こんな意味が隠れています!英国家具の歴史と様式

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こんにちは。ハンドルの戸田真弓です。

今回のアンバサダーレッスンの内容は・・・
アンティーク家具の様式についてお話します。

私もアンティーク歴12年!!
でも、アンティーク家具の様式については、なかなか勉強する事が出来ず・・・(涙)

この機会に勉強したことで、さらにアンティーク家具のことが面白くなってきました!ぜひ読んでみて下さい。

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まず初めに・・・イギリスの正式名称ってご存知ですか?

正式には「United Kingdom of Great Britain and Northern Ireland(グレートブリテン及び北アイルランド連合王国)」と、とっても長い名前です。

「イングランド」「ウェールズ」「スコットランド」「北アイルランド」の4つの国から成り立つ国、英国はケルト人が先住民を追いやって、ゲルマン人がやって来て、ノルマン人に占領されて・・・

日本と同じ島国ですが、ヨーロッパの他の国々と近いので、色んな民族が代わる代わる王朝を築き、戦いそして破れ・・・といった感じで混乱の時代が中世まで続きました。

そんなイギリスがまとまり、平和になり始めたのが、ヘンリー王7世の即位したチューダー朝から。平和になったことで、それまで持てなかった家具を持てるようになりました。


イギリスで貴族階級のために作られた最高級家具には、形やスタイル、時代の変化などによって「様式」が存在します。

まず、15世紀から始まったのが「ゴシック様式」です。全てが聖堂建築、いわゆる教会で使われたデザインのことです。

教会の外観を見てみると、幾何学模様やアーチ型の形状がわかると思います。これがゴシック様式です。


15世紀末~16世紀半ばに「チューダー(テューダー)様式」が誕生しました。

当時の王、ヘンリー7世(ヘンリー・チューダー)の名前から名付けられたチューダー様式は、ゴシック様式の家具にチューダー家の紋章が装飾として使われたことが始まりです。

ちなみに・・・チューダー家の紋章は、ヘンリー7世が薔薇戦争で統合させた「ランカスター家」の赤薔薇と、「ヨーク家」の白薔薇を合わせてつくった「チューダーローズ」と呼ばれるバラのモチーフです。


バラの家紋から始まり、メダリオンヘッドと呼ばれる円形の紋、アーチ型の窓が連続してデザインされるゴシック様式のデザインなどが、浅浮き彫り(ローレリーフ)と呼ばれる彫りで家具の前面などに彫られた家具のことをチューダー様式と言います。



その後エリザベス女王が即位(1558年~1603年)し、生活が安定したことで家具産業は発展していきます。

それまでは主人と同じ屋根の下で暮らしていた使用人たちが、それぞれ家を持つようになり、生活スタイルに合わせた家具がたくさん作られるようになりました。


家具のデザインもより装飾的になり、壁を背もたれに使っていたスツールやベンチに変わって、背もたれのついたダイニングチェアが誕生します。

エリザベス様式の代表的なデザインはバルボスレッグと呼ばれる細工。
コップを向かい合わせにしたような「ダブルカップ」や、蓋つきのコップのようなデザインの「カップ&カバー」のようないろんなデザインが出来上がりました。


テーブルの脚だけではなく、ベッドの支柱や食器棚の円柱にも彫刻が施され、さらに、今も人気の伸張式テーブル「ドローリーフテーブル」がこの時代に誕生します。


次に即位した王ジェームズ1世の時代にはジャコビアン様式が発展しました。

「ジャコビアン」とは王の名前「ジェームズ」のヘブライ語「ヤコブ(Jacob)」から派生したものです。

この時代は、家具の職人たちが自分たちで技術を向上させよう!としたので、装飾が更に華やかなものになっていきます。

ジャコビアン様式の代表と言える挽きもの細工が新しいデザインとして流行しました。


この当時、まだ機械がない時代に、ろくろや旋盤を紐を使って回して木を削って作った挽きもの細工にはビックリ!こんなに美しいボールを並べたようなデザインのボビンターニングや女性らしいデザインのものがこの時代に誕生しました。


徐々に家具の前面、側面にも装飾を施すようになっていき16世紀~17世紀に掛けて、「リネンフォールド」と呼ばれる、布を折り返したカーテンのひだのようなデザインの彫りも流行しました。


また、引き出しの出し入れがスムーズに出来るようにとサイドランナーという細工が開発されました。

それによりエリザベス様式に誕生した天板を引き出してサイズを変えて使える「ドローリーフテーブル」がこの時期、英国内で流行していきました。


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チューダー、エリザベス、ジャコビアン様式までは、オーク材を使ったものがほとんどだったので、家具の歴史の中で「オークの時代」と呼ばれています。

ゴシック様式の影響を受けたオークの時代の家具は「浅浮き彫り」「挽きもの細工」が施された直線的で重厚感のあるデザインが特徴です。

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その後、一旦、共和制時代に入った英国は、宗教色が強く質素な時期を過ごすことになり、建築や家具のデザインは停滞しました。

でも、その後、清教徒(ピューリタン)革命によって王政復古が起こり、国外追放されていたチャールズ2世が王位に就いたことで、また大きく家具のデザインが変化していきます。

芸術にとても関心が強かったチャールズ2世は、オランダとフランスで過ごして身につけた新しい様式を英国に持ち帰ってきました。


さらに、チャールズ2世王妃がポルトガルから故国の品々を持ち込んだときに、中国(シノワズリ)や日本のデザインが入っていたことでより、いろんな美しいデザインの影響を受け始めました。

この頃のデザインをカロリアン様式といい、オランダやスペイン、フランスやシノワズリ(中国趣味)の影響を受けたデザインの家具が多く造られるようになります。


さらにフランスからウォルナット材の輸入が始まったことで、それまでの「オークの時代」から「ウォルナットの時代」に変わっていきます。

ウォルナット材はオーク材に比べて木目が細かく、木もオークほどは硬くないため、「高浮き彫り」と呼ばれる大ぶりの彫刻が施されるようになりました。


ジャコビアン様式で誕生したボビンレッグ。それが発展した今でも大人気の「バーリーシュガーツイスト」と呼ばれる、らせん状にねじられたようなデザインの挽きもの細工はこの時代に生まれました。

またHandleでいつも人気の、テーブル脚を門(ゲート)のように動かして開閉できる「ゲートレッグテーブル」もこの時代に誕生しました。

アンティーク家具を買い付けに行くとよく見つける、バーリーシュガーツイストのゲートレッグテーブルは、まさにカロリアン様式の代表です。


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要するに・・・家具のデザインに強く影響していたのは権力!

教会の力が強い時には「ゴシック様式」、王や女王様の力が強い時は、スポンサー(王や女王様)が気に入るデザインの家具が作られ、さらにその人の名前が様式の名前になっているんです。

反対に、家具などに興味がなかった王様の時代には新しいデザインの家具は生まれていません・・・残念!

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チャールズ2世の姪にあたるメアリー2世とその夫ウィリアム3世が共同で王位に就いた時代に流行した「ウィリアム&メアリー様式」

オランダ出身のウィリアム3世がオランダから優秀な家具職人を連れた来たことで、家具の形や装飾がオランダからの影響(バロック様式)を大きく受けます。

バロック様式の代表は・・・フランスのルイ14世が造った誰もが知る「ヴェルサイユ宮殿」です。


左右非対称の豪華絢爛な装飾が特徴で、渦巻きの模様や翼を広げた鷲などのモチーフが特徴のバロック様式。

実用的というよりは芸術的な要素がとても強いデザインです。

ただ、あまりに華やかすぎる?からなのか、イギリスのバロック様式は少し控えめ(笑)


この時代、寄木細工(パーケットリー)や象嵌(マーケットリー)などの技術もイギリスにもたらされ、家具のデザインに大きく影響されたと言われます。


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その後、メアリーの妹、アン女王が即位しイギリスもロココ様式の影響を受けはじめました。

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椅子やコンソールテーブルなどの脚に、動物の脚のカタチをデザインした「カブリオールレッグ」などが生まれ、ウォルナット材を使った優美な曲線が流行りました。


アン女王の時代は1702~14年と最も短い期間なんですが、今でも根強い人気!
それは、この時代に誕生した代名詞ともいえる「クイーンアンチェア」が今でも人気だからです。


背もたれの真ん中に花瓶をモチーフにした板が入り、優雅な曲線のフレームの前脚にはカブリオールレッグが使われるようになった椅子。

さらに、椅子の座面にクッションが入ったことでみんなから支持され、18世紀に入り、アン女王が亡くなりジョージ1世が即位してからもしばらくは緩やかな曲線のデザインのクイーン・アン様式が続きます。


ジョージ1世からジョージ4世まで続く100年間は総称して「ジョージアン様式」と呼ばれています。

ジョージアン様式は「マホガニーの時代」

1720年頃から高級でしかも彫刻しやすいマホガニー材の輸入が始まり、1760年から産業革命も始まったことで、英国家具は黄金期を迎えます!

古典的なデザインの様式が復活していき、ロココ様式から派手な装飾をとって、シンメトリーな直線的なデザインに仕上げた新古典主義(ネオ・クラシックスタイル)が誕生します。


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これまでは王様の名前が様式の名前になっていましたが、ここからは、デザインなどで様式名が付けられて広がるようになりました。

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この時代、18世紀中期を代表するデザイナーと言われたトーマス・チッペンデールが登場です!
1754年に自分がデザインした家具をイラスト入りで紹介した本を出版し、自分のデザインを広めて、人気デザイナーになりました。

チッペンデールの特徴は、ロココ様式を基調にシノワズリやゴシックなど異なる様式をまとめたデザイン。
さらに職人の技術を向上させて実用性と優雅さを守ったスタイルは、英国だけではなくヨーロッパ全体に影響を与えました。


チッペンデール以外にも、ギリシャやバロックの古典様式を取り入れながら独自のスタイルを生み出したロバート・アダム、富裕層にデザインを実用的にしたジョージ・ヘップルホワイト、キャビネットを多く手がけたトーマス・シェラトンなどデザイナーが登場します。


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それまでは家具職人がデザインから製作まで全てを手がけていました。

ところが、デザイナーは貴族趣味だった家具を、シンプルで実用的なものにし、さらに家具の製作は工房に任せました。

そのことでそれまで上流階級だけだった様式家具の多くがコピーされ、中流階級を中心に広く普及されるようになっていきました。

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ジョージ4世が摂政王大使だった時代(1811~20年)を摂政様式(リージェンシー時代)といいます。

10年ほどだけですが、この時代にフランスとの戦争で勝利を収めたイギリスは、フランスからもたらされた古代エジプト時代の戦勝品から、古代エジプトや古代ギリシアのブームがおこりました。


直線的なデザインに、ゴシックやシノワズリなど様々なスタイルが融合した独特な
リージェンシースタイルが出来上がっていきました。


1837年にはヴィクトリア女王が即位し、大英帝国としてイギリス史でも最も栄えた時代を迎えることになります。
蒸気機関の発明で機械による大量生産が可能になり、産業革命が起きると家具は多種多様な素材が使われるようになります。


デザインや生産量も増えて、ゴシック様式や過去の様式のリバイバルなど、様々な様式が混在し、過去の様式家具のパーツを流用したり、サイズを小さくしたり自由なスタイルに変化しました。

一部の階級のために作られていた様式家具はなくなり、一般市民のものになり、粗悪な家具も増えていった時代。多種多様なスタイルが混在しているのがヴィクトリアン様式です。


ヴィクトリア時代はチェアにも大きな変化がありました。

蒸気の圧力を使った「曲げ木」の背もたれが開発された「ベントウッドチェア」は大量輸送にも向いていて、しかも組み立て式なのでカフェなどに使われるのに流行しました。

また、客間やダイニング用として風船のように膨らんだ形の背もたれが特徴的な「バルーンバックチェア」が1830~60年代に流行しました。

さらに座り心地にも変化があり、スプリングを入れて詰め物をし、ボタン止めした椅子が1850年代に流行しました。
チェスターフィールドもそのうちの1つです。


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エドワード7世の様式を「エドワーディアン様式」と言います。
1901年にエドワード7世が国王に即位したのは60歳。なので1901年~10年の10年間と言う短い在位期間の様式です。

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在位期間がとても長かったビクトリア時代と比べて短いエドワーディアンに生まれた家具の様式は、国王としての期間が対照的なように、様式のデザインも対照的です。
華やかで誇張した家具が多いヴィクトリアンと対照的に、華やか過ぎずシンメトリーなデザインのエドワーディアン。
この当時の住宅環境に合わせた小ぶりなものが多く作られました。


中央のライティングビューローを両側のキャビネットではさんだデザインの家具、サイドバイサイドもエドワーディアンに作られ始めた家具です。

現在、「アンティーク家具」として買い付けてくる家具は、この時代に作られたものが多いです。

サイズが小ぶりなものが多いので、日本のお家にもピッタリ!使いやすい大きさが特徴です。


アール・ヌーヴォーとはフランス語で「新しい芸術」と言う意味です。

1878年のパリ国際万国博覧会で、日本趣味(ジャポニズム)やウィリアム・モリスが主導した芸術運動「アーツ&クラフツ」の影響を受けて生まれた様式がアールヌーヴォー様式です。


シンプルでありながら植物をデザインしたやさしい曲線の模様が特徴的です。

手作りの良さや職人技を見直そう!としたアーツ&クラフトの影響を受けて、建築や家具、工芸やポスター、さらに挿絵までに広がりました。

ステンドグラスなどでよく見かけるアールヌーヴォーはなんとも優しい雰囲気でお部屋を彩ってくれます。


1910年代半ばからは第一次世界大戦の影響を受けて、大量生産や機能性をデザインに組み込んだアール・デコ様式が発展しました。

次世代のデザイナー達が、機械を使って家具の製造を行うようになり、より大衆向けに装飾がシンプルで機能的な家具が作られるようになりました。


フランスを中心に発展したアール・デコ様式は、直線や幾何学的な模様の装飾や、金属などいろいろな素材が使われているのが特徴です。

アールデコが世界に広まるきっかけになったのは1925年にパリで開催されたパリ万国装飾美術博覧会でした。博覧会の正式名称は、現代装飾美術・産業美術国際博覧会(Exposition Internationale des Arts Décoratifs et Industriels modernes)で、この略称をアールデコと言います。


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いかがでしたか?
様式を知ると、ますますアンティークって面白くなるんです。

私も、最近はアンティーク家具が入荷するたび「あっ!これは!」と様式を気にするようになりました。

時代を追わない英国の家具の様式。ご自宅で使っているアンティークの様式を調べてみてください!

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