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挽物のアンティーク家具「ターニングレッグ」とは?
- 水野 友紀子
家具のデザインの中で、最も古くから存在している「ターニングレッグ」とは、木をくるくる回転させながら刃物を当てて作り出す挽き物細工のこと。
アンティーク家具でよく見かける装飾、美しいターニングレッグについて、詳しくお話します。
Handle 水野 友紀子
~ ターニングレッグの目次 ~
1.ターニングレッグレッグとは 2.挽き物細工の歴史 2-1 チューダー様式 2-2 ジャコビアン様式 2-3 カロリアン様式 3.ターニングレッグの家具 4.挽き物細工の豪華なお部屋づくり 5.お客様のターニングレッグ
Turning
ターニングレッグとは?
アンティーク家具の装飾の中で、最も古くから使われているものが、「ターニングレッグ」と呼ばれる挽き物細工です。
クルクル回転させるという意味を持つ、ターニング(turning)。
名前が表す通り、旋盤と呼ばれる工具に取り付けた木材を回転させ、刃物を当てていろんな形の挽き物細工が造られました。
バルボスレッグやツイストなど、英国の家具を代表する脚のデザインは、全て挽き物細工。ターニングレッグに含まれます。
今は電気がなくては生活できないほど、電気が普及しているので、スイッチを入れるだけで旋盤がくるくる回転しますが、電気がない時代、手作業で木材を回転させてターニングレッグを造るのは、とても大変な作業でした。
イギリスの田舎では、弾力のある若い木枝の端に角度を付けてロープを結び付け、写真のように装置で旋盤を回すことが19世紀に入ってからも続いていたといからビックリです。
ロンドンのような都市部では、天井に取り付けられた棒と足踏みをヒモでつなげて、足踏みを踏むことで木材を回転させ、木を挽いてターニングレッグを作り出していました。
西洋の長い家具歴史の中で、ずっと愛され続けてきた挽き物細工。
家具選びの際、足元に注目してみて下さい。
History
挽き物細工の歴史
挽き物細工の歴史は古く、英国家具の原点とも言える、チューダー朝時代から始まっています。
まずは、挽き物細工のデザインの歴史を年代順に見てみましょう。
history1
チューダー・エリザベス様式のバルボスレッグ
挽き物細工の原点と言われているバルボスレッグ。
バルボスレッグが誕生したのは、12~15世紀のチューダー様式です。
誕生した当時は、装飾もなく比較的シンプルでしたが、16世紀後半のエリザベス様式の頃になると、バルボスレッグの球状の部分にも重厚な彫りが施されるようになりました。
立体的な浮き彫りが施されたバルボス脚は、英国のドローリーフテーブルなどでよく見られるターニングレッグです。
history2
ジャコビアン様式の
挽き物細工
17世紀に入り、ジャコビアン様式になると、それまでの貴族や富裕層に好まれた、ルネッサンスの影響を受けた派手で凝った装飾から、シンプルで上品な装飾が好まれるように変化していきました。
バルボスレッグのデザインも、彫が入った華やかなものから、花瓶のようなスッキリとシンプルな形が好まれるようになっていきました。
また、挽き物細工が家具の新しいデザインとして流行するようになり、ボビンターニングのような女性らしい雰囲気の挽き物細工が誕生しました。
扉に使われた挽き物細工の装飾
ジャコビアン様式に誕生したボビンターニングレッグは、脚の装飾としてだけでなく、家具の装飾としても使われるようになりました。
ボビン型に挽いた木を、縦半分にカットして、キャビネットの扉やチェストの引き出しの前板などに貼り付け、デザインとして使われるようになりました。
現在見つかるアンティーク家具でも、サイドボードや食器棚、ホールスタンドなど、いろんな家具で装飾として使われているものを見つけることが出来ます。
history3
カロリアン様式の
ツイストデザイン
17世紀後半、カロリアン様式になると、工具の改良によって、ボビンターニングレッグが発展したツイストと呼ばれるらせん状に捻じられた挽き物細工が作られるようになります。
アンティーク家具の中で定番の挽き物細工、ツイストの正式名称は、バーリーシュガーツイスト。
バーリー(Barley)とは大麦のことで、当時、大麦の優しい糖分から作られた「ねじり飴」の形を模してデザインされたターニングレッグ、ツイストは、テーブルや椅子など、いろんな家具に使われています。
このように、アンティーク家具の装飾として有名なバルボスレッグやツイストレッグも、木を挽いて作るターニングレッグです。
Handleでは区別しやすいように、「バルボス」、「ツイスト」、そして、この2つ以外の挽き物細工で造られた脚を「ターニングレッグ」と区別して、3つに分けてご紹介しています。
ITEM
ターニングレッグの家具
今までHandleでご紹介してきた、いろんな形のターニングレッグのアンティーク家具をご紹介します。
ターニングレッグと言ってもデザインはいろいろ!今は、スイッチを入れると電気が通る時代なので、挽き物細工を造るための旋盤は、カンタンに回すことが出来るんですが、専用の金型の刃物が必要になり、手間もかかるので、なかなかターニングレッグで造られた家具を見つけることが出来ません。
造り出すのにどれくらい大変だったかを想像しながら、いろんなターニングレッグの家具を見て、自分の好きな形を探してみましょう!
1930年代 イギリス オーク材
サイズの大きなダイニングテーブルの脚でよく見かけるターニングレッグ。ドッシリと重厚感が漂います。
1890年代 イギリス マホガニー材
ホワットノットと呼ばれる、高級なオープンシェルフの柱に、細工の細かいターニングレッグが使われています。
1970年代 イギリス パイン材
パイン材の家具でよく使われている可愛い形のターニングレッグ。ナチュラルでほっこりぬくもりが感じられます。
1930年代 イギリス オーク材
オーク材のダイニングチェアの脚は、ターニングレッグを使ったものがほとんど!存在感たっぷりの足です。
1940年代 フランス
フランスのペイントキャビネットの支柱に使われているのは、フランスらしく華やかなターニング!おしゃれです。
1930年代 イギリス オーク材
落ち着いた雰囲気のデスクの脚に使われている雫型のターニングレッグ。カッコいい書斎を演出してくれます。
ROOM
挽き物細工の豪華なお部屋づくり
家具の装飾として一番古い歴史を持つターニングレッグはいろんなスタイルの家具の足で見つけることが出来ます。
いろんなターニングレッグの家具を使ったお部屋のコーディネートを紹介します。
room1 書斎
重厚感のある英国スタイルの家具でコーディネートした書斎。
ターニングレッグのオーク材の家具は、落ち着いた雰囲気のものが多いので、オトナの書斎にピッタリです。
room2 ダイニング
フランスのペイント家具を使った、ダイニングルーム。ダイニングテーブルや、オープンシェルフの柱で、ポコポコっとした可愛い形のターニングが使われています。
ターニングレッグのキッチンチェアと組み合わせて、おしゃれで可愛いダイニングルームの完成です。
room3 寝室
高級木材を使った、クラシックスタイルのターニングレッグの家具や椅子を使った寝室。
艶のある高級材を使ったターニングレッグは、上品で大人っぽい印象のお部屋を演出してくれます。
room4 リビング
ターニングレッグのテーブルを組み合わせてコーディネートしたリビング。
家具の足元が華やかだと、お部屋全体が華やかな雰囲気に見えてきます。
VOICE
お客様のターニングレッグ
今までお客様にお届けした、ターニングレッグの家具や椅子。お客様のお家でどんな風に使われているか、のぞいてみましょう!
待ちに待っていた、伸張式のドローリーフテーブルが届きました!
本物のアンティークでは叶わない日本人にぴったりのテーブルの高さで、思っていた以上に大好きな色の黒い子(笑)もう大満足です!
それに、おみ足のステキなこと!! 先輩の二脚のシスルチェアと、すでにしっくり馴染んでいます。
今日からこのテーブルを中心に、新しい時間を刻んで行きます。
学生の頃、ホームステイさせてもらったスウェーデン人一家のお宅に素敵なローズウッドのテーブルがあり、いつかローズウッドの家具をほしいと思っていたので、ローズウッドの椅子を、我が家に置くことができて嬉しいです。
背もたれの象嵌と彫刻が華やかで、脚のシルエットも美しく、座面の布も他の家具と合わせやすく、とても素敵な椅子です。
この椅子をほしいと思い、ホームページで、象嵌細工を作る過程の説明を読んで感心しました。
時間と労力をかけて作られた美しい家具を、我が家で使えることを思うと、改めてアンティーク家具の素晴らしさを実感します。
Handleスタッフの皆様、こんにちは。
アンティークチェストは立派で美しく、アンティークならではの貫禄があり、とても気に入っています!オシャレな脚と取っ手も素敵です(^-^)
使い勝手も満点! 修復に携わる職人さん方の腕の良さを実感。素晴らしいと思います!
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水野 友紀子
空間スタイリスト。
アンティークショップHandleバイヤー。大学で小さい頃から好きだった化学実験が出来る薬学を専攻。薬剤師となり、製薬会社で研究職に就く。 結婚を機に、休日は嫁ぎ先の老舗家具屋の手伝いをすることに。
家具のことを学びながら、そこで得た知識と固定観念にとらわれない主婦目線での女性らしい提案が、お客様に喜んでもらえることが嬉しくなり、薬の研究を辞め、インテリアの研究に没頭することを決める。
アンティーク家具に出会い、それまで知らなかった世界に感動。 家具やインテリアに対して伝えたいことや、自らが買い付けてきたアンティークに対する想いを「買い付けうらばなし」や「まいにちハンドル」に綴り、日々配信中。
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アンティーク家具Handle
(水野商品館 株式会社)1903年創業
【店舗&倉庫】
〒910-0019 福井市春山2-9-13
【南青山オフィス】
〒107-0062 東京都港区南青山5-4-41
古物商 福井県公安委員会許可
第521010008980号