イパーンとは?アンティークの器の歴史とうらばなし

水野友紀子
水野 友紀子

イパーン(Epergne)

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あまり聞きなれない言葉「イパーン(Epergne)」とは、テーブルの真ん中に置いて使う装飾的な器のことです。

デザインが美しいデザインのものばかりなので、「食卓の女王」とも呼ばれる「見せるための器」イパーンについてお話しします。

Handle 水野友紀子

イパーンとは

テーブルの真ん中に置いて イパーン(Epergne)とは、食卓の真ん中を豪華に彩る、ガラスやシルバーなどで出来た装飾を兼ねた飾り器=センターピースのことです。

18~19世紀のヴィクトリア朝の英国貴族たちがダイニングテーブルの上に、いろんな料理や調味料、フルーツやお菓子を入れたお皿がいくつも付いている大型のスタンド式の器を置いて使うようになったのが始まりです。

イパーン

ビクトリア朝後期になると、食べ物だけでなくお花を飾れるようなトランペット形の花瓶が大人気になり、「フラワーイパーン」へと進化していきました。

英国貴族が使っていたものなので、シルバーで出来ているものがほとんど。まれにガラスや磁器で作られているめずらしいイパーンが見つかります。


イパーンのはじまり

イパーンが誕生したのは、18世紀初頭の英国の上流階級の食卓。

初期のものは銀製で、中央に大きなボウル、その両端や周囲に小さな皿や器を付けたもので、横に長く高さも低いものが主流。砂糖菓子やフルーツなどをイパーンに盛って立体的に並べていました。

この頃のイパーンは一流の銀職人が手がけるステータスシンボルの銀器。富と権力を誇示する装飾を兼ねたテーブルウェアとして英国貴族の間で大流行しました。

アフタヌーンティー

その後、18世紀後半から19世紀にかけて、イパーンは英国貴族や富裕層の食卓のセンターピースへと進化していきます。

中央に大きなボウルや花器が備えられていたり、中央から枝のように伸びるアームで立体的に見せるような豪華なデザインのものも登場。

19世紀に入ると、それまで主流だった「シルバー」や「シルバープレート」だけでなく、カットガラスやオパールセントガラスなど、ガラスの花器とボウルを組み合わせたタイプが流行しました。

それとともに、調味料やお菓子、フルーツを盛るための器だったイパーンは、花器としての役割がどんどん強まっていき、フラワーイパーン=花器へと進化。より装飾性の高いセンターピースになっていきました。

そんなイパーンも、20世紀以降の豪華な晩餐文化の衰退とともに日常から姿を消し、今では作られることがないアンティークらしい華やかな器として世界中のコレクターから愛されています。

イパーンのうらばなし

イパーンの語源は、フランス語で節約や倹約を表す「épargne」(エパルニエ)。

なぜ、こんなに豪華なものが節約?!と思いますよね?!(笑)実は、省いたのは…「給仕(ウェイター)の手間」

当時の豪華なディナーのテーブルは、たくさんの料理や調味料、フルーツ、お菓子がいっぱい並べられていました・・・が、テーブルが大きすぎて、座っている貴族たちの手が…届かない(汗)

なので、その都度、使用人を呼んで欲しいものを取らせていましたが、使用人の数がたくさん必要になる・・・(大汗)

ということで、手が届く場所にイパーンをドカンと置いて、自分で取ってもらうことに。おかげで使用人の数を減らす(節約)することにも成功(笑)

贅沢に見せておきながらも、使用人の数と手間が節約できる!という、貴族たちのちゃっかりしたアイデアから生まれた豪華な器でした。

フランス語が語源になっているイパーンですが、実は、フランスではイパーンのような豪華なセンターピースのことを「Surtout de table(スルトゥ・ド・テーブル)」と呼ぶので、イパーンと呼ばれある器はありません!

18世紀、イギリスの貴族たちの間では「フランスの宮廷文化=最先端でおしゃれ!」というフレンチ・シックへの憧れが大ブームに!

そこで「これ、フランスっぽくて格好いいから、フランス語の「エパルニエ」をもじって「イパーン」って呼ぼうぜ!」みたいな感じで、作られた造語が定着したと言われています(笑)

イパーンコレクション


シルバー(コンポート)

シルバープレートのイパーン

フルーツなどを置くコンポートと、花器が一体になったシルバープレートのイパーンです。

イパーンの原型のようなクラシックな二段タイプのデザインです。 一つでテーブルコーディネートが完成。ティータイムやパーティーの「主役」になるセンターピースです。


シルバー(花器)

シルバープレートのイパーン

くるんとカールした脚が可愛い、シルバープレートのフラワースタンドタイプのイパーンです。

中央の背の高いベースと、周りの3本の小さな花器にお花を挿すだけで、テーブルの上が一気に華やかなアレンジに早変わり。

ダイニングのセンターピースにはもちろん、コンソールやサイドボードの上に飾っても絵になるデザインです。


アンティークガラス

アンティークガラスのイパーン

繊細なカッティングが施されたアンティークガラスとシルバープレートの組み合わせが美しい、フラワーベースタイプのイパーンです。

中央の背の高いベースと周りの3本にそれぞれお花を挿すだけで、テーブルの上に立体感のあるアレンジが完成。

ダイニングやリビングのセンターピースとして、上品な華やかさをプラスしてくれます。


カラーガラス

カラーガラスのイパーン

花びらのように波打つ縁取りと、グラデーションのピンク色が目を惹くカラーガラスが愛らしいイパーンです。

中央と左右の3本にお花やグリーンをふんわり挿すだけで、テーブルの上にロマンチックな華やかさをプラス。

装飾の入ったシルバープレートのスタンドが、アンティークらしい風格をさりげなく演出してくれます。


アールヌーヴォー

アールヌーヴォースタイルのイパーン

19世紀末から20世紀初頭にヨーロッパで流行した装飾様式「アール・ヌーヴォー」の影響を受けて作られたイパーン。

植物の茎や花びらのような自然界を思わせる、アンシンメトリーの流れるような美しい曲線が特徴的です。

フラワーベースであることを忘れてしまうような優雅なフォルムが魅力的です。



【イパーン商品一覧】

テーブルを華やかに立体的に彩るセンターピース、アンティークのイパーンはコチラから



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水野友紀子

水野 友紀子

空間スタイリスト。
アンティークショップHandleバイヤー。

大学で小さい頃から好きだった化学実験が出来る薬学を専攻。薬剤師となり、製薬会社で研究職に就く。 結婚を機に、休日は嫁ぎ先の老舗家具屋の手伝いをすることに。
家具のことを学びながら、そこで得た知識と固定観念にとらわれない主婦目線での女性らしい提案が、お客様に喜んでもらえることが嬉しくなり、薬の研究を辞め、インテリアの研究に没頭することを決める。
アンティーク家具に出会い、それまで知らなかった世界に感動。 家具やインテリアに対して伝えたいことや、自らが買い付けてきたアンティークに対する想いを「買い付けうらばなし」や「まいにちハンドル」に綴り、日々配信中。

アンティーク家具Handle
(水野商品館 株式会社)

1903年創業

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