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ガウソープ・ホールで学ぶエリザベス様式の英国インテリア術

- 水野 友紀子
今回はランカシャーにある、17世紀に建てられたマナーハウス「Gawthorpe Hall(ガウソープ・ホール)」をご紹介します。
外観はとってもめずらしいタワーハウススタイル(搭状の邸宅)のマナーハウスですが、外観だけれではなく、中身もスゴイ!
いかにも英国アンティークと言う感じが漂う、エリザベス様式からジャコビアン様式まで、オーク材を中心にした重厚な雰囲気のインテリアに惹きこまれてしまう、マナーハウス。早速、中に入ってみましょう!
アプローチ
敷地内に入ると、いつものように館へと続く長い並木道がお出迎えしてくれます。
今回は、どんな形の建物なんだろう?と毎回、ワクワクするんですが、木が建物を隠すように生い茂っているので、なかなか見えない…(汗)
実は、これは、近づくにつれて徐々に全貌が見えてくるようにちゃんと考えた演出の一部だそうです。
木々の緑の合間から、ゴーソープホールの建物が少しずつ見えてきました。
新緑が美しい季節だったので、木陰でキャンバスを広げて写生をしている人も。
そんな姿も絵になるんですよね~(笑)
めずらしいタワーハウススタイルのガウ・ソープホールが正面に現れました。
建物の正面に立つと、まず圧倒されるのがマリオンウィンドウ。窓の多さです。
大きなガラス板を作る技術がなかったこの頃は、マリオンと言われる石の枠で細かく区切って、窓を作っていました。
今とは違って、ガラスが宝石のように高価だったこの時代に、たくさんの窓がある建物を建てることで、周囲に財力と権威の強さをアピールしていました。
赤い壁が印象的なダイニング
建物の中に入って、まずビックリするのがダイニングルームの色!
基調になっているのはなんとなんと…!
真っ赤!赤い壁とチョコレート色のオーク材がコラボしたダイニングルームです。
この建物を設計したのは、エリザベス朝建築の巨匠、ロバート・スミソン(Robert Smythson)。中世の城郭のような力強さと、ジャコビアン様式に移り変わる華やかな装飾が融合た内装を、19世紀になって改修したのが、チャールズ・バリー卿(Sir Charles Barry)でした。
ロンドンのウィストミンスター宮殿の設計でも有名なチャールズバリーは、エリザベス様式で暗くなりがちなオーク材の空間を、当時、流行だった鮮やかな色使いで豪華にリニューアル☆
赤い壁紙に合わせて、ダイニングテーブルのクロスや、ツイストの椅子の座面や背もたれも赤で統一。そして、赤と青のペルシャ絨毯がチョコレート色のオーク材の壁とよく似あっています。
こうやって見てみると、赤って、チョコレート色のアンティーク家具によく似合うな…って。勉強になります!
エリザベス様式のカッコいいダイニングルーム。よく見てみると、ブルー&ホワイトの食器がたくさん並んでいてとっても素敵!
壁際に置かれたオーク材のサイドボードの上には、磨き上げられた銀器がたくさん並んでいます。
当時、サイドボードは料理をサーブする場所であると同時に、家の財産でもあった食器をゲストに見せつける場所(笑)ピッカピカに磨き上げられています☆
ドローイングルーム
ダイニングを出て、家族がリラックスして過ごすドローイングルームへ。
改修工事が行われた19世紀のヴィクトリア時代、家具の役割は「権威」から「快適さ」へと変化していきました。
ビクトリア時代に誕生したのがくつろぐための椅子「セティ」がドローイングルームの中心に。
暖炉のそばには、一人掛けの椅子。その脇には暖炉の火が直接、顔に当たらないようにするためのファイヤースクリーンも置いてあります。
壁面には美しいアーチの装飾が入った、チョコレート色のオーク材の壁。長い年月を経たことで、ツヤッツヤに変化しています。
長い年月を経たことでしか手に入れることが出来ないパティナと呼ばれるツヤは、魅力に一つ。そして、オーク材の壁の上には真っ白な…
プラスターワーク(Plasterwork)で出来た美しい天井!重厚なオーク材の壁材とのコントラストが見事!!
幾何学模様がベースになったストラップワークをベースに、葡萄の蔓や葉、花々の曲線が描かれ、この館を建てたシャトルワース家(Shuttleworth family)の紋章や、それにちなんだシンボルが組み込まれています。
階段上のロングギャラリー
次は2階に上がってみましょう。上の階に向かう階段がコレ!
手すりを支える、1本1本手作りされたバラスターの支柱がめっちゃ重厚でカッコいいオークの階段です。
当時の階段は、単に上下に移動するためだけのものではなく、上の階に上がるお客様を驚かせるための役目も。 階段を上がりきると、マナーハウス最大の特徴・・・
家具と肖像画が並ぶロング・ギャラリーが登場!ここは、変わりやすい英国の天気に左右されることなく散歩が出来る場所。
なので、雨が降った日はここでゲストと散歩しながら、一族の肖像画や家具などを見せて、自分の権威を誇示するための大切な場所でした。
壁面の大きな肖像画に、オーク材の家具。そして、ブルー&ホワイトの陶磁器たちがたくさん並んでいて、まるで美術館のような雰囲気です。
正面から見た時に見えた、マリオンウィンドウの出窓の裏側はこんな感じ。幾何学模様の黄色の壁紙もおしゃれです。
真ん中に置かれているのは、17世紀に誕生した箱型の収納家具コファ。
衣類などを収納するために欠かせなかった家具は、長い年月を経た現在も大人気です(笑)
作家も滞在した寝室
最後は寝室へ。この寝室がこれまたスゴイ!なにがスゴイかと言うと、一度は寝てみたいな・・・って夢見ちゃうこのベッド!
エリザベス様式の重厚な彫刻が施された天蓋付きのベッド、フォーポスターベッドが登場!
天蓋もめっちゃくちゃ可愛くて、うっとりしちゃうんですが、実はこれは見た目重視…ではなく、実用性を兼ねていたもの。
石造りで、しかも天井が高い石造りの建物は、冬場は非常に冷え込むので、ベッドの四方をカーテンで囲むことで防寒対策にしていました。
こちらの寝室には、これまたすごい彫刻が施されたベッド。そしてチェストにデスクが置かれています。
実は、英国を代表する小説「ジェーン・エア」の著者シャーロット・ブロンテは、当時の主、ジェームズ・ケイ=シャトルワース卿夫妻に招かれて、このガウソープ・ホールに何度も滞在しているそうで…。
小説好きの英国の人にとっては、もしかしたら、このベッドで夜を過ごしたのかな?なんて思うだけでワクワクするんじゃないかな?(笑)私はまず彼女の小説を読むところから始めたいと思います
(大笑)
パルテール庭園
外に出るとお庭が!なんだかめっちゃキレイに剪定されている~!
幾何学模様で美しく整えられたパルテール庭園は、9世紀にチャールズ・バリーが建物本体の改修とともに再設計したものです。
実はパルテール庭園の特徴は…建物の上階から眺めることを前提につくられていること。
なので、ここではなく、さっきいたロングギャラリーの窓から見下ろした時に、最も美しく見えるように設計されているようです。
・・・が、私は降りてきてしまったので、ここからの写真でごめんなさい!もし、行く機会があったら、ぜひ、ロングギャラリーから写真を撮ってください!
ガウソープホールのコーディネート術
ジャコビアン様式のツイスト脚のダイニングテーブルとイスを使って、ダイニングをコーディネートしてみました。
周りの家具もオーク材で統一することで、カッコいいダイニングが。今回は赤ではなく、グリーンで組み合わせてみました(笑)
→英国アンティークスタイルのダイニングコーディネート術
ヴィクトリアン様式のセティを使ったドローイングルームをイメージしたコーディネート例。
19世紀にチャールズ・バリーが改装したことで登場したセティを中心にしたドローイングルーム。ボタン留めの背もたれのセティはヴィクトリアン様式の特徴です。
→英国アンティークスタイルのリビングコーディネート術
作家も泊まった寝室をイメージしてコーディネートしてみました。
残念ながら天蓋ベッドは準備できませんでしたが(笑)落ち着いた雰囲気のベッドルームが完成しました。
→英国アンティークスタイルの寝室コーディネート術
Gawthorpe Hallへのアクセスとまとめ
エリザベス様式のマナーハウス、「ゴーソープホール」はいかがでしたか?
チョコレート色の重厚なオーク材を中心にした、英国アンティークらしい落ち着いたインテリアが魅力的なマナーハウスは色使いも上手!いろいろ勉強になりました。
ぜひ、英国に行く機会があれば、立ち寄ってみてください。
GawthorpeHall
・HP:Gawthorpe Hall(National Trust)
・住所:Burnley Road, Padiham, near Burnley, Lancashire, BB12 8UA
・開館時間:季節により変動(事前確認がおすすめです)

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水野 友紀子
空間スタイリスト。
アンティークショップHandleバイヤー。大学で小さい頃から好きだった化学実験が出来る薬学を専攻。薬剤師となり、製薬会社で研究職に就く。 結婚を機に、休日は嫁ぎ先の老舗家具屋の手伝いをすることに。
家具のことを学びながら、そこで得た知識と固定観念にとらわれない主婦目線での女性らしい提案が、お客様に喜んでもらえることが嬉しくなり、薬の研究を辞め、インテリアの研究に没頭することを決める。
アンティーク家具に出会い、それまで知らなかった世界に感動。 家具やインテリアに対して伝えたいことや、自らが買い付けてきたアンティークに対する想いを「買い付けうらばなし」や「まいにちハンドル」に綴り、日々配信中。
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アンティーク家具Handle
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