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ルネットとは?アンティーク家具に現れる小さなお月様の魅力
- 水野 友紀子

いろんなアンティークの家具の中で見つける半月の形の装飾。その名前がフランス語で小さな月「ルネット(Lunette)」だと知ったとき、なんて素敵な名前なんだろう…と一瞬で好きになりました(笑)
今回はアンティーク家具の中に現れる小さなお月さまについてお話します。
Handle 水野 友紀子
lunette
ルネットとは

フランス語で「小さな月」という意味を持つルネット(lunette)とは建築用語で、扉や窓の上に設けた半円や三日月形の部分のことを指します。
建築物を見てみると、ルネットの部分に絵画が描かれているものや、玄関や高窓の上の明り取りの窓として使われています。
家具には、ゴシック様式が盛んだった12世紀から15世紀頃、ルネットが家具の前板部分に浅浮き彫り(レリーフ)でデザインされました。
また、18世紀中頃からは半円形の中にアカンサスの葉をデザインし、まるでお花のような模様が彫刻されたレリーフが人気に。
今も、重厚な雰囲気のアンティークキャビネットやチェストの扉面やゲートレッグテーブルの天板の縁取りなどでルネットが浅浮き彫りされているものを見かけることができます。
ルネットが入ることで、重厚な雰囲気のアンティーク家具に可愛らしさがプラスされて、明るい印象になったアンティーク家具は女性からとても人気です。
architecture
建築物の中のルネット
家具の装飾には建築物のデザインを使う場合が多いんですが、ルネットもその一つ。
今まで、買い付けの旅で訪れた場所を改めて見返してみると、たくさんのルネットを発見!一部をご紹介します。
パレ・ロワイヤル

ルイ14世が幼少期に過ごしたと王宮パレ・ロワイヤル。
「ベルサイユ宮殿を造った太陽王、ルイ14世が幼少期を過ごした王宮」として有名な場所ですが、今は国務院=最高裁判所として使われているので、建物の中に入ることは出来ません。
これはパレ・ロワイヤルの中での一番人気の写真撮影スポット、通称、ビュランの円柱(Colonne de Buren)から撮影した一枚です。
白と黒の石柱に目が行きがちですが、ここにもルネットを発見!
このように窓枠の上部にルネットがある建物が多く、パレロワイヤルだけでもたくさんのルネットが使われています。
ヴィクトリア&アルバート博物館

イギリスでは大英博物館と並んで有名な博物館ビクトリア&アルバート博物館。
「あらゆる人々に美術作品を鑑賞する機会を与え、労働者の教養を高め、国内のデザイナーや製造業者に創造的刺激を与えること」を目的として造られた博物館は、建物もすごく凝ったデザインになっています。
ここでは、いろんば場所でいろんなにルネットを発見することが出来ます。
まずは中庭の池から博物館を眺めてみると、大きなルネットがいろんな場所に!豪華な雰囲気です。

ビクトリア&アルバート博物館の正面入り口。
圧巻の美しい玄関入り口の上部にもルネットの明り取り窓が使われています。

エントランスの上を見上げると、豪華な木製の天井。
ここにも中央の四角い天窓を囲むようにルネットが四方に並んでいます。
昔から建物にゴシック様式のアーチを使うことが多いヨーロッパでは、アーチに合わせやすい半円形のルネットが多く使われていました。
特に、イギリスやフランスではいろんな建築物でルネットを見つけることが出来るので、訪れた際はルネット探しを楽しんでください!
Item
家具の中のルネット
ルネットはゴシック様式やチューダー様式が盛んだった12~16世紀頃の家具に多用され、その後18世紀中頃のネオクラシカルスタイルの流行とともに、いろんな家具に使われてきました。
今までHandleでご紹介してきたルネットがデザインされたアンティーク家具をご紹介します。

1960年代 コーヒーテーブル
幕板部分に美しく並ぶルネットが印象的なコーヒーテーブル。
重厚感漂うバルボスレッグにルネットがコラボしたことで、優しい雰囲気に仕上がっています。

1960年代 ブックケース
ブックケースの中央部分の扉部分に彫られたルネットを見ると、大きなルネットの中に小さなルネットが入った、めずらしいダブルタイプのルネットを発見!
豪華な雰囲気です。

1930年代 ワードローブ
いくつものルネットが重なったデザインがめずらしいワードローブ。
ゴシック様式の家具らしい重厚な雰囲気を楽しめます。

1930年代 コンソールテーブル
天板下の幕板部分に並んだルネットが目を引くコンソールテーブル。
ツイスト足とのコラボが美しく、置いてあるだけで絵になる存在です。

1930年代 ゲートレッグテーブル
天板の縁取りをルネットでグルッと囲までた人気のゲートレッグテーブル。
畳んだ時に天板のルネットが際立って見えて、とても素敵です。

1930年代 ガラスキャビネット
ガラスキャビネットの下の部分にルネットを発見!
重なったルネットがまるでフリルみたいで重厚感の中に可愛らしさが漂います。
Room
ルネットと暮らす部屋
特別、豪華なわけでもないのに、存在感がある小さなお月さまの入った家具を使ったお部屋をご紹介します。
ROOM01 ダイニング

ルネットが彫られたキャビネットと、相性抜群のバルボスレッグのダイニングテーブルを組み合わせた、重厚な雰囲気のダイニングです。

オープンシェルフの上部に浅浮き彫りされたルネットのおかげで、シンプルなデザインのオープンキャビネットに重厚感と高級感がプラス!
いろんな使い方が出来るので、ダイニングでは普段使いのお皿やカトラリーを入れて食器棚として使うのはもちろん、いろんな調味料を並べたり、家電置き場としても使えます。ついつい中が雑多になりがちなオープンシェルフも、ルネットが目を惹くので、入れたもの全てがステキに見えます。


ROOM02リビング

天板の縁取りにルネットが彫られたゲートレッグテーブルを中心に、ティータイムを楽しむリビング。
あえてソファは置かずにテーブルと椅子でくつろげるスペースを作ってみたら、まるで英国パブのような雰囲気。
オーク材で揃えたリビングは、落ち着いた大人の空間です。

ゲートレッグテーブルを畳んで天板を下せば、コンソールテーブルとして素敵に使えます。
天板をぐるりと囲むように施されたルネットが正面に見えて、お部屋のアクセントになってくれます。


ROOM03 書斎

テーブルの天板のすぐ下、幕板部分にルネットが並んだ、伸長式テーブルをデスクに使って、大人の書斎をコーディネートしました。
ダイニングテーブルはサイズが大きいので、ガッツリ仕事をする方の書斎におすすめ。
伸長式のテーブルなので、必要があればさらに大きく広げて使えて便利です。

ルネットとバルボスレッグがコラボした、重厚感たっぷりのテーブルと、仕事で使う機能的な椅子との組み合わせ。
素材もデザインも違うのに、不思議と違和感がなく見える所がアンティーク家具のスゴサ。
アンティークと現代の家具のミックスがおしゃれな書斎の完成です。


ROOM04 和室

英国のアンティーク家具らしいゴシック様式の彫りが入ったキャビネットと、スチューデントビューローを畳の寝室に置いてみました。
オーク材の家具と和室は相性バッチリ☆さらにシャンデリアを吊るして、大正ロマンの雰囲気漂うおしゃれな和室に仕上げてみました。

キラキラッと輝く、フランス生まれのアンティークシャンデリアや、赤い座面が印象的なサロンチェア。主役級の家具にも負けないくらい、ルネットが彫られたアンティークの家具は存在感があります。
それぞれの家具の個性を、一つにまとめあげている畳の力って、スゴイです。
Q&A
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水野 友紀子
空間スタイリスト。
アンティークショップHandleバイヤー。大学で小さい頃から好きだった化学実験が出来る薬学を専攻。薬剤師となり、製薬会社で研究職に就く。 結婚を機に、休日は嫁ぎ先の老舗家具屋の手伝いをすることに。
家具のことを学びながら、そこで得た知識と固定観念にとらわれない主婦目線での女性らしい提案が、お客様に喜んでもらえることが嬉しくなり、薬の研究を辞め、インテリアの研究に没頭することを決める。
アンティーク家具に出会い、それまで知らなかった世界に感動。 家具やインテリアに対して伝えたいことや、自らが買い付けてきたアンティークに対する想いを「買い付けうらばなし」や「まいにちハンドル」に綴り、日々配信中。
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アンティーク家具Handle
(水野商品館 株式会社)1903年創業
【店舗&倉庫】
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第521010008980号