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ゴルフ好き必見!英国家具の足先「パッドフット」とは?
- 水野 友紀子
猫脚と聞いて思い浮かべる猫脚の足先がコレ!「パッドフット」です。優雅にS字を描くカブリオールレッグの雰囲気をジャマしないシンプルな足先の形。
いろんな家具に、いろんな形のパッドフットが使われていますが、ここに時代背景や様式も合わせて見てみると、より面白くて好きになると思います。
Handle 水野 友紀子
PAD FOOT
パッドフッドとは
アンティーク家具でよく見かける、曲線ラインが美しい猫脚、カブリオールレッグ。
足先のデザインにはいろんなものがありますが、イギリスのアンティーク家具の足先で、一番よく見かけるデザインが「パッドフッド」と呼ばれる平らな円盤状のものです。
ゴルフパッドのようにも見えるので、最近では「ゴルフクラブの形」という意味をこめて「クラブ・フット」とも呼ばれているパッドフット。
このシンプルな形のパッドフットは、アン女王の時代、クイーンアン様式で誕生し、ジョージⅠ世の時代から多くの家具の足先で使われるようになりました。
特に、英国らしい伝統家具の黄金期と言われる時代に造られた、ウォールナット材やマホガニー材の家具の足先で使われていたことが多く、英国家具のデザインの代表として、美しい家具の足先で見つけることが出来るパッドフット。
同じ「パッドフッド」と呼ばれるデザインでも、よく見ると少しずつ形が違い、細かく分けていくと、クラブフットやクイーンアンカブリオレ、ダッチフット、スプーンフット・・・などなど、呼び名もいろいろ!
でも、全てを明確に判別するのはプロでも難しい~!!ということで、Handleでは、足先が丸くなっているデザインを総称して「パッドフッド」と呼んでいます。
Queen Anne
誕生の裏にはアン王女
そもそも、18世紀の初めの頃、フランスでは「フレンチカブリオルレッグ」が大流行!
曲線ラインの優雅な家具が造られていましたが、当時、フランスとの関係があまり友好的ではなかったイギリスでは、フランスとは違い、イギリス独自のカブリオレレッグがデザインされていくことに。
フランスでは装飾がたっぷり入った華やかなデザインのものが多いのに対して、イギリスでは華美な装飾をとったシンプルなデザインになり、「パットフッド」のデザインが誕生しました。
パットフットが誕生した時のイギリスは、アン女王の時代。
アン女王の政権は1702年~1714年の12年間だけの、とても短い期間でしたが、それまでとは趣の違った家具がいろいろ誕生し、クイーンアン様式と呼ばれ、今もずっと支持され続けています。
アン女王は、それまでの見た目重視の家具とは違い、使い心地や機能性を兼ねたデザインを重視し、軽量化されたデザインへと変化していき、今も人気のクイーンアン様式が誕生します。
その後もしばらくクイーンアン様式の人気は続き、さらに英国伝統家具の黄金期ともいわれるジョージアン様式へと変化していった際、パッドフッドはいろんな家具で使われていき、今では、英国家具を代表するデザインの一つです。
それでは、パッドフッドが誕生したクイーン アン様式と、その後、パッドフットが発展したジョージアン様式について、詳しくお話します。
HISTORY
パッドフッドが流行した2つの時代
Point1 クイーンアン様式
18世紀初めに誕生したクイーンアン様式は、アン女王が見た目より使いやすさを重視したことから、優雅で女性らしく柔らかいデザインで、機能性のある中級家具が好まれて造られました。
フランスの豪華で華やかなバロックやロココの影響を受けながらも、シンプルで使いやすさを重視したクイーンアン様式は「ウォールナットの時代」とも呼ばれ、木目の美しいウォルナット材の家具がたくさん造られました。
ウォルナット×パッドフッド
クイーンアン様式で有名なのが、クイーンアンチェアです。
クイーンアンチェアは、寄りかかったときに背中に合うように作られた、花瓶やヴァイオリンなどをモチーフにした曲線の優雅な背もたれが特徴的。さらに、それまで木だった椅子の座面に初めてクッションが付きました。
そして、柔らかい曲線のカブリオレレッグと、足先のパットフッドが一番の特徴です。
クイーンアンチェアに使われたことから、「クイーンアンカブリオレ」とも呼ばれることもあります。
Point2 ジョージアン様式
ジョージⅠ世~Ⅲ世の時代に流行したジョージアン様式は、まさに、英国伝統のインテリアの黄金期です!
1720年頃からマホガニー材の輸入が始まり、その後、産業革命も始まったことで、ジョージアン様式は「マホガニーの時代」と呼ばれるくらいマホガニー材の家具が大流行。
クイーンアン様式の影響を受けつつも装飾性が高く、豪華で華やかなで美しい家具がたくさん造られました。
マホガニー×パッドフッド
この時代、造られた有名な椅子がチッペンデールチェアなどデザイナーズチェアです。
それまでは、宮廷家具職人が家具のデザインから製作まで全てをおこなっていましたが、この時代にチッペンデールやヘップルホワイトなどの家具デザイナーが登場し、加工がしやすく耐久性が高いマホガニー材を使った美しい家具をデザインし始めました。
マホガニー材を使うことによって可能になったピアス・ド・カービングと呼ばれる繊細な透かし彫の美しい背もたれが特徴的な椅子には、それぞれのデザイナーの名前が付けられました。
そんなデザイナーがデザインした椅子の脚先にも、カブリオルレッグとパッドフットを見つけることが出来ます。
ITEM
ウォルナットvsマホガニー
クイーンアン様式とジョージアン様式の家具の足先で見つけることが出来るパッドフッド。
実は、パッドフットの家具や椅子を見てみると、ほとんどがクイーンアン時代に流行したウォルナット材と、ジョージアン時代に流行したマホガニー材で造られていることに気が付きます。
同じパッドフッドの家具でもウォルナット材の家具はデザインがシンプルで、マホガニー材の家具は華やかな印象です。
脚のデザインも、短くて太いウォルナット材に対し、長くて華奢なマホガニー材の家具。パッドフッドのデザインも少しずつ表情が違うので、見比べてみましょう。
パッドフッドの原点、クイーンアンチェアは、無駄のないシンプルな美しさと使いやすさが魅力です。
マホガニー材で作られたサロンチェアは、ピアスドカービングと呼ばれる透かし彫りが施された背もたれが魅力的です。
アンティークの定番、チャイナキャビネットの足先は、太くて短い「オジーシェイプ」と呼ばれるパッドフットが使われています。
装飾がたっぷり入った豪華なデザインが多いマホガニー材のキャビネットの足先では、シンプルなパッドフットをよく見かけます。
クイーンアン時代に流行した「トールボーイ」。ウォルナット材のチェストの足先も、もちろんパッドフッドです。
豪華で迫力のあるパーラーキャビネットは、マホガニー材のものが多く、足先には、この時代を象徴するパッドフットが使われています。
ROOM
パッドフッドと作る時間
高級な素材を使った優雅な家具の足先で使われていることが多いパッドフットのデザインはとてもシンプルなので、しなやかなS字を描くカブリオレレッグの優雅な雰囲気をそのままジャマすることなく華やかな雰囲気を作っています。
ウォルナットやマホガニー材の美しい木目と一緒に、パッドフッドの家具をぜひお家でも楽しんでみましょう。
room1 リビング
マホガニー材×パッドフッドで作る華やかなリビングルーム。
うっとりするほど彫が美しい椅子とセティがメインのリビングはそこにいるだけで優雅な気分です。
お花の形のコーヒーテーブルをプラスしてゆったりとした時間が過ごせます。
room2 ダイニング
ダイニング用の椅子としてクイーンアンチェアを使うと、まるで女王さまの気分が楽しめます。
テーブルがメインになるダイニングも、クイーンアンチェアを使うだけで、一気に女性らしい華やかな食卓が出来上がります。
room3 玄関
背もたれと脚が特徴的なクイーンアンチェアを、壁に沿って見せる椅子として置いて使うのもおススメ。
壁の前に置くことで美しいフォルムが際立って見えるので、玄関からワンランク上の上質なお家に変身します。
パッドフッドのコンソールを置くだけで、さらに素敵な玄関が出来上がります。
room4 和室
和室に置く小さなテーブル「ちゃぶ台」をパッドフッドの脚のコーヒーテーブルに変えてみるだけで、いつもの和室がとってもおしゃれに見えてきます。
同じような丸いちゃぶ台も、アンティーク家具だと、とても優雅。ぜひ試してみて下さい。
room5 書斎
上質な家具と過ごす時間は、それだけで特別。
さらに、自分だけの特別な時間を過ごす書斎をパッドフットの家具たちと一緒に過ごしてみませんか?
仕事はもちろん、本を読んだり、お化粧したり・・・ 何気ない時間が最高の時間になります。
VOICE
みんなのパッドフッドを見てみよう
先日のレッスンで撮影してみました。
ダイニングテーブルはチッペンデールですが、楕円の曲線とクィーアンチェアの曲線が良い組み合わせになりました。
不安だった椅子の大きさも問題ないです。
昨日、チェスト届きました。ありがとうございました。配達の方も丁寧に運んで下さいました。
HPの写真通り、いやそれ以上に素敵なチェストで引き出しの開閉もスムーズです。アンティークながら、しっかり使えるのがいいですね!
早速玄関に置きました。 目にはいる度に嬉しいです。購入して良かったです。
アンティーク ガラスキャビネットは 約100年前の物ですね。
以前はどの様なお方が持ってらしたのかと、その時代を想像しますね。
大きすぎずピッタリ合いました。 ほんとに美しいです。
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水野 友紀子
空間スタイリスト。
アンティークショップHandleバイヤー。大学で小さい頃から好きだった化学実験が出来る薬学を専攻。薬剤師となり、製薬会社で研究職に就く。 結婚を機に、休日は嫁ぎ先の老舗家具屋の手伝いをすることに。
家具のことを学びながら、そこで得た知識と固定観念にとらわれない主婦目線での女性らしい提案が、お客様に喜んでもらえることが嬉しくなり、薬の研究を辞め、インテリアの研究に没頭することを決める。
アンティーク家具に出会い、それまで知らなかった世界に感動。 家具やインテリアに対して伝えたいことや、自らが買い付けてきたアンティークに対する想いを「買い付けうらばなし」や「まいにちハンドル」に綴り、日々配信中。
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アンティーク家具Handle
(水野商品館 株式会社)1903年創業
【店舗&倉庫】
〒910-0019 福井市春山2-9-13
【南青山オフィス】
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古物商 福井県公安委員会許可
第521010008980号