ジャコビアン様式の家具

エリザベス1世が独身のまま亡くなった為、チューダー朝は終わり王位継承権のあった、当時スコットランド王であったジェームズ6世がジェームズ1世としてイギリス王(イングランド王)として即位スチュアート朝が開かれます。
この時代を家具の歴史の中ではジャコビアン様式と呼びます。
ジャコビアンは、ジェームズ【Jacobus】の名前をヘブライ読みしたことから来た名前のようです。


ジャコビアン様式の家具はエリザベス様式からのデザインの流れを受け、挽きもの細工のバルボスレッグは大ぶりなカップ型から少しスリムでエレガントな花瓶の形ようなものになります。
また同じように挽きもの細工では糸巻きをモチーフにしたと言われるボビンターニングレッグが生まれます。
ボビン型だけではなくボールとリングを組み合わせたモチーフもありました。
それらの挽きもの細工が小型がしたことにもよりチェアにも頻繁に使われるようになります。
ボビンターニングの脚、背もたれにもボビンターニングの支柱、また背当ての部分にはカービング(彫り)の模様をといったジャコビアンならではの椅子が登場します。

家具では、出し入れが楽に出来るようにと引き出しの両サイドに「サイドランナー(脇すべり)」という工夫がされました。
このサイドランナーの技術の向上により、それを応用し天板のサイドから補助天板を引っ張りだす伸張式のテーブル「ドローリーフテーブル」が生まれます。
エリザベス時代からドローリーフテーブルは作られるようになってはいたのですが、このジャコビアンの時代に入り流行しました。


またこの時代に象嵌細工の初期のものが見られるようになります。
装飾用の板に花や花瓶、蔓、葉のようなモチーフを描き彫ります。そこに同じ模様で形どった象牙や真珠貝、柊や黄楊、黒檀などをはめ込むといった方法で象嵌を施していったのです。今で考えるととても細かく、気の遠くなるような作業が目に浮かびます。


そういった象嵌装飾や、モールデットフロントといわれた彫刻細工などを家具の前面や側面の装飾に使うようになっていったのもこの頃と言われています。
16世紀からあったリネンフォールドも引き続き家具の装飾によく使われていました。


でも実は、このジャコビアン様式の名前の由来となったジェームズ6世ですが、実は家具の発展には余り尽力していません。
本人は狩猟やお酒には興味があったのですが、その他趣味や芸術には無関心であったため、上記のような家具の発展はフランスやイタリアなどの大陸からの影響を受けた家具の職人達が自分達で工夫したものと言われています。


その王に代わった次のチャールズ1世はジェームズ1世とは違いデザイン、ファッション、日常の礼儀作法などに興味・関心が高く、結婚相手もフランス王の娘だったため、大陸からの影響を強く受けイギリスの生活様式に新しい風をおこします。
自国の東インド会社を通して貿易を発展させ、中国からは磁器を、ベネチアからはガラス細工を、オランダからは陶器類、東インド諸島からは香辛料、ダマスカスとイタリアからは上等な布、日本からも漆塗りの櫃やトランクなどを輸入させました。
これらのアイテム達はイギリスの家具の発展に大きな影響を及ぼすことになったのです。
またこの頃の家庭用家具の需要の急速な高まりと共に、多様化した家具作りに今まで以上の細かさが求められ、それに関連して今までの多く使われていたオーク材からウォールナット材を使うことも多くなっていきました。

そしてこの後、イギリス国内で清教徒革命が起こるまでは貿易や商業は活発化していき建築のデザインなども多く発展していくのです。
ただ、清教徒革命後の11年間の共和制時代はしばらく、質素な生活をという風潮になり、家具の装飾や芸術面での発展が止まってしまいます。


そして王政復古を行った次のチェールズ2世により、華やかなカロリアン様式の時代が始まるのです。
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