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エリザベス様式の家具
前王女メアリー1世が死去し、その異母妹であったエリザベス1世が王位に就くと、長くくすぶっていたカトリックとプロテスタント達の宗教問題の解決や、イギリスの海軍が無敵艦隊と呼ばれたスペイン海軍を破り世界の海を支配するようになり、外交的にも優位な時代に突入しました。それによりイギリスの国内は今までにないほどの安定と発展の時期を迎えます。
生活が安定することにより、多くの人々が家を構えるようになりそれぞれの階級の生活に合わせたそれぞれの家具が作られるようになります。
今までのように、大地主が召使いや使用人達と暮らし一緒に寝食を共にしていた人々が個々に家を持つようになり、その家族の分だけの家具が必要となったのです。
まずは、ダイニングテーブルを置いていた部屋の真ん中にあった火を焚く場所が壁の中に収めて作ることが出来るようになり、部屋の真ん中にテーブルを置くことが出来るようになります。
挽きもの細工で出来た球根型(バルバス)を施した4本~6本ほどの脚がつき、天板の下には帯状装飾のある幕板が付けられるようになりました。
高級なものになればなるほど幕板の装飾は豪華になり、彫刻や簡単な象嵌などで装飾していました。
そして、今まで壁を背もたれにして使っていた椅子たちにも背もたれがつき、ダイニングチェアーという家庭用家具が確立された時代でした。
生活に密着した家具が作られるようになり、装飾的に作られるようになったことにより職人達も寄り高い技術・芸術を磨くようになりました。
エリザベス時代を代表する家具の装飾は、やっぱりなんと言ってもバルボスレッグを代表とするの挽きもの細工。
このバルボスレッグは球根(bulbous)からとられており、ブルボーズともよばれ、さらに見た目からパイナップルレッグなどとも呼ばれます。
この時代のバルボスデザインの主流はダブルカップやカップ&カバー(コップと受け皿のような形)といわれる大ぶりな球根型で、彫りもたっぷり入って豪華で迫力のあるデザインでした。
紡錘(スピンドル)型の挽きものもよくみられ、16世紀末ごろから家庭にも置かれるようになった食料用棚や玄関用戸棚などの扉や支柱などにバルボスと合わせて使われていました。
またテーブルの幕板にはストラップワークといわれる革ひもをモチーフにした彫りもエリザベス時代の特徴的なデザインでした。
そして、その挽きもの細工の装飾は次なる、ジャコビアン様式のボビンターニングレッグへと継がれていくのです。
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