カップ＆ソーサー 陶磁器

カップ＆ソーサーとは、紅茶やコーヒーを飲むときに使うカップと下に敷くソーサー（受け皿）がセットになったものです。

今では紅茶のイメージの強いイギリスにお茶が伝わったのは15世紀後半ごろの大航海時代。
日本や中国へやってきた宣教師によってお茶の文化がヨーロッパに持ち帰られたんです。

そのため、当時は英国で使われた茶器も現在のカップ＆ソーサーのような形ではなく、日本で緑茶を飲むときに使う湯飲みのような、持ち手の付いていないタイプが使われていました。

その後、東洋よりも近いインドなどでお茶の栽培がされるようになり、18世紀頃にはヨーロッパ内でさらにお茶の文化が広まっていきます。

多くの陶磁器ブランドが生まれ、食器にもこだわりの強い英国では、より優雅にお茶が楽しめるよう、飲み物をカップに注いだ後、少し深めのお皿…ソーサーに移すことで冷ましながら紅茶やコーヒーを楽しんでいました。
これが、カップ＆ソーサーの原型です。

そんな薄地に熱い紅茶が入ったカップを持つと手が熱くなってしまうので、カップから離れた位置で持つために、取っ手が上向きのデザインになっていることも多いんです。

そのため、カップ＆ソーサーの持ち手はただの半円ではなく、グニュっと曲がった形をしていたり、ツタのようなデザインになっていたりと、いろんな形で作られています。

そんな紅茶も飲み始めは冷ましたいけど、時間が経ってちょうどいい温度になってくると今度は冷めないでほしくなるもの。
そのため、下からは冷めにくくなるように足元が高くなっていたり、カップの下のソーサーも紅茶が冷めにくいポイントになっています。

英国で作られたアンティークのカップ＆ソーサーはこの小さな形の中に、紅茶をより美味しく優雅に楽しむための工夫がたっぷり詰まっているんです。