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美しい陶器の人形 アンティークフィギュリンの魅力
- 水野 友紀子
フィギュリン(figurine)
興味がなかったんだけれど、お客様のお家のガラスキャビネットの中に可愛らしく飾ってあるのを見て、すっごく気になり始めたアンティークが・・・フィギュリン!
あまり聞き慣れない言葉、フィギュリンとは陶磁器で出来たお人形のコト。よく似た言葉だとフィギュアをよく耳にすると思います。
どちらもお人形のことですが、フィギュリンはハンドメイドで製作され、ハンドペイントで色付けされた陶磁器で出来たお人形のこと。有名窯で製作されたものが多いんです。
それに対しフィギュアは塩化ビニールで出来たお人形のこと。どちらかと言うと玩具の意味が強いものが多く、素材で呼び名が区別されています。
フィギュリンの誕生
フィギュリンの歴史は古く、誕生したのは1700年代前半。世界で初めてドイツのマイセン窯が製作したと言われています。
そのきっかけを作ったのは、現在のポーランド、当時のザクセン王国の王様だったアウグスト王。
当時、ガラスの食器が主流だったヨーロッパに、中国や日本の伊万里から磁器で出来た真っ白な食器が届き、貴族たちは大興奮!(笑)
それまで見たことがない薄くて硬く、艶やかな純白の磁器で出来た食器は「白い金」と呼ばれるほど大人気になり、貴族たちはコレクションするようになります。
特に白磁を愛していた・・・いや、愛しすぎたアウグスト王は「自分の国で白磁を作ろう!」と、錬金術師のヨハン・フリードリッヒ・べトガーを監禁します。
徹底的に磁器を研究させたことで、1710年にヨーロッパ初の硬質磁器窯「マイセン」が誕生しました。
好奇心旺盛だったアウグスト王は、アフリカへ遠征隊を出した際、現地でとらえた野生の動物を宮殿で飼育し、動物園を開設しました。
もちろん、本物の動物が手に入らないことも多かったので、アウグスト王は手に入らなかった動物をマイセン窯の白磁で作らせるようになります。
それまでは器を作ることしかなかった磁器を使って、動物を作りはじめたことがきっかけとなって誕生したのが・・・フィギュリン!
今のように、テレビやインターネットがない時代、実際に目にすることが出来ない遠い場所に生育する動物たちを伝える際に大活躍しました。
その後1700年代後半に入ると、英国の有名な陶磁器メーカーがこぞってフィギュリンを作りはじめるようになります。
動物はもちろん、人や女神、エンジェルなどなど・・・様々なフィギュリンが作り出されるようになり、お家のインテリアとして楽しまれたものたちが、アンティークの買い付けに行った際にみつかることがあるので、気に入ったものを買い付けて連れて帰って来ています。
わが家のフィギュリン
最初は全く興味がなかったけれど、ガラスキャビネットの中にフィギュリンを飾ってディスプレイされている方がとても多いことに気が付いてから、気になって来たフィギュリン。
いろんなフィギュリンがあるけれど、私が特に愛してやまない太い眉毛の不細工なワンちゃん「スタッフォードシャードッグ」
厄除け?・・・いや、お家の守り神☆のような存在として、リビングのウェルシュドレッサーの上に飾っています。
その下に置いてあるのが・・・コレ↓
「トービージャグ」です。トービージャグをフィギュリンと呼ぶのはちょっと違うかもしれないけれど、私にとってはフィギュリン☆
これまた、いろんな種類のものがあって、どれもこれも面白い表情。しかもジャグなので、飾っておくだけでなく実用的に使えるんです。
わが家では、お掃除用具のモップを入れたり、ペンスタンドに使ったりと大活躍。使う度に顔を見て思わず笑ってしまっちゃう所もポイントです(笑)
そして、お客様がキャビネットで使われているのを見て、私も少しずつ集め始めた正統派のお人形「フィギュリン」を置いているのが、リビングのウェルシュドレッサー。
気に入ったものをチョコチョコ見つけて、一つずつ集めています。
私がいつもアクセサリー置き場に使っているプレスドグラスのケーキスタンドの横にフィギュリンを置いてみたら・・・超カワイイ☆
まるで私のアクセサリーを守ってくれている?!番人みたい(笑)
じっくりのぞき込んで眺めているような姿が可愛くて可愛くて、お出かけ前に、これを見て「行ってきます」と声をかけるだけで癒されます(大笑)
集めるようになってから、アンティークのフィギュリンはほとんどが手作りだから、全く同じデザインのものを見つけたとしても、一つ一つの色の塗り方や表情などが違っていることに気が付いて感動☆
それぞれに個性がある「一点もの」だということに気が付いてから、ますます気になるものを見つける度に連れて帰って来ています。
今回、本を出版するに当たって、アンティーク雑貨の写真を撮ってもらったんだけれど、無機質な雑貨の中にフィギュリンを加えるだけ!
それだけで、一気に柔らかい雰囲気になるのがよく分かると思います。
まるでおしゃべりを始めそうな雰囲気で、ディスプレイには欠かせないアンティークのフィギュリン。ますますハマりそうです(笑)
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水野 友紀子
空間スタイリスト。
アンティークショップHandleバイヤー。大学で小さい頃から好きだった化学実験が出来る薬学を専攻。薬剤師となり、製薬会社で研究職に就く。 結婚を機に、休日は嫁ぎ先の老舗家具屋の手伝いをすることに。
家具のことを学びながら、そこで得た知識と固定観念にとらわれない主婦目線での女性らしい提案が、お客様に喜んでもらえることが嬉しくなり、薬の研究を辞め、インテリアの研究に没頭することを決める。
アンティーク家具に出会い、それまで知らなかった世界に感動。 家具やインテリアに対して伝えたいことや、自らが買い付けてきたアンティークに対する想いを「買い付けうらばなし」や「まいにちハンドル」に綴り、日々配信中。
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アンティーク家具Handle
(水野商品館 株式会社)1903年創業
【店舗&倉庫】
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【南青山オフィス】
〒107-0062 東京都港区南青山5-4-41
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第521010008980号
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