買い付けに行って見かける度に気にはなっていたんだけれど、なんとなく連れて帰って来ることがなかったアンティークの陶磁器。
それが「Poole Porttary」でした。
もともと「プール」って名前の響きは大好き!だけど、バックスタンプに「POOLE」の文字と一緒に描かれている、ブランドマークがドラゴンに見えて、なんとなく怖いイメージ?だったのもあり、連れて帰ることがありませんでした。
そんな私を見て「プールの食器を選ばないのはどうして?」とディーラーに声をかけられ、好き嫌いではなく「なんとなく」選んでいなかったことに気が付いた私。
その時、ディーラーにPOOLE Porttaryの代表作「Twintone(ツイントーン)」の話を聞いて、めっちゃくちゃ気になり、即、日本に連れて帰ったんですが、それ以来、プールの陶磁器は、見つける度に必ず連れて帰るようにしています(笑)
そもそも私が大好きな響きの「Poole Pottary」という名前は、1873年にイギリスの南岸、ドーセットにある湾岸都市「Poole」で創業したことからついた名前。
日本で言うと、豊田市に創業したトヨタのようなものかな?
創業当時「Carter’s industrial tile Manufactory」という名前で商業用のタイルを製造していたプール・ポタリーは、1920年代にデザイナーのハロルド&フィービーステイプラー夫妻と、陶芸家のジョンアダムス、ジョンの元奥様トルダ・カーターが「カーター・ステイブラー・アンド・アダムス株式会社」を設立。
アールデコの陶器を中心に製作を始めるようになり、1930年代に入るとロンドンの地下鉄駅で使われるセラミックタイルを製造するように。今でも見ることが出来る地下鉄のマークは、ステイプラーがデザインしたものです!
その後、創業都市「Poole pottery」になって、第二次世界大戦前後から、シンプルでおしゃれなデザインのテーブルウェアを作るようになり、ブリティッシュモダンのパイオニアと言われる陶磁器メーカーになりました。
中でも代表作と言われれているのが、私が初めて連れて帰って来た「Twintoneツイントーン」
表と裏、異なる2色の配色の陶磁器は、当時、とてもめずらしく、しかもスタイリッシュでありながら曲線ラインが美しいデザイン性の高さに実用性を兼ね備えた食器は大人気でした。
ちなみに私が好きなのは・・・色と色の名前!(笑)
Sepia(セピア)やmushroom(マッシュルーム)、Peach Bloom(ピーチブルーム)やIce Green(アイスグリーン)など色も可愛ければ、名前も可愛い~!
特に気になるのが「Seagull」カモメ!?
これこそまさに、私が最初に選ぶきっかけを作ってくれた色なんですが、よーく見ると、全体的に色ムラのようなな斑模様が入っているんですが、これは、カモメのたまごの殻を張り付けて焼いたと言われている、タマゴをイメージしてデザインされたもの。
同じデザインのものを見つけても、1個1個手作りなので、斑模様も色の出かたも違っていて、同じものがないんです。
第二次世界大戦中は政府からの規制で生産を中止していましたが、戦後、1940年代後半に生産を再開した際、ツイントーンと名前が付けられ、1981年まで英国の食卓を彩る
大人気のシリーズになりました。
・・・が、2007年プールポタリーは経営不振のため、140年続いた経営に終止符をうつことに・・・。でも、デザイン性の高さは高く評価され、Denby社が買収し、今はプールからストークオントレントに移動して生産が続けられています
あっ!ちなみに、POOLEの名前もバックスタンプのマークも、今も残されたままなんですが、私がドラゴンに見えて怖かったブランドマークはなんと!イルカ!
これを知って、さらに好きになったPoole・Porttaryの陶磁器(笑)ぜひ注目してみて下さい。
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プールポタリー(Poole Pottery)のアンティーク食器
- 水野 友紀子
プール社(Poole Porttary)



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水野 友紀子
空間スタイリスト。
アンティークショップHandleバイヤー。大学で小さい頃から好きだった化学実験が出来る薬学を専攻。薬剤師となり、製薬会社で研究職に就く。 結婚を機に、休日は嫁ぎ先の老舗家具屋の手伝いをすることに。
家具のことを学びながら、そこで得た知識と固定観念にとらわれない主婦目線での女性らしい提案が、お客様に喜んでもらえることが嬉しくなり、薬の研究を辞め、インテリアの研究に没頭することを決める。
アンティーク家具に出会い、それまで知らなかった世界に感動。 家具やインテリアに対して伝えたいことや、自らが買い付けてきたアンティークに対する想いを「買い付けうらばなし」や「まいにちハンドル」に綴り、日々配信中。
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アンティーク家具Handle
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