- トップページ
- アンティークコラム
- アンティークの選び方
- アンティークを装飾や細工から選ぶ
- アーチとは?アンティーク家具の装飾に含まれた意味と魅力
アーチとは?アンティーク家具の装飾に含まれた意味と魅力
- 水野 友紀子
アンティークの家具を買い付け始めて間もない頃、いろんなデザインが見つかる一点もののアンティーク家具の中にも「定番」のデザインがあることに気が付きました。
特に人気がある定番デザイン。それが大聖堂で使われた建築のデザイン「アーチ」です。アーチと言ってもいろんな形があるアンティーク家具の定番デザインを見てみましょう。
Handle 水野 友紀子
Arch
アーチとは
「アーチ(Arch)」とは、中央が上方向に弧を描く曲線形状や構造物のことを言います。
アーチと聞くと、橋や門のイメージが強いんですが、実は、建築物にも多く使われているアーチ。歴史も古く、メソポタミア、古代エジプト、古代ギリシアなどの建築物でたくさん使われてきました。
その後、長い時代を経て、家具の装飾の一部としてアーチが使われるようになり、アンティーク家具の中でも様々な家具の装飾で使われているアーチを見つけることが出来ます。
History
ロマネスク様式vsゴシック様式
ローマ帝国でいろんな建築に使われ、ローマ建築を代表するデザインになったアーチ。その後、ロマネスク様式とゴシック様式に分かれることで、形が変化していき、いろんなデザインのアーチが出来上がっていきました。
ロマネスク様式
×半円アーチ
10世紀後半にヨーロッパ各地で広まったロマネスク様式。
「ロマネスク」とは「ローマ風」という意味で、特徴は分厚い壁、小さな窓、そして「半円アーチ」です。
ロマネスク様式の有名な建物がイタリアのピサの斜塔で有名な、ピサの大聖堂。
入り口や窓、壁など建物全体に、半円アーチがズラーっと並んでいます。
ドイツのトリーア大聖堂も、ロマネスク様式の代表。小さい窓から大きな窓まで、全てが半円アーチです。
このように、11~12世紀にかけて建てられたロマネスク様式のヨーロッパの教会や修道院で多くの半円アーチが使われ、その後、家具の装飾にも取り入れられました。
ゴシック様式
×尖頭アーチ
12世紀半ばのヨーロッパで、ロマネスク建築がさらに発展し、洗練されたゴシック建築が誕生しました。
ゴシック建築の一番の特徴は、尖った先端から緩やかに弧を描きながら長方形に下りてくる「尖頭アーチ」(ポインテッドアーチ)です。
大火事にあってしまったフランスのノートルダム大聖堂もゴシック建築を代表する建築物の一つで、入り口部分にもたくさんのポインテッドアーチを見つけることが出来ます。
他のゴシック建築の特徴は、「リヴ・ヴォールド」と呼ばれるアーチ状の筋を付けた円天井と、「フライングバットレス」と呼ばれる、空中にアーチ状に掛ける飛び梁。
これらの構造体のおかげで、建物や天井を、壁面ではなく柱で支えることが可能になり、外壁の柱と柱の間に、大きな窓が設置できるようになりました。
街を代表する大聖堂がゴシック様式で建築され、大きな窓には文字が読めない人にも聖書の内容が伝わる絵がステンドグラスで描かれました。
なので、当時の人々にとっては、ゴシック様式の建築物自体が天国へ導く神の象徴のような存在。とても大切な場所です。
そんな大切な場所のデザインが、その後、自宅で使う家具の装飾として使われるようになり、いろんなアーチを使った家具がたくさん誕生したので、今もアンティーク家具の中で見つけることが出来ます。
Type
いろいろありますアーチの形
時代の進む中で、いろんなアーチのデザインが誕生し、家具の装飾としても使われてきました。
よく見てみると、いろんな形のアーチがたくさんの家具で使われているので、並べて比べてみてみましょう。
Item
家具の中のアーチ
アーチは長い歴史の中で、いろんな装飾に使われた定番のデザインです。
家具の装飾でも、ずっと変わらず人気のアーチを使った今までHandleでご紹介してきたアーチを使ったアンティーク家具をご紹介します。
代表的な尖頭アーチ、ポインテッドアーチが特徴的な1930年代のマホガニー材のガラスキャビネット。
ゴシック様式の代表的なアーチで、ハーフムーンのキャビネットをより美しく見せてくれる人気のデザインです。
葱花アーチとも呼ばれる先端がキュッと細くなったオジーアーチの1930年代のマホガニー材のキャビネット。
スクエア型のキャビネットオジーアーチが均一に並び均衡性のあるデザインです。
半円アーチの1920年代のオーク材のコファ。
ロマネスク様式を代表する半円アーチと柱の装飾が入り、どっしりとした重厚感のある雰囲気です。
上部に小さな三弁アーチが並び、さらに馬蹄型アーチのミラーがついた1920年代のオーク材で作られたホールスタンドです。
シンプルながら1つの家具にアンティークならではの様々な装飾が入り、実用的でいろんな角度で楽しめる家具です。
ポインテッドアーチにトレーサリーの装飾がたっぷりと入った、1900年代のオーク材で作られたキャビネットです。
ゴシック様式の正統派!という印象で、どっしりとした重厚感と迫力のある存在感です。
半円アーチの中に多弁アーチが組み合わされた、1920年代のオーク材で作られたカウンターです。
アーチの中はカラーガラスとミラーが入り、遊び心もあって高級感もたっぷり。
Room
アーチがあるお部屋
長い歴史の中で生まれたアーチの曲線が生み出す造形美を、お部屋の中に家具として取り入れて楽しんでみましょう。
room1 リビング
オジーアーチの装飾が入ったガラスキャビネットが主役のリビング。
線が細く、女性らしい雰囲気のガラスキャビネットに合わせて華奢なセティとサロンチェアを合わせました。
華やかなティータイムを過ごせそうです。
room2 ダイニング
ゴシック様式で統一した重厚感のあるダイニングです。
尖頭アーチにトレーサリーの装飾が入ったキャビネットはどこから見ても存在感抜群。
その迫力に負けないダイニングテーブルで、落ち着いた大人の空間です。
room3 和室
高級感たっぷりのデスクに半円アーチのコーナーキャビネットで作った大人の書斎。
こんな素敵な書斎なら、仕事も勉強もはかどりそうです。
room4 玄関
お家の顔になる玄関には、扇形アーチのワードローブをメインに。
重厚感のあるデザインがお家もワンランクUPさせてくれます。
Voice
みんなのアーチの家具をのぞいてみよう
嫁いでいただいた飾り棚は写真のようになりました。
想像以上に凛とした気品を感じます。大変気に入りました。
大きくて悩んだんですが、気になってしかたなくて旦那に内緒で購入しちゃいました。
4歳になる娘がなぜか大喜びで自分の物を入れています。収納力抜群で圧迫感なしで、毎日ニヤニヤしています。
無事にガラスキャビネットが届きました ありがとうございました
長年しまい込んでいた食器たちを飾って、主人とふたり、いいねと何度も言ってしまいました!
キャビネットを受け取りました。とても素敵で感激です!!
キャビネットの中には、去年、母とコッツウォルズのアンティーク巡りをして購入したスージークーパーの食器セットを入れてみました。
-
水野 友紀子
空間スタイリスト。
アンティークショップHandleバイヤー。大学で小さい頃から好きだった化学実験が出来る薬学を専攻。薬剤師となり、製薬会社で研究職に就く。 結婚を機に、休日は嫁ぎ先の老舗家具屋の手伝いをすることに。
家具のことを学びながら、そこで得た知識と固定観念にとらわれない主婦目線での女性らしい提案が、お客様に喜んでもらえることが嬉しくなり、薬の研究を辞め、インテリアの研究に没頭することを決める。
アンティーク家具に出会い、それまで知らなかった世界に感動。 家具やインテリアに対して伝えたいことや、自らが買い付けてきたアンティークに対する想いを「買い付けうらばなし」や「まいにちハンドル」に綴り、日々配信中。
-
アンティーク家具Handle
(水野商品館 株式会社)1903年創業
【店舗&倉庫】
〒910-0019 福井市春山2-9-13
【南青山オフィス】
〒107-0062 東京都港区南青山5-4-41
古物商 福井県公安委員会許可
第521010008980号