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サザーランドテーブルとは?女性がオーダーした伸長式テーブルの魅力
- 水野 友紀子
サザーランドテーブル(sutherland table)

サザーランドテーブルとは、マホガニー材で出来た畳んだ時のサイズがとってもスリムなゲートレッグテーブルのことです。
天板の左右に付いている垂れ板(リーフ)を持ち上げて固定するための、補助の脚が門(ゲート)のように開閉して出てくる伸長式テーブル、ゲートレッグテーブルの中でも特別に美しいサザーランドテーブル。
私は、初めてこのテーブルの名前を聞いた時「サザーランド(Sutherland)」という響きが、まるで波の音のように聞こえて気になって仕方がなかったんですが、実際に目にした瞬間、あまりに美しい木目と華奢な脚のデザインに、すっかり心を鷲掴みにされてしまいました(笑)
今回は、私のお気に入り!特別なゲートレッグテーブル「サザーランドテーブル」について詳しくお話します。
サザーランドテーブルとは?
サザーランドテーブルの「サザーランド(Sutherland)」とは、波の音…ではなく(笑)人の名前です。
ホイッグ党政権下では女官を務め、後にヴィクトリア女王の親友になったハリエット・エリザベス・ジョージアナ・サザーランド=レヴソン=ガワー、サザーランド公爵夫人がオーダーしたテーブルだったことから、サザーランドテーブルと呼ばれるようになりました。

アメリカの奴隷制度に対するイギリス人淑女たちの抗議活動など、さまざまな慈善事業に携わった社会的に高い影響力を持っていたサザーランド公爵夫人。
彼女の影響で、社交界の中心「サロン」として重要になったセント・ジェームス宮殿のスタッフォード・ハウスで、お客様をもてなす際に使うサーブ用のテーブルに、サザーランド公爵夫人がテーブルをオーダーしました。
建築やガーデニングに興味を持っていたサザーランド公爵夫人がオーダーしたテーブルは、畳んだ時にとてもスリムになる、マホガニー材を使った折り畳み式のゲートレッグテーブル。
サロンで使うため装飾的で、見た目がとても華やかなテーブルは、見た人みんなが心を奪われるほどの美しいテーブルだったので、後にサザーランド公爵夫人の名前からサザーランドテーブルと呼ばれるようになりました。
サザーランドテーブルの特徴

▲サザーランドテーブル

▲ゲートレッグテーブル
サザーランドテーブルの1つ目の特徴は、使われている木材。通常、ゲートレッグテーブルはオーク材で造られているものが多いんですが、サザーランドテーブルに使われている木材はマホガニー材やウォールナット材です。
サブテーブルとして造られたサザーランドテーブルは、普段はコンパクトに畳んで壁面に置かれていることが多かったため、マホガニーやウォールナット材の美しい木目の天板が装飾の一部になっていました。
2つ目の特徴は畳んだ時の厚み。ゲートレッグテーブルと比べると厚みがなく、とてもスリム!
なので、コンパクトに収納できるのはもちろん、女性らしくエレガントな雰囲気です。
3つめは脚のデザイン。天板を支える脚はとても細くて華奢!
ビクトリアン期からエドワーディアン期にかけて、富裕層の間で大流行したサザーランドテーブルは、いろんな脚のデザインが造られましたが、どの足も細くて美しくエレガントな雰囲気。

また、女性でも動かしやすいように、足先にキャスターが付いているものが多いのも特徴です。
女性がオーダーした女子力高めの美しいゲートレッグテーブル「サザーランドテーブル」。ぜひエレガントなテーブルとビクトリア時代を楽しんでみませんか?


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水野 友紀子
空間スタイリスト。
アンティークショップHandleバイヤー。大学で小さい頃から好きだった化学実験が出来る薬学を専攻。薬剤師となり、製薬会社で研究職に就く。 結婚を機に、休日は嫁ぎ先の老舗家具屋の手伝いをすることに。
家具のことを学びながら、そこで得た知識と固定観念にとらわれない主婦目線での女性らしい提案が、お客様に喜んでもらえることが嬉しくなり、薬の研究を辞め、インテリアの研究に没頭することを決める。
アンティーク家具に出会い、それまで知らなかった世界に感動。 家具やインテリアに対して伝えたいことや、自らが買い付けてきたアンティークに対する想いを「買い付けうらばなし」や「まいにちハンドル」に綴り、日々配信中。
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アンティーク家具Handle
(水野商品館 株式会社)1903年創業
【店舗&倉庫】
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第521010008980号
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