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朝食用に造られた伸長式テーブル「ペンブロークテーブル」
- 水野 友紀子
ペンブロークテーブル(pembroke table)

アンティークのテーブルには、機能性を重視する日本人にピッタリな、天板の大きさが変わる伸長式のテーブルがいろいろあります。
サイズ展開も豊富だし、デザインもいろいろあって、生活や使い方に合わせてよく考えられた造りになっているな・・・と感心してばかりなんですが、特に気になっているのが「ペンブロークテーブル(Pembroke table)」という名前の付いた伸長式のテーブル。
実はこの名前は、テーブルを注文した「ペンブローク伯爵」の名前が付けられもの。それを聞いて気になって仕方がなくなってしまったペンブロークテーブルについてお話しししようと思います。
ペンブロークテーブルとは?
そもそもペングローブテーブルとは、ジョージアン様式に誕生した伸長式テーブルのことです。
天板の両サイドに垂れている、小さな天板を引き上げて固定することで、大きく広げて使う伸長式テーブル、いわゆるバタフライタイプのドロップリーフテーブルのことを言います。
バタフライテーブルが大好きな私は、ペングローブテーブルももちろん大好き!(笑)
同じような機能を持っているので、バタフライテーブルと呼んでもいいんですが、ワンランク上のペングローブテーブルには、さらに2つの特長があります。

1つ目は引き出しが付いていること。そして2つ目はサイズがコンパクトなことです。
ペンブロークテーブル誕生の裏には・・・
ペングローブ伯爵夫人がオーダーし、ペンブローク伯爵が愛用したことから名前がついたペングローブテーブルですが、そもそも、このテーブルをオーダーした理由は・・・朝食を食べるためです。
18世紀後半、イギリスでは健康な体を維持するために朝食を摂ることが大切という認識が広まり、朝食をしっかり食べることが大流行しました。
当時、ダイニングテーブルは、大人数で囲む大型のものが主流だったので、1人~2人で朝食を食べる際に使う、コンパクトサイズのテーブルをペンブローク伯爵夫人がオーダーしました。
普段は折り畳んでお部屋の角に置いておくことができて、朝食を食べる時に大きく広げて使うコンパクトサイズのテーブルは上流階級の間で大流行!
朝食を食べる時に使う「ブレックファースト(breakfast)テーブル」とも呼ばれるようになります。
その後、様式や時代の変化によって装飾や形が変わったものの、ずっと人気の折り畳み式テーブルとして愛用され続け、バタフライテーブルへと形を変えて現代まで受け継がれています。
ペンブロークテーブルの引き出しの中身
ペンブロークテーブルには、必ず引き出しがついていますが、この中には何が入っていたと思いますか?
実は、朝食を食べる時に使うリネンやカトラリー!
わざわざ動いて取りに行かなくても、引き出しを開けるだけで取り出せて便利!ということで、引き出しの中に入れられていたようです。
最近は、朝食のためだけに使う方はいないと思いますが、1~2人用のダイニングテーブルとしてはもちろん、デスクやサイドテーブルなどなど、いろんな用途で使えるおしゃれな伸長式のテーブルです。
まさにズボラな私にピッタリ!のペンブロークテーブル。いろんな使い方が楽しんで、アンティークのある暮らしはいかがでしょう?


Q&A
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水野 友紀子
空間スタイリスト。
アンティークショップHandleバイヤー。大学で小さい頃から好きだった化学実験が出来る薬学を専攻。薬剤師となり、製薬会社で研究職に就く。 結婚を機に、休日は嫁ぎ先の老舗家具屋の手伝いをすることに。
家具のことを学びながら、そこで得た知識と固定観念にとらわれない主婦目線での女性らしい提案が、お客様に喜んでもらえることが嬉しくなり、薬の研究を辞め、インテリアの研究に没頭することを決める。
アンティーク家具に出会い、それまで知らなかった世界に感動。 家具やインテリアに対して伝えたいことや、自らが買い付けてきたアンティークに対する想いを「買い付けうらばなし」や「まいにちハンドル」に綴り、日々配信中。
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アンティーク家具Handle
(水野商品館 株式会社)1903年創業
【店舗&倉庫】
〒910-0019 福井市春山2-9-13
【南青山オフィス】
〒107-0062 東京都港区南青山5-4-41
古物商 福井県公安委員会許可
第521010008980号
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