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英国アフタヌーンティーを楽しむ器「トリオ」とは?
- 水野 友紀子
トリオ(Trio)
トリオ(Trio)とは、19世紀前半のイギリスで大流行したアフタヌーンティーを楽しむ食器のこと。
日本でコーヒーや紅茶をいれるための食器と言えば、ソーサーの上にティーカップを乗せたカップ&ソーサーですが、イギリスではカップ&ソーサーの下に、ソーサーよりもう一回り大きなお皿がセットされた3点セット「トリオ」が主流です。
アンティークの買い付けを始めるまで、お恥ずかしながらトリオを知らなかった私(笑)
初めてトリオを見た時、カップ&ソーサーの下にセットされているお皿が、まさか一緒のものだと思わず…
カップ&ソーサーだけを連れて帰ろうとして、ディーラーに「お皿も一緒だよ」と言われ、ビックリしたことを覚えています。
3点セットの食器トリオとは?
そもそも「トリオ trio」とは、3つで構成されるもののこと。
例えば、合唱やバンド、漫才など、3人組のことをトリオと言いますよね?!
食器の専門用語だと、お揃いのデザインの食器が3つ
①ティーカップ
②ソーサー
③ケーキ皿
がセットになった3点セットのことを言います。
カップ&ソーサーの下にケーキ皿を重ねて、カップボードの中にコンパクトに収納することが出来るてとても便利!
普段使いはもちろん、お客様用のおもてなしの器として使える、お茶の時間になくてはならない食器です。
私も、お客様がきたとき、トリオに紅茶を入れて、ケーキ皿にお菓子を入れてよく使っていますが、洋食器だからと言っておしゃれなお菓子を入れなくても、例えばどら焼きとか羊羹みたいな和菓子にもすごくよく似合う~!
英国アンティークらしい華やかな雰囲気のトリオは、どんな飲み物やお菓子を入れても、なんだかおしゃれに見えて、入れたモノがよりおいしく見えるのでおススメです。
トリオの原型「トゥルートリオ」とは?
トリオがティーカップとソーサー、そしてケーキ皿の3点セットになったのは、19世紀の前半。
それ以前、ビクトリア朝初期の頃までのトリオは、トゥルートリオと呼ばれ
>①ティーカップ
②ソーサー
コーヒーカップの3点セットのことでした。
最近は、古いアンティーク以外で見かけることがないトゥルートリオ。
私も初めて見つけた時は「なぜカップが2つ?!」とビックリしたんですが、その時、ディーラーに「合理的な英国人らしい器だろ?」と言われて、思わず笑ってしまったことを覚えています。
トゥルートリオが作られていた頃のイギリスでは、まだアフタヌーンティーの習慣がなかったので、アフタヌーンティーでお菓子を入れて使うケーキ皿は作られていませんでした。
その代わり、当時は紅茶とコーヒーは飲む時のカップが別々に分けられていて、同じ絵柄で紅茶用とコーヒー用、それぞれに作られていました。
紅茶を飲むためのティーカップは、とっても華やかなデザインのもの。コーヒーカップはティーカップより一回り小さなサイズでシンプルなデザインのものだったので、ティーカップの中にコーヒーカップを重ねて収納していました。
「紅茶とコーヒーを同時に飲むことはないので、ソーサーは1枚だけでいい!」というのが英国人の合理的な考え(笑)
カップが2個にソーサーが1枚ついた3点セットのトゥルートリオが誕生し、今のトリオの原型になりました。
でも、ソーサーを1枚にするより、紅茶とコーヒーを同じカップで飲んでもいいんじゃない??と、さらに合理的に考えてしまう私には疑問が残ります(大笑)
トリオ誕生のきっかけはアフタヌーンティー
ビクトリア時代に入ると、社交界の場としてアフタヌーンティーが大流行!
中産階級の人たちも上流階級の真似をしてアフタヌーンティーを行うようになったことで、紅茶だけではなくコーヒーも提供されるようになります。
そうなると、ソーサーが1枚では足りない!・・・ということになり、ティーカップとコーヒーカップ、それぞれにソーサーがつくようになります。
それと同時に必要になったのがケーキスタンドのお菓子を取るためのケーキ皿!
ということで、1840年以降、アフタヌーンティーの発展とともに、カップとソーサーにケーキ皿をセットした3点セット「トリオ」が上流階級を中心に大流行!
合理的でとっても便利なトリオは、アフタヌーンティーを楽しむ英国の食器の代表として、なくてはならない器になりました。
英国陶磁器のメーカー、例えば、私が大好きなシェリーでは、造られたティーカップのほとんどがトリオ。
カップボードの中に入れた時の見た目も美しいので、アフタヌーンティーには欠かせない、英国らしい器トリオと一緒に素敵な時間はいかがでしょう?
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水野 友紀子
空間スタイリスト。
アンティークショップHandleバイヤー。大学で小さい頃から好きだった化学実験が出来る薬学を専攻。薬剤師となり、製薬会社で研究職に就く。 結婚を機に、休日は嫁ぎ先の老舗家具屋の手伝いをすることに。
家具のことを学びながら、そこで得た知識と固定観念にとらわれない主婦目線での女性らしい提案が、お客様に喜んでもらえることが嬉しくなり、薬の研究を辞め、インテリアの研究に没頭することを決める。
アンティーク家具に出会い、それまで知らなかった世界に感動。 家具やインテリアに対して伝えたいことや、自らが買い付けてきたアンティークに対する想いを「買い付けうらばなし」や「まいにちハンドル」に綴り、日々配信中。
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アンティーク家具Handle
(水野商品館 株式会社)1903年創業
【店舗&倉庫】
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〒107-0062 東京都港区南青山5-4-41
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第521010008980号
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