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ずっと変わらず使い続けることを教えてくれたトレンチコート
- 水野 友紀子
買い付けの「相棒」
初めてトレンチコートを手にしたのは、大学の入学式用のスーツを母と買いに行った時。母が「これがいいよ」と買ってくれたのが、私のキャラとは程遠い(笑)可愛らしい淡いピンク色のトレンチコートでした。
トレンチコートって、大人のイメージだったので、なんだか急に大人になった気がして、袖を通す時、にドキドキしていた私(笑)
それ以来、私はトレンチコートが大好きになって、春になると、新しい色のトレンチコートに目が行くようになりました。
最初、母に買ってもらったピンクから始まり、ベージュ、オレンジ色、黄色、ブルー、濃紺、グリーン・・・そう考えてみると、今まで一体、何着購入したんだろう?って思い返すだけでゾッとするくらい、何度も何度も買い替えしたな・・・(苦笑)
気がつけば同じようなトレンチコートでワードローブの中が溢れかえり、捨ててはまた購入する・・・を繰り返していた気がします。
40歳を過ぎて、多少の違いはあっても、トレンチコートのデザインに流行はないんだなという事に気がついた私は
「これからは、買い替えることがない本物のトレンチコートを持とう!」
と決心しました。
母に買ってもらったものトレンチコート以外は、安価に手に入れたものばかりだったので、そんなに大切にすることもなく気軽に買い替えていたんだけれど、40歳になって「もう、買い替えを考えない、良質なトレンチコートを選ぼう!」と決心しました。
いろいろ悩んで選んだのがアクアスキュータムのトレンチコートです。
1851年にロンドン西部に紳士服店を開いた所からはじまったアクアスキュータムは、「Aqua(水)」と「scutum(盾)」を組み合わせたラテン語。「水の盾」を意味する英国の老舗ブランドです。
それまで私が気軽に買い替えていたトレンチとは違って、やっぱり着心地がとてもいい~。
そして、何より一番の大きな違いは・・・
「着ている時の自分の気分がいい」と言うこと。
キュッと詰まっているボタンと裏地のチェックが英国らしくてお気に入り。秋から春までずっと着れるので、アンティーク家具を買い付けに行くときは必ず一緒の私の相棒です。
この子を手に入れてから、もう、何年になるんだろう・・・??
分からないくらい一緒にいるけれど、もう、新しいトレンチコートを欲しくなる事がなくなったので、高額だったけれど、今まで何枚も買い替えてきたことを思うと、もっと早くこの子を買っておいた方がよかったなぁ~って思うようになりました。
そもそもトレンチコートとは、寒冷地での戦いに耐えれるようにと開発された英国軍のための防水用のコート。
だから、デザインにもいろいろ意味があるんです。
肩幅がある私の肩を、さらに強調してくれる(苦笑)肩に付いた「エポーレット」と呼ばれるものは、階級を表すバッジを取り付けるためのもの。他にも、水筒や双眼鏡が落ちないように使われていたものだそうです。
胸の部分の「ガンフラップ」と呼ばれるものは、ライフルを撃ったときの衝撃を吸収するために付いていて、さらに防寒の役目も。
いつもベルトが落ちないように留めてあると思っていたDリングと呼ばれるベルトのリング。実は、手榴弾などを下げるためのものだそうで・・・
平和になった今、戦争で使われることはないと思うけれど、ずっと使い続けられているデザインには理由があって、時を経てもずっと形が変わらずカッコいいって素敵だなってますます好きになりました。
私に、いいものを使い続けることを教えてくれたトレンチコート。これからもずっとアンティーク家具を買い付けに行くときの私の相棒です。
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水野 友紀子
空間スタイリスト。
アンティークショップHandleバイヤー。大学で小さい頃から好きだった化学実験が出来る薬学を専攻。薬剤師となり、製薬会社で研究職に就く。 結婚を機に、休日は嫁ぎ先の老舗家具屋の手伝いをすることに。
家具のことを学びながら、そこで得た知識と固定観念にとらわれない主婦目線での女性らしい提案が、お客様に喜んでもらえることが嬉しくなり、薬の研究を辞め、インテリアの研究に没頭することを決める。
アンティーク家具に出会い、それまで知らなかった世界に感動。 家具やインテリアに対して伝えたいことや、自らが買い付けてきたアンティークに対する想いを「買い付けうらばなし」や「まいにちハンドル」に綴り、日々配信中。
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アンティーク家具Handle
(水野商品館 株式会社)1903年創業
【店舗&倉庫】
〒910-0019 福井市春山2-9-13
【南青山オフィス】
〒107-0062 東京都港区南青山5-4-41
古物商 福井県公安委員会許可
第521010008980号
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