英国アンティーク家具の原点、「チューダー様式」の家具

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「英国の家具の歴史はイギリスの歴史」とも言われるくらい、それぞれの時代に、いろんな様式の家具が誕生しました。 その原点がチューダー様式です。

家具はもちろん、建築でもよく耳にする「チューダー様式」とは、一体?!分りやすく説明します。


チューダー様式の家具 チューダー様式の家具スマホ
コファ

チューダー様式とは、1485年にイギリスでチューダー朝が開かれてから17世紀にかけて出来上がった英国らしいスタイルのことです。

他のヨーロッパの国とは違って、英国では独自のスタイルで「ゴシック様式」と呼ばれる聖堂建築のデザインが発展していき、チューダー様式が出来上がりました。

まさに、英国らしいデザインの原点とも言えるチューダー様式は、現在の住宅などにも数多くのデザインが使われています。


とは言え、実は、チューダー朝が開かれたばかりの時代、まだ生活に密着した家具というものは、あまり種類が存在していませんでした。

家具と呼べるものはベッドと箱型の家具の櫃(チェスト)くらい。そこに、浅浮き彫りと呼ばれる比較的凹凸の少ない彫刻をノミやタガネで彫ってデザインしたものが、チューダー様式と呼ばれる家具です。

ポインテッドアーチ

チューダー様式の家具の浅浮き彫りの代表的なデザインは、聖堂建築のゴシックスタイルのデザインが多く使われています。

「ポインテッドアーチ」と呼ばれる先が尖ったアーチの形や、円形モチーフの「メダリオンヘッド」。布が折られたようなデザインの「リネンフォールド」に、チューダー家の紋章をモチーフにした「チューダーローズ」などが浅浮き彫りが施されている家具が、代表的なチューダー様式の家具です。

メダリオンヘッド

家具というと、まずテーブルや椅子を思い浮かべると思いますが、16世紀初め頃は家具と言っても、何枚かの板を組み合わせて木釘や鉄釘でつなげただけの、とても簡単な造りのものでした。

冬になると部屋の真ん中で火を焚いて暖をとっていたので、ダイニングテーブルは壁に沿って置かれていました。

リネンフォールド

なので、当時の椅子には背もたれがなく、スツールやベンチに座って、壁を背もたれにして座っていました。

背もたれが付いている椅子がめずらしかったこの時代に、家の主人だけが背もたれ付きの椅子を使うことがあったことから、現在、組織のトップを意味する英語「チェアマン(chair man)」という言葉が生まれたと言われています。

チューダーローズ

知ると面白い!チューダー様式が出来上がった時代背景… 知ると面白い!チューダー様式が出来上がった時代背景…
100年戦争

チューダー朝より少し前の中世。イギリスとフランスの間で、ジャンヌ・ダルクで有名な「百年戦争」が起こりました。

おかげでイギリスの情勢は悪化。結局、フランス側に追いやられ、大陸にあった領土をほぼ失ってしまいます。

その敗戦を不満に思ったヨーク家のリチャードが反乱!ランカスター家の国王ヘンリー6世に王位を要求し、イギリス国内で勢力争いの内乱が始まりました。


ランカスター家、ヨーク家の紋章

ヨーク家の紋章は「白ばら」。ランカスター家の紋章が「赤ばら」だったことから「薔薇戦争」と名前が付いた戦いで、英国内は混乱します。


モンクスベンチ

戦いに勝てば、大きなお屋敷を建て、負ければ失う・・・この繰り返しだったので、人々はいつでも引っ越しが出来るように、流動的に家を構えていました。

当時、すぐに移動が出来るように、家具と呼べるものはベッドと、移動する際、重要な家財道具を持ち運ぶために使っていた、箱型でフタ付きの「チェスト」と呼ばれる「櫃」くらいだったんです。

英国の内乱を収めたのがヨーク家を倒したヘンリー・テューダー。ヘンリー7世です。ここからチューダー朝が始まります。


チューダーローズ

ヘンリー7世はヨーク家の世継ぎエリザベスと結婚したことで、長く対立してきたヨーク家とランカスター家を統合します。

このときに、ヨーク家の白薔薇の紋章と、ランカスター家の赤薔薇の紋章を組み合わせて出来上がったのが「チューダーローズ」の紋章。これがチューダー様式の家具の代表的なデザインの一つです。

この時代、絶対的な権力を握っていたのは「教会」。なので、当時、最高の技術や芸術などは、全てが教会建築に用いられていました。

それが聖堂様式「ゴシックスタイル」と呼ばれるデザインで、英国の王族や貴族の間で建築や家具の装飾などのデザインとして広まっていきました。



アンブーリン・ヘンリー8世

ところが!ヘンリー8世の時、変革を迎えます。ヘンリー8世が最初に結婚したのはスペイン王妃キャサリン妃。ところが!侍女だったアン・ブーリンに夢中になってしまい、教会にキャサリン妃との離婚を申し出ます。

しかし、厳格なローマ・カトリック教会はその離婚を認めませんでした。そこで、ヘンリー8世は教会との決別を決心!自らイギリス国教会を創設してしまったのです。

これが、絶対的な権力を持っていたローマ教会からの離脱、いわゆる「宗教改革」です。


宗教改革をきっかけに、ルネッサンスの影響を受け始めたイギリス。聖堂建築(ゴシックデザイン)だけではないと気づいた職人達が、生活に沿った美しいデザインを生み出そう!と家庭用の家具のデザインの技術向上に目を向けていき、イギリスの家具は目覚しい発展を遂げていきます!


チューダー様式の街 チューダー様式の街スマホ

チューダー様式は家具だけじゃなく建物も有名です。特に「ハーフティンバー」と呼ばれる柱や梁、筋交いなどの木造骨組みの間を石やレンガ、漆喰などで埋めた住宅が有名です。


The Rows(ザ・ロウズ)

ここは、ロンドンから電車で2時間ほどの場所にあるチェスターに位置する、チューダー様式の町並みが続く「The Rows(ザ・ロウズ)」。ハーフティンバーの特徴的な白と黒を基調とした木枠の壁が印象的です。

現在はショッピング街になっている建物の入り口は別ですが、実は2階以上の部分は全部つながっています!なので、降水量の多いイギリスでも、雨に降られることもなくショッピングが楽しめます。 


リバティ百貨店

また、ロンドンの真ん中で、一番有名なチューダー様式の建物が、英国の老舗百貨店「Liberty(リバティ)」。世界中から人が集まる最も有名なチューダー建築です。

1875年にアーサー・ラセンビィ・リバティが開業した歴史のあるデパートは、日本や東洋の装飾品や織物、伝統工芸品などを販売するお店として始まった小さなお店でした。

カーペットや家具販売から始まり、有名なリバティプリントを作り、1920年代にはロンドンで人気のお店になりました。


リバティ百貨店(内装)

現在の建物は1924年に建てられたもの。

5階建ての建物は外装だけでなく、内装も本物のチューダー・リバイバル風の装飾が施されていて立派なんです。

壁や柱、階段にも施された見事な彫りはチューダー様式らしい重厚な雰囲気を感じさせてくれて、一日中楽しむことが出来ます。


チューダー様式のお部屋 チューダー様式のお部屋スマホ

チューダー様式の家具の特徴は、浅浮き彫り。扉面にたっぷり彫りが入った家具を1つ置くだけで、お部屋の中は重厚な英国伝統の雰囲気に包み込まれます。


リビング
ダイニングタイトル

チューダー様式の彫りが入ったキャビネットは、よく見かけるキャビネットと違ってガラスが入っていないので、より、彫りの美しさが際立って目立って見えます。

チューダーローズの彫りは、「ローズ」と聞いて頭に思い浮かぶような現代のバラとはまた違うデザインで、可憐に咲く姿が美しいです。


書斎
玄関タイトル

一番よく見つけるチューダー様式の家具は、ワードローブ。特にリネンフォールドの浅浮き彫りが入ったワードローブはとても人気です。

背が高いので、より彫りの入った扉に迫力が出て重厚感たっぷり。中に何を入れても見えないところがポイントです。


和室
デスク用の椅子タイトル

和室と最も相性のいいチューダー様式の家具。彫りがたっぷり入ったチョコレート色の家具は、北海道の民芸家具にも通じる部分があって、とても似合います。

イギリスの家具だから・・・と思わず、ぜひ和室で使ってもらいたいアンティーク家具です。


玄関
玄関タイトル

家具と呼べるものがベッドとチェストと呼ばれる箱型の家具だけだった時代。チェストと呼ばれた櫃は、まさに今、コファと呼ばれるブランケットボックスです。

玄関に置けば、いろんなものをオシャレに収納して、靴を履くベンチとして使うのにも便利です。


ダイニング
ダイニングタイトル

チューダー様式の家具の中で、一番代表的なものが「モンクスベンチ」と呼ばれるめったに見つからないアンティーク家具です。

モンスクとは修道士と言う意味。修道院に入るとき、1つだけ持ち込が許された家具。その家具によく選ばれていた3WAYで使える家具は、テーブルにも、ベンチにも、収納にもなるのでとにかく人気です。


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