- トップページ
- アンティークの選び方
- アンティークを装飾や細工から選ぶ
- マリーアントワネットが愛した刺繍「プチポワン」
マリーアントワネットが愛した刺繍「プチポワン」
- 水野 友紀子
置いておくだけでお部屋の中をパッと華やかにしてくれる「プチポワン」
マリーアントワネットが愛した、絵画のように美しい刺繍についておはなしします。
Handle 水野 友紀子
Petit Point
プチポワンとは?
フランス語で「小さなステッチ」と言う意味を持つプチポワンとは、18世紀にウィーンで大流行した細かい刺繍のことです。
拡大鏡を使って刺しこむステッチの数は1cm角の中に100~300!
普通の刺繍とは違って針目がとても細かいので、まるで絵画のように美しさが表現される芸術的な刺繍です。
プチポワンに使われている刺繍糸は、なんと!500色以上!
いろんな色を使った刺繍糸の細かい縫い目の上に、さらに縫い目を重ねて刺しているので、厚みがあるというのもプチポワンの特徴の一つです。
厚みがあるプチポワンは親子代々使っても耐えれる強さがあり、丈夫で長持ち!
代々受け継がれるようになり、歴史を重ねたことで色に深さを増したアンティークのプチポワンはとても人気があります。
Petit Point
プチポワンの歴史
18~19世紀、オーストリアのハンブルク家の君主、女帝「マリア・テレジア」が好んで使い開花したと言われるプチポワンのルーツは、15~16世紀頃にヨーロッパで流行していた「ゴブラン刺繍」。
人物や風景などを精巧に織り込んだゴブラン刺繍は芸術性が高く、見た目が豪華だったことから、絵画の代わりにテーブルマットや壁かけなどに使われていました。
その後、ゴブラン刺繍が羽目板の壁飾りや椅子の座面などの室内の装飾に使用されるようになり、だんだんと洗練され「プチポワン(PetitPoint)」へと進化していきました。
ウィーンの宮廷では、プチポワンを使った家具や壁かけタペストリーはもちろん、ハンドバッグが大人気!
宮廷絵画などが描かれたプチポワンのハンドバッグを持つことが、王家や貴族階級の女性たちのステイタスになります。
女帝「マリア・テレジア」の子で、ハプスブルク家のお姫様だったマリー・アントワネットも、母の影響を受けプチポワンが大好き!
ドレスやアクセサリー、身の周りの調度品からベッドにまでプチポワンを取り入れたほど好んで使っていたようです。
次第にヨーロッパ貴族の女性たちの間で、余暇にプチポワンを楽しむようになり、上流階級の子女の優雅な趣味として愛されるようになると、ヨーロッパの女性たちの教養としプチポワンはヨーロッパ全土に広まっていきました。
Petit Point
プチポワンの魅力
数多くある刺繍の中で、世界一の綿密さと芸術性をもつと言われるプチポワン。
250年以上の長い歴史を経て、今なお人々を魅了するプチポワンの魅力についてお話します。
Point1
絵画のように美しい刺繍
プチポワンは「カウンテッド・スレッド・ステッチ」という、キャンバスの布目を数えながら刺す刺繍技法を用いていますが、針目の細かさが他の刺繍とは大きく異なり、拡大鏡を使いながら、1cm角の中に100~300ステッチも刺しこんでいます。
そのため目がとても細かく、まるで絵画のような美しさを刺繍で表現することが出来るため、とても芸術性が高い刺繍と言われています。
Point2
代々受け継がれる丈夫さ
プチポワンは「テント・ステッチ」と呼ばれる、土台の布の織糸をすくって縦、横、ななめの方向に糸を刺す手法が使われています。
複数回、糸を刺して仕上げていくので、刺繍そのものに厚みがるのでとても丈夫!繊細なデザインでありながら、長持ちすることが魅力です。
Point3
マリーアントワネットが愛した宮廷デザイン
ロココ時代の王侯貴族たちに愛され続けたプチポワン。それだけに描かれている刺繍は、宮廷デザインが多いところも魅力です。
美しいお花や田園風景を中心に、宮廷での舞踏会の様子や王子様やお姫様など、まるで絵画の様な美しい模様が刺繍で描かれているので、王侯貴族気分が楽しめます。
Point4
500色以上から織りなす美しい色彩
プチポワンの美しさの要となる鮮やかな色彩は、約500色以上の色とりどりの刺繍糸から織りなされています。
絵画のような風景や花々、人物がまるで絵の具を混ぜ合わせるかのように、いろんな色の刺繍糸を組み合わせることで描かれています。
また、アンティークのプチポワンは、当時、鮮やかだった色が時間を経たことで色あせて、落ち着いた大人色に変化しているところも魅力です。
Petit Point
プチポワンのある暮らし
アンティーク家具の中で、一番よく見かけるプチポワンが「プチポワンチェア」
プチポワンの刺繍はもちろん、形も優雅で女性らしいアンティークの椅子をお部屋にプラスした、華やかなお部屋のコーディネートをご紹介します。
1脚から楽しめるプチポワンチェアと、王侯貴族気分?を楽しんでみませんか?
まずは1脚足してみる
初めてアンティークにチャレンジする方に、日常使うアイテムとしてオススメのアンティークチェア。
まずは、プチポワンチェアを1脚、日常生活に足してみる所から始めてみましょう。
日本ではあまり使われる機会がない、アーム付きの一人掛けの椅子、パーソナルチェア。
美しいプチポワンが刺繍されたパーソナルチェアだったら、存在感が大きいので1脚をお部屋に足すだけで、お部屋の雰囲気をガラッと変化させてくれる力があります。
もちろん掛け心地もいいので、実際に椅子として座れるところもポイント。まずは1脚から始めてみましょう。
寝室に置いてあるドレッサーチェアにプチポワンチェアを組合わせてみました。
優雅な気分に浸りながら、夜、ココに座って眠るまでの時間を楽しみましょう。
意外ですが、和室との相性もとてもいいんです。
畳とプチポワンチェアをコラボさせれば、おしゃれな大正ロマンの雰囲気が漂う和室がコーディネート出来ます。
さらに+1脚!2脚を楽しむ
アンティークに少し慣れてきた方は、初めての1脚にもう1脚足して、2脚使いを楽しみましょう。 一気に華やかさが増します。
サロンチェアは、偶数脚、並べるのが基本の使い方。
アンティークに少し慣れてきた方は、最初の1脚にもう1脚足して、2脚並べて使ってみましょう。
ティーテーブルやオケージョナルテーブルを間にはさんでシンメトリーに配置するだけでOK!
使い勝手はもちろん、見た目が華やかなワンコーナーが出来上がります。
いつもテレビを見るリビングに、プチポワンチェアを2脚配置してみました。
サイズが大きなソファもいいですが、一人ずつ座れるパーソナルチェアと一緒に、くつろぎの時間はいかがでしょう?
玄関やリビングの見せ場に、お揃いの2脚を使ったプチポワンコーナーを。
真ん中にオケージョナルテーブルをはさんでシンメトリーに置くだけで、一気にインテリア上級者です。
宮廷気分が楽しめるサロンセット
アンティークに慣れてきたベテランさんは、せっかくなのでプチポワンを使ったサロンセットを中心にお部屋作りを楽しんでみましょう!
めったに見つからないサロンセットだけに、見つかった時には、フランスの宮廷気分が楽しめます。
本格的なサロンセットは、長椅子のセティ+一人掛けのパーソナルチェア×2脚が基本。
今はセティだけでもなかなか見つからなくなってきましたが、本来はセットで造られていたので、見つけた時にはぜひ一緒に組み合わせて使ってください!
日本だと、昔の応接セットの組み合わせですが、プチポワンチェアだと、フランスの宮廷にいるような気分が楽しめます。
全てがお揃いのものを手に入れるのはなかなか至難の業。
よく似た色のものを組合わせても、素敵なサロンコーナーが完成します。
プチポワンを囲んで最上級の時間を楽しむリビング。
マリーアントワネットが愛した刺繍と一緒に、アンティークのある暮らしを楽しんでみませんか?
いかがでしたか?誰もが知っているマリーアントワネットが愛した刺繍「プチポワン」。
詳しく知れば知るほど好きになってしまう、優雅なプチポワンをお家にプラスして、アンティークのある暮らしを楽しんでみませんか?
-
水野 友紀子
空間スタイリスト。
アンティークショップHandleバイヤー。大学で小さい頃から好きだった化学実験が出来る薬学を専攻。薬剤師となり、製薬会社で研究職に就く。 結婚を機に、休日は嫁ぎ先の老舗家具屋の手伝いをすることに。
家具のことを学びながら、そこで得た知識と固定観念にとらわれない主婦目線での女性らしい提案が、お客様に喜んでもらえることが嬉しくなり、薬の研究を辞め、インテリアの研究に没頭することを決める。
アンティーク家具に出会い、それまで知らなかった世界に感動。 家具やインテリアに対して伝えたいことや、自らが買い付けてきたアンティークに対する想いを「買い付けうらばなし」や「まいにちハンドル」に綴り、日々配信中。
-
アンティーク家具Handle
(水野商品館 株式会社)1903年創業
【店舗&倉庫】
〒910-0019 福井市春山2-9-13
【南青山オフィス】
〒107-0062 東京都港区南青山5-4-41
古物商 福井県公安委員会許可
第521010008980号