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英国家具の歴史が分かる「Museum of the Home」

- 水野 慎太郎
ずっと行きたいと思っていた場所、「MUSEUM OF THE HOME(ミュージアム・オブ・ザ・ホーム)」とは、以前は「Jeffrye Museum (ジェフリー博物館)」と言う名前だった「英国の家と暮らし」の歴史をたどる博物館です。
一番の見どころは、1630年から現代まで、年代別に再現された英国中流階級のお部屋の展示で、まるで今も生活しているように忠実に再現されていて面白い~!
アンティーク家具のこともよくわかる博物館の中の様子と一緒に、英国家具の歴史や暮らし方をたっぷりご紹介します。
Handle 水野慎太郎
ミュージアム・オブ・ザ・ホームとは?
今、ロンドンでおしゃれなカフェや雑貨屋さんが集まっている一番熱いエリア、イースト・ロンドンの「Hoxton(ホクストン)」。
オーバーグラウンドの「Hoxton駅」を出ると、目の前に現れたレンガ造りの建物!ここが今回ご紹介する「MUSEUM OF THE HOME(ミュージアム・オブ・ザ・ホーム)」です。
この美しいレンガ造りの建物は、ロバート・ジェフェリー侯の寄付金で1714年に救貧院として建てられたものです。
博物館になったのは1914年。当時は、ウィリアムモリスが先導したアーツアンドクラフツ運動の全盛期の中、職人や建築家たちが昔の家具を見て技術を学ぶための場所として誕生しました。
ロバート・ジェフェリーの寄付金で建てられた建物だったので「Jeffrye Museum (ジェフリー博物館)」と呼ばれていましたが、2018年から2021年にかけて行われた改修工事が終わってリニューアルオープンする際、名前が「MUSEUM OF THE HOME(ミュージアム・オブ・ザ・ホーム)」に代わりました。
アンティークが大好きなボクにははたまらない博物館の中に、さっそく入ってみましょう!
博物館の館内へ
博物館の中に入るとレンガ造りからは想像できないくらい、意外と近代的!(笑)
入って左側の近代的でモダンなエリアは、この博物館の一番の見どころは「Rooms Through Time(時を超える部屋)」。
1600年代から現代までの暮らしが分かりやすく再現されています。
他に「Home Galleries(ホームギャラリー)」「Gardens Through Time(時を超える庭園)」と全部で3つのセクションに分かれていますが、順路順にホームギャラリーから見てみましょう。
Home Galleries(ホームギャラリー)
入館して階段を下りていくとホームギャラリーのエリア。まず最初に書かれている一言は
「What does home mean to you?」
あなたにとって「Home]とは何ですか?と問いかけられ・・・なんだろう?と考えてしまった僕。まさに「Home」について、いろいろなことを考えさせられるような展示になっています。
ショーウィンドウの中の、17世紀に造られたキャビネット。
驚くほど細かい寄せ木細工「マーケットリー」にビックリ~!
きっと当時の職人さんも、これを見ながら勉強していたんだろうな・・・と。職人技の美しさに脱帽です。
今はもう使うことがない、昔の洗面台Wash hand stand(ウォッシュスタンド)。
Handleでも、よく似たウォッシュスタンドを修復してご紹介したな・・・と感動!
天板と立ち上がりの部分には、水がはねてもいいように優しい色の天然大理石。
展示されているだけではなく、ちゃんと当時使っていたように再現されていて、天板には大きな水差しと洗面ボウル、石鹸入れと髭剃りポットが置かれています。
視線を下げると・・・使用人が持ち歩いて使っていた掃除道具が入った箱やチェンバーポットも!当時の生活が分かります。
ガラスウィンドウの中に展示されている、1人掛けのソファ
デザインが移り変わっていくのがよくわかるように並んでいます。
椅子が展示されているだけではなく、当時、どんな風に使われていたかが分かるような絵画も展示!
まさに、展示してある椅子と同じような椅子を絵画の中で見つけることが出来るので、こんな風に使われていたんだな・・・ってリアル感が増します。
こんな風に絵画が隣に並んでいると、この時代、こんな感じで使われていたんだってリアル感が増します。
椅子のデザイン画も展示。
カタログに描かれている椅子も、ショーケースの中に入っていた椅子と同じ背もたれがボタンダウン。形違いで色々デザインされているんだな・・・って、見ていても面白い~!
いろんな年代の家具のカタログも展示されています。
さっき、ショーケースの中に入っていた椅子がカタログに載っているのを発見!時代によって、イラストだったり写真だったり・・・見ているだけで、その時代のトレンドがよく分かります。
そして!ボクが子どもの頃、遊んでいたこんなものまで!
ブラウン管テレビに、スーパーファミコン!
まさに自分の部屋みたいで懐かしい~!家具だけでなく、こういう遊びの変化も「家庭の歴史」のようです(笑)
「Rooms Through Time」
時を超える部屋
さぁ!ここからはジェフェリー博物館だった時代から続いている、大人気のセクション「Rooms Through Time」。
1600年から400年間、実際に住んでいる人のお話と一緒に、暮らしぶりが忠実に再現されています。
家具はもちろん、時代背景から歴史の勉強まで出来るので、詳しくご紹介します。
Hall in 1630
まず最初の部屋は、シティ・オブ・ロンドンに住む中流階級のお家の1630年のホール(広間)です。
この時代の「Hallホール」とは、中世の「グレートホール」の名残りで、家の中心になる多目的ルームのこと。
まだ電気もガスもない時代、ここに住んでいる人、全員がこの部屋で食事をとったり仕事や勉強をしていました。
夜になると、使用人は床で眠っていたようです。
ダイニングは、エリザベス様式らしい、オーク材で出来たバルボスレッグ
のテーブルと椅子。
この頃は、まだ椅子に背もたれがあるものはめずらしく、背もたれがないジョイント・スツールやベンチに座っていました。
背もたれが付いている1脚は、この家の家長だけが座れる椅子!家族と使用人は同じテーブルを囲んで一緒に食事をしていたようです。
部屋の奥に置いてあるテーブルの上に置かれている箱はバイブル・ボックス。
当時、家の中で最も高価で大切にしていた聖書を収納するための専用ボックスです。
ちなみに・・・今の時間は正午少し前。お父さんは子ども達に聖書の読み聞かせを終えたばかり。お母さんは使用人たちと一緒に食事の準備をしているようです。
この日のメニューは茹でた牛肉と干しブドウのプディング、ニンジン。
使用人も一緒に全員で食事をとった後、父親と弟子は階下の作業場へ仕事に戻り、子ども達は楽器を練習。末っ子は1カ月間縫い続けてきた刺繍の見本を完成させたいと頑張っているお部屋が再現されています。
Parlour in 1695
ここは、1695年の友人を招くための「パーラー(客間)」
1666年のロンドン大火で何千戸もの家が焼失した後、レンガ造りの家が新築され街が再建。新しい時代の客間として誕生したお部屋です。
もともとフランス語の「Parler(話す)」が語源と言われている「パーラー(Porlour)」は、仕事や喧騒から離れて、家族や友人と会話を楽しむための大切な部屋であるとともに、使っている家具を遊びに来た人に見せて、富と地位を誇示する場所でもありました。
この頃になると、仕事場と住居を分けるようになり、生活に少しゆとりが生まれてきました。
今の時間は夕方。友人たちと一緒に軽い夕食としてお肉とパンを食べた後、東洋から届いたばかりの新しい飲み物「紅茶」や「コーヒー」を飲みながら、カードゲームを楽しんだり、仕事を終えた使用人たちと一緒に、この家の息子さんが吹くフルートを暖炉の前で聴いているようです。
お茶を楽しむテーブルは、Handleでもよくご紹介する、英国アンティーク家具の定番、ツイスト脚のゲートレッグテーブル。
そしてフルートを聴くために暖炉の前に置かれた、高い背もたれと座面にケイン(籐)が張られた椅子は、オランダのデザインの影響を受けた「カロリアン様式」の椅子。当時、大流行しました。
壁面に置かれているのは、ウォールナット材の木目が美しいビューロー・キャビネットです。
それまでの英国の家具はオーク材を使ったものでしたが、ウィリアム&メアリーの時代に入り、オランダから渡来した家具職人が技術を広めたことで、ウォールナット材の家具が流行しました。
美しい杢目(もくめ)がデザインの一部として活かされた家具には、職人さんの技術が向上したことで、寄せ木細工(マーケットリー)などの装飾が施され、魅せる家具へと成長します。
手紙を書くための「デスク」が一般家庭に普及し始めたのもこの頃からだそうです。
Parlour in 1745
ここは1745年春。太陽が昇る前のロンドンにあるお家のパーラーです。
この日はとても大切な日。この家の奥様が友達をアフタヌーンティーに招くので、朝早くから2人の使用人が一生懸命、お部屋の中をピカピカに掃除している所が再現されています。
アフタヌーンティーを楽しむ椅子は、「クイーン・アンチェア」。
東西交易で中国から伝わったシノワズリデザインの椅子は、機能性を重要視し、それまでの豪華絢爛なデザインから装飾が控えめになりました。
カブリオールと呼ばれる曲線が美しい猫脚と座り心地を重視し、座面に貼り座のクッションが付いたことで、とても人気になりました。
ドレスを着た女性が座りやすいように、足先が3つに分かれた1本足のテーブル、ティルトトップテーブルはジョージアン様式の代表。
テーブルも椅子も植民地の中南米から届いたマホガニー材が使われました。
部屋の隅には壁付けのコーナーカップボード。高価な中国製の磁器などを飾り、コレクションを自慢するための家具です。
その下には、メイドのお掃除用具を発見!1人は火格子を掃除して暖炉を磨くのに一生懸命。もう1人は鉄製のフェンダー(暖炉の囲い)をピッカピカに磨いています。
なぜそんなにピカピカに磨くのか?!それは、家にゲストを招いて自慢の家具で高価な茶器を使って優雅にお茶を振舞って、教養と豊かさをアピールすることが当時の最大のステータスだったから。
メイドたちは、家族が起きてくる前に火をおこし、部屋を掃き清め、埃を払わなければならないので大忙しです。
壁際に置かれているのは、マホガニーの一枚板を使ったドロップリーフテーブル。
普段はコンソールテーブルとして使い、ゲストの数が多い時など、必要がある度に広げてテーブルとして使っていました。
マホガニー材の赤茶色の天板と、カーテンの赤い色がとてもよく似合う~!
天板がピカピカに磨き上げられているのは、夜、ろうそくの光を反射させて部屋を明るく見せるためでもあったそうです。昔の人の知恵ですね。
紅茶を飲む習慣が定着して社交の中心になったことで、この時代から英国の家具は使うための「道具」から見せて自慢するための「インテリア」へと進化していきました。
Parlour in 1790
ここは1790年のロンドンのお家のパーラー。
この頃、接待のためのお部屋として、パーラーはお客様を迎えるために清潔な雰囲気に保たれていました。
この部屋の設定は、夕方の早い時間。同じロンドンに住んでいる親戚や親しい友人を招いて、午後5時の早い夕食でお腹がいっぱいになった後、カードゲームを始める所のようです。
同じマホガニー材の家具でも、時代によって家具のデザインが全然違う所が面白い~!
先ほどご紹介したマホガニー時代の前半の家具は曲線の「猫脚」、後半は遺跡発掘ブームの影響を受けネオクラシック(新古典主義)のスッキリとした「直線」が特徴的で、現代のモダンなインテリアにもよく似合う、スマートなデザインです。
この時代の特徴的な椅子、背もたれが盾(シールド)のような形をしているシールドバックチェア。
脚は足先に向かってシュッと細くなるテーパードレッグ
。
カードゲームを楽しむためのテーブルは、折り畳んで収納し、必要に応じて取り出して使うゲームテーブル。
パーティーゲームを企画する主催者に大流行した伸長式のテーブルです。
この時代、お茶の道具もさらに洗練されていきました。
細くて長いテーパードレッグのコンソールの上に置かれているのは、トロフィー?!ではなく、銀製のティー・アーン(tea urn)。
ポットにお湯をつぎ足すために、お湯を保温しておくための道具です。
乗せられているテーブルは、コンソールではなく専用スタンドのようですが、このスッキリしたデザインもカッコいい!
お茶の時間がより優雅なものになっていたことがわかります。
窓際に置かれている小ぶりで上品なペンブロークテーブル 。
ペンブローク伯爵が朝食を食べるためにオーダーしたことが始まりのテーブルの足先にはキャスターが付いているので、移動もラクラク。 軽食やお茶、書き物など、様々な用途に使われた女性に人気の家具です。
実用性と美しさを兼ね備えたライティングビューロー。
天板を倒すとデスクになる便利なライティングビューローで、女主人は家計簿をつけたり手紙を書いて、家を取り仕切っていたそうです。
まさに家の司令塔ですね。
Drawing Room in 1830
ここは1830年のドローイングルーム。くつろぐための居間です。
19世紀は大英帝国絶頂期!時代は「見せるため」の場所から、家族がリラックスして「快適にくつろぐため」の部屋へとシフトしていきます。
家庭的な快適さが重要視されるようになり、ドローイングルームは日中、女性たちが読書や刺繍、水彩画などを楽しむ場として使われるようになりました。
インテリアデザインへの関心も一気に高まり、インテリア本もたくさん出版されました。
設定は、午後。母親と娘たちが午後のひとときをここで過ごしているようです。
マントルピースの両脇には、ファイヤースクリーンが一対。全てがシンメトリーにディスプレイされているのがよく分かります。
そして、部屋の真ん中には大きくて丸いセンターテーブル。
この時代、一本足の円卓は、家族団らんの象徴でした。当時は照明が暗かったので、夜になると、このテーブルの上にオイルランプを置き、
一本脚の円卓を家族みんなで囲んで、会話を楽しんだり、お茶を飲んだり・・・いろんな用途で使われていました。
テーブルの上にはインク壺と書きかけの手紙が!演出がめちゃくちゃ細かい~!
設定は、長女が水彩画の練習、次女はロンドンの反対側に住んでいる従弟に手紙を書いているようです。
ついに登場!コイルスプリングいわゆるバネが入ったソファがこの時代に誕生しました。
古代ギリシャ風の優美なフォルムのソファは、今までなかった「ふかふか」の座り心地。現代のソファの原型がこの時代に誕生しました。
このお家のお母さんが、今、このソファに座って雑誌を読み、最新のファッションをチェックしているそうです(笑)
マントルピースの横に置かれたゲームテーブル。
チェスやバックギャモンを楽しむための専用家具です。
遊びのための家具までこんなに優雅に作ってしまうなんて、さすが英国!
次女がチェスの駒を並べて、学校から帰ってくる弟に勝負を挑む準備をしているところだそうです(笑)
Townhouse in 1878
ここはロンドンのチェルシー地区にあるタウンハウスを再現したお部屋です。
4階建てのこの家に住んでいるのはインドから帰国したばかりのスティーブンソンさん一家。
インドのカルカッタからロンドンに戻ってくる間、スティーブンソンさんの3人の子ども達、メアリーとトーマス、ベアトリスのお世話をするために乳母として雇われたブヌーさん。
一家の生活が落ち着いたので、ブヌーさんは新しい仕事を見つけて、このお家を出るために荷物をまとめている日の様子が再現されています。
めちゃくちゃ細かい設定にもビックリですが、壁紙、カーペット、家具、小物に至るまで、柄と装飾で埋め尽くされている所もビックリ!
これは、この時代の特徴。富の象徴として、隙間なくモノを飾ることがステータスだったビクトリア時代のインテリアを再現しています。
暖炉の前に置かれているのは、Handleでもよく見かけるボタンダウンの赤いナーシングチェア
。ビクトリア朝のインテリアを代表する椅子です。
ナーシングチェアとは、もともと乳母の椅子。少し低めで広い座面の椅子は、授乳用に使われていました。
デスクに使われているのはダベンポートデスク。
暖炉のすぐ横には真鍮で出来た石炭入れ(コールボックス)が置かれています。
暖炉の燃料を入れるための道具も、めっちゃおしゃれ!こだわりが強いのがよくわかる~
装飾がとても豪華なアップライトピアノ。
家庭での音楽会が、中流階級の主な娯楽だった時代、ピアノが家にあることがステータスだったようですが・・・楽譜を読むためのロウソク台を発見!
鼻息で消してしまいそうです(笑)
ビクトリア時代を代表するもう一つの椅子「バルーンバックチェア」を組み合わせたテーブル。
テーブルクロスに使われているのは、ペイズリー柄の更紗。
当時、植民地だったインドからの輸入品を飾ることが、流行の最先端だったので、更紗や真鍮製の雑貨などを飾ることが人気でした。
ブヌーもお小遣い稼ぎに、インドの織物やお土産を詰め込んだトランクを持参して販売していたようです(笑)
観葉植物を飾るためのプラントスタンドも、ビクトリア時代に流行しました。
そして、この時代の壁紙やカーテン、ソファの色に注目すると、濃い赤や緑など、暗い色が多いんです。その理由は・・・
ガス灯!天井を照らすのはガス灯(ガソリエ)のシャンデリア。
ガス灯は非常に明るくて喜ばれましたが、反面、ススが出て汚れるので、汚れが目立たないように濃い色が好まれたそうです!
Tenement Flat in 1913
20世紀に入ると戦争や移民、そして新しい技術によって、英国のインテリアも劇的に変化していきます。ここは1913年のシャーロット・ド・ロスチャイルド・ビルディングの一室。
1887年に東ロンドンのスピタルフィールズ地区に、スラム街を一掃し、環境を改善するために建設された、労働者階級のための集合住宅です。
ここに住んでいるのは、ロシアでの迫害を逃れてきたユダヤ人移民のデレンスキー一家。
ユダヤ教の休息日シャバット(安息日)を迎える金曜日の夜、レイさん自慢のローストチキンがオーブンの中で焼きあがっています。
ストーブの上で作っていたロクシェンスープも完成!
娘のベッシーは一日中休むことなくアパートの掃除。弟のネイサンにブリック・レーンまで買い出しに行くように伝えたようです。
父親のイスラエルは長い一週間の仕事を終え、地元のシナゴーグ(礼拝堂)へお祈りに行っているので、帰ってきたら、祝福とともに夕食が始まる・・・という設定のお部屋です。
白いテーブルクロスが掛けられたテーブルに組み合わせてあるのは・・・ウィンザーチェア!素朴な雰囲気が大好きな椅子です。
質素だけれど、家族の絆と信仰心が詰まったあたたかいお家の中で、生活の要になっているのは大きなブラック・レンジ(鋳鉄製のコンロ)。
調理も暖房もこれ一台です。
窓辺にはアンティークのミシン。
移民の多くの人たちは、自宅で仕立て屋の仕事をして生計を立てていたので、ここが彼女たちの仕事場の様です。
ほっこりぬくもりが感じられる、僕好みのウェルシュドレッサー。
今までのお部屋とは全く違って、木材もオールドパイン材を使った家具が多く使われています。
部屋の隅に置かれたシンプルなアイアンベッド。
装飾よりも実用性が優先された、労働者階級の家具です。
キッチンの奥にあるスカラリー(洗い場)。
レンガ造りの流し台と洗濯板。買い付けで見つけると、必ず連れて帰ってくるカーペットピーターを発見!使いやすいように壁に引っ掛けてあります。
Room Upstairs in 1956
ここはアイルランド出身の新婚さんが住む、カムデンのテラスハウス。
奥さんのキャスリーンは、新設されたNHSの看護師に、旦那さんのジャックは建築作業現場で働くために2人でロンドンにやってきました。
今夜は数年前に、2人が初めて出会ったダンスホールにお出かけする日!キャスリーンは、ジャックからプレゼントしてもらった香水をつけて、ジャックのお気に入りのスーツにアイロンをかけているところです。
第二次世界大戦が終わり、ドイツ軍の爆撃によって荒廃したロンドンでは、安価な素材を使ったリビングと寝室が一緒になったベッドシットスタイル、いわゆるワンルーム新築の住宅がたくさん建てられました。
注目して欲しいのは、壁の色!今までとは全く違う白い壁は、ウッドチップ壁紙。とても安価で石膏工事の代わりに便利だということで物資不足のこの時代、大量に使われました。
でも、壁紙を剥がすことが出来ないので、1990年代以降のイギリスではほとんど使われていません。
ワードローブに使われているのは、コンパクトム。もともとは船旅の彩、持ち運び出来るように造られたワードローブなので、洋服を吊るす場所と、カバンや帽子などを入れる棚が一緒になった便利な家具です。
吊るされているのは、鮮やかな紫色のドレス。これも、ダンス用?!
週末、ダンスホールへ出かけることが、当時の若者たちの楽しみだったそうです。
家具もそれまでの英国のスタイルとは全く違って、チーク材を使ったシンプルな北欧スタイルのデザイン。
「ユーティリティ・スキーム」と呼ばれる英国政府の規制によって、デコラティブな装飾が入った家具を造ることが禁止されました。
その代わりに登場したのが「ユーティリティ・ファニチャー」と呼ばれる、質と価格を抑えた大量生産の実用的な家具。北欧のデザインが用いられたシンプルな家具がたくさん造られ、普及していきました。
そして、パステルグリーンのタイルが可愛いバスルーム。色使いが超おしゃれ☆
そして、バスタブの横には・・・ロイドルームチェアを発見!水に強いロイドルームチェアは、こんな風にも使われていたんだな・・・と勉強になります。
さらに洗面台の脇には、小さなバタフライテーブルが畳まれておかれています。
と言うのも、ベッドシットスタイルのお部屋のお風呂は共有。なので、このバタフライテーブルを開いて、荷物を置いていたんじゃないかな?
大家さんも同じお風呂を使っていたので、「お湯を使いすぎないで」と怒られることもあったとか(笑)
リアルな暮らしの裏側が見えて面白い~
Terraced House in 1978
幾何学模様の壁紙とマスタード色のソファ。、花柄の赤いカーペットが個性的な1978年のお部屋。
このお部屋は、カリブ海から移住してきた家族が住んでいるハックニー区にある公営住宅「ドゥ・ボーヴォワール・エステート(De Beauvoir Estate)」の一室。
寒い土曜日の夜、お父さんが部屋を暖めるためにパラフィンヒーターをつけ、一日中ラジオからガンガンに流れていたレゲエの音量を下げたようです。
と言うのも、ソファの前には・・・
ダイヤル式のテレビ!なんだかめっちゃ懐かしい~(笑)
今日は人気ドラマの最終回なので、家族みんなで夜更かししながらドラマを楽しむようです。
ソファやテレビの上には、家具や家電を大切に使うためのレースのカバー、ドイリーが掛けられています。
これは家具を大切にする習慣の表れ。なんだかおばあちゃんの家に来たみたいで落ち着きます。
カリブ海諸国から移民してきた女性たちは、収入を補うためにキリスト教宣教師から教わったクロッシュ編みをしていたようです。
Handleでも人気のガラスキャビネット。その上にはアンティークの丸い鏡。
この家のデザインと内装は、当時の英国のインテリアとはちょっと違うカリブ系黒人家庭のお部屋。
トロピカルな色合いのオブジェ、カラフルな模様の壁紙がおしゃれな雰囲気です。
ガラスキャビネットの中には、大切なお酒やグラスを入れて、天板の上にはドイリーが置かれています。
大きな家具調のステレオラジオ!ここで朝から晩までレゲエを流していたのかな??(笑)
1970年代までに、電話やラジオ、おもちゃに装飾品など、家庭で使われるものの多くがプラスチックで作られるようになりました。
多くの人々から未来の素材として注目されたプラスチックは、低コストでいろんな用途で使えたので高く評価されていたので、今のように環境への影響について懸念されることになるとは、夢にも思われていなかったようです。
70年代のインテリア、今見ると逆に新鮮でとってもお洒落に見えませんか?
Loft Apartment in 2005
ここは2005年の高層マンションの一室。ナディア、アシュリー、アレックスの3人が住んでいるシェアハウスです。
21世紀に入って、暮らしの形がもっと自由で多様になったことで、伝統や形式にとらわれない、自分らしく生きる人が増えました。
LGBTQIA+のコミュニティを通じて出会った3人は「家の中だけは自分たちが心から安心できる場所にしたい」と思い、一緒に暮らすことを決めました。
賃貸契約では禁止されているけれど、思い切って壁をペンキで塗って、自分たち好みの色で塗ったようです。
鮮やかなオレンジの壁にペイントされたベッドルーム
。 家具もIKEAなどで手軽に購入できる安価な大量製品がたくさん出回るようになってきました。Terraced House in 2024
ここはベトナム系イギリス人のグエンさん一家が住む、2024年のテラスハウスです。
日曜日の午後、キッチンからは、お母さんのホアさんが作る特製チキンフォーのいい香りが・・・
昼食をみんなで食べ終わった後、リビングの大きなテレビでカラオケを楽しんでいるお部屋です。
お父さんのティエットさんは、iPadでお気に入りの番組を見ながらリラックス中。
壁に飾られたたくさんの家族写真や、大切に手入れされた観葉植物などを見ていると「家」は建物だけじゃなく、そこで過ごす「時間」が作るものなんだなと気づきました。
英国の部屋めぐりまとめ
イギリスの家の歴史、いかがでしたか?
いつも買い付けで日本に連れて帰るアンティーク家具一つ一つが実際に使われている様子を見ることが出来て、ますます好きになりました。
ロンドンに行かれた際は、ぜひ遊びに行ってみて下さい。
ジェフリー博物館
・住所: 136 Kingsland Road London E2 8EA
・電話:020 7739 9893
・休館日:月曜日
・開館時間 10:00~17:00
・▶ホームページはコチラ

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水野 慎太郎
創業明治36年、1903年から続く老舗家具屋4代目。
アンティークショップHandleオーナー。小さい頃から囲まれて育ってきた、家具に対する知識と修復技術力は誰にも負けない自信がある。
30年後に日本の10人に1人がアンティーク家具を使っている文化を作ることを目標にし、日々、アンティーク家具の修復に奮闘中。
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アンティーク家具Handle
(水野商品館 株式会社)1903年創業
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