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寄木細工とは?職人が語るパーケットリー家具の魅力
- 水野 友紀子
Parquetry&Marqetry
パーケットリー&マーケットリー
アンティーク家具で見かける装飾の一つに「寄せ木細工」があります。寄せ木とは、文字通り、木を寄せて模様をつくることで、色の違う木や、木目の方向を組み合わせることによって模様を作り出す細工のことを言います。
模様によって呼び方が違い、円や直線などを使って作った幾何学模様は「パーケットリー」、自然のものをモチーフにした絵画のような模様は「マーケットリー」と呼ばれ区別されています。
パーケットリー
パーケットリーとは直線や円などでデザインを作る幾何学模様の寄木細工のことです。
一見すると簡単に作れそうに見えますが、木目の方向や色の違いだけで、左右対称の幾何学模様を作り出すには、なかなか高度な技術が必要でした。
今のように機械がない当時、精密な計算と緻密な切り出しが必要なパーケットリーを作り出すには、とても高度な技術が必要でした。
「閉ざされた小さな空間」を意味する古いフランス語が語源となっているパーケットリーは、特にフランスで見かけることが多い寄せ木細工。
パーケットリーの歴史は古く、古代エジプト時代から存在していたようですが、ヨーロッパで普及し始めたのは、17世紀後半のヴェルサイユ宮殿に導入されたものが始まりだと言われています。
ヴェルサイユ宮殿で導入されたのが・・・床!
現在も、ヴェルサイユ宮殿の床を見ると、いろんなお部屋で、いろんなデザインのパーケットリーの床を見ることが出来ます。
一枚一枚、精密に貼っていく必要があったパーケットリーの床は、まさに当時の豊かさの象徴。
自然の木目を使って作った、自然界にはない幾何学模様のパーケットリーは、当時から多くの人を魅了し、今も愛される続ける装飾です。
アンティーク家具の中にも、当時の職人さんが時間をかけて作り出した職人技が光る美しい模様「パーケットリー」を見つけることが出来ます。
マーケットリー
マーケットリーは植物やお花などの自然をモチーフにした模様の寄せ木細工のことです。
薄い木材を糸のこでくり抜き、色の違う薄い板をはめ込んで作り出した美しい模様のシートを、家具の本体に張り付ける技法のことを言います。
まるで絵画のように美しい模様を作り出すマーケットリーは、同じように木の色の違いで模様を作り出す象嵌(インレイ)とよく似ています。
無垢材に模様を彫りこんで、違う木を使って模様を作り出す象嵌細工(インレイ)は、木を寄せて模様を作るマーケットリーとは、技法が違いますが、どちらも木を組み合わせて作るため、見た目は同じように見え、区別をするのがとてもムズカシイものが多いです。
なので、厳密に言うと技法が違いますが、Handleではマーケットリーとインレイを区別せず、まとめて「象嵌(インレイ)」と表現しています。
Design
いろんなデザイン
パーケットリーは、長い時を経た現在も、家具や建具、床材など様々な場所で使われています。
当時から続く素晴らしい技術で作りあげられた代表的なパーケットリーのデザインをご紹介します。
design1
ヴェルサイユ張り
フランスでパーケットリーが初めて使われたと言われているヴェルサイユ宮殿。
有名な鏡の間の床は、ベルサイユ宮殿のために新しくデザインされたもので、大きな四角形の中に、斜めにラインを入れ、さらに小さな四角形が入っている「ヴェルサイユ張り」と呼ばれるパーケットリーです。
フランスのダイニングテーブルやコーヒーテーブルでもよく見かけるパーケットリーです。
design2
ヘリンボーン
ヘリンボーンとは、V字を積み上げたようなデザインのパーケットリーのことを言います。
もともとはファッション用語で、ツイード生地のコートやジャケットによく使われている矢が連続するような模様のことを言います。
名前の由来は、ニシン(herring)の開きの骨(bone)!形が似ているところから名前が付けられたヘリンボーンは、最近、日本でも人気で、フローリングにもよく使われています。ハンドルの事務所の床もヘリンボーンです。
design3
市松模様
昔から世界中で親しまれてきたデザインのチェッカー柄。二色の正方形を交互にした日本で「市松模様」と呼ばれるデザインです。
日本では江戸時代に人気だった歌舞伎役者「佐野川市松」が白と紺の正方形を交互に配した着物を着ていたことから人気になり、名前をとって「市松模様」と言われるようになりました。
2020年のTOKYOオリンピックのエンブレムで使用されていることで、さらに世界中で人気の市松模様もアンティーク家具で見つけることが出来ます。
design4
ヘキサゴン
六角形という意味を持つヘキサゴン。六角形の中に、木目や色合いの異なる三枚の木片を重ね合わせたデザインです。
まるでトリックアートのように、平面にも立体的にも見える視覚効果があるデザインのヘキサゴンは、ハチの巣や亀の甲羅、雪の結晶など、自然の中で見つけることが出来る幾何学的な模様です。
六角形は均一性があるバランスの取れた形で、調和や安定を表すこともあり、とても人気のあるパーケットです。
Item
パーケットリーの家具
今までHandleには、いろんなデザインのパーケットリーのアンティーク家具が届きました。
まさに職人技が光る、見ているだけでうっとりする美しいのパーケットリーの家具たちをご紹介します。
1960年代 イギリス ウォルナット材
パーケットリーが贅沢に装飾されたキャビネットの正面には1/4(クォーター)に分けた板を木目に逆らって寄せるクォータリングという技法が使われいます。
さらに天板や引き出しはヘリンボーン。天板から足先までストリンギングという線象嵌が入った、豪華で贅沢極まりない、職人技がギュッと詰まった芸術品のようなキャビネットです。
1930年代 フランス オーク材
フランスのダイニングテーブルや、コーヒーテーブルの天板には様々な模様のパーケットリーが使われています。
フランスのテーブルの多くはオーク材を使用していて、パーケットリーをデザインする際には同じオーク材でも色、木目が違うたものを重ね合わせて作られています。
まるで床のデザインのようにヴェルサイユ張り、市松模様、ヘキサゴンなどいろんなデザインのものを見つけることが出来ます。
1930年代 イギリス ウォルナット材
引き出し、サイドパネルにパーケットリーと象嵌が施された贅沢なサイドチェストです。
1970年代 イギリス マホガニー材
扉に丸いオーバル型のパーケットリーが施されたコーナーキャビネット。マホガニー材の木目を活かしたデザインです。
1950年代 イギリス ビーチ材
色合いの異なる木材を重ね合わせることで、天板に大きなお花がパッと咲いたよなデザインが美しいオケージョナルテーブルです。
1920年代 イギリス オーク材
パーケットリーでチェス盤の模様が作られたオケージョナルテーブル。遊び心があふれるデザインです。
Room
パーケットリーのある暮らし
room1 ダイニング
毎日の食卓をパッと華やかに彩るフランス生まれのパーケットリーのダイニングテーブル。
とても美しい模様が入った天板に乗せるだけで、いつものメニューがなんだか豪華で美味しく見えます。
テーブルコーディネートをしなくても、そのままで素敵なテーブルを演出してくれます。
room2 リビング
初めてパーケットリーの家具を使うのであれば、コンパクトなテーブルがおススメです!
背の低いコーヒーテーブルは天板を上から見ることが出来るので、誰が見ても美しいパーケットリーがパッと目の中に飛び込んできます。
パーケットリーの小さなテーブルと椅子で自分だけのコーナーを作ってみませんか?
room3 玄関
ガラスキャビネットの木扉部分に描かれている丸いパーケットリーの模様が上品な英国アンティークのガラスキャビネット。シンプルなデザインながら、高貴な雰囲気で玄関からお客様を迎えてくれます。
お家の顔になる玄関に置く、職人技が光るパーケットリーの家具。おススメです。
Voice
みんなのパーケットリー
いつもは夫婦2人なのですが孫達が来ると大人数になるので伸張式のテーブルを探していました。
実物を見ないで購入したので、到着するまでハラハラドキドキでしたが、とてもキレイで、きちんとメンテナンスされていて感動です。
天板の下にあるリーフ部分を引っ張り出すだけで簡単にサイズを変える事ができるので、ステキな食卓で孫達と食事をするのが楽しみです。
ありがとうございました。
ソファの前に先日購入したフランスのテーブルを置いてみました。
天板の模様がとてもキレイで、リビングがパッとあかるい雰囲気になりました。
仕事から帰って、リビングで過ごすのが楽しくなりました。ありがとうございました。
無事に椅子とテーブルが届いてセッティングしました。
フランスとイギリスで少しテイストは違いますが、相性よく、素敵な空間になりました。
先に頂いたガラスキャビネットは本棚にしています。 一生大切に使いたいと思います。 ありがとうございました。
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水野 友紀子
空間スタイリスト。
アンティークショップHandleバイヤー。大学で小さい頃から好きだった化学実験が出来る薬学を専攻。薬剤師となり、製薬会社で研究職に就く。 結婚を機に、休日は嫁ぎ先の老舗家具屋の手伝いをすることに。
家具のことを学びながら、そこで得た知識と固定観念にとらわれない主婦目線での女性らしい提案が、お客様に喜んでもらえることが嬉しくなり、薬の研究を辞め、インテリアの研究に没頭することを決める。
アンティーク家具に出会い、それまで知らなかった世界に感動。 家具やインテリアに対して伝えたいことや、自らが買い付けてきたアンティークに対する想いを「買い付けうらばなし」や「まいにちハンドル」に綴り、日々配信中。
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アンティーク家具Handle
(水野商品館 株式会社)1903年創業
【店舗&倉庫】
〒910-0019 福井市春山2-9-13
【南青山オフィス】
〒107-0062 東京都港区南青山5-4-41
古物商 福井県公安委員会許可
第521010008980号