの趣味に没頭する時間を共にする椅子など、日常があふれるダイニングチェアとは別に、お友達が来た時におしゃべりしながら座る椅子として選んでみましょう。
ソファ
家族やゲストとの会話を楽しむためのソファですが、アンティークの場合はセティと呼ばれる、奥行きが浅くてコンパクトなものが多いです。
なので、日本のあまり広くない部屋でもジャマになることなくスマートに置けて便利。
デザインもいろんなものがあるので、お部屋の雰囲気やサイズに合わせて選ぶことが出来ます。
デスクチェア
仕事や勉強など一定の時間座って作業をするために使うデスクチェアは、やはりデスクの高さに合う座面高が重要です。
一般的にデスクの高さに対しての差尺が27~30cmになるように椅子の高さを選びましょう。
高さが合わない場合、脚をカットするか昇降式のものを選ぶと便利です。
スツール・ベンチ
ドレッサーチェアやキッチンカウンターチェアからソファの前に置く足置きまで、背もたれがないスツールはとても便利にお使い頂けます。
背もたれがないのでなかなか違いが出しにくい椅子ですが、アンティークのスツールはどれも個性的。
いろんな場所に持ち運べて気軽に使えるのはもちろん、デザインが美しい主役級の椅子です。
ガーデンチェア
お庭や玄関など、屋外で使うガーデン用の椅子は、雨や陽射し、湿気などに耐える素材のものを選びましょう。
雨や日差しに強いアイアン製のものだと、お庭のアクセントにもピッタリ!
どんな素材であっても腐朽、腐食するので、使わない時は屋根のある場所に置いて、長く楽しむようにしましょう。
2. 色で選ぶ
アンティークチェアの印象を大きく左右する椅子の色。大きく分けて、ベースの木の色と、座面や背もたれに張られた張地の色で選んでみましょう。
お部屋の雰囲気や、合わせたい家具や壁、カーテンの色などに合わせて、好きな色を選んでみましょう。

カスタード色
カスタードクリームのように木肌に色が明るい、パイン材やエルム材、サテンウッド材、サクラ材などを使った椅子は、ナチュラルな雰囲気のお部屋から北欧スタイルのお部屋におススメです。
置くだけで空間全体をパッと明るく、やわらかな雰囲気にしてくれるので、1脚だけ置いてアクセントチェアとして使うのもおススメです。

アップルパイ色
明るくもなく濃くもない、ちょっと赤みを帯びた温かみのあるアップルパイのような茶色は、空間に落ち着きと程よい華やかさをもたらし、お部屋のコーディネートを美しく引き締めてくれます。
マホガニー材やウォールナット材のような、職人のこだわりと長い歴史が感じられる1脚を置くだけでリビングや書斎の空気が格調高い雰囲気に。どんなインテリアにも似合うので、悩んでいる方におススメの色です。

カラメルソース色
ほろ苦さが残るカラメルソースのような落ち着いた茶色の椅子は、落ち着いた雰囲気だけれど濃すぎないので、重厚でありながら上品な雰囲気が漂うお部屋を作ってくれます。
チーク材のようにあたたかみのあるデザイン性の高いインテリアや、フランスのオーク材の椅子のような華やかでエレガントな洗練されたお部屋にピッタリです

チョコレート色
ビターチョコレートのように濃いこげ茶色(ダークブラウン)の椅子は、落ち着いた重厚感と格調高いお部屋の雰囲気を作ってくれます。
ダークトーンのテーブルやキャビネットなどと合わせると、まるで羊羹や高級ホテルのような静けさと気品ある落ち着いた空間が出来ます。

白
ベースの色にも座面の色にも、両方に使われる白。
お部屋を一気に明るく見せてくれるだけじゃなく、清潔感とエレガントな華やかさをもたらしてくれる、どんな色の家具やお部屋にも合わせやすい色です。
ホワイトやグレーを基調としたインテリアに馴染むのはもちろん、濃い色のインテリアと組み合わせることで、パッと目を惹くアクセントに。お部屋に軽やかさをプラスしてくれます。

赤
アンティークチェアらしい華やかさと高級感が一番楽しめる赤い張地の椅子。
マホガニー材やウォルナット材の深いブラウンとの相性がよく、一脚置くだけでお部屋の主役になってくれる色です。

青
上品で落ち着いた印象の青い張地の椅子。
木の色を引き立てながら、お部屋を爽やかで知的な雰囲気にまとめてくれます。リビングや書斎など、ゆっくり過ごしたい場所にピッタリの色です。


黄
お部屋をパッと明るくしてくれる黄色の張地の椅子。
ゴールドのような上品な色合いのものから、あたたかみのあるマスタード色まで、アクセントとして一脚取り入れるだけで空間が華やぎます。


黒
空間を上質に引き締め、椅子のシルエットや木肌を最も美しく際立たせてくれる黒。
どんな色合いの木枠との組み合わせにも似合い、全体をキュッと引き締めてくれる効果が。洗練されたオトナの気品や静けさが生まれるだけでなく、汚れが目立ちにくいので気兼ねなく愛用できるメリットもあります。
3 座面で選ぶ
アンティークチェアの中でも大きく分けて、座面が木でできている板座、座面が布や革が張られている張座の2種類に分けられます。
それぞれ、好みや用途にあった座面からアンティークチェアを選びましょう。
板座
座面が木枠と同じく、木の板でできている板座の椅子。
木でできているため、丈夫で長持ちで、汚れてもさっと拭けるためお手入れがラクです。
座繰りと言って座りやすいように座面に彫が入っているモノもあり、アンティークならではの歴史を重ねた木の質感を楽しむことができます。
張座
クッション性がある土台の上に布や革を張った張座の椅子。
アンティークチェアの場合、張地は劣化しているものが多いため、基本的に新しい生地に張替えています。
アンティークならではのデザインと、クッション性のある座面の色もアクセントに。見た目も使い勝手も楽しむことができます。
革座面
布座面の代わりに貼り座に革を使った椅子です。
アンティークチェアの場合、張地は劣化しているものが多いため、基本的に新しい生地に張替えています。
アンティークならではのデザインと、クッション性のある座面で見た目も使い勝手も楽しむことができます。
4 脚のデザインで選ぶ
アンティークチェアの特徴の一つが美しい脚のデザインです。
アンティークらしい美しい脚のデザインに注目して選んでみましょう。

バルボスレッグ
メロンやパイナップルのように、丸くふっくらと膨らんだ英国アンティークらしい存在感のあるバルボスレッグ。
まん丸のものからデコラティブな彫刻が入ったものまで、どのデザインも重厚感が漂う、英国アンティークらしいデザインの脚です

ツイスト
正式には「バーリーシュガーツイスト」という名前が付いた、アンティーク家具で人気の挽き物細工。
クルクルッと螺旋を描くお菓子のねじり飴をモチーフにした、英国アンティーク家具の定番デザインです。





フレンチカブリオール
カブリオレールレッグの中でも、足先がまるでハイヒールを履いているかのように小さな台に乗っているような、女性らしく優雅なデザインのフレンチカブリオール
コツコツと音を立てながら優雅に歩いている女性のような美しさが魅力です。

パッドフット
パッドフットとは、カブリオールレッグの足先がゴルフパッドのように平らな円盤状になっているデザインのもの。
女王の時代、クイーンアン様式で誕生した上品な足先です。

クロウ&ボール
カブリオールレッグの足先が宝珠をガッチリ掴む龍や鷲、獅子のようなカギ爪になっているデザインのことです。
幸せを運んでくれるモチーフとして、クイーンアン様式からチッペンデール様式にかけて、英国の上流階級の人に人気でした。
5 木の種類で選ぶ

オーク材
英国アンティークの代表的な存在、オーク材の椅子。耐久性・耐水性にも優れ、硬くて重みがあるため、丈夫で安定感のある座り心地が特徴です。
重厚感のある木目が美しく、使い込むほど味わい深い艶が増す落ち着いた雰囲気の椅子です。

マホガニー材
世界三大銘木の一つ、マホガニー材のアンティークチェアは、赤みを帯びた深い艶と美しい木目が特徴です。
本来マホガニーと呼ばれた木材で造られているアンティークチェアは、とても頑丈でありながら軽くて加工しやすいため、透かし彫りや象嵌が施された高い装飾性が特徴。上品で品格ある雰囲気が魅力です。

ウォルナット材
世界三大銘木の一つ、ウォールナット材らしく高級感のあって、
ゆっくりと何年もかけて成長するので、木目は細かく締まってとても堅く、家具にした時にゆがみや収縮が少ない木材です。
ウォルナット材の高級感のある深いブラウンの色合いが上品で、一気に大人っぽい落ち着きのある空間にしてくれます。

チーク材
堅くてとても丈夫なチーク材は、高級材として有名で、古くから人気のある木材です。
しっかりと木を乾燥させると、木の伸縮や変形が少ない事から家具の加工にも適していて、G-PLANやマッキントッシュなど有名なブランドの家具にもチーク材が多く使われています。
チーク材のナチュラルであたたかい色合いと、洗練されたデザインで暮らしにおしゃれと心地よさをプラスしてくれます。

エルム材
エルム材は、日本で言うニレ(楡)のことです。
堅い材質で、割れにくく、曲げにも強いエルム材は、椅子の製作にピッタリの木材でした。
素材全体のバランスがよく、イギリスで昔から使われているウィンザーチェアや、ビンテージのアーコールチェアにもエルム材は使われています。
流れるような美しい真っ直ぐな杢目が特徴です。

ローズウッド材
ローズウッド材とは、マメ科のツルサイカチ属に属している広葉樹「インドローズ」の事で、日本では紫檀(シタン)と呼ばれています。
紫檀(シタン)色と呼ばれる、黒っぽい赤紫色に、流れるような縞模様の木目が特徴で、材質も、とても硬く、重いので、ノコギリやカンナを使って加工するのも難しく、高度な職人の技術が必要となります。
象嵌などの繊細な装飾が施されたサロンチェアなどで使われています。

サテンウッド材
サテンウッドはその名の通り、サテン布のような光沢のある木肌に、滑らかな木目が特徴の木材です。
サテンウッドの木の性質としては、油分が多く、接着剤の乗りも悪いため、家具へ加工するのは難しい素材でしたが、その美しい木材をどうにかして家具として使いたいと、熟練の職人たちが試行錯誤を重ねて加工を行いました。
そうして、美しく希少で、扱いの難しいサテンウッド材の家具は、当時の英国貴族たちの間で、高級家具として好まれました。

ビーチ材
ビーチ材は、現在も家具や椅子でよく使われる木材で、日本名ではブナの木のことを言います。
白っぽい色味のため、見た目は柔らかい印象ですが、実際の材質は広葉樹の中でもとても堅く、曲げに強いため、椅子の背もたれや脚によく使われます。
世界で最も売れた椅子と言われている、ハンス・ウェグナーがデザインした「Yチェア」や、曲げ木が特徴のベントウッドチェアなど、ビーチ材で造られたものが多く見られます。
アンティークチェアの種類
チッペンデールチェア
18世紀に英国の家具職人トーマス・チッペンデールがデザインした、ロココ様式やゴシック様式、シノワズリを組合わせた、芸術的でありながら実用的に使える椅子です。
ヘップルホワイトチェア
18世紀後半、英国の家具デザイナー、ジョージ・ヘップルホワイトのデザイン集で広まった、シールド(盾)形やハート形の背もたれと直線的な脚が優美なデザインの椅子です。
クイーンアンチェア
18世紀初めの英国アン女王時代に誕生したクイーンアンチェア。優美な曲線を描くカブリオールレッグと花瓶型の背もたれ、そして初めて布座面が使われ、座り心地がよくなりました。
チェスターフィールド
背もたれにボタン留めや鋲打ちが施された英国発祥の男前なソファチェスターフィールド。ソファからウィングバックチェア、デスクチェアまでいろいろいろな種類があります。
修復について
アンティークチェアといえども毎日使う「家具」です。
「眺めて楽しむもの」ではなく「家具として使って楽しむもの」
特に、椅子のように体重が加重されるの家具は、座面や背もたれ、脚の部分がしっかり組んでなければ使っている間にガタツキやグラつきが出て、時にはバラバラになってしまうことがあります。
さらに、きちんと水平をとっていないと家具が傾むく原因になります。
そのため、毎日安心して使えるように、専門の職人の手できちんと修復したアンティーク家具を選ぶようにしましょう。
100年近くの長い年月をかけ使われ続けてきたアンティークチェア。
長い年月をかけても今の時代まで形を残し、使うことができるということは品質が高くこれまで大切に使われてきた証。
この先も使い続けるために一番重要で気をつけたいポイントが「修復」です。
良質な素材で造られたものは、必要なくなると捨てるのではなく、次に大切にしてもらえる人の手に渡り「修復」してまた使い続けられていきます。
そうして時を経たことで出来上がったものがアンティークです。

歴史を重ねた中で、色合いが変化したり、傷や汚れがつくことでそれらは味わいとなりますが、椅子の場合特に注意するべきポイントは「椅子のぐらつき」です。
毎日使うことが多い椅子。座ったときにぐらつきがある場合は、接合部分が開いていたり構造に問題がある場合があるので、しっかりと修復されているかが重要です。
さらに、木の割れの補修や、張地の張り替えや塗装の仕上げなど購入前にしっかりと修復が完了されているか確認しましょう。
antique chair
アンティークチェアの歴史
チューダー様式
エリザベス様式

「オークの時代」とも呼ばれるエリザベス様式の代表的なデザインであるバルボスレッグは、同じくこの頃に誕生し、ジャコビアン様式の頃に流行したドローリーフテーブルで使わているものが多く見られます。
バルボスレッグのダイニングチェアは、このドローリーフテーブルの脚に合わせてお揃いで作られましたが、アンティークでテーブルセットになって見つかることはなかなかありません。
しっかりとした造りで、堂々とした佇まいが存在感バツグンのチェアです。
ジャコビアン様式
この時代は、家具職人たちが自分たちで技術を向上させようとし、更に装飾が華やかになっていきました。
新しいデザインとして表れた挽きもの細工は、ジャコビアン様式の代表とも言われます。
機械のないこの時代にろくろや旋盤を紐を使って回して木を削って作られました。
チェアにも見られるボビン(糸巻き)を重ねたような女性的なデザインの「ボビンターニング」は、この挽きものの技術を使って作られました。
木材を回転させて作る挽きもの細工の装飾は、当時の職人の高い技術を表しています。
カロリアン様式

ボビンレッグが発展してできたのが、現在でも大人気の「バーリーシュガーツイスト」です。
バーリー(Barley)とは大麦と言う意味で、昔、大麦の糖分で作られたねじり飴の形が家具のデザインに由来しています。
クルクルネジネジの脚のデザインは「木製家具の美的勝ちを高めるため」のデザインなんです。
ウィリアム&メアリー様式

オランダのバロック様式の影響を多きく受けたウィリアム&メアリー様式。
実用的というよりも芸術的な要素の強いデザインが特徴です。
この時代、家具のデザインに大きく影響を与えたのが象嵌(マーケットリー)の技術です。
象嵌は「インレイ」とも呼ばれ、象には「かたどる」、嵌には「はめる」という意味があります。
金を使う金工象嵌や、陶器の製作に使われる陶象嵌などもあり、チェアでよく使われるのは木工象嵌になります。

木工象嵌とは、家具の表面に模様を彫り、その模様にそって切り取った異なる木片をはめ込み、模様を作り出す技法です。
17世紀中頃に技術の発達により、ウォルナット材のような堅い木材を薄くスライスできるようになったため、年月が経っても収縮のしない上質な木材が使われた家具やチェアにのみこの技法が使われました。そのため、象嵌が施されたアンティークは大変貴重で高価なものが多く見られます。
クイーンアン様式

スプラット(背板)の真ん中に花瓶やツボ、バイオリンのようなシルエットのデザインが施されたものをフィドルバックチェアと言います。
フィドルバックチェアの中でも代表的なのが、18世紀全半に流行したこのクイーンアンチェア。
脚が曲線を帯びた猫脚になっているのも特徴で、はずむとか、飛び跳ねるというような意味のフランス語からきた、「カブリオール」レッグと呼ばれています。
このカブリオールレッグが誕生したのもこのクイーンアン時代でした。

また、この頃、装飾のモチーフとして帆立貝がよく使われるようになり、このカブリオール脚に装飾として施されているものも多く見つけることが出来ます。

18世紀中期を代表するデザイナー「トーマス・チッペンデール」が登場しました。
チッペンデールのデザインでよく採用されるのは「フレットワーク」と呼ばれる透かし彫り。
彫り抜いて向こう側が見えるようにした技法で、平面的なデザインのものを「フレットワーク」、彫刻的で立体感のある透かし彫りを「ピアスドカービング」と言います。
現代でもこの透かし彫りの技法は受け継がれており、金属や石などの薄板を打ち抜いて模様を表す技法や、その彫刻したそのもののことを表しています。
ジョージアン様式
ネオクラシック様式

ジョージ3世の頃
典型的なネオクラッシック(新古典主義)のデザインとしてスペードフットが上げられます。
その名の通りトランプに使われるスペードを反対にしたような形をしている脚先のデザインのことを言います。
このスペードフットは特にチッペンデールが流行させたと言われており、ロバート・アダムやヘップル・ホワイト、シェラトンなども含めた4大デザイナー達もこのスペードフットを取り入れました。

また、ヘップル・ホワイトとシェラトンは、脚のデザインをさらにシンプルにしたテイパードフットをよく扱いました。
テーパード(Tapered)とは、「次第に細くなっていく」という意味で、足首にかけて細くなる「テーパードパンツ」のようなファッション用語にも使われます。
それまでのゴシック式のようなどっしりとしたものとは違い、現代の私たちが日常的に使うシンプルでモダンな家具のスタイルの礎となっています。
リージェンシー様式

テイパードフットがちょっと変化したセイバーフットは、カーブした脚のデザインが特徴です。
セイバーとはカーブを描く剣という意味があります。
この頃イギリスでは、トラファルガー対戦で勝利を収めたため、家具のデザインにも、ロープや船に関するモチーフが流行しました。(m-352-c?)
ヴィクトリア様式

1830年頃に登場した、背もたれが風船や気球のように円を描いたデザインになっているものを「バルーンバック」と呼びます。
産業革命や植民地政策で潤っていた19世紀の英国では、マホガニーやウォルナットのような高級な木材も多く使われ、華やかな装飾のチェアがたくさん作られました。
技術の向上により、家具製作も発達したこの時代に作られたチェアは、華奢な見た目でも、頑丈で座り心地もよい上質なものが多く残っています。

フレンチチェアでよく見られるのはこの「フレンチカブリオレレッグ」。
カブリオレレッグの脚の下に小さな台が乗っているもので、18世紀の中頃にだんだんとゆるやかな女性らしいシルエットへと変化し、その後も定番のデザインとして愛されてきました。
ハイヒールを履いたような優雅な脚先のデザインは、華奢な山羊の脚がモチーフになっています。

コーナーにピタッと置くことの出来るコーナーチェアは、華奢なシルエットに華やかな象嵌や彫りの施された豪華なものが多いんです。
こんなに細い脚でもしっかりと支えてくれ、座り心地もよいコーナーチェアはマホガニーのような高級な木材が使われていることが多く、装飾も豪華で貴重なため、高級なものが多いんです。
アンティークチェアの魅力
1.一点ものの特別感

アンティークチェアは、新品ではないアンティークならではの一点ものの魅力があります。
同じデザインや形のものであっても、木目の入り方や色、傷の付き方などが一つ一つすべて違います。 大切に使っているうちに出来たキズや汚れなどが、歴史を重ねたことで風合いへと変化していきます。
世界中どこを探しても見つけることができないとても贅沢な「一点もの」
それがアンティークチェアの魅力です。
2.職人技が造るデザイン
畳の上で生活していた日本では、椅子の歴史が浅く、デザインもシンプルなものがほとんど。
それに対し、ヨーロッパのアンティークチェアは、脚のデザインから背もたれの彫まで、とにかく美しいんです。
椅子一脚の中に、職人さんの高い技術力を感じることができます。
3.使い続ける椅子

本物の素材を使い、高い技術で作られ、大切に使われてきたものだけが今でもアンティークチェアとして形を残すことができています。
良質な素材で造られてきたアンティークチェアは、専門の職人が修復することで、安心して座ることが出来、次の大切にしてもらえる人の手に渡り使いつづけることが出来る・・・
これからも実用的に使い続けていくことが出来る椅子です。

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水野 友紀子
空間スタイリスト。
アンティークショップHandleバイヤー。大学で小さい頃から好きだった化学実験が出来る薬学を専攻。薬剤師となり、製薬会社で研究職に就く。 結婚を機に、休日は嫁ぎ先の老舗家具屋の手伝いをすることに。
家具のことを学びながら、そこで得た知識と固定観念にとらわれない主婦目線での女性らしい提案が、お客様に喜んでもらえることが嬉しくなり、薬の研究を辞め、インテリアの研究に没頭することを決める。
アンティーク家具に出会い、それまで知らなかった世界に感動。 家具やインテリアに対して伝えたいことや、自らが買い付けてきたアンティークに対する想いを「買い付けうらばなし」や「まいにちハンドル」に綴り、日々配信中。
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