「透かし彫り」とは？職人が語る選び方や使い方

透かし彫りは、レリーフと呼ばれる浮き彫りを貫いて立体的に仕上げた繊細な装飾です。

家具で透かし彫りを使う場合、機械で作ることが出来ないため、ハイレベルな職人の技術力と、かなりの時間が必要ですが、その分、目でも楽しめる芸術品のような家具です。

透かし彫りは、大きく分けると「ピアスドカーヴド」と「ピアスドフレットワーク」の2種類に分かれ、それぞれデザインの違いを楽しむことが出来ます。

Pierced Carved
ピアス･ド･カーブ

ピアス・ド・カーブとは、高浮き彫り（ハイレリーフ）と呼ばれる立体的な装飾を彫り貫いた、奥行きがある装飾のことです。

アカンサスのような植物や花のデザインで見ることが出来ます。

Pierced fret work
ピアス･ド･フレットカーブ

ピアス・ド・フレットワークとは、平面的なデザインの装飾を繰りぬいた彫のことを言います。

凹凸がなくフラットで、くり抜かれた部分が透けています。

Blind fret work
ブラインド･フレットワーク

ちなみに、ピアス・ド・フレットワークの基となっている、貫かれていない装飾のことをブラインド・フレットワークといいます。

土台となる素材と平行に彫刻されているブラインドフレットワークは、引き出しなどの貫けない部分に使われています。

1920年代　イギリス　マホガニー材
一見シンプルに見える背もたれをよく見ると、バイオリンの絃のように繊細な透かし彫りが入っているサロンチェア。

木材を割ることなく、細いラインを造り、さらに、その状態で今でも美しく残されている技術レベルの高さが分かる一脚です。

1930年代　イギリス　マホガニー材
細い曲線脚に、お花模様のピアスドフレットワークが装飾された、めずらしいオケージョナルテーブル。

曲線美にデザイン彫りが入ることで、より優雅な雰囲気に。目でも楽しめるテーブルです。

1900年代　イギリス　マホガニー材
上部の装飾、ペディメントにはピアスドフレットワーク、引き出し部分にはブラインドフレットワークが彫られた、シノワズリデザインの豪華なガラスキャビネット。

細い脚と美しい透かし彫りに魅了される繊細な美しさが魅力のアンティーク家具です。

room1　リビング

背もたれに透かし彫りが入ったセティは、優雅な雰囲気のリビングを造る主役的存在です。

白い壁の前に置くことで、透かし彫りの美しさが際立って見えます。

room3　和室

女性のために造られた、座面が広めで高さが低いナーシングチェアには、贅沢な透かし彫りが施されているものがほとんどです。

和室で使う椅子におススメのナーシングチェア。畳の上で落ち着きのある華やかさをプラスしてくれています。

このサロンチェアを頑丈な梱包から外して、一目見た時、ドキドキしたのを今でも覚えてます。

本物のアンティークは迫力がありますね。その時代のイギリスの技術とデザインと彫りの美しさに椅子全体の姿に圧倒されました。

以前、玄関に置いていた椅子は、重い感じで玄関を狭く見せていました。今回購入させていただいたアームチェアは透け感があるため、すっきりとしました。

彫刻も素敵です。日本、中国、李朝、洋物などの骨董によくなじんでいます。