真珠の母「マザーオブパール」を使ったアンティーク

水野友紀子
水野 友紀子

マザーオブパール(Mother of Pearl)


マザーオブパール

私が一番頻繁に身につけるアクセサリーがパール。真珠ですが、自分で購入したものはほとんどなく、もらったものばかり(笑)

結婚する時、母が慶弔用に準備してくれたネックレスと指輪や、大伯母の形見分けとしてもらったもの、子どもの塾の先生が使わなくなったものをプレゼントしてくれたものなどなど、いろんな色&アイテムのパールのアクセサリーを持っています。

若い頃は、格式高い感じがして、特別な日にしか使えないというイメージだった真珠ですが、そんなことを言っていたら使わないままでもったいない!と思い、普段着ているジーパンに合わせてみたら・・・気分が上がる~!

なんでもない普段着が一気におしゃれに見えるので、なくてはならないものになりました(笑)

そんな私と同じような気持ちを感じていたのが、ビクトリア時代の上流階級の女性。

当時、大流行したのが、真珠の母と呼ばれる真珠を作る真珠母貝「マザーオブパール」でした。

「マザーオブパール」とは


マザーオブパール

マザー・オブ・パール=Mother of Pearlとは、直訳すると「真珠の母」。名前の通り、まさに真珠を作る真珠母貝「白蝶貝」のことです。

最近は装飾用宝石として使われることが多いマザーオブパールの特徴は、シルクのような光沢と透き通るような透明感のあるミルキーホワイト色。

光を反射し虹色に輝く美しさは人工的に作られたものではないので、それぞれ色や輝き、模様が違っていて個性がある一点ものです。

また、真珠を作る母貝であることから、大きな包容力と母性を象徴するとして、女性の間ではパワーストーンとしても大人気!

持つ人を優しく包み込み、癒し効果があると言われ、古代から人々の生活に溶け込み、身近なものに使われてきました。

建築物として、陶器や大理石の上にタイルとして敷かれたり、アンティーク家具でもよく見かける象嵌として嵌め込まれているものや螺鈿細工、最近、身近なところではボタンに使われているものも多いです。

そんなマザーオブパールは、ビクトリア時代、アフタヌーンティーの流行とともに、上流階級の女性の間で大流行。

お茶をもてなす際に使うカトラリーの柄の部分に、キラキラと美しく輝くマザーオブパールは「富の象徴」として大人気でした。


マザーオブパール

今は、日本でも養殖でとれるようになった真珠ですが、もともとは世界中に生息する十数万種類もの貝の中で、数種類しか存在しないマザーオブパール。

特に、中でも上質なマザーオブパールの産地だったのがオーストラリア。ビクトリア時代の英国では、大流行したカトラリーに使う上質で貴重なマザーオブパールを手に入れるため、イギリスからオーストラリア近くの熱帯太平洋地域までわざわざ船でとりに行き輸送していました。

当時、手に入れることが出来た上質なマザーオブパールを柄の部分に使った、英国のアンティークカトラリーは、今、世界中に愛好家の方いるほど人気です。

マザーオブパールの選び方


他の宝石と同じように何年経っても使える高品質なマザーオブパールを選ぶには、いくつかポイントがあります。

まず、触ると冷たいこと。本物のマザーオブパールは、表面が冷たくて、触った時にヒヤッとします。

次に手に持った時の重さ。サイズの割に重く、重厚感があります。

最後に、表と裏の模様が同じではないことを確認しましょう。

天然のマザーオブパールの真珠層の積み重なり方は無数なので、それぞれ、一点一点、表情が違います。世界に一つだけの一点ものと言う所も魅力の一つです。

マザーオブパール

マザーオブパールのお手入れ方法


薄く加工されているものは衝撃に気を付ける必要がありますが、もともとマザーオブパールは硬度があって、とても丈夫

カトラリーとして使う時はもちろん、アクセサリーなどを洗う時も、食器用洗剤を使って洗えば大丈夫です。

洗った後は、しっかり乾燥させることで、表面の小さな隙間に水分がしみ込んだことによる膨らみや、ひび割れを防ぎます。

真珠と同様、汗や化粧品が付着すると変質の原因になるので拭き取ってから保管しましょう。

マザーオブパール

いかがでしたか?私が普段使っている真珠の母、マザーオブパール。
今は高級時計やアクセサリーなどで見かけることがありますが、私は英国アンティークのカトラリーの柄に使われているものを手にする度、なんだか気分が上がるんです。

艶やかな輝きを放つ、なめらかな手触りの柄のカトラりーを手にする度、なんとなく背筋が伸びる感じ(笑)

また、単純なスプーンやフォークだけではなく、使う用途に合わせて使いやすい形で微妙に違うアイテムが作られているところも、英国のカトラリーらしくて大好きデス。

一つ一つが違う表情で個性を放つ、同じものが2つとない一点もののマザーオブパールと一緒に、素敵な時間を楽しんでみませんか?




【ご紹介したアイテム】

富の象徴として、ビクトリア時代の上流階級で流行したマザーオブパールはコチラからご紹介しています。



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水野友紀子

水野 友紀子

空間スタイリスト。
アンティークショップHandleバイヤー。

大学で小さい頃から好きだった化学実験が出来る薬学を専攻。薬剤師となり、製薬会社で研究職に就く。 結婚を機に、休日は嫁ぎ先の老舗家具屋の手伝いをすることに。
家具のことを学びながら、そこで得た知識と固定観念にとらわれない主婦目線での女性らしい提案が、お客様に喜んでもらえることが嬉しくなり、薬の研究を辞め、インテリアの研究に没頭することを決める。
アンティーク家具に出会い、それまで知らなかった世界に感動。 家具やインテリアに対して伝えたいことや、自らが買い付けてきたアンティークに対する想いを「買い付けうらばなし」や「まいにちハンドル」に綴り、日々配信中。

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(水野商品館 株式会社)

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