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使ってみて初めて分かった、壁付け照明の楽しみ方
- 水野 友紀子
いろんな照明器具があることは知っていたけれど・・・
照明でお部屋の雰囲気が変わることも分かっていたけれど・・・
照明がお部屋の雰囲気が大きく変えるっていうことの本当の意味を私に教えてくれたのは壁付けシャンデリアでした。
それまでの私の考え方をゴロっと変えてくれた壁付けシャンデリア。まだこの照明を使ったことがない方に、ぜひ心地よさを知ってお部屋に取り入れてもらいたいな・・・と思っています。
私のインテリアに対する考え方を変えてくれた照明器具
自宅をリフォームした時、家具屋の私は家具のことはもちろん、床や壁、ありとあらゆる素材に関してこだわりぬいていましたが、なぜか照明だけは、ほぼ完成すると言う時期まで何も決めていませんでした(汗)
もちろん、照明は大事ってことはよく分かっていたし、取り付け方にも十分な知識があったから、逆に、どうにでもなる!と面倒なことから逃げて後回しにしていた感じデス(苦笑)
でもやっぱり「それじゃダメだったんだ!」って言う事を、フランスからやってきたこの壁付けブラケットが教えてくれました。
リビングをポッと照らす「壁の灯り」
16畳ほどのわが家のリビング。それほど広くないリビングの壁から3灯の壁付けブラケットが夜を彩ってくれています。
3灯も付けていて言うのもなんなのですが、実は壁付けシャンデリアには全く興味がなかったんです(苦笑)
ところが、当時、自由ヶ丘でアンティークショップ「Lasboo」を営んでいらした小澤さんご夫妻のお家にオジャマした時、すっかり魅了されてしまいました。
それはお部屋に一歩足を踏み入れた時、真っ暗なお部屋の壁がポッと照らされているのが見えたんです。灯りの正体は上向きの壁付けのブラケット。
あまりにキレイで眺めていたら「日本では普通のお家で使わないよね。フランスのお家だと壁と言う壁、全部に付いている気がする・・・」って奥さんが言った言葉を聞いて、確かに上向きの照明がたくさん使われていることを思い出しました。
日本の一般家庭で上向きの壁付け照明器具を実際に使っているお家って見たことがなかったから、「ホテルやデパートとか特別な場所でしか使わないもの」って思い込んでいたんだ!って気が付いたんです。もちろん、それからすぐに壁付け照明器具探しが始まりました(笑)
お気に入りの第1号は、毎日使う場所に決まり!
見つけてきたお気に入りの第1号はガラスがキラキラと輝くフランスのアンティーク。正直言うと、ガラスビーズが付いたシャンデリアって派手なイメージがあって苦手だった私。
でも、本物のアンティークのガラスビーズを使った壁付けシャンデリアは、それまでのイメージとは全く違っていて上品。キラキラ輝いてすっかり魅了されてしまったんです。
すでに壁が出来上がってしまっている状態で、取り付け出来るのかもわからないまま「どうにかなる!」と勢いで連れて帰ってきましたが、電気屋さんに「壁があってもコンセントがある場所の上だったら、電気配線があるから取り付けが出来る」と教えてもらい一安心。
いつもだったらお店に来られるお客様に「図面の段階で家具の位置と照明器具を一緒に考えておくことが素敵なお家を作る秘訣です!」って偉そうにお話ししていた私は、図面の段階どころか、ほぼ完成している状態で慌ててコンセントの位置を確認し、どの場所に壁付け照明を取り付けるかを必死に考えました(苦笑)
悩みに悩んで決めた一番お気に入りの第1号の場所は・・・「階段!」
毎日、必ず使う場所だから、一番のお気に入りを付けたかったんです。
「まるで、壁に掛けた絵画だね。」
取り付けてもらおうと思った時にアクシデントが!電気屋さんが「今まで取り付けたことがないから、わからない!」って言うんです(苦笑)
フランス製。電気工事は同じだけれど、デザインを見るのも初めてのアンティーク。日本で壁付けの照明はほとんどが下向きだから、上下も分からなかったみたいで・・・
日本製と違って親切じゃないから、実はビスを入れる場所はなく、むしろ簡単にビスに引っ掛けるだけで止まるようになっているんだなってことに2人で気が付き、取り付けた後、電気屋さんが言った一言。
「今までこんな照明器具は見たことなかったけれど、これは照明と言うより、灯りの絵画みたいなものだね」
「照明器具じゃなくて、壁を照らす絵画」すっかり魅了された職人さんの言葉は、まさにその通りでした。
ちなみに、私と職人さんを魅了したこの壁付けシャンデリアの美しさをたくさんの方に知って欲しくて、これをモチーフに作ったのが、Handleオリジナルのシャンデリア「Lierre」です。
やっぱり取り付けるんだったらリビング!
階段に壁付けシャンデリアを1個取り付けてから、忙しくなりました。そう!照明に対する考え方がコロっと変わった私は「取り付けることが出来る全部の壁に壁付けシャンデリアを付けたい~!」と思い始めてしまったんです(苦笑)
でも、そのためには課題がいっぱい。まずはコンセントの位置を確認し、取り付け可能な場所をチェックした上で、もう、図面の段階で決めてある家具の配置と照らしあいながら、どこに付けるのか、どの器具を付けるのかを決めなくてはいけなかったんです。ちなみに、壁付けシャンデリアの買い付けにも行って、ハンドキャリーで持って帰ってこなくてはいけないと言う大きな大きな課題も残っていました(苦笑)
でも、頑張ればやっぱりどうにかなるものです!結局、全部の壁と言う私の野望は叶いませんでしたが、もう、ほぼ完成している時期でも取り付けやすかったリビングの壁に3つ取り付けることが出来ました。
夜と昼で表情が違う壁
リフォームが完成して、それまでのマンション生活と比べて大きく変わったことは、夜が楽しみになったことです。
それは、やっぱり照明が作り出す夜の雰囲気が、それまでの生活とは大きく異なったから。
それまで住んでいたマンションに取り付けられていたのは、一般的に良く使われる円盤状のシーリングライト。天井から1個の灯りだけでお部屋を照らしていた生活と比べて、夜、ダウンライトを消して壁付けシャンデリアとシャンデリアだけで作るお部屋の灯りは、影の部分が多く、見た目の美しさだけじゃなくリラックス出来る時間を作ってくれるようになりました。
写真を見てもらうと分かると思うんですが、全く同じ場所で撮っていても、夜、明かりを点けた時と昼で、雰囲気が大きく変わるんです。陰影が出来る夜、ここで過ごす時間が好きになりました。
わが家のシャンデリアをご紹介
正直、夜、明るいどころか、むしろ暗いわが家(笑)でも、本を読むのに暗い時にはスタンドライトを付ければいいし、仕事をする時にはデスクランプを使えばいいんだなってことに気が付いてから、夜、リビングはほぼ壁付けシャンデリアとシャンデリアだけの明かりだけです。
私にとって壁付けのシャンデリアは、明るさを求めると言うより、壁からの灯りが作り出すお部屋の雰囲気の方が大切なんです。
ソファの両脇を照らす壁付けシャンデリア
リビングのソファが置いてある壁の上には、向かって左側にピンクのアイアンの2灯、右側には白い陶器の1灯タイプ。
たまたまコンセントがある位置がちょうど、この下だったからと言うことで決まったのですが(笑)ソファを置いてみたらちょうどシンメトリーな雰囲気になって結果オーライでした。
ピンクって私が持つ自分のイメージとかけ離れているんだけれど(笑)なんだか優しい色に心惹かれて、セレクト。壁のペイントの色を決める時も、このピンクに似合う色と思って、ロイヤルミルクティ色に決めました!
本当は全く同じデザインのものをシンメトリーに置きたかったんだけれど、見つからなかったので、その次に気になっためずらしい陶器の壁付けシャンデリアを向かって右側の壁に。
横から見た時と、正面から見た時で、全然雰囲気が違うんですよね~まるで別人みたい(笑)
せっかくだったら、横から見てもらいたいので、リビングに入った時横から見えるようリビングの一番奥の場所でテレビ台の横に取り付けました。
私はアンティークのシェードが大好きで、ついつい見つけると買い付けて来てしまうんだけれど、その中でも一番のお気に入り。白いシェード×ブルーのリボンがとっても可愛くて気に入っています。
夜、電気を点けるとこんな感じ。電気を点けた時に、一緒に照らされる壁&お部屋の雰囲気が大好きなんです。
飾り棚としてい使っているウェルシュドレッサーの横には、大きなガラスが特徴の2灯タイプを。隣りに置いてあるオールドパインの家具に合わせてシェードもイエローで決めてみました。
実は、このシェード、電気を点けた時が一番可愛い!レース部分の陰影が、夜になると浮かび上がってきて、ステキなんです。
昼と夜で全く違う表情を見せてくれるし、気分に合わせてシェードも交換しているんですが、直接、電球の灯りが目に入らないからチカチカしなくていいって言う効果もあるんです。
「暗くないですか?」って聞かれるんだけれど、そんな方にこそ、とにかく一度試してみて欲しい~!照明器具は「暗い」「明るい」で評価するものではなかったんだなっていう意味が分かってもらえる「癒される空間」が出来上がります。
新しく仲間入りした場所
リフォームから10年経って、子どもたちも大きくなり、お友達が遊びに来ることも多くなって、狭すぎる玄関の土間に靴が入りきらないことから玄関部分だけをリフォームすることにしました。その時、待ってました!とばかりに絶対に取り付けたかったもの。そう!もちろん壁付けシャンデリアです。
実は、10年前に買い付けに行ったとき連れて帰ってきた中に、1つだけどうしても取り付けられなかったものがあったんです。10年の時を経て、やっと取り付けることが出来るチャンスがやってきました。
まず、図面の段階で位置を決定!
もちろん、今回は家具よりも、図面よりも先に、照明器具が決まっている状態からスタート!まずは10年前に買い付けてきた壁付け照明器具の場所を決めて、その横に窓代わりのステンドグラスを置くことに。最後に、家具を決めて図面が完成です!
10年前に私が準備していたのは、真鍮製のデザインが美しい2灯タイプ。10年経って改めて見直してみると、実に私らしい選び方だな~って。だって、準備した壁付けブラケットは、欲張りな私らしくデザインも素材も見事にバラバラ(笑)
アイアン、ガラスビーズ付き、色付き、真鍮。どれも同じものがないんです(大笑)
それとともに、アンティークだからこそ、10年経っても色褪せず、時代を追わずにそのまま使うことが出来るんだなって感じました。
夜のわが家の玄関は幻想的
点灯するとこんな感じ。ステンドの裏からと壁付け照明の明かりでぼんやりと薄暗く幻想的に照らされています。だから、夜、家に帰ってくる時が一番好き!薄暗いから散らかっていることはあまり気になりません(笑)
今、振り返ってみると、あの時、壁付けブラケットをお部屋に付けると言うことを知って、私のお部屋づくりに対する考え方がゴロっと変わりました。それまで意識したことがなく、付けようと思ったこともなかった壁付けのブラケットは、自分が付けてからいろんなお部屋を見てみると、確かに海外ではよく目にするもの。インテリア上級者の方のお部屋には必ず使われていた照明だって言うことに気が付きました。
上級者はよさを知っているから当たり前のように使っているんだけれど、私も自分で使うまでは一般の家庭で使うと言う使い方も知らなかったし、使ってみて初めて「夜の暗さ」と「照明の明るさ」の「陰影を楽しむ」と言うことを知りました。
照明器具の中では、正直かなりハードルが高くて、上級者向け。だからこそ、取り付けた時に美しさをもっともっとたくさんの方に伝えたい!と思っている壁付けのシャンデリア。日本でも当たり前の様に使われる日が来るといいな・・・と思っています。
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水野 友紀子
空間スタイリスト。
アンティークショップHandleバイヤー。大学で小さい頃から好きだった化学実験が出来る薬学を専攻。薬剤師となり、製薬会社で研究職に就く。 結婚を機に、休日は嫁ぎ先の老舗家具屋の手伝いをすることに。
家具のことを学びながら、そこで得た知識と固定観念にとらわれない主婦目線での女性らしい提案が、お客様に喜んでもらえることが嬉しくなり、薬の研究を辞め、インテリアの研究に没頭することを決める。
アンティーク家具に出会い、それまで知らなかった世界に感動。 家具やインテリアに対して伝えたいことや、自らが買い付けてきたアンティークに対する想いを「買い付けうらばなし」や「まいにちハンドル」に綴り、日々配信中。
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アンティーク家具Handle
(水野商品館 株式会社)1903年創業
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第521010008980号
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