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英国の朝食に欠かせないトーストラックとは
- 水野 友紀子
トーストラック(toast rack)
「トーストスタンド」や「トーストラック」と呼ばれる食器をご存知ですか??
名前の通り、トーストを何枚か立てておくための、英国の朝食には欠かせない食器なんです。
私が初めてトーストラックを見たのは、アンティーク雑貨を買い付けに行った時。
それまで、トーストスタンドなるものを噂に聞いたことはありましたが、実際に使っている姿を見たことがなかったので、実物を初めてみて「一体、どうやってここにトーストを挟むの?!」とビックリしたことを覚えています(笑)
だって、だって、普段、食べている朝食の食パンを想像すると、とても食パンの厚みを挟むことが出来そうにない~!
わが家の食パンは「4枚切りだと厚すぎて1枚食べれないし、6枚切りだと薄すぎて食べた気がしない」という義母の好みで5枚切り。ですが、トーストラックの幅は、6枚切りでも挟めるかな??と不安になるくらいの幅しか空いていないんです。
と言うのも、日本の食パンはしっとりモチモチしていますが、英国ではボソボソした感じのものが多く、6枚切りより薄く、8枚切りより厚いくらいの厚さのものが主流。
それをカリッカリに焼いて、たっぷりのバターやマーマレードを塗って・・・いや、塗りまくって食べるのが上流階級のマナー。
焼いたままのトーストをお皿の上に置くと、蒸気で柔らかくなってしまうので、それを防ぐためにトーストラックは必須アイテムなんだそうです。
どちらかと言うと、朝食にトーストを食べるというより、バターやマーマレードを食べるために乗せる、お皿の代わり?のようなものかな?(笑)
英国らしく、シルバーのものが主流ですがたまに陶磁器やガラスで出来ためずらしいものも見つけることも。
素材はもちろん、いろんなデザインのものがあるので見ているだけで楽しいんですが、そもそも、トーストを立てるのは英国のアフタヌーンティーが起源になっています。
お茶が英国に輸入されるようになった当時、薬として扱われていたので、空腹時に飲むことは体によくないと言われていました。
なので、バターと砂糖を塗った食パンを食べながらお茶を飲むようになり、これがアフタヌーンティーに発展していきました。
カリッカリに焼いたトーストをお皿の上に置くと蒸気で柔らかくなってしまうので、それを防ぐため、トーストを立てておける食器「トーストラック」が1770年代ころから作られ始めたといわれています。
ちなみに、初めて見つけたトーストスタンドを「日本で食パンを挟むことがないだろうから、誰も興味を持たないんじゃないかな??」と思いながらも連れて帰ってきた私でしたが、息子の同級生のお母さんがお店に遊びに来て、見つけた瞬間「欲しかったの!」と即決!
「カードスタンドとして使うのに便利だから探していたの」と言う言葉を聞いて、そんな使い方で楽しめるんだ・・・と感動しました(笑)
他にも写真やポストカード、DVDや名刺、ナフキンなどなど、いろんなものを立てて楽しめる英国生まれのアンティークの食器「トーストラック」自分流の使い方で楽しんでもらいたいな・・・と思っています。
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水野 友紀子
空間スタイリスト。
アンティークショップHandleバイヤー。大学で小さい頃から好きだった化学実験が出来る薬学を専攻。薬剤師となり、製薬会社で研究職に就く。 結婚を機に、休日は嫁ぎ先の老舗家具屋の手伝いをすることに。
家具のことを学びながら、そこで得た知識と固定観念にとらわれない主婦目線での女性らしい提案が、お客様に喜んでもらえることが嬉しくなり、薬の研究を辞め、インテリアの研究に没頭することを決める。
アンティーク家具に出会い、それまで知らなかった世界に感動。 家具やインテリアに対して伝えたいことや、自らが買い付けてきたアンティークに対する想いを「買い付けうらばなし」や「まいにちハンドル」に綴り、日々配信中。
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アンティーク家具Handle
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