アンティーク家具の装飾、挽き物細工「ターニングレッグ」

水野友紀子
水野 友紀子
ターニングレッグ ターニングレッグ

いろんなアンティークの家具や椅子で見つける「ターニングレッグ」は、家具のデザインの中で、最も古くから存在しているものです。

木をくるくる回しながら刃物を当てて作り出す、美しいターニングレッグについて、お話します。

Handle 水野 友紀子


ターニングレックとは ターニングレックとは
アンティーク家具や椅子のターニングレッグ

クルクル回転させるという意味を持つ、ターニング(turning)。 ターニングレッグとは、回転させた木材に刃物を当て、形を造る挽き物細工の脚のことを言います。

具体的には、旋盤と呼ばれる、回転させるための工具を木材に取り付け、くるくる回転させた木材に刃物を当てて、いろんな形の挽き物細工の脚が造られました。

バルボスレッグやツイストなどの英国家具を代表する脚のデザインも、挽き物細工で造られるため、ターニングレッグに含まれます。


挽き物細工の作り方

今は、電気が普及しているので、スイッチを入れるだけでカンタンに旋盤がくるくる回転してくれますが、電気がない時代に、木材を回転させてターニングレッグを造るのは、とても大変な作業でした。

イギリスの田舎では、弾力のある若い木の端に角度を付けてロープを結び付け、写真のような方法で旋盤を回す方法が、なんと19世紀になっても続けられていました。


挽き物細工の作り方

ロンドンなどの都市部では、天井に取り付けられた棒と足踏みをヒモでつなげて、足踏みを踏んで木材を回転させ、木を挽いて装飾を作り出していました。

当時、挽き物細工で造られたターニングレッグは、アンティークのテーブルや椅子の脚、階段の手すりを支える支柱などで見つけることが出来ます。


挽き物細工の作り方

日本の挽き物細工には、お椀やこけし、野球のバットなどがありますが、家具の脚に使われる挽き物細工は、形も太く、アンティーク家具のように美しい素敵なデザインのものはなかなか見つけ出すことが出来ません。

西洋の家具造りの長い歴史の中で造り上げられてきた、細く美しいターニングレッグ。家具選びの際、ぜひ足元に注目してみて下さい。


挽き物細工の歴史 挽き物細工の歴史

挽き物細工の歴史は古く、英国家具の原点とも言える、チューダー朝時代から始まっています。
まずは、挽き物細工のデザインの歴史を年代順に見てみましょう。


挽き物細工の歴史、ゴシック様式のバルボスレッグ 挽き物細工の歴史、チューダー様式とエリザベス様式のバルボスレッグ

挽き物細工の原点と言われているバルボスレッグ

バルボスレッグが誕生したのは、12~15世紀のチューダー様式です。

誕生した当時は、装飾もなく比較的シンプルでしたが、16世紀後半のエリザベス様式の頃になると、バルボスレッグの球状の部分にも重厚な彫りが施されるようになりました。

立体的な浮き彫りが施されたバルボス脚は、英国のドローリーフテーブルなどでよく見られるターニングレッグです。


ジャコビアン様式の挽き物細工挽き物細工の花瓶型のバルボスレッグとターニングレッグ

17世紀に入り、ジャコビアン様式になると、それまでの貴族や富裕層に好まれた、ルネッサンスの影響を受けた派手で凝った装飾から、シンプルで上品な装飾が好まれるように変化していきました。

バルボスレッグのデザインも、彫が入った華やかなものから、花瓶のようなスッキリとシンプルな形が好まれるようになっていきました。

また、挽き物細工が家具の新しいデザインとして流行するようになり、ボビンターニングのような女性らしい雰囲気の挽き物細工が誕生しました。


脚だけじゃない、扉にも使われた挽き物細工の装飾

挽き物細工の装飾が使われたサイドボードの扉

ジャコビアン様式に誕生したボビンターニングレッグは、脚の装飾としてだけでなく、家具の装飾としても使われるようになりました。

ボビン型に挽いた木を、縦半分にカットして、キャビネットの扉やチェストの引き出しの前板などに貼り付け、デザインとして使われるようになりました。

現在見つかるアンティーク家具でも、サイドボードや食器棚、ホールスタンドなど、いろんな家具で装飾として使われているものを見つけることが出来ます。



カロリアン様式のツイストデザイン ツイストデザインの脚

17世紀後半、カロリアン様式になると、工具の改良によって、ボビンターニングレッグが発展したツイストと呼ばれるらせん状に捻じられた挽き物細工が作られるようになります。

アンティーク家具の中で定番の挽き物細工、ツイストの正式名称は、バーリーシュガーツイスト

バーリー(Barley)とは大麦のことで、当時、大麦の優しい糖分から作られた「ねじり飴」の形を模してデザインされたターニングレッグ、ツイストは、テーブルや椅子など、いろんな家具に使われています。


ターニングレッグ

このように、アンティーク家具の装飾として有名なバルボスレッグやツイストレッグも、木を挽いて作るターニングレッグです。

Handleでは区別しやすいように、「バルボス」、「ツイスト」、そして、この2つ以外の挽き物細工で造られた脚を「ターニングレッグ」と区別して、3つに分けてご紹介しています。



いろいろありますターニングレッグの家具 いろいろありますターニングレッグの家具

今までHandleでご紹介してきた、いろんな形のターニングレッグのアンティーク家具をご紹介します。

ターニングレッグと言ってもデザインはいろいろ!今は、スイッチを入れると電気が通る時代なので、挽き物細工を造るための旋盤は、カンタンに回すことが出来るんですが、専用の金型の刃物が必要になり、手間もかかるので、なかなかターニングレッグで造られた家具を見つけることが出来ません。

造り出すのにどれくらい大変だったかを想像しながら、いろんなターニングレッグの家具を見て、自分の好きな形を探してみましょう!


天板のかたちも素敵なアンティークエクステンションテーブル

1930年代 イギリス オーク材
サイズの大きなダイニングテーブルの脚でよく見かけるターニングレッグ。ドッシリと重厚感が漂います。

ディスプレイを楽しむ為の家具ホワットノット、アンティークのオープンシェルフ

1890年代 イギリス マホガニー材
ホワットノットと呼ばれる、高級なオープンシェルフの柱に、細工の細かいターニングレッグが使われています。


ナチュラルな雰囲気漂う、アンティークの家具、ティーテーブル

1970年代 イギリス パイン材
パイン材の家具でよく使われている可愛い形のターニングレッグ。ナチュラルでほっこりぬくもりが感じられます。

背もたれのトップにお花の彫刻が付いた英国生まれのアンティークオークチェア

1930年代 イギリス オーク材
オーク材のダイニングチェアの脚は、ターニングレッグを使ったものがほとんど!存在感たっぷりの足です。


フランスのペイントアンティーク家具、大理石天板のサイドキャビネット

1940年代 フランス
フランスのペイントキャビネットの支柱に使われているのは、フランスらしく華やかなターニング!おしゃれです。

クラシックなアンティーク家具、かっこいい英国のライティングデスク(机)

1930年代 イギリス オーク材
落ち着いた雰囲気のデスクの脚に使われている雫型のターニングレッグ。カッコいい書斎を演出してくれます。


ターニングレッグのお部屋づくり ターニングレッグのお部屋づくり

家具の装飾として一番古い歴史を持つターニングレッグはいろんなスタイルの家具の足で見つけることが出来ます。

いろんなターニングレッグの家具を使ったお部屋のコーディネートを紹介します。


01書斎
ターニングレッグの家具を使った書斎

重厚感のある英国スタイルの家具でコーディネートした書斎。

ターニングレッグのオーク材の家具は、落ち着いた雰囲気のものが多いので、オトナの書斎にピッタリです。


02ダイニング
ターニングレッグの家具を使ったダイニング

フランスのペイント家具を使った、ダイニングルーム。ダイニングテーブルや、オープンシェルフの柱で、ポコポコっとした可愛い形のターニングが使われています。

ターニングレッグのキッチンチェアと組み合わせて、おしゃれで可愛いダイニングルームの完成です。


04寝室
ターニングレッグの家具を使った寝室

高級木材を使った、クラシックスタイルのターニングレッグの家具や椅子を使った寝室。

艶のある高級材を使ったターニングレッグは、上品で大人っぽい印象のお部屋を演出してくれます。


03リビング
ターニングレッグの家具を使ったリビング

ターニングレッグのテーブルを組み合わせてコーディネートしたリビング。

家具の足元が華やかだと、お部屋全体が華やかな雰囲気に見えてきます。


みんなのターニングレッグを見てみよう みんなのターニングレッグを見てみよう

今までお客様にお届けした、ターニングレッグの家具や椅子。お客様のお家でどんな風に使われているか、のぞいてみましょう!


北海道Yさま「おみ足のステキなこと」 北海道Yさまのターニングレッグのアンティークテーブル

待ちに待っていた、伸張式のドローリーフテーブルが届きました!

本物のアンティークでは叶わない日本人にぴったりのテーブルの高さで、思っていた以上に大好きな色の黒い子(笑)もう大満足です!

それに、おみ足のステキなこと!! 先輩の二脚のシスルチェアと、すでにしっくり馴染んでいます。

今日からこのテーブルを中心に、新しい時間を刻んで行きます。


埼玉県Tさま「脚のシルエットも美しく」 埼玉県Tさまのターニングレッグのアンティークチェア

学生の頃、ホームステイさせてもらったスウェーデン人一家のお宅に素敵なローズウッドのテーブルがあり、いつかローズウッドの家具をほしいと思っていたので、ローズウッドの椅子を、我が家に置くことができて嬉しいです。

背もたれの象嵌と彫刻が華やかで、脚のシルエットも美しく、座面の布も他の家具と合わせやすく、とても素敵な椅子です。

この椅子をほしいと思い、ホームページで、象嵌細工を作る過程の説明を読んで感心しました。

時間と労力をかけて作られた美しい家具を、我が家で使えることを思うと、改めてアンティーク家具の素晴らしさを実感します。


東京都Kさま「オシャレな脚と取っ手も素敵です」
東京都Kさまのアンティークチェスト「チェストは立派で美しく、アンティークならではの貫禄があり、とても気に入っています!」

Handleスタッフの皆様、こんにちは。

アンティークチェストは立派で美しく、アンティークならではの貫禄があり、とても気に入っています!オシャレな脚と取っ手も素敵です(^-^)

使い勝手も満点! 修復に携わる職人さん方の腕の良さを実感。素晴らしいと思います!


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水野友紀子

水野 友紀子

空間スタイリスト。
アンティークショップHandleバイヤー。

大学で小さい頃から好きだった化学実験が出来る薬学を専攻。薬剤師となり、製薬会社で研究職に就く。 結婚を機に、休日は嫁ぎ先の老舗家具屋の手伝いをすることに。
家具のことを学びながら、そこで得た知識と固定観念にとらわれない主婦目線での女性らしい提案が、お客様に喜んでもらえることが嬉しくなり、薬の研究を辞め、インテリアの研究に没頭することを決める。
アンティーク家具に出会い、それまで知らなかった世界に感動。 家具やインテリアに対して伝えたいことや、自らが買い付けてきたアンティークに対する想いを「買い付けうらばなし」や「まいにちハンドル」に綴り、日々配信中。

アンティーク家具Handle
(水野商品館 株式会社)

1903年創業

【店舗&倉庫】
〒910-0019 福井市春山2-9-13

【南青山オフィス】
〒107-0062 東京都港区南青山5-4-41

古物商 福井県公安委員会許可
第521010008980号

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