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アフタヌーンティーのおとも「スリーティアーズ」とは
- 水野 友紀子
スリーティアーズ(Three tiers)
最近、日本でも大人気!「ヌン活」とも呼ばれるアフタヌーンティーですが、アフタヌーンティーと聞いて、なにが思い浮かびますか??
たっぷりの紅茶が入ったティーポットにティーカップ。そして、美味しそうなサンドイッチやお菓子が乗った3段タイプのケーキスタンド☆
この3段タイプのケーキスタンドは「スリーティアーズ」と呼ばれるもので、19世紀末に野外でアフタヌーンティーを楽しむために造られた、比較的新しい茶道具の一つです。
最近、ホテルのティールームなどでよく見かけるのは、テーブルの上に置いて使うコンパクトな卓上タイプのものですが、本来、スリーティアーズとは、木製で出来た自立タイプのもの。
名前の通り、基本のものはお皿が3枚乗せれるようになっていますが、お皿が4枚~5枚乗せることが出来るものや、大きく開くものなど形もいろいろです。
コンパクトに収納できるよう折り畳み式になっているものも多く、畳むとまるでスクリーンのように平らな形になるものなど、いろんなデザインのものがあって、思わず集めてしまいたくなるアンティークです。
アフタヌーンティーの始まり
アフタヌーンティーの起源と言われているのは第7代ベッドフォード公爵夫人のアンナ・マリア。「午後の紅茶」のラベルのモデルになっている人です。
当時、食事は一日二食の時代。夕食までの時間がとても遅かったので、空腹に耐えれなかったマリアが使用人に頼んでこっそり軽食を食べ始めるようになりました。
その後、親しい友達を呼んで軽食を食べながらお喋りを楽しむことが日常化し、英国貴族の女性たちの間でパーティーや夕食前にお茶の時間を設けることが定着。
それが社交の場となり、ティーパーティー=アフタヌーンティーへと発展していきました。
貴族階級が始めたアフタヌーンティーは、その後、中流階級や一般庶民にまで「家族招待会」として波及し大衆化!みんながアフタヌーンティーを楽しむようになりました。
もともとアフタヌーンティーを行っていたのは貴族だったので、使用人が一皿ずつ軽食をサーブしていましたが、20世紀に入り貴族の真似をしてアフタヌーンティーを行うようになった中流階級の人たちは、雇っている使用人の数が少ないため、一皿ずつ給仕することが出来ないという問題が勃発・・・(汗)
とは言え、アフタヌーンティーのために使用人を雇うことは出来ない・・・
また、軽食を乗せるテーブルも狭い・・・
そこで考えられたのが、テーブルとしても使え、3枚のお皿を一気に持ち運び出来る3段タイプのスタンド、スリーティアーズでした。
スリーティアーズを屋外に持ち出して、そこにサンドイッチや焼き菓子などを乗せて貴族階級を真似たアフタヌーンティーを楽しむことは、英国の人の間で大流行!
中産階級の家庭でお茶会を開く際、臨時のテーブルとして使われるようになり、やがてテーブルの上で使えるコンパクトサイズのシルバープレートのスリーティアーズが作られるようになりました。
アフタヌーンティーのマナー
実は、アフタヌーンティーの3段のお皿に乗せるものや食べる順番がマナーで決められていることをご存知ですか?
1段目には甘いお菓子。2段目にはスコーン。3段目にはサンドイッチを乗せることが決まり。食べる順番は一番下の段から食べるのがマナーです。
畳むとコンパクトになって、持ち運びも便利なことから、サイドテーブルやおしゃれな花台としても大人気の小さなアンティーク家具、スリーティアーズと一緒に、気軽にアンティークのある暮らしを楽しんでみませんか?
あっ!ちなみに、日本のホテルでよく見かける憧れの卓上タイプのスリーティアーズ!ですが、イギリスの家庭内で使われることはめったにありません(笑)
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水野 友紀子
空間スタイリスト。
アンティークショップHandleバイヤー。大学で小さい頃から好きだった化学実験が出来る薬学を専攻。薬剤師となり、製薬会社で研究職に就く。 結婚を機に、休日は嫁ぎ先の老舗家具屋の手伝いをすることに。
家具のことを学びながら、そこで得た知識と固定観念にとらわれない主婦目線での女性らしい提案が、お客様に喜んでもらえることが嬉しくなり、薬の研究を辞め、インテリアの研究に没頭することを決める。
アンティーク家具に出会い、それまで知らなかった世界に感動。 家具やインテリアに対して伝えたいことや、自らが買い付けてきたアンティークに対する想いを「買い付けうらばなし」や「まいにちハンドル」に綴り、日々配信中。
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アンティーク家具Handle
(水野商品館 株式会社)1903年創業
【店舗&倉庫】
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〒107-0062 東京都港区南青山5-4-41
古物商 福井県公安委員会許可
第521010008980号
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