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モールディングとは?高級感を足してくれる装飾「アプライドモールディング」
- 水野 友紀子

モールディングとは、刳形や繰形と呼ばれる装飾材のこと。わが家でもおしゃれに魅せたいなと思うお部屋の箇所に使っていますが、モールディングを使うだけで一気におしゃれ部屋に変身しちゃう最強アイテムです☆
そんなモールディング、実はアンティーク家具にも使われているものが多いんですが、大抵・・・超男前!(笑)
今回は男前家具に必ず使われている、家具のモールディングアプライドモールディング(Applied moulding)についてお話します。
Handle 水野 友紀子
moulding
モールディングとは
モールディング(applied moulding)とは、繰形や刳形と呼ばれる建築で使われる装飾のことを言います。
もともとは、古代ギリシャ・ローマの建築に使われている、高級感を出すための装飾部材のこと。天井や床などの境界部分に取り付けるため、木材や大理石などで作った装飾材のことです。

最近は、石膏や合成樹脂、セラミックなど軽くて気軽に使えるものも増えてきたので、ドア枠や窓枠、天井の廻り縁や幅儀など、高級感を出すためにいろんな部分にいろんなデザインのもの使われています。
applied moulding
アプライドモールディングとは
アプライドモールディング(applied moulding)とは、アンティーク家具に使われる装飾の技法のこと。
家具の正面の扉や引き出しなどの板の面に、同じ木材で造られた幾何学模様のモールディング(装飾)を貼り付ける技法のことを言います。
ジャコビアン期に流行し、当時、造られたチェストの扉やキャビネットの引き出しの前板などの装飾として貼り付けられました。

今は機械を使って簡単に作れるモールディングですが、手作業で家具を造っていた頃は、板を薄く加工することが難しかったため、浅浮き彫り(ローレリーフ)のように、直接、家具の面材に装飾を彫ることしか出来ませんでした。
彫刻を彫るための面材は無垢材だったので、家具自体、とても重く重量があり、移動させるのが困難でしたが、製材技術が進歩したことで、板を薄く製材する加工技術が向上!
薄く製材した板に、ギリシャ・ローマの建築の装飾が基本になっている刳形(モールディング)と呼ばれる幾何学模様をデザインし、装飾として家具の面材に貼り付ける新たな装飾「アプライドモールディング(Applied Moulding)」が誕生します。
それまでは家具の装飾を施す時は、装飾する面の部分を直接、手で削り出して彫刻するしかありませんでしたが、薄く製材した板に幾何学模様を彫ったモールディングを、家具の面材に装飾として貼り付けることが出来るようになったことで、家具そのものも軽量化。
家具造りの労力を軽減してくれた、今もなお、受け継がれている家具の装飾技法のひとつです。
Item
アプライドモールディングの 家具
今までHandleでご紹介してきた、アプライドモールディングが装飾に用いられているアンティーク家具をご紹介します。

1930年代 アンティ―クチェスト
アプライドモールディングとツイストの脚を組合わせた、男前なアンティークチェスト。
足先はバンフットになっていて、英国のアンティーク家具らしい魅力を一つにまとめたようなデザインです。
パット

1920年代 ゲームテーブル
パッと見た目は四角いテーブルのように見えますが、実はゲームをするために造られたゲームテーブル。
引き出しが付いていてアプライドモールディングが施されています。ツイスト脚とのコラボが男前です。

1930年代 スチューデントビューロー
本棚とデスクが一体化した、気軽に楽しめる小ぶりなサイズが魅力のスチューデントビューロー。
アプライドモールディングが施された前板を前に倒すとデスクに大変身する、オトナ顔負けの佇まいです。

1930年代 ウェルシュドレッサー
扉や引き出しにアプライドモールディングがたっぷりと施されたウェルシュドレッサー。
幾何学模様のアプライドモールディングがカッコよくお部屋を彩ってくれます。
Room
アプライドモールディングと暮らす
幾何学的なアプライドモールディング模様が施されたアンティーク家具を使ったお部屋のコーディネートをご紹介します。
ROOM01ダイニング

バルボスレッグのドローリーフテーブルが主役のダイニングルーム。
猫足のアームチェア2脚を組合わせましたが、誰かが遊びに来た時にベンチとしても使えるボックス収納型のコファを壁面に置いてみました。

幾何学的な模様がカッコいいアプライドモールディングが側面に入ったアンティークのコファ。
普段は、天板をパカっと開けていろんなものをたっぷり入れる収納として、またお友達が来た時にはベンチとしてとても便利に使える優れものです。
ROOM02リビング

アプライドモールディングがたっぷり入ったウェルシュドレッサーを置いたオトナのリビング、サロンをコーディネートしました。

背が高いアンティークのウェルシュドレッサーの全ての扉や引き出しに、アプライドモールディングが施されているので、お部屋の入口から見て一番目立つ場所に置くことで、一気にお部屋をカッコよく見せてくれます。
オープンタイプの棚の部分には、趣味のものやお気に入りのコレクション、グリーンなど好きなアイテムを飾って楽しめます。
ROOM03和室

丸いローテーブルをちゃぶ台のように使った和室に、アプライドモールディングが施されたチェストとコファをコーディネートしました。

チョコレート色の濃い茶色のアンティーク家具は、和室との相性バツグン!
壁面に並べて置いたアプライドモールディングのチェストとコファが、まるでお揃いのような雰囲気です。
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水野 友紀子
空間スタイリスト。
アンティークショップHandleバイヤー。大学で小さい頃から好きだった化学実験が出来る薬学を専攻。薬剤師となり、製薬会社で研究職に就く。 結婚を機に、休日は嫁ぎ先の老舗家具屋の手伝いをすることに。
家具のことを学びながら、そこで得た知識と固定観念にとらわれない主婦目線での女性らしい提案が、お客様に喜んでもらえることが嬉しくなり、薬の研究を辞め、インテリアの研究に没頭することを決める。
アンティーク家具に出会い、それまで知らなかった世界に感動。 家具やインテリアに対して伝えたいことや、自らが買い付けてきたアンティークに対する想いを「買い付けうらばなし」や「まいにちハンドル」に綴り、日々配信中。
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アンティーク家具Handle
(水野商品館 株式会社)1903年創業
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第521010008980号