ずっと想い出に残る私の婚礼家具選び

水野友紀子
水野 友紀子

今日は、亡くなった祖母の誕生日。この日にどうしても書きたかったお話しがあります。
それは、結婚する時に祖母からプレゼントしてもらった「箪笥」の話です。

呉服屋の娘で、家具屋に嫁ぐ私にとって「総桐箪笥」はお嫁入り道具の必須アイテム!でも、若かりし頃の私は

「着物なんて着ないし~」
「毎日使わない箪笥なんて、いらないし~」

って感じ(笑)
そんな私に対して、母の言葉で、私の考え方が変わりました。

「お祝いをお金でもらっても、結局、何も残らないやろ。でも、そのお金で総桐箪笥を買えば、おばあちゃんがいなくなってからも、ずっと
「おばあちゃんに買ってもらった箪笥」
って思い出してもらえるから、お祝いを総桐箪笥として持って行って欲しい・・・」

いつも、母の意見は全く聞かない私でしたが(笑)この言葉だけはすんなり受け入れる事ができ、無事、母の願いどおり、祖母に買ってもらった総桐箪笥に両親が作ってくれた着物を詰めてお嫁入りしました。

確かに、あの時、母の言うことを聞いていなかったら、私は道具運びの時に祖母に「ありがとう」も言えなかったし、祖母が亡くなった今、箪笥を見ながら祖母を思うこともなかったと思います。

なので、婚礼家具を選びに来られたお客様とお話をする際、私は必ず自分の話をして

「絶対に後から想い出に残るから、いい家具を買ってもらって欲しい!その代わり、買ってもらったときには、必ず「ありがとう」の言葉だけは忘れないで欲しい」

と話をしました。

家具屋だから・・・
家具屋に嫁いで気が付いたから・・・
大切な家族が亡くなって心の底から言えるようになったこと。

それは、想い出に残るいい買い物をして欲しいな・・・ということです。
もちろん、家具だけじゃなく、ジュエリーや時計など、他にもずっと受け継ぐ事が出来るものであれば何でもいいんですが、家具を買う機会って、人生の大きな節目の時が多いんです。

結婚や出産、新築のとき・・・

そんな節目に買うものだからこそ、ずっと使い続けることが出来て、ずっと想い出に残るものを選んでもらいたい・・・
そう、思っています。




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水野友紀子

水野 友紀子

空間スタイリスト。
アンティークショップHandleバイヤー。

大学で小さい頃から好きだった化学実験が出来る薬学を専攻。薬剤師となり、製薬会社で研究職に就く。 結婚を機に、休日は嫁ぎ先の老舗家具屋の手伝いをすることに。
家具のことを学びながら、そこで得た知識と固定観念にとらわれない主婦目線での女性らしい提案が、お客様に喜んでもらえることが嬉しくなり、薬の研究を辞め、インテリアの研究に没頭することを決める。
アンティーク家具に出会い、それまで知らなかった世界に感動。 家具やインテリアに対して伝えたいことや、自らが買い付けてきたアンティークに対する想いを「買い付けうらばなし」や「まいにちハンドル」に綴り、日々配信中。

アンティーク家具Handle
(水野商品館 株式会社)

1903年創業

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