初めてのアンティークミラー選び|1枚でお部屋が変わる!取り入れと基礎知識

水野友紀子
水野 友紀子
アンティークのミラー

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アンティークミラーとは、一般的に、製造されてから100年以上が経過した鏡のことを言いますが、本当の価値は、単に経過した年数ではありません。

一番の違いは鏡に使われているガラスの厚みによって、映りこむ自分がなんだか美しく見えるところだと私は思っています。

現代の大量生産で造られた鏡とは違い、職人による手仕事の細やかさに何十年もの時間が足されたことで、味わい深さがプラスされたアンティークの鏡の魅力と暮らしへの取り入れ方について、初めての方にも分かりやすいよう、基礎知識とともにお話しします。

Handle 水野 友紀子


アンティークミラーの魅力

「アンティークミラーに興味はあるけれど、なんとなく不安」

初めての方だったら、誰でもそう思うと思います。
実際、私もその一人!(笑)初めての買い付けでは不安過ぎて、アンティークの鏡を連れて帰ることは出来ない…と思っていました。

そんな私に気づいたディーラーの一言。

「鏡に指を置いてごらん」

どういう意味かわからず、言われるまま指を置いてみると、鏡と指の間に隙間が見える!

アンティークミラーの魅力

これこそがアンティークミラーの一番の特徴。鏡の中で一番重要なガラス部分が、現代の鏡とは違って、ものすごく分厚いということを教えてもらいました。

この厚みのおかげで、アンティークミラーに映し出される自分の顔が、なんとなくキレイに見える気がする(笑)

ミラー周りのカッティングやフレームのデザインもとても美しいので、お出かけ前のチェックだけではなく、絵画を飾るようにインテリアとしてお部屋を素敵に彩ってくれる、アンティークミラーの選び方と魅力について、分かりやすくお話します。


ガラス鏡の構造

私達が普段使っている銀鏡反応でつくられた鏡は、昔も今も構造は同じで「ガラス」+「銀膜」+「保護膜」の三層構造で出来ています。

鏡の構造図

①ガラス
一番表面にあるガラス層を通った光が金属膜(銀膜)に届きます。

②銀膜
光をはね返す最も重要な金属膜。反射率が高い銀膜は自然な色を映し出してくれます。

③保護膜
銀は空気中の硫黄分と反応して硫化し黒く変色しやすいため、耐久性を高めるため銅や塗料などで保護膜を作ります。


アンティークと現代の鏡の違い

厚みが均一な板ガラスを大量に生産できる「フロートガラス製法」が誕生したのは1950年代。

なので、それ以前に作られた鏡は、古典的な方法で作られているため、ガラスの成分が違い、厚みも分厚いものが使われています。 アンティークガラスの厚み また、当時はガラスの裏面に銀を蒸着する方法(銀引き)の技術が今のように安定していなかったので、分厚いガラスを使うことで反射の均一性や耐久性を補っていました。 アンティークガラスの厚み そんな理由で、現代の鏡と比べるとかなり分厚く重さがあり、透明感があるガラスを使って作られたアンティークのミラーは、今の鏡と比べて映り込みが柔らかく見えるところが一番の特徴です。

現代の鏡とは違う成分を使った、手作りで作られた分厚いガラスが、より素敵に映し出してくれます。

アンティークミラーの選び方

アンティークミラーと言っても、実はいろんな種類があります。
以下、分かりやすいように3つのタイプに分けてみました。
 1.のデザイン
 2.枠(フレーム)のデザイン
 3.鏡の使い方に合わせた
それぞれの特徴について解説するので、自分に一番似合う鏡選びの参考にしてください。

で選ぶ

アンティークのミラーは、今の鏡と違って厚みがあるため、いろんな加工が施されているものが多いのも特徴です。
それぞれの特徴を見ながら、好みのものを選んでみましょう。

カッティングミラー

カッティングミラー

アンティ―クミラーの中で一番の定番デザインが、鏡の周囲を美しく面取りしたカッティングミラー

デザインがシンプルだけに一番アンティークらしさが感じられるカッティングミラーは、厚みがあるアンティークの鏡でしか作ることが出来ない、アンティークの代表です。



モチーフ付き

モチーフ付きミラー

カッティングミラーの中には、時々、鏡の表面に装飾的なカッティングを施したものを見つけることが出来ます。

まるで「鏡に絵を描く」ように、花や植物、リボンや幾何学模様などが刻み込まれ、光の反射でモチーフが浮かびあがって見えるアンティークでしか手に入らない鏡です。



凸面鏡

凸レンズミラー

鏡面が魚眼レンズのように凸型になっている、貴重な凸型(コンベックス)鏡は、18世紀にフランスからイギリスへと伝わり、大流行しました。

著名な家具デザイナーのトーマス・シェラトンが「凸面鏡は美しい光の反射を生み出す」と絶賛したように、湾曲した鏡面に映し出されるお部屋は独創的。光を美しく拡散させ、空間に奥行きを与えてくれます。



パブミラー

パブミラー

鏡の表面に企業名やブランドロゴ、商品名などを印刷・装飾した壁掛け用の鏡「パブミラー」は、19世紀後半の産業革命で、鏡が大量生産できるようになったことで、広告媒体として作られるようになりました。

ビールやウイスキー、タバコなどの「広告」として、パブ(酒場)の壁を華やかに彩ると同時に、鏡としての輝きとデザイン性の高い広告として大活躍でした。


フレーム で選ぶ

鏡の周りを縁取っている枠(フレーム)にも、アンティークミラーの場合、いろんな素材を使ったものや今では見かけないデザインのものをいろいろ見つけることが出来ます。
なかなか手に入らないものも多いので、自分のお気に入りの1枚を探してみましょう。

ジャコビアンミラー

オーク材の木枠付きミラー

英国のアンティーク家具のように、オーク材で出来たフレーム重厚な雰囲気漂うアンティークのジャコビアンミラー

アプライドモールディングと呼ばれる、アンティーク家具にも使われている、ジャコビアンスタイルの装飾が施されていて、とてもカッコいい雰囲気でお部屋を彩ってくれます。



モールディングミラー

モールディングミラー

お花や植物、リボンのような、ロココ調の可愛らしい装飾が鏡の縁取りに施された、モールディング(Moulding)ミラー

女性らしく華やかなフレームには、ゴールドなどの色が付いているものも多く、鏡を素敵に魅せるのはもちろん、まるで一枚の絵画のような雰囲気で、お部屋の壁を華やかに彩ってくれます。



フレンチミラー

モールディングミラー

同じモールディングミラーでも、フランス生まれらしくデコラティブなデザインが一層華やかな雰囲気の「フレンチミラー」

鏡の周りを建築や家具で用いられる装飾的な分厚い縁取りで囲んだ、サイズもかなり大きめのミラーは、フランスの有名な建築物では必ず見かけます。

壁に掛けると、まるで美術館で大きな絵画を見ているような雰囲気。お家の顔になります。



ビンテージミラー

ビンテージミラー

北欧スタイルの計算されたシンプルな幾何学模様のデザインが魅力的なビンテージミラー

時を経たことで深みを増したチーク材のフレームが、あたたかさを感じさせてくれます。

壁に掛けるだけで、ミッドセンチュリースタイルのインテリアをもっと素敵に見えるミラーです。



バーボラミラー

バーボラミラー

1900年代前半のヨーロッパの女性の間で大人気だったバーボラミラー(Barbola mirror)

石膏や木粉粘土、パルプなどを粘土状にこねて作った華やかなお花のモチーフを、鏡の枠に使った装飾付きのミラーのことです。

まるで木に彫刻したような繊細なデザインが女性に大人気のアンティークミラーです。



バンブーミラー

バンブーミラー

日本では慣れ親しんだ竹=Bambooをイメージしてデザインされたバンブーミラー(Bamboo mirror)

西洋の人が憧れた東洋のシノワズリやジャポニズムスタイルをミラーの枠に使った、当時の人に大人気だったデザイン。

西洋の人が見た竹がおしゃれにデザインされた、最近はなかなか見つけることが出来ない希少なアンティークミラーです。


で選ぶ

今までは壁掛けのアンティークミラーの選び方についてお話してきましたが、使い方に合わせて、いろんな形のミラーが作られました。

置きたい場所や使い方を考えて、自分に合った形のアンティークミラーを選んでみましょう。

卓上ミラー

卓上ミラー

テーブルやチェストの上などに気軽に置いて使える卓上ミラー

スタンドミラーテーブルミラーとも呼ばれる、自立式の小型の鏡は、17世紀に入ってお化粧が習慣化されるようになったヨーロッパのトイレに置かれたテーブルの上において使われていたので「トイレットミラー」と呼ばれていました。

その後、18世紀中頃からミラーをテーブルを固定したドレッシングテーブルが誕生しました。



三面鏡

三面鏡

中央の鏡の左右に小さな可動式のミラーが付いた、3枚がセットになった三面鏡は、角度を変えることで自分の後ろ姿をチェック出来て、とても便利に使えます。

日本ではよく見かける形ですが、ヨーロッパのアンティークではあまり見かけることがない希少なアイテム。また日本の三面鏡は、左右のミラーで中央のミラーを隠すことが出来ますが、ヨーロッパの三面鏡は可動域が狭いので出来ません。



シュバルミラー(姿見)

シュバルミラー(姿見)

18世紀のフランスの宮廷文化の中で「全身を確認するための家具」として発展したシュバルミラー

当時、衣装やアクセサリーを身に付ける際、細部まで整えることを重要視された貴族にとって、全身を映せるシュバルミラーはステータスシンボルでした。

その後イギリスでも人気が高まり、ツイストや彫刻、象嵌の入った装飾性の高いフレームが造り出された貴重なシュバルミラーは、現在、コレクターズアイテムとして価値があります。



手鏡

手鏡

誰もが1個は持っている、気軽に持ち運び出来てチェックすることが出来る手鏡(ハンドミラー)

中世のヨーロッパ貴族の間で、銀や象牙を使った豪華な手鏡が普及し、ルネサンス期には芸術作品のように細工が施されたものが数多く作られました。

その名残から、アンティークの手鏡は装飾が華やかなものが多く、思わず手に取りたくなるデザインのものがたくさん見つかります。


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鏡の歴史

静かな湖や泉の水面に顔を映して自分の姿を見た、人類最古の鏡「水鏡」から始まり、黒曜石を磨いた石板、その後、古代エジプトでは銅、ギリシャやローマでは青銅のように金属を磨いて日常生活や宗教儀式には欠かせない道具となった鏡。

14世紀に入ると「ガラス鏡」を作る技術がイタリアのヴェネチアで発明されます。

透明なガラス板の裏面に、錫と水銀を塗りつけることで、明るく鮮明に映し出すことが出来るようになったガラス鏡は、「ヴェネチアンミラー」と呼ばれ、王侯貴族の間では絵画や宝石と同じように価値のある贅沢の象徴として大流行しました。

ベルサイユ宮殿鏡の間

17世紀に入って、フランスでガラス鏡を大量生産出来るようになると、ヴェルサイユ宮殿の中に、「鏡の回廊」が建築されます。

光を何倍にも反射させる無数のガラス鏡が並ぶ鏡の間は「権力と美の象徴」でした。

19世紀に入るとドイツの科学者リービッヒが硝酸銀溶液を用いてガラスに薄い銀の膜を付着させる「銀鏡反応」を発明。

ガラスの表面に薄い銀膜を均一に付着させることが出来るようになったことで簡単に作れるようになり、それまでは王侯貴族しか使うことが出来なかった鏡が、庶民の生活へと広がっていきました。

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お部屋別 コーディネート術

アンティークのミラーを使ったお部屋のスタイリング術をご紹介します。

01. 洗面台

アンティークミラーを使った洗面台

鏡を使う場所で、まず思い浮かぶ場所「洗面所」

誰でも気軽に使える洗面所の壁にアンティークミラーを掛けるだけで、毎朝、顔を洗って出かける準備をするのがなんだか楽しくなります。

洗面台の雰囲気に合わせて、お気に入りのデザインを選びましょう。


02. 玄関

アンティークミラーを使った玄関

お家に来た人が必ず使う玄関に、素敵なアンティーク鏡のあるコーナーを作ってみましょう。

お出かけ前のチェックはもちろん、アンティ―クミラーの下にコンソールテーブルを置いて、季節のお花やお気に入りの雑貨を飾るだけで、おしゃれなコーナーが出来上がります。


04. ダイニング

アンティークミラーを使ったダイニング

風水学で「家庭の富」や「健康」を象徴する場所、ダイニングテーブルの上の食事が鏡に映し出されることは、豊かさが倍になると言われています。

テーブルが映りこむ位置に鏡を掛けることで、金運や家庭運がアップするのとともに、ダイニングルームが広く見える効果も!毎日がホテルのレストラン気分デス。


04. リビング

アンティークミラーを使ったリビング

そもそも、光を反射して空間を明るく見せるために使われていた鏡を、リビングルームに置いたコンソールやチェスト、マントルピースの壁に掛けましょう。

太陽の光や照明の灯りを反射して、リビングがワントーン明るくなる効果があります。


05. 寝室

アンティークミラーを使った寝室

寝室には、シュバルミラー(姿見)を。

寝室に置くことで、クローゼットから洋服を取り出し、着替えてすぐに全身を確認することが出来るので、忙しい朝の時短に効果バツグンです。

ドレッサーとしてメイク用に使っても便利です。


ミラーの お手入れ方法

アンティークミラーを長く美しく使うために、正しいお手入れ方法についてご紹介します。

01. ミラー(鏡)

アンティークミラーのお手入れ

普通のガラスと同じように、市販のガラスクリーナーを使ってお掃除して頂けます。

ただし、フレームが木製の場合、直接、スプレーを鏡に吹きかけて液だれすると、木部の塗装を傷める原因になるので、クリーナーを吹きかけた布で鏡を拭くようにしましょう。

最後にしっかり乾拭きすると、拭いた跡が残らすキレイに仕上がります。



02. 木製フレーム

アンティークミラーのお手入れ

フレーム部分は、アンティーク家具と同じように柔らかい布で乾拭きしてください。

汚れが気になる場合は、堅く絞った布巾を使って拭いた後、乾いた後に家具用のワックスを塗って仕上げます。

ワックスを塗ることで塗装の劣化を防ぎ、艶を出す効果もあります。


よくある質問(FAQ)


Q1. アンティークミラーの日常のお手入れ方法は?

A. 普段は柔らかい布でホコリを払う程度で大丈夫です。
ミラー面の汚れが気になるときは、市販のガラスクリーナーを布に吹きかけてから拭き取り、最後に乾いた布でから拭きしてください。

フレームが木製の場合は、水分や湿気が大敵なので、水拭きはできるだけ避け、気になるときだけすぐに乾拭き&家具用ワックスで保護してあげると長くきれいにお使いいただけます。

Q2. 洗面所や玄関など、水まわりで使っても大丈夫ですか?

A. もちろん大丈夫です。
洗面台や玄関など、毎日使う場所でお楽しみください。
木製フレームのものは、長時間の湿気で反ったり、塗装の白化の原因になることもあるので、直接、水がかかる位置や、結露しやすい浴室内は避けて設置することおすすめしています。換気がいい場所でお使いください。

Q3. 黒い点やくもりがありますが、不良品ですか?

A. 不良品ではありません。
アンティークミラーのガラス面や縁に見られる小さな黒点やくもりは、銀引きのムラや長い年月をかけて育ったアンティークならではの表情です。

現代の鏡のように真っさらではないので、経年変化に夜多少のキズや黒点はありますが、買い付けの段階で、コンディションが悪いものや使用するのに支障があるものは選んでいませんのでご安心ください。

Q4. 重さが心配です。壁に掛けるときの注意点はありますか?

A. 重さは関係ありません。取り付ける壁面の位置を確認してください。
アンティークミラーは、ガラスが分厚い分、重さがありますが、チェーンなどは重さに耐えるものだけをお届けしていますので大丈夫です。
取り付ける壁が石膏ボード壁の場合、必ずボード用アンカーや耐荷重の高いミラーハンガーを使うようにして下さい。
下地のある位置に取り付けるとさらに安心です。
不安な場合は工務店や内装業者さまにご相談下さい。チェストやコンソールの上に立て掛けて使う使い方もおすすめです。

Q5. 部屋ごとに、どんなサイズのミラーを選べばいいですか?

A. 洗面台や玄関には、顔まわりや上半身がしっかり映る縦長のミラーが便利です。
ダイニングやリビングでは、チェストやサイドボードの横幅の約2/3〜同じくらいの横幅のミラーを選ぶと、まるで絵を飾ったようにバランスよくおさまります。
寝室には、全身をチェックできるシュバルミラーや三面鏡を置くと、毎朝の身支度がぐっと快適になります。お部屋の広さと、映したい範囲をイメージしながら選んでみてください。

Q6. アンティークの厚みのある鏡は、映り方に違いがありますか?

A. アンティークミラーは、現代のものよりもガラスが分厚いため、映り方がとても柔らかく感じられます。
指を直角に当てたときに、ガラスの厚み分の「すき間」が見えるのもアンティークならでは。
分厚い鏡に映し出された自分の姿を、毎日、チェックして楽しみませんか?


【アンティークの鏡一覧】

イギリスやフランスから直接買い付けてきた、アンティークのミラーをご紹介しています。



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水野友紀子

水野 友紀子

空間スタイリスト。
アンティークショップHandleバイヤー。

大学で小さい頃から好きだった化学実験が出来る薬学を専攻。薬剤師となり、製薬会社で研究職に就く。 結婚を機に、休日は嫁ぎ先の老舗家具屋の手伝いをすることに。
家具のことを学びながら、そこで得た知識と固定観念にとらわれない主婦目線での女性らしい提案が、お客様に喜んでもらえることが嬉しくなり、薬の研究を辞め、インテリアの研究に没頭することを決める。
アンティーク家具に出会い、それまで知らなかった世界に感動。 家具やインテリアに対して伝えたいことや、自らが買い付けてきたアンティークに対する想いを「買い付けうらばなし」や「まいにちハンドル」に綴り、日々配信中。

アンティーク家具Handle
(水野商品館 株式会社)

1903年創業

【店舗&倉庫】
〒910-0019 福井市春山2-9-13

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