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ボビンターニングレッグとは?歴史と魅力を徹底解説!
- 水野 友紀子
ボビンターニングレッグ(Bobbin turning leg)
ボビンレッグとは、アンティーク家具に使われる挽き物細工の足のこと。ボビンターニングレッグとも呼ばれ、ポコポコっと丸い形が数珠つなぎになっているようなデザインのことを言います。
こけしを作るようにロクロを回して作られたボビンレッグのデザインは、1630~75年頃に大流行!
ジャコビアン様式の代表、挽き物細工(ターニングレッグ)の代表的デザインの1つとして、スピンドル(Spindle)とともに大人気でした。
糸巻き(=bobbin)の形をしたボビンレッグ
ボビンレッグのBobbin(ボビン)とは、糸巻きのこと。
当時、羊毛産業が盛んだったイギリスでは、毛糸を巻いた糸巻きは重要なもの。
また、昔から糸を紡ぐことは女性の仕事なので、中世のヨーロッパでは糸巻きは女性を表す象徴でした。
そんな糸巻きを重ねたボビンレッグは、女性らしいと大人気。いろんな家具のデザインとして使われるようになりました。
ボビンレッグの美しさとは逆に、機械がない時代に、ろくろの上に木を乗せて1つ1つを刃物で削り出していた家具職人。
同じような形の球を一つ一つ手作業で作ることは、当時、とても大変なことでした。
とっても大変な作業をしながら作り上げた美しいボビンレッグの家具。いろんな家具に使われて、女性らしく上品な雰囲気を演出してくれます。
いろいろなボビンターニングの家具
ボビンターニングの形には、いろいろなものがあり、いろんな家具で使われています。
ボビンの形も、まん丸のものから楕円形、平らで高さがないもの、さらにボビンとボビンの間に薄いリングが挟まれたものまで様々です。
最初の頃は椅子の脚などが主流でしたが、脚以外の枠組みの部分からテーブル、さらに縦半分に切って、箱物家具の装飾として使われるようになりました。
01. ボビンレッグの椅子
もともと、椅子の脚のデザインとして誕生したボビンレッグ。
その後、脚だけではなく、足と足をつなぐ桟の部分や枠組み、さらに背もたれの部分にも使われるようになっていきました。
この子は、背もたれのデザインもボビンターニングになっていて、全体を見た時に迫力がある~!!
足の部分のボビンレッグも、ボビンとボビンの間にリングが入っているボビンリングと呼ばれるデザインになっているので、存在感があって、まるでオブジェのように目で見ても楽しめる椅子です。
02. オケージョナルテーブル
ボビンレッグのアンティークの中で、一番数が多い定番のアイテムが、オケージョナルテーブルです。
一見、脚のデザインがツイストにも似ていますが、まん丸のボールが1個ずつポコポコっと連なっているようなデザインになっているので、ツイストより存在感があります。
3本の足を支える桟の部分もボビンの形。おしゃれな飾りも付いていて、まるで糸を紡ぐために作られたようなおしゃれな雰囲気のテーブルです。
03. ステッキスタンド
ちょっとめずらしい、平らな形のボビンがデザインされたボビンレッグのステッキスタンド。
ボビンの形が平らで高さがないので、その分、ボビンの数も多く、より華やかな印象です。
お家に来た人、みんなの目に最初に飛び込んでくる位置に置けば、お家を格上げしてくれること間違いなしです!
もともとは紳士の身だしなみグッズ、ステッキを置くための場所だった、ボビンレッグのステッキスタンドをおしゃれな傘立てとして使ってみましょう!
04. アンティークのワゴン
ワゴンと言うと、キッチンで使うイメージが強いんですが、アンティークのワゴンは形が美しいので、足先にキャスターが付いた収納家具として、いろんな場所でいろんな使い方が楽しめます。
特に脚のデザインが目立つボビンターニングレッグのワゴンは、、スッキリした印象の中に高級な空気が漂うデザイン。
さらに、この子のようなボビン(=糸巻き)の部分と、リング(=輪)が交互に組み合わさったボビンリングと呼ばれるデザインは、とても貴重で人気があります。
05. アンティークのデスク
ワゴンと同じようにボビンリングの入ったアンティークのデスク。脚が目立つデスクにボビンレッグが使われていると、脚の美しさがより強調されて素敵です。
この子も先ほどのワゴンと同じくボビンリングですが、同じボビンリングでもボビンの大きさや形、リングの枚数など、同じように見えて一点一点違う所がアンティーク家具のよさ。
ツイスト足の椅子と組み合わせても相性がとてもいいのでおススメです。
06. アンティークのチェスト
脚のデザインはバンフットですが、チェストの全体&引き出しの縁取りをよーく見てみると・・・ビーディングと呼ばれる、丸いビーズのような彫でグルッと囲まれています。
このポコポコしたビーズをよく見ると、ボビンレッグを半分にカットしたもの。
こんな風に脚以外にもボビンレッグのデザインを家具の中から見つけることが出来ます。
いかがでしたか?
当時の職人の技術の高さを目の当たりにする、まん丸の形がとっても可愛いボビンレッグ。
それほどたくさん見つかる装飾ではないので、この丸い形が気に入った形、ボビンレッグの家具と一緒に、アンティークのある暮らしを始めてみませんか?
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水野 友紀子
空間スタイリスト。
アンティークショップHandleバイヤー。大学で小さい頃から好きだった化学実験が出来る薬学を専攻。薬剤師となり、製薬会社で研究職に就く。 結婚を機に、休日は嫁ぎ先の老舗家具屋の手伝いをすることに。
家具のことを学びながら、そこで得た知識と固定観念にとらわれない主婦目線での女性らしい提案が、お客様に喜んでもらえることが嬉しくなり、薬の研究を辞め、インテリアの研究に没頭することを決める。
アンティーク家具に出会い、それまで知らなかった世界に感動。 家具やインテリアに対して伝えたいことや、自らが買い付けてきたアンティークに対する想いを「買い付けうらばなし」や「まいにちハンドル」に綴り、日々配信中。
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アンティーク家具Handle
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