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ベントウッドチェアの魅力とは?選び方・使い方
- 水野 友紀子
買い付けに行った時、イギリスのパブやフランスのカフェで当たり前に使っていたベントウッドチェア。
あまり意識せずに普通に使いすぎていたんですが改めて詳しく調べてみたら・・・スゴイ椅子!今さらながらベントウッドチェアのよさをもっとたくさんの方に知ってもらいたくなりました。
今回、私が改めて知ったベントウッドチェアの魅力をまとめてみたので、ぜひ、読んでみて下さい。
Handle 水野 友紀子
ベントウッドチェアとは?
ベントウッドチェアは、ドイツとオーストリアで活躍した家具デザイナーのミヒャエル・トーネットが考案したと言われる「曲げ木の椅子」のことです。
曲げ木とは、「木」を「曲げる」ことを言います。
蒸気を当てて柔らかくした木材をグニュッと曲げて形を作る技法なので、上手く曲げないとバキッと割れたり折れてしまう場合も。でも、木を丸く切り抜くのと違って、木の繊維を断ち切らないので、とても粘りがあって強いです。
私が思うベントウッドチェアの大きな特徴は曲げ気が作り出す以下の3つ。
①軽いこと
②丈夫なこと
③おしゃれなこと
ベントウッドチェアは、造りがそれまでの椅子とは大きく違うので、とても軽くて女性でも片手で運べるところが魅力です。また、とても丈夫な曲げ木を使ったデザインはオシャレで、デザイナーの巨匠たちも賞賛し愛されてきました。
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- Bentwood -
曲げ木で作られた自由自在の形
曲げ木で作られたベントウッドチェアには、いろんな形があります。背もたれが目立ちますが、実はいろんな場所で見つけることが出来ます。
パッと見た目で一番目立つ曲げ木の部分は、やっぱり背もたれです。1本の棒をグニュッと曲げた背もたれは、丸く切り出した背もたれとは違って、木の繊維を断ち切らないので、粘りがあってとても頑丈です。
また、おかげで椅子自体がとても軽いのが特徴。形もいろいろあるので、集めてみたくなるくらいです。
アーム付きのベントウッドチェアは数がとても少なくめずらしいので、特に人気のアイテムです。
よく見てみると、いろんな形がありますがアーム部分も曲げ木の技術が活かされているものが多いんです。いろんな曲げ方があって、いろんなデザインのアームが造られているんだな・・・と感動してしまいます。
実は・・・ベントウッドチェアの座面の下を見ていると、こんな場所にも曲げ木が使われています。
縁の下の力持ち?!のような感じで、曲げ木で作られたフレームがしっかりと椅子を支えることで、軽くて丈夫なベントウッドチェアが作られています。
シンプルなデザインから複雑に曲げられたデザインのものまでいろいろあるので、座面の下もチェックしてみてください。
ベントウッドチェアは座面の模様がとても個性的です。もともとトーネットが作った際は籐の座面が主流でしたが、ロンドンに参入した際、より経済性を考えた合板に変わりました。
座面に華やかな浅浮き彫りで時代様式が感じられる模様が施されていたり、パンチングした丸い穴で星やお花の模様が描かれていたり、ストライプ模様になっていたり…
どれも時代の様式に影響されたデザイン。座面だけでもいろんなデザインがあるので、コレクションしたくなるほどです。
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- History -
ベントウッドチェアの歴史
そもそも造船などで使われていた技術を使って曲げ木で荷車の車輪を作っていたミヒャエルトーネットが「一般家庭で使える安価で質の良い椅子」という思いを込めて作った椅子がベントウッドチェアです。
1850年代にトーネット社から誕生したベントウッドチェアは、産業革命以降のビクトリア時代に大流行しました。
その理由は、軽くて女性でも持ち運びがしやすく、簡単に修理ができるという手軽さが支持されて人気でした。
当時、ベントウッドチェアの構造は、かなり画期的!生産しやすいようにパーツを分解し、組み立てて販売するノックダウン方式になっています。
このノックダウン生産方法をとることで、大量に生産することができ、さらにバラバラのパーツに分解することで、一度にたくさん運べる大量輸送が可能になりました。
列車の貨物室のサイズも考えて作られたケースに入れて運搬されたことで海外にも輸出されるようになり、世界中で愛されるようになりました。
ビクトリア時代に産業革命によって富を得て登場したのがミドルクラス(中産階級)の人々。
人口がドンドン増えていき、いろんなものを買うようになっていった中で、その消費スピードに応えらることが出来た椅子がベントウッドチェアでした。
安くて、簡単に修理ができ、大量に生産して輸送することの出来るベントウッドチェアは、ミドルクラスの人たちの家庭にドンドン普及していきました。
パブやカフェ、劇場や病院など、椅子がたくさん必要になる施設で「業務用の椅子」として使われるようになったベントウッドチェア。
シンプルなデザインは、どの時代のどんなインテリアと組み合わせてもすんなり馴染んでくれるので、まさにオールラウンドプレーヤー的な存在の椅子です。
建築家の巨匠と呼ばれる人たちのデザインにも影響を与え賞賛されました。
ル・コルビジェやポール・へニングセンがデザインした中にも、ベントウッドチェアが原型になっているものがあります。
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- Care -
修復して使い続けることができる椅子
大量生産しやすく、軽くて運びしやすいベントウッドチェアは、カフェやパブなど、椅子が大量に必要な場面で好まれて使われましたが、支持された大きな理由の一つは構造です。
ベントウッドチェアは、たくさんの人に使われてガタついても、ネジをしめれば間単に直すことができる構造になっているので、修理がカンタンでした。
しかも、当時はパーツが別売りされていたので、脚が折れても付け替えることが出来たんです。
ノックダウン方式で造られた当時はかなり画期的な構造の椅子として、ベントウッドチェアは多くの施設から「業務用の椅子」としても支持されました。
ベントウッドチェアの修復手順
ノックダウン方式で造られているベントウッドチェアは、とても丈夫な構造なので、しっかり修復すればアンティークのものも、ずっと長く使い続けていくことが出来ます。
逆に、しっかり修復をしていないとお部屋の乾燥で木が痩せたり、ボンドが抜けて接合部分がグラつくことがあります。
ここで、Handleに届いたベントウッドチェアの修復方法をカンタンにご紹介します!
まずは分解します!ショックハンマーを使って、丁寧に分解していきます。
ダボを外して座面と脚のフレームを外した状態です。さぁ組み立てます。
ボンドを入れて、ハタガネを当て、グラつかないようしっかりと脚を固定します。
次は座面です。こちらもしっかりボンドを入れて、こんな風に座面を固定していきます。
しっかり組みあがったら、最後は塗装です。一度、剥離して塗装をキレイに仕上げていきます。
完成です!安心して座れるアンティークのベントウッドチェアに仕上がりました。
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- Item -
いろんなデザインのベントウッドチェア
あまり冒険が好きじゃなく、ついつい定番ばかりを選んでしまう私、中嶋のおススメするベントウッドチェアは、ベントウッドチェアの定番、ダブルループタイプです。
丸く湾曲した2つの曲げ木で作られた背もたれは、よく見かけるデザインなので、今まで見かけられたことがある方も多いんじゃないでしょうか??
この風船のようにも見える背もたれの形は、バルーンバックチェアにも見えて好きです!
私、橋田のおススメは、ツーバータイプのベントウッドチェアです。
背もたれに2本のバーが平行にデザインされているツーバータイプは、普通の椅子とデザインがそんなに違わないから、どんな場所に置いても使いやすいんです。
人と違うものが好きな私は、色の濃いベントウッドより、あまり見かけることがない明るめのものが好き!ちょっとめずらしい色を見ると、ついついおススメしたくなります。
ちょっとめずらしいデザインが好きな私、村上は、パネルバックチェアがおススメです。
ベントウッドチェアと言うと、座面に浅浮き彫りでいろんな模様が描かれているんですが、その浅浮き彫りが背もたれにも使われているのがパネルバックチェアです。
めったに入荷しないので、次回の船便の荷物に積み込まれていると、ついついチェックしてしまうんです。
どんな模様が彫られているのか見るのもワクワクするポイント。全体的にパネルバックチェアは数も少なめなので、気になる方は早めにチェックして下さい。
私、酒井が好きなのはバンブーチェアです。
背もたれのデザインが日本の「竹」だと聞いた時から、私はバンブーチェアが一番好きで、いろんな方におススメしています。
今まで西洋の暮らしに憧れていた私にとって、西洋の人が日本に憧れてデザインした竹の背もたれって聞くだけで、なんだかステキだな~って思うんです。
なんだか日本人の自分が日本を自慢したくなっちゃう気分になるバンブーチェア、いかがでしょうか??
オシャレな雰囲気が好きな私、宮永がおススメするのは・・・カフェチェアです!
背もたれが低くて、腰の部分をキュッと支えてくれるこの椅子。
見た目がカッコよくて、なんとなく男の人に支えられている気分になるんです(笑)
お酒が好きな私は、この椅子に座って、夜、ロンドンのパブにいる気分でお酒が飲みたいな~っていつも思っています。
贅沢気分で座りたい私、戸田は、アームチェアが大好きです。
ベントウッドチェアって、座面がコンパクトなものが多い中で、アームチェアは座面が広くて大きいものが多いから、ゆったりと座れるんです。
しかもアームの部分まで曲げ木だなんて・・・あまり数がないから、すぐにお嫁に行っちゃう人気ぶりなんだけれど、いつか手に入れたい!と思っています。
まだまだアンティーク家具に対して勉強中の私、ヒガシが感動したのは、このエンジェルバックのベントウッドチェアです。
とってもめずらしいこのデザインは19世紀半ばの比較的初期の頃に作られたもの。
天使の羽根と輪に見える背もたれのデザインが、コレクターの間で人気になって「エンジェルバック(Angel Back)」と呼ばれたそうです。
私もいつか、この天使の椅子に座ってみたいな・・・と思っています。
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- Styling -
ベントウッドチェアを使ったお部屋
room1 ダイニング
まずは、一番基本の使い方、ダイニングのテーブルに合わせてみましょう。
どんなテーブルにも不思議と似合ってしまうのがベントウッドチェアのスゴさです。
同じデザイン、同じ色のものを集めるもはもちろんですが、形や色もバラバラのもので合わせても、すんなり馴染んでくれます。
room2 玄関
玄関に1脚、置いてみましょう。
まるでお家に来た人を椅子がお出迎えしてくれるような雰囲気になります。
隣りにサイドテーブルを置いて、お花を飾れば、一気に玄関が華やかな空気に包まれます。
room3 書斎
デスクと組み合わせて、デスクチェアとして使ってみましょう。
「アンティークのデスクと合わせないといけないのでは?」と思われる方も多いのですが、今、お持ちのデスクに合わせてみても、カッコよく似合います!
room4 寝室
ベントウッドチェアの座面は平らなので、ベッドサイドに置けば、テーブルがなくても座面をナイトテーブル代わりに使えます。
座面の上に携帯を置いたり、スタンドライトを置いたり、飲みかけのお茶や読みかけの本を置いたり・・・
ソファの横でサイドテーブル代わりとしても使えてとても便利です。
room5 お店
かなりまれに座面が高いベントウッドチェアのカウンターチェアを見つけることがあります。
お店のカウンター用として使えば、本格的なパブの雰囲気を楽しむことができちゃうオシャレなチェア。
自宅がオープンキッチンの方だったら、カウンターに置いて使ってみてはいかがでしょう?
ウィスキーを片手に、素敵な時間をお過ごし下さい。
room6 和室
実は、畳のお部屋にめちゃくちゃ似合うベントウッドチェア。
しなやかな曲げ木のラインは、日本のお家によく馴染み、オシャレな和室を作ってくれます。
使っていない和室があったら、ぜひベントウッドチェアを置いてみて下さい。驚くほどステキな時間が過ごせる和室になります。
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水野 友紀子
空間スタイリスト。
アンティークショップHandleバイヤー。大学で小さい頃から好きだった化学実験が出来る薬学を専攻。薬剤師となり、製薬会社で研究職に就く。 結婚を機に、休日は嫁ぎ先の老舗家具屋の手伝いをすることに。
家具のことを学びながら、そこで得た知識と固定観念にとらわれない主婦目線での女性らしい提案が、お客様に喜んでもらえることが嬉しくなり、薬の研究を辞め、インテリアの研究に没頭することを決める。
アンティーク家具に出会い、それまで知らなかった世界に感動。 家具やインテリアに対して伝えたいことや、自らが買い付けてきたアンティークに対する想いを「買い付けうらばなし」や「まいにちハンドル」に綴り、日々配信中。
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