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フランス生まれの猫足「フレンチカブリオール」
- 水野 友紀子
フランスの家具と聞くと、女性らしくて優雅なイメージを持つ方が多いと思うんですが、その大きな理由が足先。
まるでハイヒールを履いているような足先で家具をおしゃれな雰囲気にしてくれる「フレンチカブリオール」のことを詳しくお話しします。
Handle 水野 友紀子
FRENCH CABRIOLET
フレンチカブリオルレッグとは
フレンチ・カブリオルレッグとは、カブリオールレッグの足先のデザインのこと。動物がモチーフになっている足が、直接、地面に付いているのではなく、小さな台に乗っているデザインのことを言います。
もともと動物は、飛び跳ねるヤギの足がモチーフになっていたようですが、まるでハイヒールを履いて、今にもコツコツと音を立てながら優雅に歩き出す女性の足元のような美しさが魅力的なんです。
カブリオールレッグと同じように「フレンチカブリオール」「フレンチカブリオレ」「フレンチカブリオーレ」など、呼び方はいろいろですが、どれも同じです。
ROCOCO
誕生の裏には「ロココ様式」
「フレンチカブリオレ」と聞くと、なんとなくフランスで生まれたデザインのように思えますが、実は、あのツタンカーメン王の墓から出た椅子の脚先もフレンチカブリオール!
さすがエジプトの王らしく、ヤギではなく力強いライオンやチーターの足がモチーフになってますが、どれも、直接、地面に付かないよう小さな台の上に乗っているフレンチカブリオルです。
なので、フランチカブリオレが生まれた場所や時代については、定かではありませんが、18世紀以降のヨーロッパで大流行!それ以来、ずっと使い続けられているデザインです。
それでは、フレンチカブリオレが爆発的に人気になった18世紀の時代背景を見てみましょう!
point1フランス生まれの
ロココ様式
18世紀の家具のデザインは、それまでのバロック様式から、フランスで誕生したロココ様式へと変化していきました。
誰もが一度は耳にしたことがあるロココ様式とは、ルイ15世のフランス宮廷で誕生した、女性らしく優雅な曲線デザインのことです。
豪快で男性的なバロック様式と比べて、繊細で女性的なロココ様式は、いろんな家具や内装に取り入れられ、繁栄していきました。
ロココ様式が繁栄した大きな理由の一つが、ルイ15世の愛人、ポンパドゥール夫人。
それまで女性が関わることがなかった様式の世界に、彼女がアートディレクターとして主導したことで、「女性が作った初のスタイル=ロココ様式」が誕生しました。
その後、ポンパドゥール婦人は、家具職人のパトロンになり、女性らしく居心地のいいフランス家具を作り出しました。
才色兼備で政治にも関わりがあったポンパドゥール夫人が作り出した女性的な家具は、特に、居心地がいい婦人の部屋で人気になり、サロンで使われるようになります。
その後、サロンで使われるいろんな家具が誕生します。
例えば、セティ。「デュシェス・ブリゼ」と呼ばれるサロンの女主人が控えの間で仮眠をとるために、椅子の座面や背もたれに詰め物を入れた長椅子が、セティの始まりと言われています。
サロンではセティの他にも、女性らしいビューローやコモードなどが置かれていました。
サロン文化の最盛期とともにロココ様式も流行し、ロココ様式の流行に伴って、いろんな家具の脚のデザインとして使われるようになったフレンチカブリオール。
カブリオールは、フランスからヨーロッパ各地に広まり、世界中へと広がっていきました。
今も世界的に「おしゃれ」=「フランス」と言うイメージが固定しているのは、ロココ様式が起源になっています。
point2 家具で発見!
ロココのデザイン
ロココ様式の家具の特徴はS字形とC字形。S字形は家具の脚に、C字形はアカンサスの葉をモチーフにした装飾に多く使われています。
フランスで買いつけてきた家具を見ると、S字形のフレンチカブリオル脚に、C字形のアカンサスの葉や貝殻の彫りが入ったアンティーク家具が多く、自宅で気軽にロココ様式を楽しむことが出来ます。
DESIGN
いろんなハイヒールの形
01フレンチ
カブリオレ
脚先がくるんと渦を巻き、まるでハイヒールを履いているようなデザインが、定番の「フレンチカブリオレ」です。
華奢な脚でもしっかりと支えることができるので、プチポワンなどの椅子には必ずと言っていいほどフレンチカブリオレが使われています。
02スクロール
フレンチカブリオレ
バルーンバックチェアが流行した1850~1890年頃、ウォルナット材やローズウッド材の椅子で見かけるのが「スクロール・フレンチカブリオレ」と呼ばれるもの。
脚先の小さな台の上に、丸い小さなボールが乗っているような可愛らしいデザインです。
03クイーンアン
カブリオレ
フレンチ・カブリオレが流行した18世紀前半、イギリスで登場したのが「クイーンアン・カブリオレ」です。
アン女王の時代に誕生した女性らしいデザインのクイーンアンチェアの足先で使われた、比較的シンプルな英国独自のスタイルです。
ITEM
いろいろありますフレンチカブリオル家具
今までHandleでご紹介してきた代表的なフレンチカブリオレのアンティーク家具を見てみると、やはりフランスの家具が多いことに気が付きます。
とは言え、世界中で人気があったフレンチカブリオルは、華やかなデザインの家具で使われ、家具によって少しずつ表情が違うので、見比べてみましょう!
1940年代 フランス オーク材
フレンチカブリオレの足先にキャスターが付いた、とてもめずらしいデザイン。移動もラクラクです。
1930年代 フランス オーク材
食器棚の形をした大きなガラスキャビネットも、小さなフレンチカブリオレでしっかり支えています。
1920年代 フランス オーク材
フレンチカブリオレの定番、フランスのダイニングテーブル。この美しい脚を見せるためのテーブルです。
1920年代 イギリス ローズウッド材
スクロールフレンチカブリオレのバルーンバックチェア。英国なので少し雰囲気が違って、クラシックな感じです。
1930年代 フランス オーク材
太くて短いドッシリした足の先をよく見ると、しっかりハイヒールを履いています。なんだか愛らしい雰囲気です。
1880年代 イギリス マホガニー材
独自の文化を築いていた英国の家具の足先にも、フレンチカブリオレが使われるようになっていきました。
ROOM
優雅な時間が流れるフレンチカブリオルの部屋
女子力が高いフレンチカブリオレの家具をお部屋に取り入れると、一気に華やかさが増します。
1つ置くだけでもパッと華やかになりますが、フレンチカブリオルは、たくさんの家具で使われているので、お部屋の家具をトータルコーディネイトすることが出来ます。
room1 ダイニング
フレンチカブリオレを思いっきり楽しみたい方には、まず、足元が目立つダイニングテーブルがおススメ!
なかなかお揃いに出来ない椅子も、フレンチカブリオルだったら、何脚か集めてトータルコーディネイトすることが出来ます。
さらにガラスキャビネットを揃えれば、華やかなダイニングルームが完成です。
room2 リビング
ロココ様式のサロンをイメージしたリビングルームは、プチポワンのセティとチェア、中央にはお茶をするためのコーヒーテーブルを置くだけで、あっという間に完成します。
18世紀のフランスにタイムスリップした気分で、サロン気分でいろんな話に花を咲かせましょう。
room3 寝室
毎日の疲れを癒すリラックスタイムを過ごす寝室は、フレンチカブリオレの家具を使って思いっきり甘く可愛い空間を作ってみてはいかがでしょうか。
フレンチカブリオレの優雅な家具でつくる空間はまるでお姫様になったような気分を楽しますよ。
こんな素敵なベッドルームなら、毎日の疲れも吹き飛んで素敵な夢が見られそうです。
room4 和室
フレンチカブリオレの家具を、ぜひ試してもらいたい「和室」
正反対の雰囲気に思われがちなので、敬遠されることが多いのですが、実はとっても相性がいい組み合わせなんです。
畳の落ち着いた雰囲気とフレンチカブリオレの華やかな家具が大人のしっとりとした空間を演出してくれます。新しい和室の魅力が楽しめます!
VOICE
みんなのフレンチカブリオルを見てみよう
待ちに待ったドローリーフテーブルとダイニングチェアがやってきました。
納めてみると部屋がパッと明るく華やいだ雰囲気になり、「なんだかフレンチレストランで食事をしているみたい…」と妻も満足そうです。
これから妻の手料理がますます美味しく感じられると思います。つくづく購入してよかったと思っています。
いつも美しいHPを楽しみに拝見しています。
御社から購入したコントワール・ドゥ・ファミーユのクッション、プチポワンのチェアー、
キャビネット、ウォッシュスタンド。部屋のインテリアがようやく仕上がりつつあります。
これからもすてきなアンティークを見つけてきてくださいね。
今回出会ったこのチェストは、新居の一角にピッタリで、部屋が一気に大人の雰囲気になりました。
猫足の部分が長いため、壁の上下に余白が出来て圧迫感もなく、上には季節のもの(雛飾り五月人形など)を飾りたいと考えていたので理想通りのサイズ感です。もちろんデザイン、雰囲気も優雅で気に入っております。
こんにちは 。やっとテラコッタタイルが貼れ、コンサバトリーとして使えるようになりましたので、以前購入しましたナーシングチェアやコーヒーテーブルを置き、寛いでいます。
ハンドル様の家具、そしてアンティークテラコッタのおかげで、当初、考えておりましたイメージより一層お気に入りの空間になりました。ありがとうございました。
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水野 友紀子
空間スタイリスト。
アンティークショップHandleバイヤー。大学で小さい頃から好きだった化学実験が出来る薬学を専攻。薬剤師となり、製薬会社で研究職に就く。 結婚を機に、休日は嫁ぎ先の老舗家具屋の手伝いをすることに。
家具のことを学びながら、そこで得た知識と固定観念にとらわれない主婦目線での女性らしい提案が、お客様に喜んでもらえることが嬉しくなり、薬の研究を辞め、インテリアの研究に没頭することを決める。
アンティーク家具に出会い、それまで知らなかった世界に感動。 家具やインテリアに対して伝えたいことや、自らが買い付けてきたアンティークに対する想いを「買い付けうらばなし」や「まいにちハンドル」に綴り、日々配信中。
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アンティーク家具Handle
(水野商品館 株式会社)1903年創業
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古物商 福井県公安委員会許可
第521010008980号