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無垢材のパイン材テーブルのお手入れ方法は、塗装の方法によって違います
- 水野 友紀子
パイン材と言うと「パイナップルの木?」と聞かれることがあるのですが(笑)マツの木のことです。ほっこりとした優しい温かみのある木目が人気の木材ですが、好きな人は、お部屋全部をパイン材で揃えるくらい好きだし、苦手な方はとっても苦手・・・という感じで好き嫌いがハッキリ分かれる木材です
いろんな家具で見かけることがあるのですが、一言でパイン材と言ってもいろんなパイン材があって、価格もいろいろ。違いについいてお話ししますので、家具選びの参考にしてみてください。
パイン材は、マツ科の針葉樹からとれる木材のことです。50種類以上あるマツの中でも一般的にはヨーロッパの赤松のことを言いますが、種類がとても豊富で、育った場所によって堅さも色も、木目も違い、価格も大きく違います。
例えば、ホームセンターなどの木材コーナーでDIY用に販売されているものは、一年で驚くほど成長する暖かい地域で育ったものが多いので、価格も安価で手に入りやすく、気軽に使えますが、反りや割れも激しく、日照時間が短い寒い地方で育ったパイン材は、高額ですが丈夫で木目も詰まっています。
針葉樹なので柔らかく、誰でも加工がしやすいので人気があり、家具以外にも柱や梁、床材などの建材としても多く使われています。
無垢材で加工されているものがほとんどなので、柔らかい木材なのでキズも付きやすいですが、お直しもカンタン!自分で直すことが出来ます。
パイン材は長寿木。耐久性のある木なので、使うほどに変化していく色を楽しみながら長く使えることや、パイン材の一番の特徴である「節」がナチュラルな雰囲気を醸し出してくれるので、ナチュラルカントリースタイルのお部屋が好きな方に絶大なる支持を得ています。
家具によく用いられる広葉樹と違って、針葉樹のパイン材の家具は他の木材を使った家具とは少し違った特徴があります。
ナチュラルな親しみやすい木目が特徴的なパイン材。好き嫌いがハッキリ分かれる理由の一つが、パイン材には必ず入っている「節(ふし)」です。
ナチュラルな雰囲気を作り出してくれる節の入り方は、一つ一つ違うため、同じデザインの家具でも全く違う雰囲気に見えるのも特徴です。
ただし、節には二種類あって、ポコッと抜けてしまうものもあるので、購入する際は、抜けない「生き節」であることを確認するようにしましょう。
木肌が柔らかいので、触った時に、とってもあたたかい肌触りが人気のパイン材は無垢材を使って造られているものが多いです。
木肌が柔らかいのでキズが付きやすいですが、水分を含ませてあげることで膨れてもとに戻すことも出来ます。修理しながら使い続けることが出来るところも魅力です。
パイン材の種類によって、いろんな色がありますが、新しいパイン材の木肌は明るく薄い色です。
木材自体に油分が多いので、使っているうちに艶が出てきて、経年変化によって落ち着いた飴色へと変化します。
なので、アンティークとして残っているパイン材の家具は色も濃くツヤがあります。また気温が低く日照時間も短い北ヨーロッパのパイン材を使った状態がいいものだけ。とても貴重です。
現代では、節の多い木目がナチュラルな雰囲気のお部屋に欠かせないと人気のパイン材の家具。
ですが、マホガニー材やオーク材をメインに家具作りをしていた時代のヨーロッパでは、「節の多い木は、美しい家具には向かない」と、価値の低い木材として扱われていました。
なので、英国の大きなお屋敷では、パーラーなど人を招く部屋にはマホガニー、ウォルナットやオーク材の家具が、召使いたちが使っていた調理場や作業場などでは、パイン材の家具が使われていました。
パイン材は柔らかくて加工がしやすかったので、脚が挽物細工になっていたり、家具のサイドの部分に彫りが施されていたり・・・と、オシャレなデザインのものが多く、ヴィクトリア時代に英国のお屋敷で召使たちに使われていた家具がキッチンファーニチャーと呼ばれ、人気になりました。
また、安価なこともあり、高級家具を買うことが出来ない、労働者階級の人々が使う家具として、当時の家具メーカーは、パイン材の家具をマホガニーやサテンウッドなどの色合いに似せた色で塗装をし、KNOT(ノット)と呼ばれる節を隠した家具を作りました。
これがファッショナブルな家具として大人気になり、庶民に浸透していきました。
そのため、パイン材の家具は、キッチンで使われていた家具や、一般家庭用として使いやすい小ぶりなものも多いので、日本のお家で使いやすいサイズのものが多いです。
高級家具に憧れた庶民のために、高級家具を模して作ったパイン材の家具は、ペイントされているものがほとんどでしたが、19世紀に入ってから、無垢材のパイン材の家具の優しい木目や、柔らかさ、味わい深い魅力に気付いたヨーロッパの人たちの間で人気が高まりました。
それまでは節や虫食いを隠すためやペイントして使われていた家具のペンキをはがして、経年変化で美しくあめ色に変化した木目を楽しむ人が多くなり、今でも、ストリップド・パイン・ファニチャーと呼ばれる塗装を剥がす専用の業者さんが多く存在しています。
私たちが日本に連れて帰ってきているアンティークのパイン材の家具たちも、実は、もともとはペイントされていたものかもしれません・・・
アンティーク家具でみかけるパイン材にもいろんな種類がありますが、共通して言えることは、現代の家具で使われているパイン材と比べて、目がとても詰まっていると言うことです。
特に英国生まれのパイン材の家具で使われているパイン材は、北欧などとても寒く、日照時間が少ない地域で、少しずつ大きくなってきたもの。なので、年輪も詰まっていて細かく、暖かい地方であっという間に成長してきたパイン材とは、木目も堅さも丈夫さも違います。
パイン材は、家具はもちろん、建材でもよく使われていたので、英国の古いお屋敷などを解体すると、長年使われていた質のよいパイン材を手に入れることが出来ます。
そのパイン材を再利用したものがオールドパインと呼ばれ、長い年月を経て作りあげられた味わい深い表情は趣があると人気です。
古い木材を解体した際、完璧に分類するのが難しいので、いろんな種類のパイン材が混ざっていたり、場合によってはパイン材に似た他の木材が入る場合もありますが、
まとめて「オールドパイン」と呼ばれています。
アンティークで使われてるパイン材の中で、高価なものは、ピッチパインと呼ばれる主に北米に生育しているパイン材です。
普通のパイン材よりも重みがあり、木目が詰まってハッキリしていて、色が赤茶色です。
針葉樹の中で最も重い木材で、普通のパイン材よりも堅く、反りやねじれも少ないですが、木材として使える部分が少なく、価格が高価です。
パイン材の家具は、塗装の方法によって、お手入れ方法が違います。まず、家具を購入する際、何で塗装されているパイン材の家具なのかを確認するようにしましょう。
パイン材の家具は基本的に木目や香りを生かすよう、塗膜を張らない塗装の家具が多いのですが、大量生産の家具の場合は、表面に塗膜を作るウレタン塗装で仕上げてあります。その際は、ウレタン塗装の家具と同じメンテナンス方法になるので、一般的な家具と同じように普段は水拭きで大丈夫です。
パイン材の特性を生かすため、オイルやワックスなどの自然素材の塗装を施してある家具の場合は、塗膜が薄いため水気には弱く、普段は、綿100%の柔らかい布を使って乾拭きするか、テーブルなどは硬く絞った雑巾で水拭きしましょう。
パイン材は柔らかいので、堅いものを落とした場合などへこんだり、キズがつく可能性があります。
自然素材の塗装であれば、少し水を含ませたタオルを置いて、上からアイロンをかけると、カンタンに膨れてもとに戻ります!
こんな風に自分で修復しながら、味わいある家具に仕上げていくことが出来るのも、パイン材の魅力です。
また、新しい家具は反りやねじれが多いので、エアコンなどの冷暖房の風が直接当たると、その部分が乾燥して割れや反りが起きる可能性があります。置く場所に注意しましょう。
アンティークのパイン材の家具は、種類がとても少ないんです。主にダイニングで使われてきた家具が中心で、チェストやコンソールなどを見つけることが出来ます。
1960年代 チェスト
ほっこりとしたぬくもりが感じられる可愛いオールドパインのチェストは、お子さん用のチェストとしても人気です。
1960年代 ダイニングテーブル(k-1534-f)
カントリースタイルには欠かせないオールドパイン材のテーブル。天板の木目が詰まっていて、キレイなんです。
1950年代 オープンシェルフ
お部屋をあたたかい雰囲気で包み込んでくれるオープンシェルフは、収納力もたっぷり!主婦にも嬉しいポイントです。
1950年代 ドレッシングチェスト
めったに見つからない可愛いオールドパイン材のドレッシングチェスト。レアなアイテムです。
1940年代 キッチンカウンター
カップボードとして使われていたクローズキャビネット。引き出しと扉が付いて使い勝手も便利な家具です。
1930年代 コンソールテーブル
時々見つけることが出来るオールドパイン材コンソールテーブル。デスクとしても使える気軽なアンティークです。
庶民のために造られたパイン材の家具は、アイテムが少なめ。ですが、どれも実用的な家具ばかりなんです。
どの部屋に置いても優しくあたたかい家庭的な雰囲気を作ってくれます。
ほっこりとあたたかい雰囲気のダイニングを作ってくれるパイン材のテーブルは、アンティークのパイン材の家具の中では王道中の王道。
年月を経て、あめ色に変化し、艶が出てきた天板は、ナチュラルで優しい食卓を作ってくれます。
子ども部屋で使う家具として人気のパイン材の家具。ナチュラルなパイン材の家具は、置くだけで可愛い子ども部屋が出来あがります。
キズが付いても自分で直して使えるのも最大の魅力。キズが付いたら自分で直しながら使い続ける大人になって欲しいです。
針葉樹のパイン材には、フィトンチッドと呼ばれる香りがします。
まるで森林浴しているような優しい木の香りの家具で作る寝室は、心地よい眠りに誘ってくれます。
畳を敷いた和室のお部屋にも似合ってしまうパイン材の家具。
現代の日本の住宅でも建材としてよく使われる木材だから、畳の上でほっこり気分で、ゆったりとした時間を楽しんで下さい。
いかがでしたか?そもそも私は、パイン材のアンティーク家具が大好きで、アンティーク家具屋を始めてしまったくらい(笑)
このほっこりとしたなんとも言えないあたたかみのある雰囲気が大好きなんです。
もともと庶民の家具として造られたパイン材だけに、庶民の人たちならではの工夫がしてあるところも魅力的で、年月を経て得られた木目&手触りに癒されています。
最近は、アンティークディーラーの倉庫の中のパイン材の家具がかなり減ってきているので、なかなか集められなくなってきているので、まだ、買い付けできる間に、気になる方はぜひこのぬくもりを手に入れて下さい。
以上、Handle水野友紀子でした!
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水野 友紀子
空間スタイリスト。
アンティークショップHandleバイヤー。大学で小さい頃から好きだった化学実験が出来る薬学を専攻。薬剤師となり、製薬会社で研究職に就く。 結婚を機に、休日は嫁ぎ先の老舗家具屋の手伝いをすることに。
家具のことを学びながら、そこで得た知識と固定観念にとらわれない主婦目線での女性らしい提案が、お客様に喜んでもらえることが嬉しくなり、薬の研究を辞め、インテリアの研究に没頭することを決める。
アンティーク家具に出会い、それまで知らなかった世界に感動。 家具やインテリアに対して伝えたいことや、自らが買い付けてきたアンティークに対する想いを「買い付けうらばなし」や「まいにちハンドル」に綴り、日々配信中。
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