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スージークーパーの魅力とは?20世紀を代表する女性陶器デザイナーの世界
- 水野 友紀子
スージークーパーとは、20世紀を代表するイングランドの陶器女性デザイナーの名前です。
女性がたった1人で立ち上げた、歴史も伝統もない陶器製造所(pottery)で作り出されたスージークーパーの食器は、イギリスのどの家庭でも、毎日の食卓で使われていたと言われるくらい大人気でした。
中産階級の人にはもちろん、ロイヤルファミリーが愛し、最近ではコレクターが増え、大手オークションハウスにも出るようになった、世界中でファンを魅了し続けているスージークーパーの陶磁器。
エリザベス皇太后陛下から「スージー・クーパーがなければ家は完成しないわ」と言われたくらい、たくさんの人に愛されたスージークーパーの魅力について、お話しします。
Handle 水野 友紀子
Susie cooper
スージークーパーとは
1902年に生まれ、1995年に92歳で亡くなるまで、長い間、現役生活を続けたスージークーパーは、イギリスの陶器の村、ストーク・オン・トレントで7人兄妹の末っ子として誕生しました。
小さい頃から絵がとても上手だったスージーですが、11歳の時に第一次世界大戦が始まり、同じ年にお父さんを亡くしたため、学校を辞め、家族と一緒に父が残したベーカリーショップや雑貨店を手伝う少女時代を過ごしました。
第一次世界大戦が終わり、家業の手伝いも落ち着いたため、1918年に地元の美術学校に入学したスージーは、芸術の基礎を学び、ファッションデザイナーを目指すことにしました。
20歳になった1922年、奨学金を得るために学長の紹介でグレイズ窯のペインターとして入社したスージーは、陶器デザインの面白さに目覚めます。
彼女の才能を認めた社長が、ペインターからアシスタントデザイナーに大抜擢!
陶磁器のデザイナーとして数々の展覧会で入賞し、スージークーパーの名前が公に知られるようになっていきました。
1929年10月29日の27歳の誕生日にグレイ窯を去り独立。
4日前に世界恐慌が始まったばかりでしたが、「スージークーパーポタリー」を設立し、絵付けだけではなく、自分の作りたいデザインを、陶磁器の生地から自由に作り始めました。
大不況時代にも関わらず、デザインも色彩も甘く優しく、華やか。
お花や動物が自由に描かれた模様がプリントされたスージーの作品は、多くの女性から支持を得て、英国の人々の生活に広まっていきました。
1932年のイギリス産業フェアの際、国王ジョージ5世の妃、メアリー王妃が購入したことで、絶大な支持を得たスージーの作品は一躍「高級品」として認識されるようになります。
ロイヤルファミリーからも愛されたスージークーパーは、1940年に「Royal Designer For Industry」に選ばれ、ロイヤルファミリーのデザイナーとして認められました。
私生活では、1938年に建築家のセシル・ベーカー氏と結婚。
ところが、翌年1939年に第二次世界大戦が勃発し、1941年にロンドンのショールームが破壊され、工場も全焼したため、陶器製造を断念することになりました。
1943年に長男が誕生し、育児に専念したスージーでしたが、戦争が終結すると、戦争で傷ついた人々の心を癒すのは自然界に存在する色だと考え、アースカラーを中心に作品を作り始めます。
1950年代に入ると、貫入のない丈夫なボーンチャイナの時代が来ることを予想し、ボーンチャイナの会社を買収。「スージー・クーパー・チャイナ」を設立します。
スージーは、デザインだけではなく、企画・構成・生産に至るまで、全てを指揮し、バッキンガム宮殿から注文を受けたり、カナダやアメリカ、オーストラリア、南アフリカにブラジルなどに輸出を行い、人気を集めました。
1972年、70歳の時に功績が認められ、大英帝国勲位を授与されますが、1979年、夫のセシルが亡くなったショックから、4年間創作活動が出来なくなってしまいました。
1987年、86歳の時、若い頃から憧れていた王立芸術学院から、最高名誉の博士号を授与され、フリーのデザイナーとしてウェッジウッドと契約を結んだスージーは、1987年には長年住んでいたスタッフォードから離れてマン島に移り、1995年に亡くなるまで仕事を続けました。
日本では、1990年代半ばに「パトリシアンローズ」が火付け役となって、注目されるようになったスージークーパーの陶磁器。ぜひ、実際に使ってみませんか?
\Trivia/
アンティークの豆知識
「アースンウェア」と「ボーンチャイナ」の違い
スージークーパーの陶磁器には、ぽってりした雰囲気の「アースンウェア」と真っ白な「ボーンチャイナ」の2種類あります。それぞれの特徴と違いについてお話しします。
アースンウェア(陶器)
アースンウェアとは、粘土を整形して釉薬を掛け、低温の窯(800~1000℃)で焼いた陶器のことを言います。
1950年代に入るまで、スージークーパーの作品はアースンウェアが中心です。
製造時に出来る凹凸や釉薬の焼きムラが必ず出てきて、土のぬくもりや素朴さが感じられる、ほっこりと焼き物です。
ボーンチャイナ(骨灰磁器)
ボーンチャイナとは、磁器の種類の一つで骨灰磁器と呼ばれるものです。
最近の磁器は、骨灰は使わずガラス質のものを入れて作られますが、英国アンティークのボーンチャイナは、白色の陶土の中に牛の骨灰を混ぜて焼き上げられています。
イギリスでは良質の磁石が発見できなかったので、代用品として使われたもの。原料の50%を骨が占めているので、高温に強く白いのが特長です。
Collection
スージークーパー作品集
今までHandleに届いたスージークーパーの作品をご紹介します。
まずは、1930~40年代 Susie Cooper Productions時代の作品です。
1930~40年代 Susie Cooper Productions
スージーがグレイ社から独立した1932年に作られた「結婚指輪=ウェディング・リング」と言うロマンチックな名前が付けられた作品は、新婚生活用の食器として作られたもの。
パステルカラーのバンディングが美しいデザインは、当時、結婚が決まった女性の新婚生活用の食器としてデパートのカタログに掲載され、人気が出た作品です。
1932年に発表された香りの花束という意味を持つ「ノーズゲイ(Nosegay)」。gayには幸せという意味も含まれています。
作品が発表された頃にはハンドペイントが主流だったノースゲイは、その後、リトグラフを使用するようになって、大量に生産することが可能になり、スージーらしい優しく描かれたお花が大人気になりました。
めったに見つけることが出来ないスージークーパーの作品「ローレルボーダー(Laurel border)」
青緑色の釉薬を帯状に塗って、生乾きの状態で、先の尖った金属棒で表面を削る「掻き落とし」と呼ばれる技法を使って、月桂樹(ローレル)の文様が描かれています。
1935年にデザインされた作品、スージーの故郷、イングランドのスタッフォードシャーに咲く4種類の花が描かれた「ドレスデンスプレイ(Dresden Spray)」。
エドワード8世が恋人だったシンプソン夫人にドレスデンスプレイのピンクのディナーセットをプレゼントしたことで人気が爆発しました。
1935年頃から製造された、小さなドットが可愛らしいパターンの「グラデーションドット(Gradation dot)」。
柔らかな色のグラデーションの縁取りに、さりげなく小さなドット柄が配置された作品は、全部がキレイに整列していないところがスージーらしい作品です。
英国ウェールズ地方の海沿いにある美しい港町、スウォンジーに咲く色とりどりのお花が描かれた「スウォンジースプレイ(Swansea Spray)」。
1935年に発表された女性コレクターに人気が高いロマンチックな作品には、お花の数や位置が少しずつ違うデザインやカラーバリエーションが豊富です。
通称「ドンティル(Dontilled border)」と呼ばれるこのデザイン。実は、ドンティルとはボーダーデザインという意味で、作品名ではありません。
この作品が発表された1936年頃から、ラインボーダーのドット系のデザインとパステルカラーのフラワー系のデザインを交互に発表していきました。
いろんな葉を描いたスージーの作品の中で、一番有名な1936年の作品「グレイリーフ(Grey Leaf)」
風に吹かれてふわっと今にも舞い上がりそうな優しいタッチのグレー色の葉っぱが、まるで鳥の羽のように優しい雰囲気で描かれています。
フランス語で「春」と言う意味「プランタン(Printemps)」は、スージークーパーが独立した1936年に発表されたデザインです。
レース模様に小さな雫のような可愛いドット模様の縁取りの中央に、スウォンジースプレイが描かれています。スージーの作品の中でも、最も人気が高いデザインです。
スージーが長年住んでいた田舎町の名前が付けられた1938年の作品「エンドン(Endon)」。
この年、ショールームを手伝ってくれた建築家セシル・ベーカーと36歳で結婚して、エンドンを離れることになったスージーの想いを名前に託したデザインです。
日本でスージー・クーパーが人気になったきっかけになったデザインが、1938年に発表された「パトリシアローズ(Patricia Rose)」
スージー=パトリシアローズと思うくらい、スージーの代名詞と言えるサーモンピンクの美しいバラは、華やかで気品がある英国レディのような雰囲気です。
1938年に発表されたレアな作品、イソギンチャクという意味の「シーアネモネ(Sea Anemone)」。
ゆらゆらと揺れる海の中にいるようなデザインには、海の底に咲く可愛いお花の妖精という意味を持つイソギンチャクとワカメ、さらに昆布が描かれています。
1930年代のスージーの作品には葉っぱをモチーフにした作品が多いんですが、その中で、ひときわカラフルな作品「ロングリーフ(Long Leaf)」
ハートにも見える可愛いタッチの葉っぱと、ロングリーフがグリーン、ピンク、イエロー、グリーンで優しく描かれた美しい配色の作品です。
1939年の作品「スター(Star)」は、「アスタリスク(星印)」とも呼ばれた人気の作品です。
ブルースターのモーニングセットを国王ジョージ6世とエリザベス王妃がフェアーで購入したことで大人気に。後年はボーンチャイナでも製作され、長い間、支持され続けたデザインです。
可憐な中に、第二次世界大戦を生き抜いた女性の強さが感じられる1941年の作品「タイガーリリー(Tiger Lily)」
前年にロンドン大空襲でショールームを爆破され新しいデザインを生み出すことが出来なかったスージーが、平和の象徴とも言える見事に咲き誇る百合を描いた作品です。
この年、女性で初めてロイヤルデザイナーとして認められました。
1940~60年代 Susie Cooper China
イギリス英語で、「てんとう虫」のこと。「レディーバード(Lady bird)」と名前が付いた1949年の作品は、別名「フェザーアイ」とも呼ばれています。
テントウムシは中世ヨーロッパでは、聖母マリアに関わっている虫として、大切にされきた虫。レディバードは、成功と財産を引き寄せると言われるていました。
「冬の陽射し」と言う意味「ウィンターサンシャイン(Winter Sunshine)」と名前が付いた1948年の作品は、別名「ファーンアンドドット」とも呼ばれています。
寒いイギリスの冬に、たまに見える晴れた空の柔らかな陽だまりのような、ほっこりとするぬくもりが感じられる暖かい作品です。
1952年の作品くちなしの花を描いた「ガーデニア(Gardenia)」。
ボーンチャイナでティーセットが販売された1年後、スージーの販売戦略で「買う人が好みで、どちらでも選べるように」とアースンウェアーでディナーセットとティーセットとフルセットが販売されためずらしい作品です。
1952年にデザインされた「ブラッケン(Bracken)」と名前が付けられた、めったに見かけない作品。
ブラッケンとはわらびのこと。周りに描かれている小さなドットは、シダ植物らしい繁殖細胞、胞子を思わせる、縁起のいい作品です。
めちゃくちゃ可愛い野イチゴの絵が描かれた「ワイルドストロベリー(Wild Strawberry)」と名前が付いた1953年の作品。
野イチゴの模様はイギリスの伝統的なデザインの一つ。とっても可愛らしい野イチゴのモチーフは、北アメリカに輸出されていたようです。
昔からスージーが大好きな蘭の花が描かれた1953年の作品「ブルーオーキッド(Blue Orchid)」
このデザインは、前年の「ガーデニア」と雰囲気の似た作品ですが、ダイナミックで美しい蘭の花には、スージーらしさが詰め込まれています。
第二次世界大戦が終わって、復興中の雰囲気を華やかに描いた美しい作品「パロットチューリップ(Parrot tulip)」は、1955年からボーンチャイナ、1959年からアースンウェアが製造されました。
縁がギザギザのダイナミックなチューリップからは戦後の生命力が感じられます。
「ブラックフルーツ(Black Fruit)」と名前がつけられたスージークーパーの1958年の作品。
フルーツというだけあって、他にも洋ナシ、ピーチ、チェリー、ぶどう、リンゴ、イチゴの絵があって、もともとはティーセットで販売されていたものです。
スージーの1959年の作品「ブルージェンション(Blue Gentian)」
ブルージェンションは、リンドウのこと。「正義」と言う花言葉を持つスージーの描いたリンドウが、何かメッセージを送ってくれているようにも見えます。
シダ植物の葉が垂れ下がっている様子を描いた1959年の作品「ファーンダウン(Fern down)」
若いグリーン色のシダの葉っぱと、枯れた葉っぱと実が中央に描かれたシックで落ち着いた色合いの作品です。
日本ではめったに見かけない1959年に発表されたレアな作品「ブルーダリア(Blue Dahlia)」
実はお花のダリアには、青い色はないので、ブルーダリアというものは実在しないもの。スージーは「あり得ないもの」と言う意味を含めて作品にしたと言われています。
1951年に発表された日本で木蓮の花を意味する「マグノリア(Magnolia)」。
ちょうどこの頃からスージークーパーの作品が陶器(アースンウェア)から磁器(ボーンチャイナ)に切り替わりました。写実的なデザインを試みた記念作です。
1951年に発表された「アザレア(Azalea)」。アザレアとは日本でツツジのことです。
同時に発表されたマグノリアのように、ボーンチャイナとアースンウェア、両方で同じ時期に発売されています。
バラとスミレの模様が可愛らしく描かれた、スージークーパーの1953年の作品「フレグランス(Fragrance)」。
日本のコレクターにも人気の「芳香」という意味を持つフレグランスを見ているだけで、本当にふわっといい香りがしてきそうです。
真っ白いボーンチャイナに小さいスポット(点)がレイズド(突起)している1953年の作品「レイズドスポット(Raised Spot)」。
Raised(レイズド)には「人の心を元気にする」という意味も込められています。
ささやくような音を立てながら風になびいている高原の草をイメージしたと言われている1954年の作品「ウィスパリンググラス(Whispering Grass)」。
初期の頃からスージーが得意としているスポットパターンのデザインの作品です。
1959年に発表された「ハイドパーク(Hyde Park)」と名前が付いた作品。
もとは王室所有の敷地だった、ロンドンのハイドパークの秋をイメージした、秋色の枯れ葉が整列するシンプルでおしゃれなデザインです。
スージーらしい独特の描写で描かれた向日葵の花「サンフラワー(Sunflower)」
スージーが向日葵を描くともこんな落ち着いた色で美しいんだな~って、ちょっと感動する作品です。
スコットランドやアイルランドの谷間の渓谷「グレン」の霧「ミスト」をイメージした1960年の作品「グレンミスト(Glen mist)」。
お菓子メーカー、マッキントッシュのビスケットと一緒にセット販売したことで大ヒット!エリザベス女王も購入し1990年までサンドリンガム宮殿で使われていました。
野生に咲くバラをモチーフにした「ワイルドローズ(Wild Rose)」。
スージークーパーの作品の中にバラをモチーフにしたデザインはいろいろあるけれど、このワイルドローズは、他のバラとはちょっと雰囲気が違って、素朴な美しさが感じられるところが私は好きです。
1961年に発表された「タリスマン(Talisman)」タリスマンとはお守りと言う意味ですが、デザインはどう見ても薔薇の花の模様です。
この年、スージーの会社に参加する話が持ち上がっていた息子へのお守り的な作品だと言われています。
ブルーのお花が描かれた爽やかな印象の「カティーナ(Katina)」と名前の付いた作品。
バックスタンプを見ると、1951~1966年の作品ですが、それ以外の詳細が分からない所が魅力の、スージークーパーらしい淡い色彩の作品です。
1962年に発表された、ブルー色の爽やかな「ピオニー(Peony)」
ピオニーは芍薬のこと。はにかみ屋の美しい妖精ピオニアが芍薬の花に隠れたと言うイギリス民話から名づけられた花が、とっても大胆に描かれています。
1964年の作品「プレーマー(Braemar)」。
エリザベス女王の母のゆかりの地、スコットランドにあるブレーマー城から名前がついたと言われています。
プレーマーに咲くお花が描かれていると思います。
キラキラとしたヴェネツィアの海やゴンドラの船首の飾りを想わせるような渦巻文様が特徴的な1965年の作品「ベネチア(Venetia)」
幾何学模様が斬新だな・・・と思ってよく見ると、渦巻の中心に花の模様が描かれています。
ブラウン色のパンジーが大きく咲いている1965年の作品「レヴェリ(Reverie)」
空想や夢想という意味を含んだ名前から、実際には存在しないブラウンのパンジーを想像しながら描いたと言われています。
1890~1910年頃にかけて開花した新しい芸術運動の名前が付けられた1966年の作品「アールヌーボー(Art nouveau)」。
植物モチーフと曲線ラインを掛け合わせたスージー流のアールヌーボーが表現された作品です。
1966年の作品、日本でいうアヤメと呼ばれる花「アイリス(Iris)」
「恋のメッセージ」という花言葉を持つブルー色のアヤメが、何かメッセージを送ってくれているみたいな作品です。
1967年の作品「サターン(Saturn)」土星と名前が付いた落ち着いた茶色のストライプ模様の中に模様が描かれたデザイン。
お揃いのストライプ模様で水星「マーキュリー(Mercury)」と名前が付けられたブルー色の作品も作られました。
1967~1969年の作品、いろんなお花が描かれた「フラワーモチーフ(Flower Motif)」。
一番有名なのが「スノードロップ」ですが、他にもいろんなお花がたくさんのカラーバリエーションで作られているシリーズです。
1968年の作品、ドロップの連続模様がモダンで可愛い「ダンベルズ(Dumbells)」。
ダンベルとは、エクササイズの時に使う、あのダンベル!モダンアートを感じさせるデザイン&色使いは、若い世代を中心にスージーの中でも人気が高い作品です。
1969年の作品、「ダンベルズ」と呼ばれている作品の色違い「ディアブロ(Diablo)」。
モダンな雰囲気のドロップ模様「ディアブロ」とはスペイン語で悪魔!かなりインパクトの強い作品です。
1967~68年の作品「コリンティアン(Corinthian)」「コリント」とはアテネやスパルタと並んで栄えたギリシャ南部の都市のこと。
古代ギリシャの建築、コリント式の神殿をモチーフに、建築家の夫と共同でデザインした作品と言われています。
1968年~70年の作品「ホワイトフラワー(White flower)」ウェッジウッドで製作された作品です。
楚々としたお花のデザインが水色に映える美しい作品です。
独特の模様と色使いが美しい「フロリダ(Florida)」と名前の付いた1960年代後半の作品。
ブルー×ライトブラウンの配色がオシャレで、モダンな雰囲気を感じるデザインに仕上がっています。
1971年の作品「コーンポピー(Cornpoppy)」1966年にスージーがウェッジウッドのデザイナーの一員になってからの作品。
ケシの花、ポピーが描かれている作品なんですが、このポピーの茎と葉っぱの曲線の描き方がスージーらしくてダイナミックです。
Stamp
スージークーパーのバックスタンプ集
スージークーパーの作品には、いろんなバックスタンプが使われています。
バックスタンプを見れば、大体、いつ頃に作られたものか年代が分かります。年代順に見てみましょう。
1923~1931年
ガレオン船(セカンド)
グレイズポタリー
1924~31年
ライナー
グレイズポタリー
1932~65年
スージークーパープロダクション
1932年~
1932~65年
リザーブボックス付き
1933年~64年
1934年
1934年
1936年
1949~64年
1951~66年3月
スージー・クーパーボーンチャイナ
イングランド(ブラウン)
1951~66年3月グリーン
スージー・クーパーボーンチャイナ
イングランド(グリーン)
1967~68年
スージー・クーパーボーンチャイナ
イングランド
1968~70年
スージー・クーパーメンバーオブ
ザ ウェッジウッドグループ
1969年
ウェッジウッド
スージークーパーデザイン
Shape
スージークーパーのシェイプ集
スージークーパーが独立を思い立った理由の一つがシェイプ。
自分が考えたオリジナルの形の陶磁器が作りたかったスージーが作った代表的な5つのポットのオリジナルシェイプをご紹介します。
1 Kestrel Shape
ケストレル シェイプ
ハヤブサの一種「チョウゲンボウ」の名前が付いた形。鳥と同じようにふっくらしたポットのフォルムが特徴です。
紅茶を注いだとき、垂れないように、口の部分が「く」の字になっています。
2 Rex Shape
レックス シェイプ
恐竜を意味する「レックス」と名前が付いた形は、首の長い恐竜のような長い注ぎ口が特徴です。
ポットの持ち手は取っ手が平行に角ばっているのが特徴。エレガントな印象のシェイプです。
3 Falcon Shape
ファルコン シェイプ
ファルコンとは、ハヤブサのこと。ポットの摘み部分がリングになっていて、お湯の注ぎ口が反っているのが特徴です。
男性的な名前を好んだスージーらしいネーミングです。
4 Quail Shape
クエイル シェイプ
クエイルとは、ウズラのこと。ぽってりした丸いフォルムがウズラの形に似ていることからネーミングされました。
5 Can Shape
カン シェイプ
カンとは筒型のこと。見たままの姿で「カンシェイプ」と付けられました。後年ボーンチャイナのティーセットによく使われた形で、ウェッジウッドでデザインした陶磁器に使用されました。すっきりしたフォルムが特徴です。
How to use
スージークーパーのある暮らし
女性らしいデザインから、シンプルなものまで、スージークーパーは、アースンウェアとボーンチャイナ、それぞれで、数えきれないくらい、いろんな作品を生み出してきました。
思わず集めたくなってしまう、世界中にコレクターの方が多いスージークーパー。実際に使い方を見てみましょう!
use1飾って楽しむ
自分好みのスージーに出会った時、まずは、飾ってみましょう!
スージークーパーは、クラシックな落ち着いた雰囲気のインテリアにも、ナチュラルで可愛い雰囲気のインテリアにも、どちらにもしっくり似合います。
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ナチュラルな
パイン材のキャビネット
あたたかい素朴な雰囲気のスージークーパーのアースンウェアは、ほっこりとしたナチュラルな雰囲気のインテリアに、とてもよく似合います。
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布張りの
ディスプレイキャビネット
上品な布張りのキャビネットには、スージークーパーがとても上品に女性らしい雰囲気が際立ちます。
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パーラーキャビネット
落ち着いた濃いチョコレート色の英国キャビネットにも、よく似合うスージークーパー。高級感あふれる雰囲気です。
use2実際に使って楽しむ
もともと、使うために作られた陶磁器。なので、アンティークと言えども、実際に使って楽しんでみましょう。
スージークーパーの作品は、アンティークでしか手に入らないため、キズや割れ、欠けなどは必ずあります。
気になる方は、アースンウェアより強い、ボーンチャイナをオススメします。
実際に使って使って楽しめば、いつものお茶の時間がより豊かな時間になります。デザインはお揃いでもバラバラでもOK!
自分流の使い方を楽しんでみましょう。
Table setting
お揃いで使う
もともとは、トータルコーディネイト出来るように、同じデザインでいろんなアイテムが作られたスージークーパーの陶磁器。
偶然、お揃いを見つけた時には、集めて楽しんでみましょう。
Table setting
バラバラで使う
どれも個性的なデザインのスージークーパーは、いろいろ集めてみたくなるもの。
いろんなデザインのスージーを集めて、それぞれの個性を楽しんでみましょう。
Care
スージークーパーのお手入れ
スージークーパーの陶磁器は観賞用のコレクションとして集める方も多いんですが、使っても大丈夫です!
少しだけポイントを押さえれば、普通の食器と変わりません。ぜひスージークーパーのある暮らしを楽しんでみてください。
まずは貫入について
アースンウェア(陶器)は、表面に釉薬(ゆうやく)という、陶器の表面を覆って水分を吸収しにくくしたり、美しいツヤを出し頑丈にする薬品を塗って焼きます。
釉薬を付けた後、もう一度焼き、冷ます際、素地と釉薬の膨張率と収縮率が違うために、細かくヒビのようなものが入って固まったものが貫入です。
ふつうの貫入は問題がありませんが、かなり深く貫入が入っている場合は、陶器の中心まで液体が侵入することになり、そこからシミになってしまう可能性があります。
まずは貫入の深さを見分けるため、30秒間、水につけて貫入を観察しましょう。
変化がなければ、時間を徐々に伸ばして水の染み込み具合を見ましょう。
貫入が深く入っている場合は、早い段階で水が染み込んで、色が変わってきます。
すぐに水が染み込んでしまう貫入が入った陶磁器は、コーヒーやお醤油など、色が付いた液体を入れるとシミになってしまうので、ご注意ください。
また、貫入の入っている陶器は熱を加えないよう、熱湯がかからないようにしましょう。
貫入が入っていても、問題なく使えるものもあります。貫入も陶器の特徴と思って、使えないものはディスプレイとして、使えるものは実際に使って、楽しんでください。
使った後は・・・
食器として普通に使用した際、キレイに洗いましょう。普通の食器用の中性洗剤で大丈夫です。
気をつけるポイントは、柔らかいスポンジを使うこと。目の粗く硬いスポンジ面を使用すると、摩擦によって食器を傷つけてしまうことがあるのでご注意ください。
ボーンチャイナは、食洗器の使用も問題ないものが多いですが、出来れば手洗いをおススメします。
長時間、コーヒーや紅茶など色のある飲み物を入れっぱなしにすると、普通の食器と同様、茶渋、色残りなどの原因になります。
アンティークの陶器を洗うときに特に注意すべきなのが摩擦による傷です。
洗った陶磁器の水気を取るときは、柔らかい布を使って優し拭くようにしましょう。
ティーポットやミルクジャグなど深さのある食器を片付ける時、キッチンペーパーを丸めて中に入れることをおススメします。
収納している際の湿気を吸ってくれます。
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水野 友紀子
空間スタイリスト。
アンティークショップHandleバイヤー。大学で小さい頃から好きだった化学実験が出来る薬学を専攻。薬剤師となり、製薬会社で研究職に就く。 結婚を機に、休日は嫁ぎ先の老舗家具屋の手伝いをすることに。
家具のことを学びながら、そこで得た知識と固定観念にとらわれない主婦目線での女性らしい提案が、お客様に喜んでもらえることが嬉しくなり、薬の研究を辞め、インテリアの研究に没頭することを決める。
アンティーク家具に出会い、それまで知らなかった世界に感動。 家具やインテリアに対して伝えたいことや、自らが買い付けてきたアンティークに対する想いを「買い付けうらばなし」や「まいにちハンドル」に綴り、日々配信中。
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アンティーク家具Handle
(水野商品館 株式会社)1903年創業
【店舗&倉庫】
〒910-0019 福井市春山2-9-13
【南青山オフィス】
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