実は、家具を買えるチャンスって、一生のうちに、たった3回だけってご存知ですか??
いやいや、そんなことないでしょう・・・と思うかもしれませんが本当なんです!私も家具屋に嫁に来て、そのことに気が付いた時、驚きました。
例えば、インテリアが好きで、模様替えが好きで、インテリア雑誌をよく読んでいる方でも、思い出してみると、ちょっとした収納ケースや隙間家具みたいな小さい家具などを除くと、意外に家具を買うことが出来る機会って少ないってことに気が付いて頂けると思います。
と言うことで、今回は、人生でたった3回しかない貴重な機会、家具の選び方についてお話しします。
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人生でたった3回しかない家具の選び方
- 水野 友紀子
人生で3回だけの家具選びとは
じゃあ、実際に、家具を買う3回のチャンスって、いつだと思いますか??
まず、一回目は・・・結婚する時です。
「婚礼家具」と言う言葉を聞いたことがあると思いますが、昔は結婚が決まると、まず、両家で結納を交わすことが一般的でした。 その後、嫁ぐ側はお嫁にいく準備をするのですが、その中で一番重要視されていたのが「家具」でした。
着物を入れる桐箪笥や食器棚、鏡物と言われるドレッサーなどを一式揃え、自宅の和室や客間に飾り、親族や近所の人に見てもらっていた後、相手方のお家に「道具運び」と言う儀式で運びました。
この道具運び。地方によっていろいろあるのですが、私たちが住んでいる福井県は婚礼の儀式が派手!
なので、私が嫁に来たときは、紅白幕を巻いた全面ガラス張りのトラックに家具を詰みこんで、音楽を鳴らしながら家具を運びました(笑)
今は簡素化してしまったので、ガラス車もほぼなくなってしまいましたが、結婚って、人生の中で一番大きな節目。
今も昔も、両親からプレゼントされることが多く、新しい生活を始める上で、初めて手に入れる思い入れのある家具であることは、変わらず同じです。
私も、結婚する時に両親から買ってもらった家具は、今も使い続けているんですが、父が亡くなった今、父から買ってもらった家具を私が捨てることって出来ないな・・・って思うんです。
また、呉服屋の娘の私は、祖母から結婚のお祝いに、総桐箪笥を買ってもらったのですが、総桐箪笥を開ける度に、祖母との思い出があふれてきます。
もちろん、今の時代、私のように総桐箪笥を持ってくる人は少ないと思いますが、結婚する時には、何かしら家具を選ぶハズ。それは、どれもこれも、結婚する時の想い出が詰まっていく家具。
なので、最近は「新築の時にいいものを買うから、結婚の時は簡単に・・・」と言う方も多いですが、私は、結婚の時に買うからこそ、カンタンに捨てていい家具ではなく、「想い出を残すことが出来る質のいいもの」を選んでほしいと思っています。
2回目のチャンスは「家を建てる(買う)とき」
家具を購入する機会で一番多いのが、憧れのマイホームを建てたりマンションを買ったりする時です。
この時が、家具を買う2回目のチャンス!
何も分からなかった結婚の時とは違って、自分たちの生活の基盤も出来ているので、選ぶ家具のイメージも湧きやすいと思います。
・・・が!!!家を建てたり買ったりするときは、家にお金がたくさんかかるので、自分の理想とする家具を予算面で買えない方が多いというのが事実です。
と言うのも、そもそも、家を建てる時には、中に入れる家具のことを含めたインテリアを考えて予算を組む方がいないからです。
もちろん、建物は大切なので、そちらに予算をかけるのは当たり前!ですが、前にもお話しした通り、家は箱。
どんなにお金をかけて素敵に仕上げても、中に入れるものがステキじゃなければ、居心地のいい住空間は出来上がりません!
そうならないためには、家の予算を組む段階で、一緒に家の中に入れる家具や照明器具などの予算を考えておくことが大切なんです。
また、実は、さっきお話しした1回目の家具を買うチャンス「結婚の時」に、新築したことを考えて、そのまま使えるしっかりした家具を選んでおくこともポイントです。
先ほどもお話ししたように「新築する時に、いいものを選べばいいから、結婚する時はカンタンに捨てるものでいい」と言われる方も多いですが、私は違うと思っています。
と言うのも、結局、捨てるからと選んだ家具も、結婚する時に選ぶ家具は、なんだかんだ言って思い出が残るものなので、なかなか捨てることって出来ないし、最近は、捨てるのにもお金がかかる時代。
それだったら、捨てるために選ぶのではなく、じっくりと時間をかけて、質がよく、ずっと使い続けることが出来る家具を選んで、長く使い続けた方が、新築の際、新たに購入する必要がないので予算の面でも助かるし、自分も満足できて、お部屋も素敵になります!
新築の時にオススメの家具は、ソファや大型のテレビボード、サイドボードなど。家の予算と一緒に予算組みして、素敵なお部屋に仕上げて下さい。
最後、3回目は「子ども」のため
3回目のチャンスは、実は自分のためではなく子どものための家具選びです。
お子さんが生まれた時に、子ども用のお洋服を入れるチェスト。
小学校に入る時に買うのが勉強机。
そして、大学生になって、一人暮らしする時の家具。
どれも、自分用というより、子どものために家具を選ぶ機会が3回目のチャンスです。
勉強机は、子ども用でもあり、おじいちゃんおばあちゃんからお孫さんへのプレゼントというご家庭もあると思います。
私の場合、子どもが生まれた時のチェストは、結婚する時に立派なものを購入していたので必要なくて、勉強机は子どもが初めて自分用に使う家具だから、実家の父と母に買ってもらいました(笑)
と言うのも、実は、以前、うちのお店にやって来られたお客様のこんなエピソードを見てしまったからなんです。
お孫さんと一緒に勉強机を買いに来た老夫婦。お孫さんが気に入ってしまったのが、うちのお店でも一番高額のデスク!確かに素材もピカイチで何の申し分もない立派なデスクでしたが、正直2人とも困った表情でした。
その時、私の目の前で驚くべき光景が!小学校に入学前の小さな男の子が、デスクの前で手を付いて深々と頭を下げて
「おじいちゃん、おばあちゃん、これがいい!ぼく、小学校に入ったら一生懸命勉強するから、お願いします!」
それを見たお2人はとっても驚いた表情でしたが、すぐにニコニコ顔で「頑張って勉強するんだよ。」と即決してくれたんです。
今、そのお子さんは大学生。先日お会いした時に、
「あの時は小学生にこんなに高い机を・・・と思ったけれど、今になってみたら、ずっと大切に使って約束どおり勉強しているから、あの時にいいものを買ってあげて本当によかったわ~」
とのお言葉を頂きました。
実は、一人暮らしのお部屋にも、デスクを持って行ったとのこと。多分、これからもずっと「おじいちゃんとおばあちゃんに買ってもらったぼくのデスク」は、みんなの思い出の中で、大切にしてもらえるんだろうな・・・
そんな風に思うと、大きくなってからもずっと使い続けることが出来るしっかりしたものを購入して、ずっとみんなの心の中で思い出に残る家具を買ってあげて欲しいな・・・と個人的に思っています。
「家具を選ぶ」時は、いつも思い出が残る節目の時
実は、家具を選ぶ時って、人生に於いて、大きな節目の時なんです。
結婚にしても、新築やリフォームにしても、出産や勉強机にしても、どれもこれも思い出に残る大きな節目になる時。
そんな時にしかチャンスが来ない家具選び。だからこそ、せっかく購入するのであれば、ずっと飽きずに大切に使えて、みんなで思い出が語ることが出来る家具をしっかり選んで欲しいなと思っています。
どんな家具でも、一度買ってしまったら、お洋服のように季節や流行に合わせて捨てないもの。だからこそ、ずっと使えるお気に入りの家具を、思い切って買って自分のそばに置いてみませんか??
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水野 友紀子
空間スタイリスト。
アンティークショップHandleバイヤー。大学で小さい頃から好きだった化学実験が出来る薬学を専攻。薬剤師となり、製薬会社で研究職に就く。 結婚を機に、休日は嫁ぎ先の老舗家具屋の手伝いをすることに。
家具のことを学びながら、そこで得た知識と固定観念にとらわれない主婦目線での女性らしい提案が、お客様に喜んでもらえることが嬉しくなり、薬の研究を辞め、インテリアの研究に没頭することを決める。
アンティーク家具に出会い、それまで知らなかった世界に感動。 家具やインテリアに対して伝えたいことや、自らが買い付けてきたアンティークに対する想いを「買い付けうらばなし」や「まいにちハンドル」に綴り、日々配信中。
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アンティーク家具Handle
(水野商品館 株式会社)1903年創業
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第521010008980号
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