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エドワーディアン様式のアンティーク家具
- 水野 友紀子
アンティーク家具屋を始めた頃は、全然興味がなかったんだけれど、知れば知るほど気になってきたのがエドワーディアンスタイルのもの。
シンプルなデザインの中に凛とした高級感が漂うエドワーディアンスタイルの家具について詳しくお話します。
Handle 水野 友紀子
エドワーディアン様式とは?
エドワーディアン様式(Edwardian)とは、ヴィクトリア女王の長男、エドワード7世が在位中の1901~1910年の間に流行した家具のスタイルのことを言います。
ヴィクトリア女王の統治期間が65年間と、とても長かったので、エドワード7世が国王に即位したときは59歳。
そのため在位期間は10年ほどでしたが、語学が堪能で類まれな外交センスを持っていたエドワード7世は、ヴィクトリア時代からの脱却を進め、それまでとは違う独自のスタイルを確立していきました。
在位期間が対照的なように、ビクトリア時代とエドワーディアン時代も対照的。
タブーも多く堅苦しい社会だったビクトリア期に対し、エドワーディアン期はヨーロッパ大陸の芸術やファッションから影響を受け、文化、芸術面において独自の新しいスタイルが育まれました。
ビクトリアン様式では重厚なデザインの家具が多かったのに対し、エドワーディアン様式では直線的でシンプルな家具がデザインされました。
また、家具のサイズもロンドンの住環境に合わせて、小ぶりなものが造られたため、日本のお家にも合わせやすいサイズのものが多く人気です。
ビクトリアン VS エドワーディアン
在位期間が対照的なように、家具のデザインもビクトリアン様式とエドワーディアン様式では対照的。
曲線的で豪華なデザインのビクトリアン様式に対し、エドワーディアン様式の家具は、直線的でスッキリとシンプル。シンメトリー(左右対称)なデザインが特徴です。
ビクトリアン様式
・曲線的
・植物やお花の図案
・豪華で華やか
エドワーディアン様式
・直線的
・シンメトリー
・シンプル
エドワーディアン様式の家具の特徴
エドワーディアン様式の家具は、過去の様式を模したリバイバルデザインが主流。クイーンアン様式やチッペンデール様式をモチーフにした工業生産品として、たくさんの家具が出回りました。
当時の住宅環境に合うよう、スケールダウンした家具が多く造られたので、日本のお家でも使いやすい小ぶりな家具が多いことも特徴です。
エドワーディアンスタイルの家具の特徴を3つのポイントにまとめてみました。
Point.1 スペードレッグ
エドワーディアンスタイルの家具の足は、直線的なテーパードレッグが基本。特にトランプのスペードをひっくり返したような「スペードレッグ」と呼ばれるデザインのものが人気です。
これだけ細い足で十分な強度が保てると言うことは、いい素材が使われている証。上質なマホガニーやウォールナットを使っているバロメーターです。
Point.2 シンメトリー
直線的でシンプルなデザインのエドワーディアンスタイルの家具は、左右が線対称になっているシンメトリーデザインのものが多いのも特徴です。
左右対称のデザインが、直線的な家具をよりスッキリと魅せてくれる効果があるので、凛とした高貴な雰囲気が漂う家具が多いです。
Point.3 ストリンギング
装飾の一つとして人気の象嵌。その中でも、細い線の形をした、ストリンキングと呼ばれる線象嵌が使われているのも特徴です。
家具のトップの部分や縁取り、さらに足先に向かって、さりげなく縁取るように入っているストリンギングは、家具全体をより直線的にスッキリと見せてくれる効果があります。
エドワーディアン様式の家具
スッキリとしたコンパクトなデザインが特徴のエドワーディアン様式の家具や椅子。
そんな、エドワーディアン様式の代表的なアイテムをご紹介します。
Item.1 ガラスキャビネット
エドワーディアン様式の中でも人気の、まっすぐ伸びたテーパードレッグが美しいガラスキャビネット。
スラリと伸びた長い脚が特徴で、スッキリとしたデザインに、アンティークらしい象嵌模様の装飾が施されたりと、素材の美しさを楽しむ家具です。
Item.2 ドレッサー
ちょっと珍しいデザインのドレッシングテーブル。
収納が少ない分、足先に向かって細くなるテイパードレッグの長い脚や、天板の上のミラーが強調されて、スッキリとした印象の中にも存在感があるドレッサーです。
Item.3 サイドチェスト
飾り棚としてもオシャレに使えるコンパクトサイズのサイドチェスト。
足元にも棚が付いていて、小さくてもスペースを無駄なく使える収納家具です。
Item.4 サロンチェア
上品なスペードレッグに、エドワーディアン様式らしいシンメトリーデザインが美しいサロンチェア。
脚やフレーム部分の木枠にもストリンギングの装飾が施されていて華やかな椅子です。
エドワーディアン様式のお部屋
エドワーディアンスタイルのアンティーク家具や椅子を使ってコーディネートしたお部屋をご紹介します。
Room.1 応接室・サロン
存在感たっぷりのパーラーキャビネットを中心に、お揃いの2脚のサロンチェアをシンメトリーに配置したエドワーディアンスタイルの応接室。
左右対称を意識して配置するだけで、カンタンにおしゃれなお部屋がコーディネート出来るので、いろいろ悩んでしまう方にオススメです。
Room.2 ダイニング
エドワーディアン様式の細くて長い足のテーブルセットに、ツイストが美しいチューダー様式のサイドボードを組み合わせてダイニングをコーディネートしました。
足が細く、重心が上にあるテーパードレッグの家具に、足元に重心のある家具を1つプラスすることで、上品すぎない落ち着いた印象のダイニングが完成です。
Room.3 リビング
ストレート脚の家具に、赤い座面のサロンセットを組み合わせたリビング。
テーパードレッグの家具でトータルコーディネートしたお部屋は、高貴な空気が漂います。
椅子の座面の色に合わせて赤いペルシャを敷いて、さらに格上げしてみましょう。
Room.4 玄関
大きなハーフムーン型のコンソールテーブルの両脇に、シンメトリーにヘップルホワイトチェアを配置した、エドワーディアン様式らしい玄関。
壁面の中心にミラーを置いて、両脇に壁掛けの照明を設置。さらにシャンデリアを真ん中に置いて、お客様をおもてなしする華やかな玄関が完成しました。
いかがでしたか?アンティークの買い付けを始めた頃は全く興味がなかったエドワーディアンスタイルの家具。
ですが、アンティークを深く知れば知るほど、この究極にシンプルな家具の美しさは、良質な素材を使っている証だということに気が付きました。
凛とした空気感を放つエドワーディアンスタイルの家具と、心が贅沢になる時間はいかがでしょう?
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水野 友紀子
空間スタイリスト。
アンティークショップHandleバイヤー。大学で小さい頃から好きだった化学実験が出来る薬学を専攻。薬剤師となり、製薬会社で研究職に就く。 結婚を機に、休日は嫁ぎ先の老舗家具屋の手伝いをすることに。
家具のことを学びながら、そこで得た知識と固定観念にとらわれない主婦目線での女性らしい提案が、お客様に喜んでもらえることが嬉しくなり、薬の研究を辞め、インテリアの研究に没頭することを決める。
アンティーク家具に出会い、それまで知らなかった世界に感動。 家具やインテリアに対して伝えたいことや、自らが買い付けてきたアンティークに対する想いを「買い付けうらばなし」や「まいにちハンドル」に綴り、日々配信中。
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アンティーク家具Handle
(水野商品館 株式会社)1903年創業
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【南青山オフィス】
〒107-0062 東京都港区南青山5-4-41
古物商 福井県公安委員会許可
第521010008980号
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