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アール・ヌーボーとは?特徴と歴史、アールデコとの違いについて

- 水野 友紀子
アールヌーボーとは、19世紀末(1890年代ごろ)から20世紀初頭(1910年代ごろ)にかけてヨーロッパを中心に流行した芸術・建築・工芸・デザインの様式のことです。
19世紀末にヨーロッパで起こった「新しい時代の美を求める動き」から生まれたアールヌーボーの歴史から特徴まで、わかりやすくお話します。
Handle 水野 友紀子
アール・ヌーボーとは?
アール・ヌーボーとは、19世紀末から20世紀初頭にかけてパリを中心にヨーロッパで流行した芸術・建築・工芸・デザインの様式のことです。
フランス語の「Art(アール)=芸術」と「Nouveau(ヌーボー)=新しい」を合わせた「新しい芸術」 という意味を持つ「アール・ヌーボー(Art Nouveau)」。
それまでの古典的スタイルから脱却し、時代にふさわしい新しい美の形を作ろう!という理想から名前が付けられました。
アールヌーヴォーの大傑作と言うと、私の中ではやっぱりコレ!
▲パリの地下鉄アベス駅の入り口
パリの地下鉄の入り口。これは1900年のパリ万博博覧会の開催に合わせて、アールヌーヴォーの巨匠、エクトル・ギマールがデザインしたものです。
いろんなデザインのものがありますが、オリジナルの入り口が残るのは、ここモンマルトルにある12号線のアベス駅と2号線ポルト・ドーフィーヌ駅だけです。
このアールヌーボーという言葉が広まったきっかけと言われているのが、1895年にパリで開かれた美術商シグフリード・ビングのギャラリー「メゾン・ド・ラール・ヌーボー」です。
▲メゾン・ド・ラール・ヌーボー
当時のヨーロッパでは、ギリシャやローマ、ルネサンスなど、過去のスタイルを真似することが正解とされていましたが、「過去の真似をやめて、植物の曲線や新しい素材を自由に使って、今の時代の美を作ろう!」と立ち上がったアーティストやデザイナーの作品を展示販売。
それまでとは全く違う、自然と調和した新しいデザインがカッコイイと求められるようになり、その時に展示されていたデザインのものが「アール・ヌーボー様式」と呼ばれるようになりました。
単に見た目が斬新で目新しかったというだけではなく「デザインとは何か」という考え方そのものを変え、自然と調和した新しい時代のためのライフスタイルを目指したことで、建築や家具、ガラスや陶磁器、広告などなど、大きな影響を及ぼしました。
アールヌーボーの 特徴
アールヌーボーの特徴について、分かりやすくまとめてみました。
実は・・・日本の浮世絵など、日本美術(ジャポニスム)の影響を強く受けているのもアールヌーボーの特徴の一つです。
01 自然のモチーフ

アールヌーボーでは植物や花、蔦や昆虫など自然界にあるフォルムが使われました。
家具の土台や骨組み、脚など、自然の幹や枝、つるのように変化し、全体に一体感がある有機的な美しさが表現されているものも多いです。
02 曲線的なデザイン

「鞭のような線(whiplash line)」と呼ばれる、しなやかに流れるような曲線が特徴です。
また、植物や花などの自然界の形も曲線で表現されていて、角ばった部分が少なく、丸みを帯びているものが多いです。
03 装飾性の高さ
アールヌーボーでは、彫刻や象嵌など職人技が光る手仕事による装飾が多く、芸術性が高いのもが多いのもアールヌーヴォーの特徴の一つです。
扉や引き出しの取っ手、脚など細部まで凝ったデザインになっていて「使える芸術」として扱われてきました。
04 素材の美しさ

アールヌーボー様式では、マホガニーやウォールナット、オークなどを使い、木目など、木のそのものの質感を生かした仕上げが特徴的です。
さらに、ガラスや真鍮、鉄や貝殻などの自然素材を組み合わせた家具も作られ、それぞれの素材が持つ色や質感が大切に活かされています。
アールヌーボーの始まり
1800年代後半、ヨーロッパでは産業革命により機械生産が広がったことで、大量生産が出来るようになりました。
・・・が、その反面、家具や装飾品が大量生産されることで安価で粗悪な商品が出回るようになり、それまで培われ受け継がれてきた職人の手仕事の美しさや芸術性が失われていくという危機感が生まれました。
そこで、自然の植物や花などをモチーフにしたデザインで有名なウィリアムモリスが中心となり、美術工芸デザインの復興運動「アーツアンドクラフツ運動」を起こします。
「美しいと思わないものを家に置いてはならない」というウィリアムモリスの理念は、実用的に使うものも、絵画や彫刻のように芸術的な価値があるとする「アーツ・アンド・クラフツ運動」を通して広がり、アールヌーボーの基盤になっていきました。
▲黄道十二宮(アルフォンス・ミュシャ作)
またこの時代、写真が登場したことで、絵画の必要性が問われるようになりました。
そんな中、1890年頃にフランスからヨーロッパ全体へと広がっていったアールヌーボー様式を代表する画家がミュシャです。
柔らかな曲線美で装飾的に描かれた人や植物はとても美しく、写真とは全く違う絵画として、今も絶大な人気を誇っています。
また、ガラス工芸で有名なフランスのエミール・ガレやルネ・ラリック、ドーム兄弟です。
乳白色で半透明のガラス素材に、植物や昆虫などを美しく表現した、まさにアールヌーボーらしい作品をたくさん作り出しました。
▲サグラダ・ファミリア(アントニオガウディ作)
また、サグラダ・ファミリアで有名な建築家のアントニ・ガウディやギマールの建築物は、アール・ヌーヴォーの代表として今も多くの人が訪れる観光スポットになっています。
1900年のパリ万国博覧会で、アール・ヌーボー様式の建築・家具・ガラス工芸が世界的に注目されたことにより、最盛期を迎えたアール・ヌーボー。
ところがこの後、第一次世界大戦が始まったことで、手仕事の贅沢な装飾が難しくなり、より機能的で効率的なアール・デコへと時代が変わっていきました。
アールヌーボーの アイテム
アールヌーボーの家具や椅子、インテリアは、当時の生活空間を「芸術作品のように美しく統一する」という理念のもとにつくられました。
自然のモチーフが使われ曲線的なデザインが特徴的です。
今までHandleに届いたアールヌーボーの代表的なアイテムをご紹介します。
Item.1 キャビネット
アールヌーボーデザインのガラスキャビネットです。
ステンドガラスの模様はもちろん、トップに施された細かい象嵌、さらに取っ手までアールヌーボーデザインで、細部にまでこだわって作られた貴重なキャビネットです。
Item.2 ナーシングチェア
アールヌーボーデザインの背もたれが美しいナーシングチェアです。
両サイドが上にキュッと上がっている形がまるで蝶々のようで、優雅な曲線ラインを描くアールヌーボーデザインに魅了される一脚です。
Item.3 テーブルランプ
深い海のようなブルーが印象的なテーブルランプ。
その土台にはアールヌーボーのデザインが施されています。
さりげなくアールヌーボーのデザインを身近に感じることができ、お家で気軽にアールヌーボーの世界を楽しむことができるアイテムです。
Item.4 ステンドグラス
直線×曲線が上品にコラボした、シンメトリースタイルのアールヌーボーデザインのステンドグラスです。
アールヌーボーらしいお花の模様はもちろん、その周りをクルンっと曲線で囲むグリーン色の葉っぱの模様がとってもかわいく、置くだけで一気にお部屋の雰囲気も華やかに彩られます。
Item.5 キャビネット
木目が美しいマホガニー材にアールヌーボーを代表をするような扉デザインのキャビネットは、キャビネットそのものの形もアールヌーボーらしいデザイン。
扉に象嵌で装飾された植物をモチーフにした繊細な模様が美しく、高級感と品が香るキャビネットです。
Item.6 ガラスシェード
アールヌーヴォー・アールデコ期の室内照明装飾作品の傑作として名高いミューラー兄弟のガラスシェードです。
ガラス素地に細かく砕いた色ガラスをまぶして華やかな色合いを生み出す、ヴィトリフィカシオンと呼ばれるアールヌーヴォー期の特徴的な技法で作られた作品です。

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水野 友紀子
空間スタイリスト。
アンティークショップHandleバイヤー。大学で小さい頃から好きだった化学実験が出来る薬学を専攻。薬剤師となり、製薬会社で研究職に就く。 結婚を機に、休日は嫁ぎ先の老舗家具屋の手伝いをすることに。
家具のことを学びながら、そこで得た知識と固定観念にとらわれない主婦目線での女性らしい提案が、お客様に喜んでもらえることが嬉しくなり、薬の研究を辞め、インテリアの研究に没頭することを決める。
アンティーク家具に出会い、それまで知らなかった世界に感動。 家具やインテリアに対して伝えたいことや、自らが買い付けてきたアンティークに対する想いを「買い付けうらばなし」や「まいにちハンドル」に綴り、日々配信中。
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アンティーク家具Handle
(水野商品館 株式会社)1903年創業
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〒910-0019 福井市春山2-9-13
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第521010008980号
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