アンティークの買い付けの様子をご紹介します!

水野友紀子
水野 友紀子

アンティークの買い付けの旅について
Handleでは、2~3ヵ月に一度のペースで、イギリスやフランスに出向いてアンティーク家具を買い付けて来ています。

時々「アンティークの買い付けって、カッコいいですよね~」って言われる事も多いのですが・・・実は、結構、過酷?!
買い付けしている時の姿は見せれないくらい大変なんです(汗)
そんな買い付け現場の舞台裏をお見せします!

まずは、イギリスの地図を。日本ではイギリスと言う表現をしますが、こんな風に呼ぶのは、実は日本だけ。正式には「グレートブリテンおよび北アイルランド連合王国」略して連合王国「United Kingdom」と呼ばれます。

ロンドンがあるイングランド(England)、スコットランド、ウェールズ、北アイルランドの4ヶ国の連合体。略してUKです。

ちなみに・・・
北アイルランドをのぞいた大ブリテン島にある三カ国は総称してグレートブリテン(Great Britain)通称GBと呼ばれます。

さぁ、日本を出発!まずはUKの入り口、ロンドンのヒースロー空港に到着。そのままロンドンの街中へ・・・と行きたいところですが、ロンドンは物価が高いので観光客の方向き。私たちが買い付けることはありません。

列車か飛行機に乗り継いで北に上がっていきます。ここは「パディントン駅」。そう、パディントンベアもぬいぐるみも、この駅のプラットホームで拾われたのがお話しの始まりです。
ちなみに、完成したのは1854年だそうです。

ここはヴァージン鉄道が出るユーストン駅。ズラ~っと並んだ赤いチケットマシーンが可愛いでしょう~。

ネットで準備しておいたチケットをここで受け取ります。

みんな電光掲示板を見ながらアナウンスされるのを待っているのですが・・・発車15分前にならないとホームが決まらないんです。
ホームが決まった途端、乗る人たちが慌ててホームに向かいます。(笑)

ユーストンからは派手なカラーリングが特長の Virgin Trainsで約2時間くらいでマンチェスターに到着です。

日本からの直行便じゃないときはクタクタなので鉄道を、直行便の時は、そのまま飛行機に乗り継いでマンチェスターに向かいます。

いつもは現地で6泊する8日間がお決まりのコースです。

マンチェスター近郊のB&Bに泊まって拠点にし、半径100km圏内をレンタカーで移動しながらアンティークを集めてきます。

この時は隣町のストックポートへタクシーで移動。ちなみに、このお洒落なタクシーは日産車でした!

さぁ!初日の買い付けに出発です。まずは、すぐにレンタカーを借ります。今回の相棒はこの子。大抵、こんな感じのライトバンを準備しています。

・・・と言うのも、家具は現地のディーラーに運んでもらうのですが、細々とした雑貨や、急にどうしてもガマン出来なくなった家具をつい買い付けてしまったとき、そのまま積み込んで持って帰れるように、少し大きめの車で移動しています。

この景色だけみていると、北陸の高速を走っているのと同じ気分(笑)この時は、めずらしく雪が積もっていました。ほとんど雪が降らないのでスタッドレスを履いているタイヤを見ることはありません。ドキドキしながらノーマルタイヤでの買い付けでした(汗)

ちなみに、イギリスは日本と同じ右側通行の右ハンドル。しかも交通マナーもいいので、すごく運転しやすいんです。フランスだったら・・・とても運転できません(苦笑)

さぁ、ここからは、買い付けに行った時の車窓から見えた景色とともに、少し買い付けについてご紹介します。
ここには何が見えていると思いますか??

羊です!まるで動物園のようですが、牧草地が広がっているので、当たり前の光景です。

時には馬も!(笑)なんだかのどかでしょう~
こんな場所を車で走りながら目的地を目指します。

イギリスでは、いろんな場所でアンティークを買い付けることが出来るんですが、私たちが買い付けに回っているのは、一般の人が入れない個人輸入を専門に行っているディーラーやアンティークセンターです。

滞在している間は、1日に3軒くらいを回るようにしています。さぁ、アンティークセンターに到着です。

ここは、ランカシャーにあるいつも訪れるお気に入りのアンティークセンターです。
このオシャレな建物、もともとは教会だった建物がアンティークセンターとして使われています。

中に入るとこんな感じで、とってもキレイに並べられています。
いろんなアイテムがあって、カフェも併設されている人気のアンティークモールです。

もともとが教会だけに、ステンドグラスもとっても美しいんです。
キレイで買い付けやすい私のお気に入りの場所です・・・が、大抵こういうキレイなモールは金額も高め(苦笑)

欲しいものだけ買い集めて、さぁ、次に向かいます!

さっきと違って、こんなに積み上げなくても・・・と思ってしまうくらいの椅子の山(汗)スゴイでしょう・・・

下の方にどんな椅子が隠れているのかがまったく見えないんです。

ちょっと引いて見てみたのですが、さらにスゴイでしょう~。溢れんばかりのアンティークチェア達。
この中から、私のお眼鏡に適うもの選び出します。

気になるものが見つかったら、上の乗っている椅子をおろしてもらいます。
正直、触ると手が真っ黒になるから、いかに上手くおろしてもらえるよう交渉出来るかが私の力量(笑)

みんなに頑張っておろしてもらって・・・

空いている場所に運んでもらい、キレイに並べてもらいます(笑)
時には、こんなに大量にアーコールを見つけられることもあったんです!

もともとスクールチェアとして、学校で使われていたアーコールチェアなので、学校が廃校になった際に大量に集まってきたもの。

この写真を撮ったころは、まだまだこんな光景が見れたのに、マーガレットハウエルが復刻させてから特に日本で人気になってしまったアーコール。手に入れるのがかなり困難になってしまい、もうこの光景を見ることも出来ないと思います。

ランカシャーでもう1軒。
天井から椅子がぶら下がっているのはよく見かける光景です。ここはまだキレイな方かな??

さっきのアンティークセンターと比べると、ちょっとこじんまりしていて、まるでおもちゃ箱から宝物を探す感じです。

アンティーク好きなイギリスでは小さな町でも週末や月1回ほどのペースで屋外でアンティークフェアが行われています。

入場料はフリーの場合もあれば£1~3くらいの小さなフェアから£20くらいかかる場所も。ただ、二日目からは一気に下がって£5になったりするので、ピクニック感覚で遊びに来ている地元の方も多いんです。

アンティーク雑貨などを扱っているお店だと屋外で開催されるアンティークフェアで買い付けされる方も多いと思うのですが、天候にも左右されて予定通りにいかなかったりするし、やっぱりHandleはアンティークでも家具が専門なので、屋外のフェアを利用する事は、ほぼありません。

ちなみに、ここはガーデニング用品をたくさん扱っているディーラーの倉庫。

中にはステンドグラス&ステンドグラスのドアがたくさん並んでいます。

色やかたちが様々なトランクもギュウギュウ詰めで積みあがっています。
これって、一番下が欲しかった時、一体、どうするんだろう??って毎回思うんですよね(笑)

私は中身がキレイじゃないとイヤだから、とてもこの中からは選べない~!

ここは照明をよく買い付けるお店。上ばっかり見て歩いています(笑)

作業場にはいろんな照明のガラスパーツが。私はこのガラスパーツが大好き!

きっと、興味のない人にとっては、ただのガラクタなんだけれど、私にとっては宝の山!もう、アンティークでしか準備できないガラスがたくさんあって、これがないと修復も出来ないんです。

修復工房の中はこんな感じ。もう、グッチャグチャです(笑)
さぁ、こんな感じ買い付けで一日目が終了。

ここからB&Bに戻るんですが、その前に必ず立ち寄る場所があるんです。それは・・・

そう、TESCO!ここはテスコの中でもさらに最大級のTESCO extra。日用品はもちろん、家電から洋服、さらに工具も販売しているので、修復の時に使うものもここで調達します。

毎日寄るのは・・・夜ゴハンを購入するためです。
お部屋に戻ってから、その日、買い付けた買い付けリストをすぐに作らないといけないので、食事はいつもお部屋の中で。レストランに行っている時間はないんです。

さぁ、2日目。ここはいつも行くアンティークセンターです。
いろんなものがごちゃまぜに置いてあります。

上から見ると広~い!でも、ここでは家具は選びません。

私の目標は、コレ!何だと思います?!近づいてみると・・・

プレスドグラスの山!
ここはかなり大量に、そしてキレイに並んでいるので、ここから1つ1つを選んで気に入ったものをピックアップします。
選んだものは・・・

いつもこんな風にテーブルを出してもらって特設会場を作り、プレスドグラスの山を作ります。
専属の2人のキレイなお姉さんが、お手伝いしてくれているんですが、これがかなり重労働。

カケや割れがないかを一つ一つ確認し、割れないように新聞紙でくるんでバナナ箱に詰めていきます。

まだ、アンティークの買い付けを始めた頃は、1回の買い付けで100点くらいを選んでいたんだけれど、すぐにお嫁に行っちゃうので、最近は買い付け量を増やして、1000~1500点くらいを選んでいます。

ただ、選ぶのも大変だし、パッキングもそれはそれは大変で・・・途中で意識がなくなるくらい(笑)

疲れたら、センター内にあるカフェでゴハンです。

プレスドグラスに入っているミルクが可愛いでしょう~!

ココがレジ。右下に見えるバナナ箱にパッキングしてもらったプレスドグラスを、そのまま船に乗せれるように新聞を使ってギュッと詰め込んで、レンタカーに乗せて帰ります。

ちなみに、このバナナ箱。買い付けにはなくてはならない相棒アイテムです。

いつもスーパーでもらってくるのですが、かなり分厚く丈夫!!持ち手が上下についているのでとっても便利なんです。

ここにキュッと詰めて割れないように日本まで運びます。

ここは新しく探してきたアンティークマーケット。
レンガ造りがいかにもイギリスって感じです。

こじんまりしていて見やすく、雰囲気のいいお店。

イギリスのアンティークマーケットの環境もどんどん変化しているので、リサーチは重要!
行く先でいろんな情報を得て、毎回、新しい買い付け先を探してきます。
この時も新しい出会いがあって、買い付け先が増えました。

ここは10年振りのディーラーさん。かなり久しぶりに足を運んでみました。
中に入ってみると・・・

宝探しに来たような雰囲気は全く変わっていません。高く詰まれた家具の山!

そして、山!!この中から探していくんです。大変でしょう~!?

中には、こんなにすごーいアンティークもありました・・・。

こっ!怖い!!甲冑にヘビ?!さらに、上から視線を感じると思ったら・・・!!?

(笑)スパイダーマンが上から見ていました。

アンティーク家具の買い付けは、いつも倉庫の中で大奮闘。
キレイに一列に並べてあるセンターもあれば、無造作に上に高く積み上げているだけの場所もあり、その中から一つ一つを見て選んでいきます。

一番よくある感じの倉庫の中。この中から気になるものを選んで、前の空いているスペースに出してきて、表情やコンディションをチェックします。

買い付けは、2~3ヶ月に1回行っているのですが、毎回、行く場所は違います。
と言うのも、同じ場所に立て続けに行っても、商品が揃っていなくて前回とそんなに変わらないことが多いので、毎回、違う場所に足を運んで、目新しい?アンティークを探してくるようにしています。

ここも家具専門のアンティークセンター。上から写真を撮ったのですが、実際はこの何倍もの広さがあり、その中から選び抜くのが私の大切なお仕事。

テーブルが3~4台が積み上げられているのが分かるでしょう~
いつもテーブルを探すときは汗だくでホコリまみれです。

ここのセンターは、1950~70年代の北欧スタイルの家具専門。こういう専門店は、量がたくさんあっていいんだけれど、価格が高い!
だから、あまり選ばないんです。もっとゴチャゴチャしているお店の中で見つけます。

ここはキレイに並べてあって、量も見た目もいい感じのセンター。こういう所に掘り出し物があると見つけやすくて最高なんです。

一年に一度、訪れるようにしているこの建物。何だと思います??ギリシャ神殿風の建物の中は・・・

英国で最大規模のインテリアの仕入先です。アンティーク以外の英国らしい雑貨の仕入れ先なんですが、家具や照明など、日本では見かけないものばかり。

大胆な色使いや、派手派手しい壁紙の使い方がとても勉強になります。

ガーデニングの国らしくガーデンコーナーもかなり充実しています。
お庭もお洒落に楽しむ生活が当たり前の国。日本では数少ないお洒落なガーデンアイテムがたくさん置いてあります。

あっ!見たことある!と思ったら・・・これも売り物でした(大笑)

こんな感じで、いろんなアンティークマーケットや展示会を回った後、最後に向かうのは、コンテナをつけてもらっているお抱えのパッカーがいる倉庫です。

いろんな場所で買い付けてきたアンティーク家具や雑貨を、全てここに運んでもらいます。

日本に帰国するまでに全部のアンティークは集まってこないんだけれど、すでにいくつか運び込まれている家具もたくさんあって、感動の再会?!です(笑)

すごいお腹!(笑)
パッキングするからパッカーって呼ばれるパッカー。私はこの呼び方が大好き~

ホテルで必死にまとめた買い付けリストをここでパッカーに渡して、コンテナに積み込んでもらいます。

コンテナは一番大きな40フィート。上から下までギュウギュウ詰めに詰めます。どれくらい積み込めるかと言うと、チェストばかりを積み込んだとして、大体200台くらい!
ここで大事なのが買い付けの量が少なくてもダメ、多くてもダメって言うことなんです。

買い付けうらばなしでいつも書いているように、大きなテーブルが多いとコンテナに全部を積み込むことが出来なくなっちゃうし、少ないと移動する際、中で荷物が動いちゃうからよくないんです。

全部チェックして渡しても、結局、積み残しや積み忘れも出てきちゃうんですが、それでも頭の中で「コレくらいかな?」って予測した量がコンテナにピッタリ詰まれたときが何とも言えない快感!

最近は、大体、頭の中で40フィートが完璧に計算出来るようになってきました!荷物を全部積み込むと、船積みしてくれるシッパーがコンテナを取りに来てくれます。

これで買い付けは終了!少しでも余った時間で、教会やマナーハウスなどを見に行くようにしています。

やっぱり建物が古いので、どれを見てもスゴイ!写真はリバプールで偶然見つけた美しい教会。中に入っている時間はなかったんだけれど、中から見えるステンドグラスは美しいんだろうな・・・

冬は氷がはった上をカモが歩く姿を見ながら・・・

春は菜の花畑の黄色と空の青をバックに・・・

そして、出産ラッシュの時期に可愛い子羊達を見ながら、ホコリまみれになって、アンティークを買い付けてきています。

日本に到着するのは約3ヵ月後。修復してキレイになってからご紹介しますので、ぜひ楽しみにしていて下さい。



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水野友紀子

水野 友紀子

空間スタイリスト。
アンティークショップHandleバイヤー。

大学で小さい頃から好きだった化学実験が出来る薬学を専攻。薬剤師となり、製薬会社で研究職に就く。 結婚を機に、休日は嫁ぎ先の老舗家具屋の手伝いをすることに。
家具のことを学びながら、そこで得た知識と固定観念にとらわれない主婦目線での女性らしい提案が、お客様に喜んでもらえることが嬉しくなり、薬の研究を辞め、インテリアの研究に没頭することを決める。
アンティーク家具に出会い、それまで知らなかった世界に感動。 家具やインテリアに対して伝えたいことや、自らが買い付けてきたアンティークに対する想いを「買い付けうらばなし」や「まいにちハンドル」に綴り、日々配信中。

アンティーク家具Handle
(水野商品館 株式会社)

1903年創業

【店舗&倉庫】
〒910-0019 福井市春山2-9-13

【南青山オフィス】
〒107-0062 東京都港区南青山5-4-41

古物商 福井県公安委員会許可
第521010008980号



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