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シュガーシフタースプーンとは?アンティークカトラリーの魅力

- 水野 友紀子
シフタースプーン(Sifterspoon)
日本では見ることがないシュガーシフタースプーン(Suger Sifterspoon)とは、お砂糖をふりかけるために使われた、穴が空いたスプーンのことです。
今も英国では食通のためのスプーンとして大人気の贅沢なスプーン、シフタースプーンについてお話します。
シフタースプーンとは
スプーンの底の部分に、小さな穴がたくさん空いているシュガーシフタースプーン(Suger Sifterspoon)とは、お砂糖をふりかけるために使われてたスプーンのことです。
英語でSifter(シフター)とは「ふるい」のこと。
当時、とても高級品だったお砂糖のふるいとして使われていた、アフタヌーンティーのテーブルセッティング道具の一つでした。
そんなシフタースプーンを使って、高級品のお砂糖をふりかけたものって、一体、なんだと思いますか?
実は・・・果物!(驚)
当時のヨーロッパでは、今の時代のような甘い果物が採れなかったので、お砂糖を果物にかけて食べることがステータス!
18世紀~19世紀初頭のヨーロッパでは、果物はもちろん、お砂糖もとっても高級品だったので、高級品の果物にさらに高級品のお砂糖をふりかけることは最高の贅沢でした。
そんな贅沢な場面で使われていたシフタースプーンは装飾性が高いものが多く、ヴィクトリア期には銀細工の一つとして「テーブルアクセサリー」や「社交のワンピース」という役割も担っていました。
シフタースプーンの歴史
18世紀初頭当時、高級嗜好品だった砂糖は、今とは違って大きな塊や円柱状の棒のような形のものを購入して、使う分だけメイドさんが砕いていました。
なので、お砂糖の粒がとても大きかったのですが、上流階級の間では、細かい粒子のお砂糖をまるで粉雪が降ったように果物にふりかけることが美しいとされていたので、「ふるい」として使える、穴が空いた金属製のスプーン「シフタースプーン」が誕生しました。
ティータイムの文化が発展し、紅茶・砂糖・陶磁器・銀器がセットで使用されるようになり、シフタースプーンもその一つとして定着するようになります。
また、19世紀入ると、砂糖は上流階級だけではなく、中流階級にも普及。
その結果、シフタースプーンは、ティータイムを彩るテーブルセットとして使われるようになり、透かし模様やレース状の穴・花柄彫刻など、使い勝手はもちろん、見た目のデザインが美しいものが作られるようになりました。
その後20世紀に入ると、砂糖が粉末化されるようになり、シフタースプーンを実用的に使う機会がなくなっていきましたが、その一方で、作られることがなくなった「銀製のアンティークスプーン」としてのコレクション価値が高まってコレクターの間で大人気に!
当時のティータイムの文化、歴史を実際に感じることができる、繊細で美しい、食通のための銀のスプーンとして大人気のコレクターズアイテムです。
いろんなシフタースプーン
貝殻モチーフ

ホタテ貝を思わせる優美なフォルムが印象的な、アンティークのシフタースプーン。
放射状に広がるシェルの彫刻は、19世紀の英国銀器で愛された定番デザインです。
シェル型のボウル部分は見た目の美しさと機能性を両立した、シュガーシフタースプーンです。
フルーツの型押し
花の形をしたスプーンをよく見てみると、ぶどうやパイナップル、薔薇など、自然の恵みを象徴する8種の模様が浮き彫りでデザインされています。
果実と花の組み合わせは「自然の恵み」「豊穣」「季節感」「家庭的な豊かさ」を象徴するデザインとして、当時、とても人気があったもの。
それぞれ季節が違うモチーフが並んでいて、使うたびに物語が広がるような優美なデザインが特徴です。
葡萄の葉

スプーンの柄尻に葡萄の葉のモチーフがついたシフタースプーン。
葡萄の葉っぱのデザインは昔から豊穣・繁栄を表す人気のモチーフとして、いろんなものに使われてきました。
スプーンのまん丸のボウルの部分は、まるでお花が大きく咲いたような美しい形が特徴的。
ティータイムのセットにも映えるアンティークらしいデザインです。
透かし彫り
繊細な透かし彫りが入った美しいシフタースプーン。
ピアッシング技法とも言われる細かい透かし模様が光と影を美しく映し出します。
19世紀後半〜20世紀初頭のアール・ヌーヴォー様式の影響が感じられる、中心から広がる、植物のような放射状のデザインが特徴。
テーブルの上に置いたとき、美しさと華やかさを演出してくれますシフタースプーンです。

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水野 友紀子
空間スタイリスト。
アンティークショップHandleバイヤー。大学で小さい頃から好きだった化学実験が出来る薬学を専攻。薬剤師となり、製薬会社で研究職に就く。 結婚を機に、休日は嫁ぎ先の老舗家具屋の手伝いをすることに。
家具のことを学びながら、そこで得た知識と固定観念にとらわれない主婦目線での女性らしい提案が、お客様に喜んでもらえることが嬉しくなり、薬の研究を辞め、インテリアの研究に没頭することを決める。
アンティーク家具に出会い、それまで知らなかった世界に感動。 家具やインテリアに対して伝えたいことや、自らが買い付けてきたアンティークに対する想いを「買い付けうらばなし」や「まいにちハンドル」に綴り、日々配信中。
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アンティーク家具Handle
(水野商品館 株式会社)1903年創業
【店舗&倉庫】
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〒107-0062 東京都港区南青山5-4-41
古物商 福井県公安委員会許可
第521010008980号
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