ヴィクトル・ユゴー記念館で見るアンティーク家具の魅力

水野友紀子
水野 友紀子
アンティークのある暮らし

パリで最も美しい広場の一つ、ヴォージュ広場の一角にある「ヴィクトル・ユーゴ―記念館」とは、19世紀のフランスの文豪、ビクトルユーゴ―が1832年から16年間過ごしたパリのアパルトマンを、生誕100年になる1902年に改装し、1903年にオープンした記念館です。

1903年と言えば・・・うちのお店がオープンした年と一緒!(笑)

ユーゴーがデザインした家具やお部屋の雰囲気をそのままに移築された、センスのよさが光る記念館の中をたっぷりご紹介します。

「パリを世界で最も美しい街にしたい!」という願いを込めて17世紀に造られた、パリ市内で最も古い公園、ヴォ―ジュ広場

写真の右側の公園広場をグルっと囲む形で、レンガ造りのおしゃれな建物が建っているんですが、その1階部分はアーケード付きの回廊になっていて、雨の日も濡れずに歩くことが出来ます。

天井がレンガになっている素敵な回廊を歩いていると、まるで中世の街並みを歩いているような気分(笑)

右側の公園を眺めながら、ドンドン回廊を歩いていくと、そろそろヴィクトル・ユゴー記念館に到着です。

・・・がその前に、超おしゃれな車を発見!

建物がおしゃれで、また公園も美しい絵になることから、撮影スポットとして結婚式の写真を撮っていました。

せっかくなので記念撮影(笑)
いい写真が撮れて大満足したところで、記念館に入りましょう!

入り口には「Maison de Victor Hugo」と書かれたおしゃれな看板が出ています。

この建物は旧貴族邸。妻のアデルと結婚してから5回も転居を繰り返していたユーゴーが、30歳になった1832年から1848年まで、ようやく落ち着いて16年間もの長い期間暮らした場所です。

入り口でセキュリティーチェックを受けて、いよいよ記念館の中へ入ってみましょう!

記念館の中に入ってみると立派な木の腰壁と、可愛らしい模様の大理石の床が出迎えてくれました。

色使いもおしゃれ!
木製の腰壁とイエローの壁、そして大理石の床とのコラボがフランスらしい~!

歴史を感じさせる階段を上っていくと、踊り場の壁にはガラスペーストの浅浮き彫りが。

後から分かったんですが、この彫刻はペーストガラス6枚のパネルで出来ているもので、ユーゴーがペガサスに乗って、曙の女神オーロラに向かっている絵画になっているそうです。

窓ガラスにも、とっても素敵なステンドグラスがはめ込まれていてうっとり。

建物のパーツ、一つ一つがすごくこだわっているので、ここから先、どうなっているのか、さらに期待に胸が膨らむ~!(笑)

階段を上って出てきたこの美しい彫刻。なんだと思いますか??

実は、ユーゴ―の別荘にあった、ルネサンス様式のアパルトマンのドアなんです。

彫りが細かくて本当に豪華!こんな感じで、実際にユゴーが使っていたものが並んでいるお部屋の中にワクワクしながら中に入ると…

「ナニコレ~!?」と思わず声が出てしまった中国風のサロン

私が大好きないわゆる「シノワズリスタイル」のお部屋です。 ここからは、少し、ビクトルユーゴ―の話をしながら、お部屋の写真&説明をしていこうと思います。

そもそも、ビクトルユーゴ―が、どんな人だったかご存じですか??

高校の頃、英語の教科書に「ヴィクトル・ユーゴ―」が出ていたことはハッキリ覚えているんだけれど、だからと言って、何をした人なのか、恥ずかしながら全く知らなかった私(汗)

19世紀のフランスの文豪として有名なビクトルユーゴーと言えば、やっぱりミュージカルや映画にもなっている「レ・ミゼラブル」です。

でも、実は作家だけではなく、なんと!女性解放や貧困などの社会問題解決に尽力を尽くした政治家としての顔も持つ彼。

フランスの紙幣にもなるくらいの有名人です。

ちなみに、この中国風サロンは、ナポレオン3世によるクーデターで、ガンジー島に亡命し19年間生活を送った時の住まいを再現したもの。

一緒に祖国を離れ、亡命した恋人のジュリエット・ドルエの心を癒すため為に作ったサロンです。

妻がいるのに恋人?!と思った私ですが、実は、先に裏切ったのは妻のアデル(汗)

アデルに裏切られ、ひどく傷ついたユゴーは、1833年に自作の舞台で端役を演じた女優ジュリエットと恋に落ち、その後50年間、苦楽を共にしました。

この部屋の家具や装飾は、すべてユーゴーのデザイン。

しかも、単にデザインしただけではなく、原寸大の設計図を用意して、家具職人と一緒に製作まで行ったというからビックリ!

装飾の細部やモチーフに、ジュリエットへの深い愛情や二人の大切な思い出が込められているそうです。

愛情は要らないから、私の部屋も作って欲しい~!!

ユーゴーのセンスの良さに惹かれまくりです(笑)

素敵な入り口を通って次の部屋に入ると…ダイニングルームです。

この食堂は、ユゴーが特に好きだった中世のネオゴシック様式。

オーク材で造られた重厚な木製家具がとっても印象的なんですが、ダイニングチェアの背もたれを見てみると…チッペンデールチェア

こんな風に使われている姿を見ると、ますますチッペンデールチェアが好きになっちゃう~!!

ここにもビックリするほど重厚な彫りのキャビネット。

家具の彫のモチーフには亡命先のガーンジー島に近いノルマンディー地方の草花を採り入れているそうです。

彫りにばかり目が行っていましたが、キャビネットの真ん中付近、左右をよく見ると…左右にスタッフォードシャードッグを発見☆
ユーゴーも飾っていたのかな?

このダイニングルームの家具もシャンデリアもユゴーがデザインしたものだそうですが、あまりに重厚な木製シャンデリアの美しさに惚れ惚れしてしまう~!

ユーゴーは古い家具を新しいデザインに作り替えるのも得意だったらしく、家具職人も顔負けの仕事ぶりでいろんなものの製作を行ったようです。

この椅子の彫刻もスゴイ!一体、どうやって彫ったのか??不思議でしかない~!!

壁紙が鮮やかなグリーンの部屋は、ユーゴーの書斎。

実は、ユーゴーがデザインした家具がたくさん並んでいる中で、特に私が興味深かったのがこの家具なんですが、一体、何だと思いますか?

実は、立ったまま執筆するための…デスクなんです。

私も会社で仕事している時は、立ったままデスクに向かっているので、まさに私と同じ感じ!このデスクも私のために造ってほしい~(笑)

教科書で見た、ビクトルユーゴーの肖像画を発見☆

肖像画の下には、うちのお店でも大人気のフランスのチェスト「コモード」。

天板の上には彫刻が乗っていて、チェストがコンソールのように使われています。

そして、1870年に亡命先からフランスに帰国したユーゴーが晩年を過ごした、エロー通りの館を忠実に再現した寝室。

ステキすぎるこの天蓋ベッドで、1885年に自宅で息を引き取ったそうです。

ユーゴーの葬儀は国葬。200万人もの人が参列したというくらい、フランスの人にとって大切な存在だったことが分かるビクトルユーゴー

文才だけではなく、インテリアのセンスも抜群のユーゴーが住んでいた部屋は壁紙やカーテンもとっても素敵!

窓から見えるヴォ―ジュ広場は、ユーゴーがいた時代とそんなに変わらないとのことなので、この同じ景色をユーゴー見ていたのかな??なんて空想も楽しめます。

1階にはおしゃれなカフェも併設されていて、歴史を感じながら、ゆったりパリが楽しめる素敵な場所、ビクトルユーゴ―記念館でした。

ヴィクトル・ユゴー記念館
・住所: 6 place des Vosges75004 Paris
・電話:01 42 72 10 16
・休館日:月曜・祝祭日
 10:00~18:00




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水野友紀子

水野 友紀子

空間スタイリスト。
アンティークショップHandleバイヤー。

大学で小さい頃から好きだった化学実験が出来る薬学を専攻。薬剤師となり、製薬会社で研究職に就く。 結婚を機に、休日は嫁ぎ先の老舗家具屋の手伝いをすることに。
家具のことを学びながら、そこで得た知識と固定観念にとらわれない主婦目線での女性らしい提案が、お客様に喜んでもらえることが嬉しくなり、薬の研究を辞め、インテリアの研究に没頭することを決める。
アンティーク家具に出会い、それまで知らなかった世界に感動。 家具やインテリアに対して伝えたいことや、自らが買い付けてきたアンティークに対する想いを「買い付けうらばなし」や「まいにちハンドル」に綴り、日々配信中。

アンティーク家具Handle
(水野商品館 株式会社)

1903年創業

【店舗&倉庫】
〒910-0019 福井市春山2-9-13

【南青山オフィス】
〒107-0062 東京都港区南青山5-4-41

古物商 福井県公安委員会許可
第521010008980号



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