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ロンドン観光におすすめ!「Museum of the Home」で出会う英国アンティーク家具の歴史

- 水野 慎太郎
ずっと行きたいと思っていた場所、「MUSEUM OF THE HOME(ミュージアム・オブ・ザ・ホーム)」とは、以前は「Jeffrye Museum (ジェフリー博物館)」と言う名前だった「英国の家と暮らし」の歴史をたどる博物館です。
一番の見どころは、1630年から現代まで、年代別に再現された英国中流階級のお部屋の展示で、まるで今も生活しているように忠実に再現されていて面白い~!
アンティーク家具のこともよくわかる博物館の中の様子と一緒に、英国家具の歴史や暮らし方をたっぷりご紹介します。
Handle 水野慎太郎
ミュージアム・オブ・ザ・ホームとは?
今、ロンドンでおしゃれなカフェや雑貨屋さんが集まっている一番熱いエリア、イースト・ロンドンの「Hoxton(ホクストン)」。
オーバーグラウンドの「Hoxton駅」を出ると、目の前に現れたレンガ造りの建物!ここが今回ご紹介する「MUSEUM OF THE HOME(ミュージアム・オブ・ザ・ホーム)」です。
この美しいレンガ造りの建物は、ロバート・ジェフェリー侯の寄付金で1714年に救貧院として建てられたものです。
博物館になったのは1914年。当時は、ウィリアムモリスが先導したアーツアンドクラフツ運動の全盛期の中、職人や建築家たちが昔の家具を見て技術を学ぶための場所として誕生しました。
ロバート・ジェフェリーの寄付金で建てられた建物だったので「Jeffrye Museum (ジェフリー博物館)」と呼ばれていましたが、2018年から2021年にかけて行われた改修工事が終わってリニューアルオープンする際、名前が「MUSEUM OF THE HOME(ミュージアム・オブ・ザ・ホーム)」に代わりました。
アンティークが大好きなボクにははたまらない博物館の中に、さっそく入ってみましょう!
博物館の館内へ
博物館の中に入るとレンガ造りからは想像できないくらい、意外と近代的!(笑)
入って左側の近代的でモダンなエリアは、この博物館の一番の見どころは「Rooms Through Time(時を超える部屋)」。
1600年代から現代までの暮らしが分かりやすく再現されています。
他に「Home Galleries(ホームギャラリー)」「Gardens Through Time(時を超える庭園)」と全部で3つのセクションに分かれていますが、順路順にホームギャラリーから見てみましょう。
Home Galleries(ホームギャラリー)
入館して階段を下りていくとホームギャラリーのエリア。まず最初に書かれている一言は
「What does home mean to you?」
あなたにとって「Home]とは何ですか?と問いかけられ・・・なんだろう?と考えてしまった僕。まさに「Home」について、いろいろなことを考えさせられるような展示になっています。
ショーウィンドウの中の、17世紀に造られたキャビネット。
驚くほど細かい寄せ木細工「マーケットリー」にビックリ~!
きっと当時の職人さんも、これを見ながら勉強していたんだろうな・・・と。職人技の美しさに脱帽です。
今はもう使うことがない、昔の洗面台Wash hand stand(ウォッシュスタンド)。
Handleでも、よく似たウォッシュスタンドを修復してご紹介したな・・・と感動!
天板と立ち上がりの部分には、水がはねてもいいように優しい色の天然大理石。
展示されているだけではなく、ちゃんと当時使っていたように再現されていて、天板には大きな水差しと洗面ボウル、石鹸入れと髭剃りポットが置かれています。
視線を下げると・・・使用人が持ち歩いて使っていた掃除道具が入った箱やチェンバーポットも!当時の生活が分かります。
ガラスウィンドウの中に展示されている、1人掛けのソファ
デザインが移り変わっていくのがよくわかるように並んでいます。
椅子が展示されているだけではなく、当時、どんな風に使われていたかが分かるような絵画も展示!
まさに、ガラスショーケースの中に展示してある椅子と同じような椅子を絵画の中で見つけることが出来る~!!
今だったら写真なんだろうけれど、絵を見ながら「こんな風に使われていたんだ・・・」って見てみるとリアル感が増して、当時の暮らしがどんな感じだったのかが想像できます。
椅子のデザイン画も展示。
カタログに描かれているのは、ガラスショーケースの中に入っていたのと同じく、背もたれがボタンダウンのデザイン。
形や色違いで、いろんな椅子がデザインされているんだな・・・って、見ていても面白い~!
いろんな年代の家具のカタログも展示されています。
さっき、ショーケースの中に入っていた椅子がカタログに載っているのを発見!時代によって、イラストだったり写真だったり・・・見ているだけで、その時代のトレンドがよく分かります。
そして!ボクが子どもの頃、遊んでいたこんなものまで!
ブラウン管テレビに、スーパーファミコン!
まさに自分の部屋みたいで懐かしい~!家具だけでなく、こういう遊びの変化も「家庭の歴史」のようです(笑)
「Rooms Through Time」
時を超える部屋
さぁ!ここからはジェフェリー博物館だった時代から続いている、大人気のセクション「Rooms Through Time」。
1600年代から現在まで、年代別に英国の暮らしを再現したお部屋と暮らしぶりが忠実に再現されています。
アンティ―ク家具はもちろん、それぞれの時代背景から生活の仕方まで勉強になるので、詳しくご紹介します。
Hall in 1630
まず最初の部屋は、1630年のシティ・オブ・ロンドンに住む中流階級のお家のホール(広間)です。
この時代の「Hallホール」とは、中世の「グレートホール」の名残りで、家の中心になる多目的ルームのこと。
まだ電気もガスもない時代、ここに住んでいる人、全員がこの部屋で食事をとったり仕事や勉強をしていました。
夜になると、使用人はホールの床で眠っていたようです。
ダイニングセットはオーク材で出来たエリザベス様式のバルボスレッグ
のテーブルと椅子。
この頃は、まだ椅子に背もたれがあるものはめずらしく、背もたれがないジョイント・スツールやベンチに座っていました。
1脚だけある背もたれが付いた椅子は、この家の家長だけが座れる椅子です。
当時は、家族と使用人は同じテーブルを囲んで一緒に食事をしていたようです。
部屋の奥に置いてあるテーブルの上に置かれている箱はバイブル・ボックス。
当時、家の中で最も高価で大切にしていた聖書を収納するための専用ボックスです。
ちなみに・・・今、このお部屋の時間は正午少し前。お父さんは子ども達に聖書の読み聞かせを終えたばかり。お母さんは使用人たちと一緒に食事の準備をしているようです。
この日のメニューは茹でた牛肉と干しブドウのプディング、ニンジン。
使用人も一緒に全員で食事をとった後、父親と弟子は階下の作業場へ仕事に戻り、子ども達は楽器を練習。
末っ子は1カ月間縫い続けてきた刺繍の見本を完成させたいと頑張っているようです。
こんな細かい設定がされている所も、このセクションの魅力です。それでは次のお部屋に行ってみましょう!
Parlour in 1695
このお部屋は、1695年の友人を招くための「パーラー(客間)」
1666年のロンドン大火でロンドン市内の家屋の85%(13200戸)が焼失。木造建築は禁止されたことでレンガ造りで新築された家で、お客様をもてなす「客間」として誕生したお部屋です。
もともとフランス語の「Parler(話す)」が語源と言われている「パーラー(Porlour)」は、仕事や喧騒から離れて、家族や友人と会話を楽しむための大切な部屋。
それとともに、遊びに来たお客様に、自分たちが使っている家具などを見せて、富と地位を誇示する場所でもありました。
この頃になると、仕事場と住居を分けるようになり、生活に少しゆとりが生まれてきました。
テーブルは、Handleでもよくご紹介する英国アンティーク家具の定番、ツイスト脚のゲートレッグテーブル。
このお部屋の今の時間は夕方。友人たちと一緒に軽い夕食としてお肉とパンを食べた後、東洋から届いたばかりの新しい飲み物「紅茶」や「コーヒー」を飲みながら、カードゲームを楽しんでいるようです。
暖炉の前に置かれているのは、背もたれと座面にケイン(籐)が張られた、オランダの影響を受けた「カロリアン様式」の椅子。
当時大流行した椅子に座って、仕事を終えた使用人たちと一緒に、この家の息子さんが吹くフルートを聴いて楽しんでいる設定です。
壁面に置かれているのは、ウォールナット材の木目が美しいビューロー・キャビネット。
ウィリアム&メアリーの時代に入り、オランダから渡来した家具職人が技術を広めたことで、オーク材で造られていた英国家具がウォールナット材で造られるように!
美しい杢目(もくめ)がデザインの一部として活かされたウォールナット材の家具に、寄せ木細工(マーケットリー)などの装飾が施されるようになり、使うための家具から魅せる家具へと成長します。
手紙を書くための「デスク」が一般家庭に普及し始めたのもこの頃からです。
Parlour in 1745
このお部屋は、1745年のロンドンにあるお家のパーラーです。
季節は春。この日はこの家の奥様が友達をアフタヌーンティーに招く大切な日なので、まだ太陽が昇る前の朝早い時間から、2人の使用人が一生懸命、お部屋の中をピカピカに掃除している様子が再現されています。
アフタヌーンティーを楽しむ椅子は、「クイーン・アンチェア」。
東西交易で中国から伝わったシノワズリデザインの椅子は、機能性を重要視し、それまでの豪華絢爛なデザインから装飾が控えめになりました。
カブリオールと呼ばれる曲線が美しい猫脚と座り心地を重視し、座面に貼り座のクッションが付いたことで、とても人気になりました。
ドレスを着た女性が座りやすいように、足先が3つに分かれた1本足のテーブル、ティルトトップテーブルはジョージアン様式の代表。
テーブルも椅子も植民地の中南米から届いたマホガニー材が使われています。
部屋の隅には壁付けのコーナーカップボード。高価な中国製の磁器などを飾り、コレクションを自慢するための家具です。
その下には、メイドのお掃除用具を発見!1人は火格子を掃除して暖炉を磨くのに一生懸命。もう1人は鉄製のフェンダー(暖炉の囲い)をピッカピカに磨いています。
なぜそんなにピカピカに磨くのか?!それは、家にゲストを招いて自慢の家具の中から高価な茶器を出し、優雅にお茶を振舞って教養と豊かさをアピールすることこそが当時の最大のステータスだったから!
メイドたちは家族が起きてくる前に火をおこし、部屋を掃き掃除して埃を払わなくてはいけないので、大忙しです。
壁際に置かれているのは、マホガニーの一枚板を使ったドロップリーフテーブル。
普段はコンソールテーブルとして壁際に置いて使い、ゲストの人数が多い時には大きく広げてテーブルとして使っていた機能的なテーブルです。
テーブルの天板もピッカピカに磨き上げられているんですが、これは、まだ電気がない時代にろうそくの光を反射させてお部屋を明るく見せるための知恵。
よく見ると、いろんな場所にロウソクの光を反射させるための鏡が設置されています。
お部屋のカーテンの色は、マホガニー材の赤茶色の天板に合わせて赤!とてもよく似合っています。
こんな風に紅茶を飲む習慣が定着して社交の中心になっていったことで、英国の家具はそれまでの使うための「道具」から見せて自慢するための「インテリア」へと進化していきました。
Parlour in 1790
ここは1790年のロンドンにあるお家のパーラー。
ロンドンに住んでいる親戚や仲のいい友人を招いて、午後5時から早い夕食をすませ、お腹がいっぱいになったところでカードゲームを始めるようです。
同じマホガニー材の家具でも、時代によって家具のデザインが全然違う所が面白い~!
先ほどご紹介したマホガニー時代の前半の家具は曲線の「猫脚」カブリオールレッグ。後半はポンペイ遺跡発掘ブームの影響を受けて、ネオクラシック(新古典主義)のスッキリした「直線」テーパードレッグが特徴的です。
カードゲームを楽しむために造られた、当時大流行した折り畳み式のゲームテーブル。
組み合わせてある椅子は、トーマスチッペンデールがデザインしたシノワズリスタイルのチッペンデールチェア。もちろんウォールナット材の家具です。
さらに、この時代はお茶の道具もさらに洗練されていきました。
細くて長いテーパードレッグのサイドテーブルの上に置かれているのは、トロフィー?!・・・ではなく、ティーポットにお湯を足すための茶道具、銀製のティー・アーン(tea urn)。
今でいう、電気ポットのようなものですが、銀製で出来ているなんて超贅沢。お茶の時間がより優雅になったことがよく分かります。
壁際に置かれている小ぶりで上品な折り畳み式のテーブルはペンブロークテーブル 。
ペンブローク伯爵が朝食を食べるためにオーダーしたテーブルの足先にはキャスターが付いているので、移動もラクラク。 朝食を食べる時はもちろん、お茶や書き物など、いろんなことに使われた女性に大人気だった優雅なデザインの伸長式テーブルです。
実用性と美しさを兼ね備えたライティングビューロー。
天板を倒すとデスクになる便利なライティングビューローを使って、この時代の女主人は家計簿をつけたり手紙を書いて家を取り仕切っていたそうです。
Drawing Room in 1830
ここは1830年のドローイングルーム。くつろぐための居間です。
19世紀は大英帝国絶頂期!時代は「見せるため」の部屋から、家族がリラックスして「くつろぐため」の部屋へとシフトしていきます。
家庭的な快適さが重要視されるようになり、ドローイングルームは日中、女性たちが読書や刺繍、水彩画などを楽しむ場として使われるようになりました。
インテリアデザインへの関心も一気に高まり、インテリア本もたくさん出版されました。
お部屋の真ん中には丸くて大きな1本足の円卓が置かれています。
この時代、丸いテーブルは家族団らんの象徴。当時はまだ電気もなく、夜が暗かったので、テーブルの上に置いたオイルランプの灯りを囲んで、家族みんなで会話やお茶を楽しんでいました。
マントルピースの両脇には、ファイヤースクリーンが一対。ディスプレイは全て左右対称のがシンメトリーです。
テーブルの上にはインク壺と書きかけの手紙が!演出がめちゃくちゃ細かい~!
今の時間は午後。長女が水彩画を練習中。次女はロンドンの反対側に住んでいる従弟に手紙を書いているようです。
そして母親は・・・
ソファに座って雑誌を読みながら、最新のファッションチェック中!(笑)
ついにこの時代になって、今のソファの原型になっている、コイルスプリングが入ったソファが登場しました!
それまでにはなかった「ふかふか」の座り心地のソファの足元には、足置き用のスツールも。超細かい演出に脱帽です(笑)
マントルピースの横にはゲームテーブルが置かれています。
このゲームテーブルはチェスを楽しむための専用家具で、今は次女がチェスの駒を並べて、学校から帰ってくる弟に勝負を挑む準備をしているところだそうです(笑)
Townhouse in 1878
ここはロンドンのチェルシー地区にある1878年のタウンハウスを再現したお部屋。
4階建てのタウンハウスに住んでいるのは、インドから帰国したばかりのスティーブンソンさん一家。
インドのカルカッタからロンドンに戻ってくる間、スティーブンソンさんの3人の子ども達、メアリーとトーマス、ベアトリスのお世話をするために、乳母として雇われたブヌーさん。
スティーブンソンさん一家の生活が落ち着いたので、新しい仕事を見つけたブヌーさんが、このお家を出るために荷物をまとめている日の様子が再現されています。
めちゃくちゃ細かい設定にもビックリですが、家具や小物、壁紙からカーペットまで、柄と装飾でごちゃごちゃと埋め尽くされていることにもビックリ!
これは隙間なくモノを飾ることが富の象徴だったビクトリア時代のインテリアの特徴です。
暖炉の前に置かれているのは、Handleでもよく見かけるボタンダウンの赤いナーシングチェア。ビクトリア朝を代表する一人掛けの椅子です。
もともと乳母の椅子として造られたナーシングチェアは、座面が広く、高さが低めの椅子。とてもゆったりと座れるパーソナルチェアです。
デスクには、船内用で使われていた傾斜した天板が特徴的なダベンポートデスク。
暖炉のすぐ横には真鍮で出来た石炭入れ(コールボックス)が置かれています。
暖炉の燃料を入れるための道具も、めっちゃおしゃれ!こだわりが強いのがよくわかる~
装飾がとても豪華なアップライトピアノ。
家庭での音楽会が娯楽だったこの時代、お家にピアノがあることがステータスでした。
ピアノをよく見ると、楽譜を読むためのロウソク台を発見!鼻息で消してしまいそうです(笑)
ビクトリア時代を代表するもう一つの椅子「バルーンバックチェア」を組み合わせたテーブル。
テーブルクロスに使われているのは、ペイズリー柄の更紗。
当時、植民地だったインドからの輸入品を飾ることが流行の最先端だったので、更紗や真鍮製の雑貨などをお部屋に飾ることが大人気でした。
ブヌーさんもインドから持ってきたトランクの中詰め込んできた織物や真鍮の小物などを販売して、お小遣いを稼いでいたようです(笑)
観葉植物を飾るためのプラントスタンドも、植物をお部屋に飾るようになったビクトリア時代に流行した家具の一つです。
ツイストのプランツスタンドがお部屋の脇においてあって、植物を育てて楽しんでいるのがよく分かります。
ビクトリア時代のお部屋のインテリアは、壁紙やカーテン、ソファの色に注目してみると赤や緑などちょっと色が濃いめのものが多いんです。その理由は・・・
ガス灯!天井からつるされているのも、ガス灯(ガソリエ)のシャンデリアです。
ガス灯は非常に明るかったので喜ばれましたが、ススが出てお部屋がとても汚れる・・・。
ということで、ススがついても汚れが目立たないよう濃い色が好まれたそうです!
Tenement Flat in 1913
20世紀に入ると戦争や移民、新しい技術開発により、英国のインテリアも劇的に変化していきます。
ここは1913年のシャーロット・ド・ロスチャイルド・ビルディングの一室。
1887年の東ロンドンのスピタルフィールズ地区に建築された、労働者階級のための集合住宅です。
スラム街を一掃し、環境を改善するために建設された建物内の一室に住んでいるのは、ロシアでの迫害を逃れてきたユダヤ人移民のデレンスキーさん家族。
ユダヤ教の休息日シャバット(安息日)を迎える金曜日の夜、レイさん自慢のローストチキンがオーブンの中で焼きあがったお部屋です。
ストーブの上で作っていたロクシェンスープも完成!
娘のベッシーは、今日は休むことなく一日中アパートの掃除。さっき弟のネイサンにブリック・レーンまで買い出しに行くように伝えたところです。
父親のイスラエルは一週間の仕事を終え、地元のシナゴーグ(礼拝堂)へお祈りに。帰ってきたら、祝福とともに夕食が始まる・・・という設定のお部屋です。
白いテーブルクロスが掛けられたオールドパイン材の可愛いテーブルにはウィンザーチェアが組み合わせてあって、私好みで超カワイイ!
なんだかほっこりぬくもりのある家具に囲まれたお部屋の中には、なくてはならないブラック・レンジ(鋳鉄製のコンロ)。
調理も暖房もこれ一台で完璧です。
窓辺にはとっても可愛いアンティークの脚ふみミシン。
移民の多くの人たちは、自宅で仕立て屋の仕事をして生計を立てていたので、ここが仕事場の様です。
壁側に、僕好みのアンティーク家具ウェルシュドレッサーを発見!
今までのお部屋とは全く違う、オールドパイン材を使った家具ばかりです。
部屋の隅に置かれたシンプルなアイアンベッド。
装飾よりも実用性が優先された、労働者階級の家具です。
キッチンの奥にあるスカラリー(洗い場)。
レンガ造りの流し台と洗濯板。買い付けで見つけると、必ず連れて帰ってくるカーペットピーターを発見!使いやすいように壁に引っ掛けてあります。
Room Upstairs in 1956
ここはアイルランド出身の新婚さんが住む、1956年のカムデンのテラスハウスです。
奥さんのキャスリーンは新設されたNHSの看護師として、旦那さんのジャックは建築作業現場で働くため、2人でアイルランドからロンドンにやってきました。
今夜は2人が初めて出会ったダンスホールにお出かけする日!キャスリーンは、ジャックからプレゼントされた香水をつけて、ジャックのお気に入りのスーツにアイロンをかけているところです。
第二次世界大戦が終わり、ドイツ軍の爆撃によって荒廃したロンドンでは、安価な素材を使い、リビングと寝室が一緒になったベッドシットスタイル(ワンルーム)の住宅がたくさん新築されました。
注目して欲しいのは・・・壁の色!今までとは全く違う白い壁は、ウッドチップ壁紙。物資不足だったこの時代、とても安価で使い勝手がよかったウッドチップ壁が石膏の代替品として大量に使われました。
当時はよかったものの、壁紙を剥がすことが出来ないウッドチップは、1990年代以降のイギリスではほとんど使われていません。
ワードローブとして洋服を収納するのに使われているコンパクトム。
もともとは船旅で使われていたワードローブで、洋服を吊るす場所とカバンや帽子などを入れる棚が一緒になっている、コンパクトでとっても便利な収納家具です。
吊るされているのは、鮮やかな紫色のドレス。これもダンス用?!
週末にダンスホールへ出かけることは、この当時の若者たちの楽しみだったようです。
家具に使われている木材はチーク材。そしてスッキリとシンプルな北欧スタイルのデザインなのは「ユーティリティ・スキーム」と呼ばれる英国政府の規制によって、デコラティブな装飾が入った家具を造ることが禁止されたことが理由。
代わりに「ユーティリティ・ファニチャー」と呼ばれる、質と価格を抑えた大量生産可能な実用的家具が誕生し、普及していきました。
パステルグリーンのタイルが可愛いバスルーム。色使いが超おしゃれ☆
バスタブの横には・・・ロイドルームチェアを発見!
水に強いロイドルームチェアは、こんな風にも使われていたんだな・・・と勉強になります。
さらに洗面台の脇には、小さなバタフライテーブルが畳んで置かれています。
と言うのも、ベッドシットスタイルのお部屋のお風呂は共有。なので、このバタフライテーブルを開いて、荷物を置いていたんじゃないかな?
大家さんも同じお風呂を使っていたので、「お湯を使いすぎないで」と怒られることもあったとか(笑)
リアルな暮らしの裏側が見えて面白い~
Terraced House in 1978
幾何学模様の壁紙とマスタード色のソファ。そして真っ赤な花柄のカーペットが超個性的な1978年のお部屋。
このお部屋は、カリブ海から移住してきた家族が住んでいるハックニー区にある公営住宅「ドゥ・ボーヴォワール・エステート(De Beauvoir Estate)」の一室です。
寒い土曜日の夜、お父さんは部屋を暖めるためパラフィンヒーターをつけ、一日中ラジオからガンガンに流れていたレゲエの音量を下げました。
と言うのも、ソファの前には・・・
ダイヤル式のテレビ!なんだかめっちゃ懐かしい~(笑)
今日は人気ドラマの最終回なので、家族みんなで夜更かししながらテレビを楽しむようです。
ソファやテレビの上には、家具や家電を大切に使うためのレースのカバー、ドイリーが掛けられています。
これは家具を大切にする習慣の現れ。そう言えば、昔は電化製品の上とかにレースのようなものがかけられていたな・・・って、なんだかおばあちゃんの家に遊びに来た時みたいな感じで懐かしい~(笑)
カリブ海諸国から移民してきた女性たちは、収入を補うためにキリスト教宣教師から教わったクロッシュ編みでいろんなものを編んでいたようです。
Handleでも人気のアンティークのガラスキャビネット。その上にはアンティークの丸いカッティングミラー。
カリブ系黒人家庭のお部屋らしく、内装はトロピカルな色。カラフルな模様の壁紙が、今までの英国インテリアとは違って、とってもおしゃれな雰囲気です。
ガラスキャビネットの中に、大切なお酒やグラスを入れて、天板の上にはドイリーでカバーされています。
大きな家具調のステレオラジオを発見!ここで朝から晩までレゲエが流れていたのかな??(笑)
1970年代までに、電話やラジオ、おもちゃに装飾品など、家庭で使われるものの多くがプラスチックで作られるようになりました。
多くの人々から未来の素材として注目されたプラスチックは、いろんな用途で使えて低コスト。
今みたいに環境への影響に懸念されることになるなんて、この当時は夢にも思わなかったんだろうな・・・
Loft Apartment in 2005
ここは2005年の高層マンションの一室。ナディア、アシュリー、アレックスの3人が住んでいるシェアハウスです。
21世紀に入って、暮らしの形が自由で多様になったことで、伝統や形式にとらわれず、自分らしく生きる人が増えました。
LGBTQIA+のコミュニティを通じて出会った3人は「家の中だけは自分たちが心から安心できる場所にしたい」と、一緒に暮らすことを決めました。
賃貸契約では禁止されているけれど、思い切って壁の色を自分達の好きな色のペンキで塗ってしまったようです。
鮮やかなオレンジの壁にペイントされたベッドルーム
。家具もIKEAなどで手軽に購入できる安価な大量製品がたくさん出回るようになってきました。
Terraced House in 2024
ここはベトナム系イギリス人のグエンさん一家が住む、2024年のテラスハウスの一室です。
日曜日の午後、キッチンからお母さんのホアさんが作る特製チキンフォーのいい香り・・・(笑)
昼食をみんなで食べ終わった後、リビングの大きなテレビでカラオケを楽しんでいます。
お父さんのティエットさんは、iPadでお気に入りの番組を見ながらリラックス中。
壁に飾られたたくさんの家族写真や、大切に手入れされた観葉植物などを見ていると「家」は建物だけじゃなく、そこで過ごす「時間」が作るものなんだなと・・・
Museum of the Homeのまとめ
Museum of the Homeの中をご紹介しましたがいかがでしたか?今回は疲れすぎて回れなかったんですが、他にもお庭があったり、カフェでお茶することも出来る素敵な博物館。
英国家具の歴史や暮らし方がよく分かる博物館はオススメです!ロンドンに行かれた際は、ぜひ遊びに行ってみて下さい。
Museum of the Home
・住所: 136 Kingsland Road London E2 8EA
・電話:020 7739 9893
・休館日:月曜日
・開館時間:10:00~17:00

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水野 慎太郎
創業明治36年、1903年から続く老舗家具屋4代目。
アンティークショップHandleオーナー。小さい頃から囲まれて育ってきた、家具に対する知識と修復技術力は誰にも負けない自信がある。
30年後に日本の10人に1人がアンティーク家具を使っている文化を作ることを目標にし、日々、アンティーク家具の修復に奮闘中。
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アンティーク家具Handle
(水野商品館 株式会社)1903年創業
【店舗&倉庫】
〒910-0019 福井市春山2-9-13
【南青山オフィス】
〒107-0062 東京都港区南青山5-4-41
古物商 福井県公安委員会許可
第521010008980号
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