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ビンテージ家具を選ぶ方必見!サイドボードの基礎知識と使い方
- 水野 友紀子
最近人気のヴィンテージ家具。特に北欧スタイルのお部屋で使われているのを見かける機会が増えているので憧れている方も多いようですが、ビンテージ家具は新しいものではないだけに、選ぶ時に悩む方も多いようです。
「ビンテージ家具を使ってみたけれど、どんなアイテムがおすすめなのかな?」
「普通のお部屋に置いても似合うのかな?」
「古いものだから買って失敗したらどうしよう・・・」
今回は、ビンテージ家具の中でも特に人気No.1のサイドボードの基礎知識から選び方のポイント、使い方までお話します。
~ ビンテージサイドボードの目次 ~
1.サイドボードとは? 2.ビンテージのサイドボード3つの魅力 2-1 職人技&素材 2-2 形&種類 2-3 選べる収納タイプ 3.ビンテージ家具メーカー 4.サイドボードのある暮らし
そもそもサイドボードとは、背がそれほど高くない横長の収納家具のことです。
英語で「Sideboard」と書きますが側や横(side)に置いて使う板(board)のことを意味し、もともと西洋でダイニングテーブルの近くに置いて、食器やカトラリーなどを収納するために使われていた家具でした。
なので、カトラリーを入れるための引き出しと、食器を収納するための扉収納の両方が必ず付いているので、実用的に使えて便利な収納家具です。
昔は、キッチンとダイニングルームが離れていたので、ダイニングテーブルの側に置いたサイドボードの天板の上に食器や料理を置いて、盛り付けなどをするのに使われていました。
なので、ビンテージのサイドボードは、天板が作業台になるもの、もしくは、作業が出来る場所が必ずあって、背が高くないのが特徴です。
最近は、キッチンとダイニング、そしてリビングが一体化されたお部屋が主流になってきたことで、だんだんとリビングでも使われるようになり、リビングボードと呼ばれるようになってきました。
また、テレビが誕生し、一般家庭に普及しはじめたことで、リビングに置いてテレビを乗せて、テレビボードとしても使われるようになりました。
第二次世界大戦で物資不足になった際、英国では「ユーティリティ・ファニチュアー」と呼ばれる、それまでの英国家具とは違って装飾が少なく、大量に生産できる家具が誕生しました。
1950~70年代に造られた、北欧スタイルのシンプルなデザインのビンテージと呼ばれる家具の中でも、特にサイドボードは、時代を経た今、デザインがおしゃれで使い勝手もいいと大人気です。
シンプルでカッコいいデザインはもちろん、家庭で実用的に使われることを目的に造られたビンテージのサイドボード。多くの人から支持される、3つのポイントをご紹介します。
やっぱり最大の魅力は、北欧デザインのおしゃれな家具を、高度な技術レベルを持つ英国の家具職人が造った、品質の高さ。そして使われている木材の多くが、木の宝石「チーク材」というところです。
従来の英国家具と比べると、北欧デザインの家具はデザインの面でかなりシンプルになりましたが、英国の家具職人が造り出す家具は、シンプルなデザインの中に、さりげない部分で職人技が際立っているのが分かります。
例えば、小さなパーツ「取っ手」を見ても、持ちやすさを考えたものから家具の一部としてデザインされたものまで、丁寧に木を彫りこんで造られたものが多く、職人のこだわりを見ることが出来ます。
他にも、引き出しを取り出して横から見てみると、切りこみを入れた板同士を組合わせる蟻組み(タブ・テール)という技法で造られているものを見かけることもあります。
蟻組とは、日本では高級な総桐タンスの引き出しで使われる、釘を使わずに引き出しが抜けにくい組み方のこと。
そんな職人技がサイドボードの引き出しで見ることが出来るのも、英国家具ならではです。
また、引き出しを開けてみると、もともと食器棚として使われていたものには、シルバーのカトラリーなどを入れて使えるように便利な仕切りが付いています。
カトラリーを入れた際、家具にキズがつかないようにフェルトが貼られている所からは、職人さんの心遣いが感じられます。
現代ではリモコンや筆記用具など、細々したものを収納するのにもピッタリ!とても便利に使えます。
足のデザインは、直線的なテーパードレッグがほとんどですが、微妙に先を細くしていたり、丸みがついていたり、職人にこだわりを見つけることが出来ます。
そして、ビンテージ家具に使われている木材は、今はなかなか手に入らない「木の宝石」と呼ばれるチーク材。
使い込むほどにツヤが出るチーク材を使った家具は、長い年月をかけていい色に変化し、お部屋全体がホッとするあたたかさで包み込まれることが一番の魅力です。
第二次世界大戦後、多くのメーカーがユーティリティ・スキームの家具造りに参入したことや、需要の拡大、さらに生活スタイルの変化が重なったことから、いろんな形の家具が造られました。
サイドボードも、定番の横長タイプから、背が高めのもの、コンパクトサイズのものからコーナーで使うもの、さらに作業台やオープン棚が付いたものなど様々。
いろんな形で造られたビンテージのサイドボードだけに、いろんなお部屋に合う形のものを見つけることが出来ます。よく見かける3タイプをご紹介します。
今、テレビボードとして一番人気の横長ワイドタイプのビンテージボード。
箱型の収納に、長い脚の付いたデザインが多いので、幅が広く大型のものでも圧迫感がなくスッキリ見える所が人気のヒミツです。
高さがないので、天板の上にディスプレイを楽しんだり、壁面に絵を飾ったり、おしゃれなお部屋作りが楽しめます。お掃除もしやすいのです!
横長タイプのサイドボードの上に、食器を収納できるキャビネットを重ねた2段タイプのサイドボード。
食器棚より背が低くて圧迫感がない割に、収納が充実していておしゃれに見えるので、北欧スタイルのリビングボードに人気です。
メインの木扉には、雑多なものを収納しても中身が見えなくて便利!オープン棚やガラス扉が付いているものが多いので、食器棚にはもちろん、家族の思い出の写真や趣味のものを飾って、おしゃれなお部屋作りが楽しめます。
どこにでも置けるコンパクトサイズのサイドボードは、ユニット家具として造られたものが多いので、めったに見かけることがないレアアイテム。
お部屋の角などにちょっと置いて使えるサイズのものが多いので、日本のマンションやアパートにピッタリのサイドボードです。
小ぶりですが、英国ビンテージらしい造りのよさが魅力なので、大きな家具に負けないくらいの存在感があります。
サイドボードは、扉と引き出しが必ず付いている家具。扉の収納タイプもいろいろで、木扉はもちろん、オープン棚やガラス扉がありますが、扉の開け閉めの形状も様々なので、使い勝手や部屋に合わせて選べます。
サイドボードでよく見かける扉の形状をご紹介します。
サイドボードの収納の基本は木扉。引っ張って開くのが基本ですが、手前に倒して開くフラップ扉タイプも、ビンテージボードではよく見かける扉です。
前に倒すことで、扉が作業台として使えるので、ライティングビューローやカクテルキャビネットとして使われるために造られたサイドボードです。
さらに、日本の方にも馴染み深い引き戸も、ビンテージのサイドボードで使われていることがよくあります。
扉を引っ張るスペースが要らないので狭い空間で便利に使えるのはもちろん、扉の位置の違いで、まるで違うサイドボードのように見えるおしゃれさも魅力です。
ちょっと珍しい折れ戸タイプの扉は、省スペースで大きく開くことが出来るので、カッコよさだけじゃなく機能性もバッチリです。
木扉の形状だけでも、いろんなタイプがあるので、使い勝手や見た目を考えて、自分のお気に入りタイプを選んでみましょう。
扉が付いていないオープン棚収納は、扉がないので、お気に入りのものをディスプレイする場所としてはもちろん、よく使うものをパッと取り出せるように収納するのに便利です。
また、2段タイプのサイドボードには、もともとは作業台として使われていたオープンスペースが必ずあるので、自分流の使い方で楽しめます。
ビンテージのサイドボードのガラス扉は、引き戸のものが多いので、日本の方にも馴染み深く使いやすいんです。
扉を開くときに場所も取らないので、狭いお部屋にもピッタリ!和室にもよく似合います。
木扉や引き出しと組み合わせたものも多いので、お気に入りのものはガラス扉の収納に、生活感が出るものは木扉や引き出しの中に入れて、おしゃれ便利に楽しめます。
昔だから手に入った、高品質なチーク材を使ったビンテージのサイドボードは、もちろん新しいものではないので、しっかり修復をすることが必要です。
年代が若いため、お掃除だけを行って使う方も多いようですが、見えない部分もきちんとキレイに修復することで、これからずっと使い続けていくことが出来ます。
ここからは、英国生まれのビンテージ家具を造った家具メーカーについてご紹介します。
1898年創業の英国家具メーカー「E.Gomme(イー・ゴム)社」が、1952年に北欧のスタイリッシュな家具のデザインを取り入れて造った、ブランド「G-PLAN」
G-PLANと言う名前には「何年もかけてプランを立て、買い足していく家具」という想いが込められました。
名前の通り、少しずつ買い足してトータルコーディネートが出来るように、同じデザインで、いろんなアイテムが造られ、今も世界中で愛され続けています。
イタリア出身の家具デザイナー、ルシアン・アーコラーニが1920年に創業した家具メーカー「ERCOL」
現在もルシアンの家族によって、新しい家具が造られ続けています。
アーコール社の代名詞と言われるのが「曲げ木」の技術。
曲げ木が使われたアーコールチェアは、日本で爆発的人気になり、最近は、なかなか手に入らなくなってきました。
無駄がなく、それでいて美しく丈夫なモダンブリティッシュデザインのアーコールの家具は、時を経て、今の時代、幅広い人たちに再び支持されています。
1916年にロンドンで誕生した「Nathan(ネイサン)」社は、ロシア出身のバーネット・ネイサンが手作りした家具を販売してから、北欧デザインから英国クラシック家具まで、現在も作り続けている英国の老舗家具メーカーです。
ネイサン社の家具デザインの中でも特に有名な十字の扉のデザインは、いろんな収納家具の扉に使われているので、パッと見た目でネイサンの家具だということが分かります。
立ち上げ当時から今に至るまで、ずっと同じデザインの扉のキャビネットを作り続けているので、お揃いのものを組み合わせて、大きなキャビネットとして使うことも出来ます。
1869年にスコットランドで設立された、シンプルで癖のないデザインが人気の「McIntosh(マッキントッシュ)」
イギリス国内のハイクラスの人に向けて造った、高品質の家具は、今も支持を得ているため、市場に出てもすぐに売れてしまい、なかなか見つけることが出来ません。
収納力重視!と言う方にオススメの「AVAKON(アヴァロン)」社の家具。
英国メーカーの中で、どこよりも「収納力」に特化したデザインにこだわっているので、お片付けが楽しくなる家具が特徴です。
シンプルで飽きのこない「AustinSuite(オースティンスイート)」
無駄を省いた飽きのこないデザインやシルエットは、ビンテージチーク材の良さを存分に引き出しています。木が好きな方におススメです。
ここからは、置くだけでお部屋をオシャレに魅せてくれるビンテージのサイドボードを使った北欧スタイルのお部屋のコーディネートをご紹介します。
ビンテージサイドボードの使い方で、一番、人気の使い方がテレビボード。
見た目はもちろん、DVDやオーディオ機器、ゲーム機など、驚くほどたっぷり収納出来るので、お部屋もスッキリ片付きます。
無機質テレビを乗せても、サイドボードの優しい木の素材感でお部屋の中を柔らかい雰囲気にしてくれます。
ついついリビングで散らかってしまう雑誌や読みかけの本を収納するリビング用の本棚としても大人気。
リビングが整理整頓されてキレイに片付くのはもちろん、見た目もおしゃれなので、ステキなリビングになります。
もともと、同じデザインで何種類か組み合わせて使えるようなものもあるので、トータルコーディネートで使われるのもオススメです。
もともとダイニングボードとして、テーブルの横に置いて使われていたサイドボード。なので、本来の使い方で楽しんでみましょう。
ダイニング脇に置いて、普段使う食器はもちろん、見た目がおしゃれな食器などもディスプレイしながら楽しめます。
カクテルキャビネットとして造られているものは、作業台としても便利に使えます。
シンプルなデザインのサイドボードは、日本の畳との相性もバツグンです。
ビンテージ家具×和室との異色コラボは、お互いを尊重しあって、よりおシャレな空間にパワーアップしてくれます。
進化した和室の茶箪笥感覚で、普通の和室をステキに変化させてみませんか?
いかがでしたか?
いろんなデザインや形、収納タイプがあるので、お部屋や使い方に合わせて選べる北欧デザインのビンテージサイドボード。
長い年月を経たことで、いい色に変化し、ツヤが出たチーク材のサイドボードは、見た目はもちろん、実用的に使える英国職人の技術が詰まった高品質の家具なので、しっかり修復がしてあるビンテージ家具であれば、これからもずっと使い続けていくことが出来ます。
キレイに修復したビンテージボードを、ぜひあなたの部屋にプラスして、北欧スタイルのおしゃれなお部屋作りを楽しんでみませんか?
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水野 友紀子
空間スタイリスト。
アンティークショップHandleバイヤー。大学で小さい頃から好きだった化学実験が出来る薬学を専攻。薬剤師となり、製薬会社で研究職に就く。 結婚を機に、休日は嫁ぎ先の老舗家具屋の手伝いをすることに。
家具のことを学びながら、そこで得た知識と固定観念にとらわれない主婦目線での女性らしい提案が、お客様に喜んでもらえることが嬉しくなり、薬の研究を辞め、インテリアの研究に没頭することを決める。
アンティーク家具に出会い、それまで知らなかった世界に感動。 家具やインテリアに対して伝えたいことや、自らが買い付けてきたアンティークに対する想いを「買い付けうらばなし」や「まいにちハンドル」に綴り、日々配信中。
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