アンティークのある暮らし ~埼玉県 新井さまのお家~
- 水野 慎太郎

仕事と子育てに追われる日々の中、いつかは理想の空間で暮らしたい――。
そんな想いを胸に、長い時間をかけてイメージを膨らませてこられた新井さま。
何度も訪れた海外で出会ったインテリアや暮らし方に心を惹かれ、少しずつ「こんな家に住みたい」という輪郭が見えてきたといいます。
そして、お子さまたちがそれぞれに自立し、自分の時間を持てるようになったことで、いよいよ夢だったお家づくりが始まりました。
海外の雰囲気をそのまま再現するのではなく、日本の暮らしに合うかたちで丁寧に選ばれたアンティーク家具たち。
一つひとつのアイテムが、これからの暮らしにやさしく寄り添うように配置されています。
そんな、新井さまのこだわりと想いが詰まった理想のお住まいをご紹介します。
アンティークのガラスキャビネットがある玄関
Handleから北陸新幹線、東北新幹線、そして秩父鉄道に乗り換え、到着した埼玉県秩父市。

駅まで車で迎えに来てくれた新井様は、中学校で音楽の先生をされています。
実は地元ではちょっと有名人。
とても明るく常に笑顔、ハキハキとお話しされる姿がとても好印象で、まるで昔からの知り合いだったように、会ってすぐにいろんな話しに花が咲きました。
「美味しいお稲荷さんがあるから食べに行きましょう」と地元で有名なお稲荷をお腹いっぱい食べて、向かった新築1年のお家。
新しいお家が立ち並ぶ一角にありました。

玄関を開けると・・・目に飛び込んできたのは家族の思い出がたっぷり詰まったアンティークのガラスキャビネット。
ステンドグラスをキラキラさせながら出迎えてくれました。
「子供たちと一緒に訪れた海外で買ってきたものが、この中にいろいろ入れてあるの」

マトリョーシカ、ロンドンバス、ピサの斜塔に手作りの粘土細工・・・などなど、家族で訪れたヨーロッパで買ってきたお土産の雑貨がいっぱい詰まっていました。
「コレは特別!」その中でも、3人のお子さんたちが母の日や留学先からプレゼントしてくれたものは、特別、大切にされているみたいで、すっかりお母さんの顔でした。
お部屋に彩を添えてくれるステンドグラス

玄関脇の下足箱の上には、ステンドグラスが。
ガラスの後ろに置かれたスタンドライトの電気を点けながら「キレイでしょう~」と自慢してくれました。
「このお家に遊びに来た方、みんなが喜んでくれるから、気に入っちゃっていろんな場所に置いたの。」
確かに、お家のいろんな場所にステンドグラスが。
リビングに寝室、トイレに階段。
お家のどの場所に行っても、まず、一番最初に目に飛び込んでくる場所にはステンドグラスが置かれていて、お部屋に彩が添えられています。

「後ろからライトで照らした時の、ステンドグラスからの芸術的で美しい灯りがとっても気に入っているの。お客様もみんなキレイだね~って喜んでくれるんです」
本当に、とってもキレイです。
アンティーク家具と過ごす週末

実は本宅は別にある新井さま。
新しく建てられたお家は、今は週末の時間を過ごしたり誰かお客様を迎える時だけに使っているそうです。

「お隣のグリーンもわが家には大切(笑)まるで軽井沢の別荘にいるみたいって褒められるんです」

「お客さんを招いて、みんなでお茶したり他愛もない話をして過ごす時間が好き。このワゴンもすごく重宝している」と言って、クローゼットの中から出してきてくれたアンティークのワゴン。
このワゴンが新井邸の初めてのアンティークです。

「サイズが大きかったから、誰も見向きをしなかったのかもしれないけれど、私にはピッタリ!スッゴク便利!」と美味しいお茶とお菓子を入れてくれました。
アンティークが持つ“文化の香り”に惹かれて

お茶を頂きながら、いろんなお話しを聞いていきました。
もともと、アンティーク家具を探していたわけではなく、新築を機に、足りない家具を買い足そうと思ってPCで検索しているうちに、なんとなくアンティーク家具にたどり着いたとのこと。

「ヨーロッパに行く度、いろんな文化を知ったんです。ドイツではものを大事にすると言う文化、アムステルダムでは建物を次の世代へ受け継いでいくと言う文化。」
そんな文化の価値観にハンドルのアンティークがピッタリだったと思ったと言う新井さま。

「海外で買ってきたおみやげなどの雑貨を、ずっと持ち続けていたことで、新築をきっかけにこんなお家にしたいってイメージが決まり家作りが始まりました。」
心が落ち着く、アンティークの木のぬくもり

新井様のお家のアンティーク家具はマホガニー材やウォルナット材などのアンティークが中心です。
「心が落ち着くから、マホガニー材やウォルナット材の家具が私は好きなんです」

「わが家は壁もベージュ、クリームだし床も明るめの色。だから色の濃いアンティーク家具の方が落ち着いて見えて私は好きなんです。」
その中でも「特に、象嵌が私は好き!」と仰る新井さま。
「木を組み合わせて作られたデザインって、いいよね~」と、コンサバトリーに置かれた象嵌がキレイなチェストを指して中を開けると・・・バーレイ社の陶器入れになっていました。
引き出しに陶器を入れるなんて、想像しなかった使い方。
「とっても便利よ~」と逆に教えてもらいました(笑)
アンティークの「好き」をたくさん並べて

リビングから吹き抜けになっている階段を上って2階に行くと、個室が3つ。
「ボクの部屋いらないって言うから、息子の部屋を作らなかったら、お母さん、本当に作らなかったんだねって言われちゃって・・・」と言うとおり、お嬢様のお部屋が2つと主寝室。
どのお部屋も素敵な家具でお互いの個性あふれるお部屋になっていました。





そんな新井さまのご主人様も学校の先生。実は、24時間テレビのスペシャルドラマになった「盲目のヨシノリ先生」の新井淑則先生です。
旦那さまのことを「お父さんは、あったかい人だね・・・」と奥様が言われる通りだろうなと。
実は、ヨシノリ先生が出版された著書が、小学校の読書感想文の課題図書になっていたので、私達も読ませて頂いたのですが、こんな先生に受け持ってもらいたい!と思う先生です。
「目が見えなくても、家族みんなで何度も海外に行きました。白い杖は世界共通なんです。」
本に書かれている通り、とても明るい新井さま。
仕事と家事、育児、そして旦那さまの病気との闘いは、私達には想像がつかないほど、大変なことだったと思いますが、そんな風に全く思えない明るさが美しさの源なんだろうな・・・と感じました。




今回、どうしても24時間テレビでの放送前に伺いたかった為、撮影の準備や学校行事などで忙しかった時間を割いて対応して頂いた新井さまには、本当に感謝です。
分刻みのスケジュールで向かった秩父までの日帰り旅でしたが、とても実り多い旅になりました。
秩父はとってもいい所で、今度は冬、お祭りに行きたいと思います!

-
水野 慎太郎
創業明治36年、1903年から続く老舗家具屋4代目。
アンティークショップHandleオーナー。小さい頃から囲まれて育ってきた、家具に対する知識と修復技術力は誰にも負けない自信がある。
30年後に日本の10人に1人がアンティーク家具を使っている文化を作ることを目標にし、日々、アンティーク家具の修復に奮闘中。
-
アンティーク家具Handle
(水野商品館 株式会社)1903年創業
【店舗&倉庫】
〒910-0019 福井市春山2-9-13
【南青山オフィス】
〒107-0062 東京都港区南青山5-4-41
古物商 福井県公安委員会許可
第521010008980号
関連商品はこちら
記事をシェアする