英国ヴィクトリアン期を代表する椅子、バルーンバックチェアのおはなし

水野友紀子
水野 友紀子

バルーンバックチェア(balloonback chair)

アンティークの中には、名前の付け方があまりに単純で「見たままじゃん!」って思う名前の家具や椅子が結構、あるんですが、このバルーンバックチェアも、その中の一つ。

ディーラーから「背もたれがバルーンの形をしているから、バルーンバックチェアと言う名前なんだよ」と教えてもらった私は、あまりにも単純すぎるネーミングに、今後、この椅子の名前を忘れることは絶対にない!って思いました(笑)

言われてみると、確かにパッと見た目がバルーンのように、丸い形に繰りぬかれた背もたれは、アンティーク初心者の当時の私には、単なる空洞にしか見えなくて・・・(汗)

「ここまで空洞だったら、材料がそれほど必要ないから経済的☆」
くらいにしか思っていなかったんですが、同じ椅子を見ている主人の反応があまりに違うことにビックリ!

「こんなにも贅沢な椅子は、今は造れない・・・」

と、このバルーンの形の空洞を造ることが、どれほど大変でムズカシイことかを、家具屋目線で熱く語り始めました(大汗)

主人が贅沢だと語る理由は、三次元曲線!

バルーンバックチェアと呼ばれる椅子の背もたれは、まん丸の形だけじゃなく、貫が入っているものや、トップに彫が入っているものなど、バルーンと呼べないような形のものもいろいろあるんです。

形は違えど、どれも正面から見ると丸い空洞に見える部分を横から見ると、斜め後ろにカーブしながら、キュゥ~っと曲げられた、三次元の曲線を描いているんです。

このカーブを造りだすには、機械ではとても無理!丸く見えるバルーンは、実は四分割されていて、手作業で硬い木を立体的に彫り、それぞれのパーツを、まるで精密機械のように合体させているんです。

実は、ビクトリアン時代の家具職人の技術がギュッと詰まっている、潔いほどシンプルな形の丸い空洞の背もたれ。

機械化が発達している今は、この曲線を造るにはとてもとてもムリ・・・ということを思い出しながら、ビクトリア時代に大流行したアンティークの椅子、バルーンバックチェアを見てみて下さい!私のように、見る目が変わると思います。



【ご紹介したアイテム】

バルーンバックチェアとは、風船や気球=バルーンのような丸い形の背もたれが特徴的な、ビクトリアン時代に大流行した椅子のことです。


バルーンバックチェアとは

背もたれが丸い形の優雅なバルーンバックチェアについて、もっと詳しく知りたい方はコチラをお読みください。


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招いたお客様に使ってもらうために造られた「自慢するための贅沢な椅子」がサロンチェアです。



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水野友紀子

水野 友紀子

空間スタイリスト。
アンティークショップHandleバイヤー。

大学で小さい頃から好きだった化学実験が出来る薬学を専攻。薬剤師となり、製薬会社で研究職に就く。 結婚を機に、休日は嫁ぎ先の老舗家具屋の手伝いをすることに。
家具のことを学びながら、そこで得た知識と固定観念にとらわれない主婦目線での女性らしい提案が、お客様に喜んでもらえることが嬉しくなり、薬の研究を辞め、インテリアの研究に没頭することを決める。
アンティーク家具に出会い、それまで知らなかった世界に感動。 家具やインテリアに対して伝えたいことや、自らが買い付けてきたアンティークに対する想いを「買い付けうらばなし」や「まいにちハンドル」に綴り、日々配信中。

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(水野商品館 株式会社)

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