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アングルポイズとは?英国生まれのオトナ可愛いデスクランプの魅力
- 水野 友紀子
アングルポイズ(Anglepoise)
アングルポイズとは、英国を代表する照明、タスクランプのことです。
75周年を迎えた2009年には、ロイヤルメールの記念切手「英国を代表する10のデザイン」にも選出されたるほど洗練されたデザインが、今も世界中の人を魅了するアングルポイズについてお話します。
アングルポイズとは
私が初めてアングルポイズを手にしたのは、お店をオープンさせる時の初めての買い付けの時。
アンティークのデスクランプが大好きな主人が「これも!これも!!」と、いろいろ集めてきた中に入っていたのが、今はもう手に入らない超希少な「Anglepoise 1208」でした。

当時は、まさかそんなに希少なものだと知らなかった私。日本に連れて帰って来てからオーバーホウルをした後、持ってみたらあまりにも重かったので、自宅で使うのを諦めて、お店で仕事をする時に使うデスクランプにすることにしました。
シェードの角度を変える時、なんだか普通のデスクランプとは感覚が違う・・・と思っていた私ですが、この感覚の違いがアングルポイズの精巧な技術だということを知ったのは、使っていた1208がお嫁入した後のこと・・・(汗)
今も「なんでお嫁に出してしまったんだろう...」と、思いは募るばかりです(涙)
アングルポイズの歴史
アングルポイズの始まりは、1931年に英国の自動車エンジニアでデザイナーだったジョージ・カーワーダイン(George Carwardine)が、新しいタイプのバネ機構の原理を発明したことでした。
自動車のサスペッションの技術を利用した、人間の腕のように自在に曲がることができる曲げやすさと、思い通りのポジションでキープしておける、絶妙な重量バランス。
それを可能にしたのは、1855年にハーバート・テリー(Herbert Terry)が3人の息子と設立したハーバート・テリー&サンズ社(Herbert Terry and Sons Ltd.)のバネでした。
その後、1932年7月4日に、ジョージ・カーワーダインがバネ機構の原理に対し特許を取得。
その特許は自動車ではなく、自動車工場で働く職人さん達の手元を照らすためのタスクランプに使われ、4本のスプリングを使ったアングルポイズが誕生します。
このランプの需要は高い!と思ったカーワーダインは、家庭用のバネも設計。
1934年に特許を取得し、ハーバート・テリー&サンズ社とライセンス契約を結び、1935年に家庭用として製造されたアングルポイズ1227が発売!大人気になりました。
Anglepoise1208 → Anglepoise1227 → Model 50 → Model 75 → APEX 90 → TYPE3
の順でモデルチェンジしていったアングルポイズ。
日本で有名になったきっかけは、2004年にマーガレットハウエルが、自分が子どものころから使っていたアングルポイズとコラボレートして、TYPE3の別注カラーを復刻させたことでした。
「アングルポイズは電球を装着しないとシェードのバランスが均衡に取れないほど、精巧な均衡を保っている」とマーガレットハウエルが言うほど、その技術力から導き出された形とデザイン力は英国を代表する10のデザインにも選出されたほど。
75周年を迎えた2009年にはロイヤルメールの記念切手のデザインにも選ばれるほど評価されています。
Anglepoise1227
工業用のタスクランプとして作られていたアングルポイズ1208を一般家庭で使えるようにカーワーダインが設計した製造したのがAnglepoise1227です。
工業用に作られたAnglepoise1209のスプリングの数は4本でしたが、一般家庭用の1227は3本に変更され、より使いやすく設計されました。
また、シェードの端の部分が通称「チューリップ」と呼ばれるロールエッジタイプ。
さらに、土台の部分をよく見ると「2ステップ」と呼ばれる2段のベースになっています。

1227は製造年でシェードの形と刻印が違っていて、前期系と後期系に分かれています。
前期系 1935 ~ 1938年
後期系 1938 ~ 1969年
アングルポイズが75周年を迎えた年に、1227が英国を代表する10のデザインの一つに採用されたことから、復刻版が発売されることに。
デスクランプの他にも、ウォールランプやフロアランプなどが作られました。
Model 75

第二次世界大戦後、Anglepoise1227の次にモデルチェンジして登場したのがAnglepoise Model 50。
シェードが少し大きくなって、アームの素材がスチールからアルミニウムに変更されました。
その後、1969~1979年にソケット部分がシェード部分に内蔵されたmodel 75が発表されます。
大きくモデルチェンジしたところが土台の部分。それまでは四角だった土台の形が丸くなりました。

また、シェードの形もそれまでのコロンとした丸みを帯びた形から細長い形に変わります。
カラーバリエーションも増え、定番のホワイト、ブラック、レッド、ベージュ以外に、グレー、カーキオレンジ、オレンジレッド、ブラウンなどの色が登場しました。
ベージュとグレー、オレンジ系の色はこのモデルで最後。Model75にしかない色です。

ちょっとレトロなスイッチがシェードの後ろに付いているのもこのモデルの特長。
なんだか懐かしい雰囲気が漂っています。
製造年数が少ないので、全体の数も少なく見つけるのも困難なモデルです。
APEX90

アングルポイズの中で、一番有名なモデルが、このAPEX90。
最近、買い付けに行って見つけてくるアングルポイズもほとんどがこのモデルです。
このモデルになって、パーツが少なくなった分、価格も下がったため、イギリスでは爆発的人気なりました。
APEX90は、途中でマイナーチェンジをしていて、前期系と後期系に分かれます。
写真は前期系のモデル。Model75で廃番になったベージュの代わりに登場したアイボリーです。

前期系と後期系を比べて見ると、一番大きな違いはアームの曲がっている部分。
後期系のアームの曲がっている部分には黒い樹脂が被っていて、コードが中にキレイに収納されています。
コードが見えない分、よりスッキリとした印象になり、この後、現在も作られているTYPE3にモデルチェンジしていきます。
機能性はもちろん、見た目がおしゃれなアンティークのアングルポイズと、素敵な時間はいかがでしょう?


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水野 友紀子
空間スタイリスト。
アンティークショップHandleバイヤー。大学で小さい頃から好きだった化学実験が出来る薬学を専攻。薬剤師となり、製薬会社で研究職に就く。 結婚を機に、休日は嫁ぎ先の老舗家具屋の手伝いをすることに。
家具のことを学びながら、そこで得た知識と固定観念にとらわれない主婦目線での女性らしい提案が、お客様に喜んでもらえることが嬉しくなり、薬の研究を辞め、インテリアの研究に没頭することを決める。
アンティーク家具に出会い、それまで知らなかった世界に感動。 家具やインテリアに対して伝えたいことや、自らが買い付けてきたアンティークに対する想いを「買い付けうらばなし」や「まいにちハンドル」に綴り、日々配信中。
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アンティーク家具Handle
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