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チムニーポットとは?イギリスの屋根を彩る「富の象徴」の歴史と魅力

- 水野 友紀子
チムニーポット(Chimney Pot)
チムニーポット(Chimney Pot)とは、イギリスのお家の屋根の上、煙突の先端に取り付けられている筒型の煙突飾りのことです。
かつては「富の象徴」とも言われた、イギリスの街並みに欠かせないチムニーポットの歴史や魅力についてお話します。
チムニーポットとは
アンティークの買い付けは私が担当なんですが、1つだけ主人が選ぶアイテムがあります。それが・・・「チムニー」。
買い付けに行って初めてチムニーを見た時、一体、何に使われていたものなのか、想像すら出来なかった私。
「煙突のカバーだよ」とディーラーが指さした先の建物の煙突。よくよく見ると、煙突のさらに先に小さくたくさん並んで見えるものがチムニーだ!と気づいて、ビックリしたことを覚えています。
チムニーポットとは、煙突の先端に取り付ける、テラコッタ(素焼き)などの焼き物で出来た筒のこと。
煙突の先を少し高くすることで煙の通りを良くし、風が吹いて煙がお部屋の中に逆流するのを防いでくれます。
イギリスのお家は、お部屋ごとに暖炉があるのが当たり前。暖炉の数だけ屋根の上にはズラ~っとチムニーポットが並んでいたので、お部屋がいくつあるかの指標にもなりました。
チムニーポットの歴史
1662年~89年まで、イギリスで課せられていた税金の一つが・・・煙突税!
正式には「炉税(Hearth Tax)」と言って、お家が所有している暖炉の数に合わせて税金が課せられていたので、暖炉がたくさんあるということは、それだけ税金を納められる裕福なお家だということの証でもありました。
暖炉の数=屋根の上に並ぶチムニーポットの数なので、たくさん屋根の上に並んでいるチムニーは、まさに「富の象徴」でした。
その後、石炭を燃やす暖炉が一般の家庭にも広まっていき、英国のお家の屋根にはチムニーポットが並ぶようになり、ヴィクトリア時代に入ると、他のお家と違いを求めるために形にもこだわるように。
「うちの煙突が一番かっこいい!」と自慢できるよう、王冠やお城、チェスの駒のようないろんな形のチムニーが造られるように!屋根の上を飾るアクセサリーインテリアとして広まっていきました。
知らないとあまり注目することがないチムニーですが、ぜひイギリスに旅行に行った際は屋根に注目してみて下さい!いろんな形のチムニーポットが並んでいるのがよく分かります。
メアリーポピンズとチムニー
チムニーを買い付ける度、毎回「チムチムニーチムチムニーチムチームニー♪」と歌ってしまう私(笑)
この曲の名前は絶対にチムチムニーだ!」って思っていたんですが、実は1964年のディズニー映画「メリー・ポピンズ」の曲。
曲名はチムチムニーではなく「チム・チム・チェリー(Chim Chim Cher-ee)」で、なんと!アカデミー歌曲賞も受賞している曲でした!
このチムチムチェリーは、煙突掃除人のバートがロンドンの街角で煙突掃除の道具を持ちながら歌い始める歌。
歌詞の中で「煙突掃除人は世界で一番幸運な男。握手をすれば幸運が手に入る」と陽気に歌っていますが、実はとても重労働で過酷な仕事デシタ・・・(汗)
とは言え、この時代、暖炉で暖を取ったりお料理をしていた英国の人たちの生活になくてはならない大切な仕事なので、イギリスには「煙突掃除人に出会うと幸運が訪れる」という言い伝えがあるほど!
現在でも「結婚式の日に煙突掃除人に出会うと幸せになれる」と言われていて、結婚式に煙突掃除人を呼ぶ習慣が残っているので、シルクハットを被った煙突掃除人を派遣してくれる専門サービスもあるそうです(笑)
いろいろな形のチムニーポット
王冠型(クラウン)
てっぺんが三角にギザギザと尖った、王冠そのものの形をしたチムニーポット。
「クラウントップ」と呼ばれ、ヴィクトリア時代に特に人気だったデザインです。
ギザギザの下に並んだ丸い穴は、煙を逃がすためのもの。まるで王冠にちりばめられた宝石のようにも見えます。
淡いクリーム色は「バフ」と呼ばれる粘土で焼かれたもの。優しい色合いがお家やお庭に明るく馴染んでくれます。
チェスの駒型
四角い台座から八角形の胴が立ち上がり、その上に波型の王冠をのせた姿が、チェスの駒の「ルーク」にそっくりなチムニーポット。
艶のある茶色は、焼く時に窯の中に塩を投げ入れて作る「ソルトグレーズ(塩釉)」によるもの。雨や煤に強く、屋根の上で長く使えて丈夫です。
どっしりとした重厚感があるので、一つ置くだけで絵になる存在感があります。
司教帽(ビショップ)
上部が波打つように真ん中がV字に切れ込んだ形が、司教帽(ビショップ・ミトラ)に似ていることから「ビショップ」と呼ばれる伝統的なデザインのチムニーポット。
まるで猫の耳のようにも見える、ちょっと愛嬌のある形です。
赤みのあるテラコッタの素焼きに残る黒ずみは、長い間、屋根の上で煤や雨風にさらされてきた証。アンティークにしか出せない味わい深い表情です。
現代のチムニーポットの楽しみ方
暖炉を使うお家が少なくなった今、屋根の上での役目を終えたチムニーポットは、イギリスではガーデニングアイテムとして大人気!
建物の改修や取り壊しの時に屋根から下ろされたチムニーポットが、今度はお庭や玄関の主役として使われています。
一番人気の使い方は、プランター。
筒の口に鉢をすっぽりはめ込んでお花やグリーンを植えるだけで絵になるので、玄関やお庭のアクセントになります。
高さが出ることで、お花が目線に近くなって、地面に置いた鉢とは違う立体感が生まれます。
アイビーのように垂れ下がるグリーンとの相性もぴったりです。
玄関ドアの両脇に置いてお客様をお出迎えしたり、高さの違うものをいくつか並べて花壇にリズムを付けたり。
もちろん、そのままオブジェとして飾ったり、玄関で傘立てとして使うのもおススメです。
お部屋の中でディスプレイとして使う使い方も素敵です。
新潟県のSさまが送って頂いたお家の玄関ホール。クリスマスデコレーションとして、上手にディスプレイされたチムニーが!煙突はサンタクロースがクリスマスにやってくる入り口なので、まさにピッタリのディスプレイです。
いかがでしたか?屋根の上にあった時とは、全く違う使い方で楽しめる、ビクトリア時代の富の象徴。
チムニーを自分流の使い方でおしゃれに使ってみませんか?

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水野 友紀子
空間スタイリスト。
アンティークショップHandleバイヤー。大学で小さい頃から好きだった化学実験が出来る薬学を専攻。薬剤師となり、製薬会社で研究職に就く。 結婚を機に、休日は嫁ぎ先の老舗家具屋の手伝いをすることに。
家具のことを学びながら、そこで得た知識と固定観念にとらわれない主婦目線での女性らしい提案が、お客様に喜んでもらえることが嬉しくなり、薬の研究を辞め、インテリアの研究に没頭することを決める。
アンティーク家具に出会い、それまで知らなかった世界に感動。 家具やインテリアに対して伝えたいことや、自らが買い付けてきたアンティークに対する想いを「買い付けうらばなし」や「まいにちハンドル」に綴り、日々配信中。
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アンティーク家具Handle
(水野商品館 株式会社)1903年創業
【店舗&倉庫】
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